呪術廻戦で万にチート転生   作:VISP

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予想以上に長くなってしまった・・・でも満足


第十九話 純愛 一部修正

 2010年、万穂は高専卒業後、常に忙しかった。

 理由は勿論、結婚に向けた準備のためである!

 特に名家として当然だとされる礼儀作法に関しては万穂は平安時代の今では古過ぎる作法しか知らないため、古株の女中達による厳しくも気遣い溢れる教育的指導が連日行われた。

 

 とは言え一般からあの御三家、しかも自家至上主義で知られる禪院家、それも当主への嫁入りである。

 如何に特級呪術師と言えども前例の無い事態だったが・・・割とすんなりと通った。

 というのも、現26代当主たる直毘人による全面的な後押し(というのも生温い。ブースター付けたレベル)があったからだ。

 高専に入る前はそれはもう業界各所に悪名高さで知られた直哉である。

 呪術師至上主義かつ自家至上主義の禪院の中において才能と容姿双方を持っていながら、なおも論外と言われた糞ガキは伊達ではない。

 嫁のなり手がいないし、そもそもまともに当主やれるかも怪しい直哉を何とか矯正できないかと直毘人はずっと頭を悩ませ、日々飲酒量が増え続けていた。

 そんな折、せめて最低限の社会性を学ばせるべく高専に送り出したのだが・・・

 

 そこで直哉は直哉含む同期の生徒全てを片手間に叩き潰す本物、あの五条悟にすら勝る人外、後の特級呪具師たる粒来万穂と遭遇してしまった。

 

 そこから先は早かった。

 元々あちら側、呪力の有無に関わらず純粋な実力で特級側へと区分される者達の領域へと行きたがっていた直哉だ。

 自分の舌禍に眉を顰める事すらしない圧倒的格上で、望めば幾らでも指導してくれる先達へとあっさり懐いた。

 やがて日々を共にするに連れ、その好感は豪雪が如く積み上がっていく。

 嫉妬から羨望、思慕から恋慕、友愛から情愛、そして執着へと肥大化していくのに時間はかからなかった。

 今や直哉が万穂に向ける感情は余りに重く、比翼連理と言っても良い。

 例え直哉が死んでも万穂側は一人で立つ事は出来るが、直哉は違う。

 最早一人で立ち続ける人生など考えられない程に、万穂へと深い感情を抱えている。

 もし禪院家中で反対が多数派になれば、それこそあっさりと禪院家を抜けるだろうと確信していた。

 無論、そんな事は認められない。

 自分が老い、直哉が去った結果、恨み辛みを背負い込んだ禪院家では何れ族滅されかねない。

 相伝の宗家の出で最強の男児たる直哉に家を継がせるためには万穂の嫁入りは絶対に必須の前提条件だった。

 幸い、家中の目下の者達への対応は随分とマシ(以前が論外過ぎただけとも言うが)になったし、次期当主としての仕事も卒なく熟していく。

 実力面は既に申し分なく、家中の者達の掌握も徐々にだが進んでいた。

 

 故にこそ、直哉が万穂を家に最初に連れ込んだ直後から、直毘人は万穂の嫁入りのために入念に下準備を始めた。

 

 それこそ本人らは勿論、高専や他の御三家にも気付かれぬ程に念入りに痕跡を消して工作を続けた。

 この下準備により家中の意見統一、そして最も重要な総監部への直哉と万穂の結婚を賭けた決闘の許可がスムーズに下された。

 こうした直毘人の見えない所での努力の甲斐と本人の頑張りにより、直哉は万穂の嫁取りに成功したのだった。

 

 「いやはや、まさかこんな凄い事になるとはね。」

 「まぁしゃーないやん。特級夫婦やで?」

 

 2010年初夏 禪院家では直哉の当主就任及び万穂の嫁入りを祝って、盛大な宴が行われた。

 そりゃもう盛大だった。

 何せ参加者が禪院本家の術師達+禪院分家の代表達+高専で世話になった関係者+総監部の一部とその付き人+御三家当主とその付き人+αである。

 人数にして300人以上とかそりゃー盛大なものにもなろう。

 会場は禪院家本邸であるが、いつも以上にピカピカに掃除された上で飾られた禪院家がみっちみちになる程度には人が溢れた状態だ。

 白無垢を着た万穂が思わず顔を引き攣らせる程度の密集具合であり、直哉すらげんなりしている。

 

 「似合ってるね直哉。普段から和装で良いのに。」

 「洋服の方が気楽なんや。万穂こそよぉ似合ってるけど、普段から和服はあんまり好きちゃうやろ?」

 「まぁね。こんなお洒落は偶にで良いよ。」

 

 ひそひそとささやき合う二人を余所に予定通り式は恙なく進んでいく。

 当然の事ながらこの場には現在特級術師が直哉と万穂、更に五条と夏油(高専の友人枠)がいるのだ。

 更に加えて会場にいるほぼ全員が現役の呪術師である。

 百倍所か千倍の歩兵部隊+機甲連隊が仕掛けてきた所で余裕で返り討ちに出来る程度の戦力である。

 ぶっちゃけ小国なら余裕で地図から消せるレベルなのだ。

 こんな所に喧嘩売りに来る奴なんていねーので、心配事は専ら内向きとなる。

 が、それも直毘人の事前の下準備により排除済みである。

 もし新郎新婦に毒を盛ろうが自力で回復可能な奴らなので何も心配はいらない。

 それはそれとして厨房関係者が幾人か裁判無しに処分されるだろうが、禪院家としては何も問題にはならない。

 何故ならここは禪院家、ドブカスofドブカスだから。

 

 「よぉお二人さん。おめでとう&お疲れ様ー。」

 「晴れの日なんだからもう少し態度に出そうよ悟。っと、二人とも結婚おめでとう。」

 「二人ともおめでとう。意外と早くくっついたんだな。」

 「おぉ五条君に夏油君に家入君、3人とも態々来てくれてありがとう。」

 「三人ともおおきに。退屈やろうけど、もうちょっと我慢してな。」

 

 式が終わり、会食になると直哉と顔を繋ごうとする関係者が酒を入れる前にと大勢並び始める。

 万穂もまたそうした人々の顔と名前をインプットしつつ直哉と共に内心を押し隠して挨拶していく中、漸く見知った仲の三人が来て相好を崩した。

 

 「二次会ってか身内だけの宴会の予定地はもう抑えてあるから是非参加してね。」

 「言うても開催は予定詰まってて来週やけどな。予定空けてくれたら嬉しいわ。」

 「OK、空けておくよ。ちなみにバイキング形式?」

 「タダ飯目的隠しもしないクズじゃんw」

 「金には困ってない。けどタダ飯って美味いじゃん?」

 

 学生時代と変わりない三人のわちゃわちゃ具合に直哉と万穂もほっこりする。

 あのチンピラ系不良とインテリ系不良共とその女友達が随分成長したなぁという何様目線な感想を抱いてだが。

 だがこの後、高専時代の担任に楽巌寺学長と夜蛾学長、直哉以外の同期達に総監部の方と続き、様々な人達と挨拶を交わす事となり、慣れてない事もあって疲労困憊となる万穂であった。

 

 「ふぅ~~~~~~~~~~・・・・・・・・・疲れたぁ・・・・・・。」

 「お疲れさん。慣れへんことよぉ頑張ったなぁ。」

 「やっぱり慣れない事なんてするもんじゃないね・・・。」

 「安心しとき。もう二度とせえへんから。」

 

 夜、全ての式典を終えて漸く白無垢を脱いだ万穂は以前泊まった直哉の部屋・・・の隣の部屋へと案内されていた。

 隣と言っても遮るのは襖一枚だけ。

 結婚式の日の夜、つまりは初夜である。

 敷かれた布団は一組で、枕は二組。

 風呂上がりの万穂の身体は女中さん達の手により丁寧にピッカピカに磨かれ、髪と肌には最高級の香油と化粧水が嫌みにならない程度に丹念に塗り込まれている。

 着ているのも寝間着代わりの上下一体式の肌襦袢のみ(直哉は上下別)。

 枕元にある一目で高級と分かる木製の行灯(と棚にあるティッシュとかその他。避妊具は勿論無い)が僅かに室内を照らす中、万穂は内心ちょっと・・・否、かなりテンパってきている事を自覚しながら、番いを前にした雄の眼になっている直哉に向けて告げた。

 

 「直哉、君は当主教育の一環で色事の経験もそれなりにある。そうだね?」

 「まぁ多少は。」

 

 事実である。

 というか、ある程度の規模の呪術家系では跡継ぎ候補はそういった教育をしっかり受ける。

 じゃないと跡継ぎ作成という当主の最重要とも言える仕事が出来ないからだ。

 なお、戦国時代以前からある御三家は割かし男色とかそっち方面に行く奴もそれなりにいるので、直毘人は直哉の性教育はかなり力を入れて行ってたりする。

 教育ついでに美人のお姉さん方と自分も遊んだりするが、それはさておき。

 

 「万が一子供が出来なかった時は愛人を娶る事。今の君なら引く手数多だから相手に事欠かないとは思うk「いやや」君ねぇ・・・万が一を考えなよ万が一を。」

 

 途端に声のトーンが数段落ちる直哉に、万穂は呆れた。

 男なんて基本下半身は頭と別の生き物なんだから、もしもの時のスペア位囲っておいて損は無いだろうに、どうしてこう一度深い愛情の対象を見つけた呪術師ってこうも執着が凄いのか、万穂には分からなかった。

 勿論、そんな万穂の内心は直哉にはお見通しだった。

 

 「この話は一旦置いといて・・・先に言っておくけど私に色事の経験は無い。人並みに自分で慰めた事はあるが、それ以上は無い。まぁ呪術師としての仕事から膜は残ってないだろうが、未経験なのは確かだ。」

 「ふんふん。」

 

 万穂は前々世含めてそういった経験は一切無い。

 生きるのに精一杯で色恋沙汰に現を抜かす暇が無かったと言えばそれまでだが。

 つまりこの女、通算100歳オーバーの身で完っ璧に清い身なのである!

 

 「で?」

 「・・・頼むから、優しくしてくれないかなぁ?」

 「駄ぁ目♪」

 

 今まで自分の三万歩先をスキップしていた愛する女が、自分に媚びるように上目遣いで見つめてくる。

 彼女が漸く見せた弱みらしい弱みに対し、直哉は満面の笑みで口いっぱいに食らいついた。

 3日後、漸く解放された万穂は掠れ切った喉でこれだけ言ってダウンした。

 

 「優しくしろって言ったじゃん・・・」と。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 「それで優しくして貰える訳ないじゃんwwwウケるwwwヒィwwww」

 「万穂君にもそんな可愛らしい面があったんだねぇwww」

 

 高専から禪院家内に拵えられた万穂用の研究室にて、呪術界のマッド共こと技の一号と力の二号が集まっていた。

 勿論、このアレな連中の今回の目的は万穂と直哉へのお祝いとからかいである。

 多分夜は酷い事になってるだろうなと思って聞いてみた所、案の定だったのでマッド共は爆笑した。

 

 「いやー直哉も随分我慢したと思うよ。目の前に極上の餌がずっとぶら下がり続けてるのに食べられないとかほぼ拷問じゃん。」

 「だよねぇ。アレには私も同情したもん。」

 「えぇ・・・別にお預けしてるつもりは無かったんだが・・・えぇ・・・。」

 「聞きました一号さん!V3さんったらアレ無自覚ですってよ?」

 「いやぁねぇ二号さん!V3さんって実は人たらしでしたのよ!」

 「二人とも、この菓子はいらんと見えるね?」

 「「まぁまぁまぁまぁ」」

 

 万穂が取り出した自作激ウマ菓子(一口サイズのがんづき。宮城県のご当地和菓子。黒砂糖入り和風蒸しパン)を下げるのを見て、マッド二人が態とらしい裏声での茶番を止めて慌ててなだめる。

 

 「で、実際の所どうして直哉に負けたんだい?お互い変身すらしてなかったろう?」

 「だよねぇ。私としてはあそこからの全力の呪い合いを見たかったのに、ボートだけ沈められて寒中水泳しかけたのはちょっと許せないかなぁ。」

 「ふむ、これは万穂君に真相を語って貰わねば納得できないねぇ。」

 

 むちむちとしたがんづきを頬張り、高級玉露で流しながら、二人がニヤニヤとしながら問いかけてくる。

 この二人が今日、最も聞きたい事がそれだった。

 あの日、あの無人島での決闘にて、直哉も万穂も変身を使わなかった。

 使った場合、戦闘はあの時の比ではない程に過激なものとなり、結果は確実に別のものとなっただろう。

 少なくとも手札の多さでは呪霊を貯め込んだ呪霊操術並に大量にある万穂が、特級となってまだまだ日の浅い直哉に負ける姿を想像する事は出来ない。

 なのに何故、万穂はあの時敗北を認めたのか?

 

 「・・・・・・・・・・・・笑わないと縛るか?」

 「「縛る。」」

 「はぁ~~~~・・・・・・こいつらはホント・・・・・・。」 

 

 即決で縛るマッド共に、万穂は深々と溜め息を吐いた。

 うん、お前らはそういう奴らだよ、と呆れ果てたのだ。

 

 「直哉が予想以上に成長していた事は勿論ある。あのまま戦闘を続けていれば殺してしまうと思った事も。」

 

 特にあの投射呪法の術式反転、アレがやばかった。

 速さではなくその逆、呪力消費が倍になる代わりに重さを増していく。

 1秒を24分割から倍の48分割へと増やし、その分割された動き一つを成功させる度に重さが倍化していくのだ。

 勿論、失敗すると1秒スタンするのは変わりないし、重さも元に戻る。

 通常の投射呪法に比べてスピードこそ変わらないものの、全ての動作を成功させた際には1秒だけ重さが元の約281兆倍という凄まじいものへと増える。

 また「ある程度の物理法則や軌道を無視した動きを作ることは可能」かつ「失敗しない範疇であればその動きが術者の身体能力的に不可能な場合でも問題なく全自動でトレースされる」特性もそのままだ。

 力×スピード×重さ=破壊力の式に当て嵌めると、とんでもない威力になる事がよく分かるだろう。

 

 Q.つまり?

 A.変身無しの亜音速でも理論上元の約281兆倍の重さの打撃を放てます。

 

 Q.これ黒閃と合わせる事も?

 A.理論上可能です。

 

 Q.よく万穂生きてたね?

 A.流石に下腹部吹っ飛んだので再構築しました。

 

 Q.直哉強い、強くない?

 A.強い。愛の力です。でも右腕が砕けました。

 

 それが直哉が開眼した投射呪法【乗】の正体である。

 一級術師でもコンクリート製の建物の壁を砕く事が出来る。

 況んや特級術師の打撃が280兆倍以上となれば如何に万穂でもそりゃ負けを認める程のダメージを叩き出せるだろうし、余波で小なりと言えど津波も出せる。

 初見故の奇襲効果と投射呪法の火力不足のイメージがあったとは言え、余りにも酷いダメージを受けてしまった。

 

 「その上でアイツ、私を見下ろしながらこう言ったのさ。お願いやから、オレにもう好きな女を殴らせんといてくれって。あんな顔の直哉は初めて見たよ。」

 

 衝撃的だった。

 物理的には勿論、精神的にもあの女性蔑視だった直哉がまさかこんな事を言うだなんて。

 余りの衝撃にその時の万穂は血反吐と臓物を零しながら、ついつい分かってて当然な事を聞き返してしまった。

 

 「そんなに私が好きな割に好きだ愛してるなんて一言も聞いた事無いぞと返したんだ。そしたらアイツ、好きや、愛しとる。お願いやからオレより先に死なんといてくれ、置いてかんといて、なんて言ってきたんだよ。」

 

 そして、砕けた自分の右腕を意にも介さず、泣きながら万穂を抱き締めた。

 自分の打撃で腹が砕け散り、上下半身が泣き別れした万穂に必死に泣いて縋って愛を伝えてきたのだ。

 呪いと血と臓物に塗れながら、それでも直哉は愛する女を抱き締め、正直に愛を告げた。

 それは正しく呪い塗れの呪術師らしくて、それしか生き方を知らない子供のようで・・・迂闊にも、独りにしたくないな、と思ってしまった。

 

 「どうにも突き放せなくてね。ついつい負けを認めてしまった。その結果がこれだよ。」

 

 そう言って、万穂は左手の薬指を見せる。

 そこにはシンプルながらも上品なデザインのプラチナ製の結婚指輪が嵌まっていた。

 

 「じ、純愛・・・!想像の千倍以上の純愛・・・!」

 「まさかあの万穂を堕とすか・・・いやー御馳走様。直哉の情熱に乾杯。」

 「だから言いたくなかったんだ・・・。」

 

 年甲斐もなく乙女の様に頬を赤らめる九十九にうんうんと若人の情熱を褒め称える羂索。

 その二人の反応に改めて羞恥が刺激された万穂は頬を赤らめながら、火照った身体を落ち着かせようと茶を啜った。

 

 

 

 

 




遂に直哉が速さ・防御・ギミック・火力の全てを獲得しました
おまけで初見殺し系術式も追加しています
敵勢力の皆さん、頑張って攻略してください!
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