呪術廻戦で万にチート転生   作:VISP

5 / 27
第五話 ハチャメチャスクールライフ

 万もとい粒来万穂の幼少期から中学卒業までの人生は順風満帆だった。

 

 表向きの生活では、極普通に家族と仲良く過ごし、友人もそれなりにいた。

 学業も優秀の一言で素行に関しては・・・・・・若干、結構、いやかなり問題児だったが、決していじめや万引きといった問題行動を起こしたりはしなかった。

 拾ってきた犬猫を悉く猟犬みたく躾したり、図画工作や美術ではやたらレベルの高い作品を作ったり、家庭科においては教師ですら舌を巻き、糞生意気な先輩方をボコボコにしたり、後輩に手出ししようとした教師を去勢未遂したり、ハイキングで遭遇した熊をその場のもので狩猟したりとハチャメチャの限りを尽くしてはいたが。

 それでもウマ要素の無いアグネスタキオンとも言える美少女のガワであった事も幸いし、性別問わずに結構な人気者だった。

 

 裏側では高専非所属の呪術師や仲介業者を通じて3級呪具の売買を行う事で資金を確保、活動範囲内にいる術式持ちの呪霊や呪詛師は一切の例外なくリソースへと変換して力を蓄え続けた。

 また蜂型式神を筆頭に、構築術式でこの時代で再び作り出された式神達による巡回・防衛網を構築した事により仙台市近郊・・・どころか宮城県全域が前例が無い程に呪術的治安が改善する事態となった。

 が、流石にそんな事になったら幾ら上層部が腐った蜜柑であっても高専が気付かない訳がない。

 

 「君には高専に所属してもらう。」

 「良いけど京都校からもスカウト来てますよ?」

 

 そこには既に「うちが先に目ぇ付けてたんやで○すぞボケェ!」な目つきをした京都校からのスカウトマンの姿があった。

 何処も即戦力になる呪術師は不足してるからね、仕方ないね。

 即戦力の呪具師兼式神使いな特級構築術師のスカウト合戦が今始まる・・・!

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 「とまぁ、そんな訳で京都校に来た訳なんだけど・・・もう少し何とかならなかったのかい?」

 

 呪術高専 京都校

 そこに東京校とスカウト合戦になった即戦力な新入生が来たとなれば、誰もが注目する。

 保守派の牙城である京都校ならではの一般出身への「可愛がり」が発生したのだが・・・

 

 「こちらは術式無しだってのに・・・何だいその呪力操作の拙さは。術式の拡張や解釈も甘過ぎる。学生と言えどももっとやりようはあるだろうに。」

 

 当然の如く返り討ちに遭い、屍の山(死んでない)となっていた。

 そりゃ魔境平安時代を駆け抜けた特級と現代の学生呪術師では比較にすらならない。

 

 「特にそこの投射呪法の少年。君、確かに早いがその術式の本質はそこじゃないだろう?動画、つまりはパラパラ漫画だと言うならもっと表現技法を磨き給えよ。」

 「く、そ・・・ドブ、カスがぁ・・・・・・っ!」

 

 食ってかかってきた生徒達の中では一番善戦した狐っぽい顔つきをした少年に声を掛ける。

 実際、彼はその機動力でかなり善戦したが、如何せん火力と防御手段が不十分だった。

 この一件で実力を認めたのか、以後は何だかんだでこの少年、禪院直哉は万穂と連んでいく事となる。

 こうして、高専内での立場もまた着々と築いていくのだった。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 無事に高専京都校へと入学した万穂だが、その実力から(上層部からの嫌がらせ含め)即座に一級呪術師と認定、多数の任務が割り振られた。

 普通なら何処かで殉職するだろう数だったが、こいつにとって呪霊や呪詛師はリソースでしかない。

 リソースに変換するのが難しい術式持ちでも呪霊ならば反転した呪力と領域展延で即死攻撃可能、呪詛師ならば遠間から狙撃か式神による物量で殺し切れる。

 最初は2級、以降は1級で時々特級なりかけや特級案件が混じる中、30近い任務を熟せば必然的に周囲からの視線は変わる。

 

 つまり、自分達では到底敵わない化け物を見る視線を向けるようになる。

 

 だが、そんな事を万穂が気にする訳がない。

 呪術師の人間性に期待する程愚かしい事はない。

 そもそも一般人どころか僧侶すら倫理観が殆ど機能してない時代を生きていたのだ。

 この程度でどうにかなる程に柔な神経はしていない。

 それに加え、彼女の齎す利益は余りにも大きく、怖れはしても排斥する動きは徐々に少なくなっていった。

 具体的には現代の高専の設備の不十分な様を見て、便利な呪具を作り出し、貸し出しを始めてから。

 

 「え、皆反転術式が出来ない?仕方ないね、この浴槽型治療用呪具を高専に貸し出してあげよう。」

 「え、皆領域対策してないの?仕方ないね、この結界破壊用呪具をあげよう。使い捨てだから気をつけてね。」

 「へー術式が良いのに呪力不足か。仕方ないね、この外付け呪力タンクを貸し出してあげよう。」

 「ちょっと君君、そんな呪具よりもこっちを使ってくれないかい?試作品だが使用した感想教えてくれたらそのままあげるからさ。」

 

 生徒達や現場で動く呪術師は喜んだが、担任や楽巌寺学長は頭を抱えた。

 貴重な一級呪具、剰え特級呪具をほいほい作って貸し与えるんじゃねぇッ!!!!

 このままじゃ腐った蜜柑に全部しゃぶり尽くされると学長達は危惧し、結果として万穂への呪具関連の依頼は一度高専側で預かってからという事になった。

 なお、浴槽型呪具は正式にお買い上げになった。

 そのお値段、実に4億円である。

 本来の相場ならもっと高くなるのだが、罰も兼ねて若干抑えめな金額になった。

 だが、その程度の事を万穂は気にしなかった。

 歴史上最高峰の構築術式の使い手である万穂は図面と必要な素材さえしっかり判明していれば、呪力消費のみで割とぽこじゃか呪具を作り出す事が出来る。 

 平安では便利な道具や食材とかを作り出していた分が、この時代では呪術方面への極振りできるのだからそりゃ生産スピードは異次元にもなろう。

 

 「いやはや、先生方には余計な仕事を増やしてしまった様だね。」

 「えぇんとちゃう?普段から彼是口挟んでくるのは向こうなんやし。それに報酬もあるんやから。」

 

 呪具関連で迷惑をかけた対価として、万穂は高専側に追加で呪具を納めた。

 シンプルな刀型の量産型一級呪具、なんと100本。

 一級ともなれば基本四桁万円の世界であり、それを100本は凄まじいお値段だ。

 普通の呪具師がこんな注文をされては絶対に断る案件だったが、特級は基本頭おかしい奴らだけなので何も問題なかった。

 

 「まぁ大分消費してしまったし、暫くは任務だね。遠方に行きがてらご当地グルメでも堪能するさ。」

 「ほな、おすすめの店紹介したろやないの。自分、結構そういう店知っとんねんで。」

 「おお、直哉の舌は確かだからね。助かるよ。」

 

 万穂はレビューとかは余り気にしないが、それでも事前に利用した者がいればその意見は素直に参考にする。

 裏があったり騙し討ちだったら?

 不快だったら全部潰してリソースにするだけなので結局得にしかならないのだ。

 元は現代人だったとしても、平安での濃い生活により万穂はすっかり染まっていた。

 直哉も直哉でその辺の事は理解している。 

 しかし、特級レベルの呪具師と知己になるのは+でしかない。

 彼女の術式への理解や応用・発展への助言は確かなものであり、彼女と出会って数ヶ月で既に直哉も術式の拡張に成功している。

 まぁその代わり試作品のテストに付き合わされる事もあるが。

 成功作は基本無難に優秀なのだが、時折とんでもない地雷が混ざっていたりするので油断できないのだ。

 

 「所で実家の連中が呪具注文できへんか聞いてきとるんやけど。」

 「どれかによるね。余り強力過ぎるのは怒られてしまうからね。」

 「風呂型の奴。何処も治癒術は貴重やからね。」 

 

 そんなこんなで、粒来万穂の呪術高専京都校での生活はそれなりに順調に進んでいた。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 そんな学生達とは裏腹に、高専と呪術総監部ではいつもの事と言えばそうだが凄まじい謀略合戦が起きていた。 

 原因は勿論一つ、今年高専に入学した問題児共である。

 

 東京校ではあの六眼の五条悟、呪霊操術の夏油傑、反転術式のアウトプット家入硝子

 京都校ではあの禪院の禪院直哉、そして学生にして既に特級呪具師になった粒来万穂

 

 どいつもこいつも問題児だが、何よりも五条悟と粒来万穂がヤバすぎた。

 五条は権力と糞ガキっぷり、そして術式の破壊規模が凄まじく、一年にして既に戦後処理の費用が凄まじい事になっている。

 粒来は逆に金の卵を次々と産む鶏状態だった。

 既に複数の特級呪具を作り出し、更に何体もの特級呪霊を祓った実績を持っている。

 腐った蜜柑達は手間ばかり過剰にかける糞ガキ五条を蛇蝎の様に嫌悪し、逆に粒来にはウッキウキで手薬煉引いて絡め取ろうとしていた。

 が、保守派の中では清濁併せ吞むまともな上層部である楽巌寺学長他の手により、この腐った蜜柑達の謀略は事前にほぼ防がれていた。

 何せ特級、それも多くの呪術師に利益を齎す呪具師であり、守らない訳がない。

 術式こそ戦闘向きではないが、逆に戦闘向きではない術式を独学でそこまで練り上げた天才でもあるし、呪術全般への理解度が極めて高い。

 それこそもう一人の問題児が素直に評価し、懐く程に。

 母胎としての価値こそ低めだが、それ以上の利益を出すとなれば是が非でも欲しい。

 という腐った蜜柑達の考えはしかし、楽巌寺達は浅はかで甘過ぎると断じた。

 

 特級術師にまともな奴はいない。

 これは日本呪術界の常識である。

 

 弱い術式で特級まで練り上げた天才が、腐った蜜柑達に黙って食われるだろうか?

 否、どんなに美味そうに見えても、Win-Winではなく一方的に貪ろうとした時点で破滅しか見えない。

 呪術界は常に危うい均衡の元で成り立っている。

 何だったら唐突な特級ポップの様な事態が何時起こるか冷や冷やしているのが実情だ。

 そして、警戒していた事態が現に起こってしまった。

 ここで彼らの育成を誤れば、最悪特級やそれに賛同する呪術師達が既存の呪術界の秩序へと反旗を翻しかねない。

 その結果は衰退した呪術界と呪霊・呪詛師被害の大幅増加である。

 そんな事態は絶対に防がねばならない。

 だからこそ、総監部ではなく高専上層部としては若者達には同年代との青春を過ごさせつつ、最低限の倫理観や常識を育んでもらい、呪術界を荒らし回る様な真似をせず、尚且つ出来るだけ長く術師として活動できるよう教育していく事が目標である。

 

 「何をするにも先ずは秩序の維持が優先じゃ。」

 

 だって今下手に内輪もめしたら衰退不可避なんだもん。

 五条悟が生まれて以来、呪霊被害の急速な増加への対応に忙殺されていた呪術界は呪詛師の跳梁跋扈を防ぐ事が出来なかった。

 今でさえ一般人に年に1万人を超える被害を出し続けている。

 その状態で業界の健全化を唱えて内戦状態に突入とか絶対に避けねばならなかった。

 

 「粒来への呪具の注文は高専の監視下で行う。」

 

 高専に所属する前なら兎も角、下手にフリーにしてたら特級呪具装備の呪霊や呪詛師が出てくる可能性があるのが粒来だった。

 他に取られるのも独立させるのも絶対に許してはならない人材No.1、それが粒来万穂だった。

 なお、現在彼女が注文を受け付けている呪具は下記の通り

 

 量産型一級呪具(術式無し) 一つ3000万円

 ・刀型

 ・短刀型

 ・槍型

 

 量産型特級呪具(術式無し) 一つ3億円

 ・刀型

 ・短刀型

 ・槍型

 

 治療用呪具(浴槽型) 一つ5億円

 

 使い捨て治療用呪具(薬液入り小瓶型) 一つ1000万円

 

 領域対策用使い捨て結界破壊呪具(独鈷型) 一つ1000万円

 ※ただし閉じない領域には非対応

 

 呪力貯蓄用呪具(ボトル型) 一つ3000万円

 

 既に呪術界各勢力から注文がガンガン来て順次消化されているが、現在は通常任務優先という事で一時生産停止になっている。

 呪霊や呪詛師をリソース化して素材を確保したら再開される予定だ。

 なお、高専が方針を決める寸前、禪院家からは直哉を通した直の依頼で既に治療用呪具が浴槽型が2つ、使い捨てが毎月100、結界破壊呪具が毎月10のセットが受注されており、既に一個目の浴槽型治療用呪具が納入されている。

 このとんでもねぇ資金の動きに高専の事務方は普段以上の税務処理まで加えられ、毎晩の様に残業時々徹夜を強いられ続けていた。

 

 そんな事になってるとは露知らず、当人は任務で派遣された田舎の僻地で直哉と共にのんびりご当地グルメを堪能しているのだった。

 

 




ご当地グルメと言ったらB級グルメが多いが、直哉が紹介するだけあって隠れた名店とか昔ながらの超老舗とかが殆ど。
時々アニメやゲームコラボとかも行くし、北海道とかなら搾り立て牛乳で作ったソフトクリームとかも食べたりする、二人で。
他にも任務がてら映画見たり買い物したり呪術やアニメ談義したりする、二人で。


直毘人「え、同学の特級呪具師と逢瀬?あの問題児の直哉が???」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。