呪術廻戦で万にチート転生   作:VISP

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独自設定回につき注意


第六話 スペック確認と新開発 ※独自設定あり

 粒来万穂にとって、高専に入ってからの日々は実に刺激的だった。

 千年もの後の時代に呪術の世界はどう変わったのか。

 それを知るために資料を読み漁り、合間に任務を熟し、喧嘩売ってくる者達を適当にボコり、リソース化した呪霊や呪詛師を材料に呪具を生み出す。

 それでいて平安の様にあーじゃないこーじゃないと美味しい食事や快適な住環境を求めて泣きそうになりながら必死に頑張っていた頃と違い、衣食住に関しては日本全国ほぼ何処でも完璧という至れり尽くせり。

 

 「いい時代になったなぁ。」

 

 新しい呪具の開発時に制服が汚れる事が多々あったため、羽織るようになった白衣を棚引かせて歩きながらそう呟く。

 現代文明万歳!一般人の皆さんはよくやってくれた!

 とは言え、問題が無い訳でもない。

 転生前の世界と違い、この世界の日本の人口は狭い島国に3億近く存在する。

 近年は少子高齢化が叫ばれているが、それでもまだまだ多い。

 平地は農地、次に高層住宅の宅地で、田舎や富裕層の住まう高級住宅街を除けば全てがそれだ。

 今世の仙台でも郊外の山間の土地以外はそんな感じだったので、マジで土地問題が深刻なのだろう。

 それでも美味しい食材や食料の供給が決して止まらないのは流石と言える。

 しかし、土地に比して過剰な人口から来る土地問題に環境負荷はかなり深刻な所まで来ている。

 幸いと言うべきか、そのお陰で外国勢力等による土地や物件の買い占め問題に関してはかなり問題視された過去があり、現在では行政による入念な審査による認可が下りてからしか購入できなくなっている。

 破れば汚損した環境の回復及び被害を受けた地域住民全てに対して多額の損害賠償を支払う羽目になる上、企業ならば上場停止を始めとした行政処分が、個人なら普通に刑務所行きとなる。

 こうした制度の成立により水源含む山林地帯などが乱開発や汚染される心配は激減している(正確な数が分かってないので体感だが)。

 

 「この辺の農業関連にも梃子入れしたいなぁ。」

 

 しかし、先ず優先すべきは呪術界隈だった。

 治安が向上せねば、経済や産業の発展にどうしてもブレーキがかかってしまう。

 呪術師はいつの世も少ない。

 一般の適性持ちは周囲の不理解から呪詛師になるケースも多く、人口が増えた分だけしっかり増える呪霊以上に呪術師は増えない。

 更に言えば、そうした呪詛師が更生するケースは稀であり、大抵はそのまま処理される。

 

 「うーん勿体ない。」

 

 人は資源だ。

 労働力としても、万穂の術式のリソースとしても使える素晴らしい資源だ。

 それが無為に失われる事があってはならない。

 海外のニュースや過去の戦争で幾人もの人命が失われてしまった際、万穂は前々世の頃から「勿体ない」と感じていた。

 彼らは生きていたら何を成していただろうか、どれだけ働いてくれただろうか、何をしたかったのだろうか。

 そんな事を思うと「勿体ない」という意見が出てくる。

 そうした何処か歪な節約精神が今世までがっつりと残っているため、万穂の燃費の悪い構築術式はその辺ががっつり改良されている。

 以下が粒来万穂が現在使える構築術式の詳細だ。

 

 1、通常の構築術式

 呪力というエネルギーから物体を構築する、物を作る術式。

 術式の行使終了後も構築した物質は破壊されない限り半永久的に残るが、縛りとして非常に燃費が悪いのが特徴。

 術式を付与した呪具の構築も可能であるが、その分燃費は悪化する。

 但し、万/万穂は量産型呪具を構築する際は「術式を付与しない事」と縛る事で燃費や性能を改善している。

 万/万穂の愛用する「蟲の鎧」には幾つかのバリエーションがあり、適宜状況に応じて使い分けるか作り直している。

 

 2、反転による物質の分解

 触れた物を物質・呪力問わず分解、呪力へと変換してリソースにできる。

 獲得したリソースは自らの呪力として使用できる。

 また、既に構築術式で作った物体を呪力に戻す事も可能。

 

 3、拡張術式による再構成

 既存の物体の他、自分や他者の肉体の一部を分解した後、順転と反転術式を合わせて再構成する事。

 ただし事前に脳内に破綻の無い再構成時の図面をイメージしておかないと失敗するため、難易度は最も高い。

 また、事前に構築した物質をリソースに戻す事、別のものに再構成する事も可能。

 

 4、拡張術式によるリソースの用途拡大

 分解し、リソースとして吸収した対象が呪術師や呪霊だった場合、その呪力特性や術式を己のものとして使用できる。

 また、炎熱系術者が炎熱系攻撃に耐性を持つ様に、吸収したリソースと同属性の攻撃に耐性を獲得できる。

 但し、無効化ではないし、耐性と言っても3割程度でダメージ自体は入る。

 

 これらに加えて領域展開と極の番、それらを支える下地として宿儺と比肩するレベルでの基礎的な技術、つまり体術や呪力操作、簡易領域の原型である彌虚葛籠(いやこつづら)に結界術も修めている。

 ただし、身体能力に関しては蟲の鎧無しだと圧倒的に宿儺が有利であるため、特級呪術師相手では蟲の鎧の装備が必須となる。

 また、呪力総量や出力、そして結界術に関しては宿儺に劣り、センスに関してはほぼ互角である。

 とは言え、呪力総量や出力に関しては術式の関係で事前に幾らでも積み重ねる事が出来るため、余り意味はない。

 結界術に関しては、対領域型領域たる「閉じない領域」の習得のために必要だった事が理由だ。

 なお、裏梅は宿儺、羂索、万の三者よりも一段劣る。

 一級術師の中でも上澄み程度の実力はあるが、基本は宿儺の従者である事を最優先としているのもあって特級ではない。

 

 「現状改善には呪術師の増加、呪霊の減少が不可欠か。」

 

 ふむ、と考える。

 羂索との共同研究の結果、術式は肉体、特に脳に宿る。

 逆説的に人間の脳を自在に弄る事が出来れば、非術師を術師に変える事も可能となる。

 

 「んーそっちは専用の呪具作るとして・・・。」

 

 流石に脳外科医でも無いのに脳を弄るのは困難を極める。

 現代医学も勉強中だが、最先端を含む分野なのでまだまだ道半ばだ。

 しかし、こちらに関しては実は解決方法があったりする。

 

 脳を弄る事が難しいなら、脳を追加すれば良い。

 

 蟲の鎧の神経節。

 追加した手足を操作するのに使っていたそれを発展させ、外付けの第二の脳とも言える器官を作る。

 機能は嘗ての全身鎧型特級呪具の発展系として呪力発生と周辺からの吸収と貯蓄に操作、術式の運用が必要最低限となる。

 これを装備すれば、非術師でも術師になれる、そんな呪具だ。

 業界の常識や知識もある術師家系の非術師ならば最適だろう。

 

 「でもなー問題もなー。」

 

 呪具と人体の神経を接続する事を考えると、現状ではどうしても肉体と融合させる方式を採る必要がある。

 有線接続でないと、とてもではないが高速戦闘域での演算能力が不足しかねないからだ。

 防具としての形状や携行可能なサイズなどを考えるとベルトやヘルメット等になりそうだが、それだけでは呪力総量・出力に制限のある非術師向けの装備としては物足りない。

 戦闘時のみ構築術式にて衣服や表皮を強靱なものに再構成、終わるか呪力切れで元に戻るならば良いか。

 これならば最低限の適性と戦意さえあれば、非術師を呪術師へと作り替える事が出来る。

 

 「名付けて生体融合式呪具。とは言えまだまだ構想段階だし、必要な技術が足りてない。」

 

 だから、先ずは人体と融合して肉体の延長として扱える呪具を作ってみよう。

 義肢型呪具とかも作った事あるし、これなら割といけそうである。

 

 「もう一つは呪霊の減少だけど・・・うーむ。」

 

 一応、構想自体は平安の頃からあった。

 あったのだが、平安時代には余りにも合わなかったので発表すらしなかった。

 何だったら羂索に渡した資料の中にも入っていなかった筈だ。

 

 「非術師の発する非活性呪力。アレへの対処なんだよね根本的に。」

 

 この議題への解答として、羂索の研究テーマである「呪力の最適化」がある。

 全人類が呪力を扱えるように進化させようという野心的なテーマであり、もし全人類(または日本人のみ)の呪術師化が成功すれば、極めて素晴らしい成果と言える。

 しかし、万穂が先程考えていた様に、非術師を術師にするのはかなり手間が掛かる。

 そんな手間かけるよりも既存の術師に強力な呪具を配った方が手っ取り早い。

 しかし、新人が入ってこない業界なんて早晩潰れるのが当然だ。

 そういう意味では新人を多数作れるのはどう考えても+だ。

 問題は効率、コスト面及び早さだ。

 複数の術式を持つ呪具は当然ながら特級に分類される。

 そんなものを精々2級程度と予想される非術師に使うより、普通の特級呪具を術師に配る方が強い。

 悲しいかな、呪術師は先天的な才能が物を言う世界なのだ。

 

 「となると、垂れ流しの呪力をどうにかする方が簡単だ。」

 

 そう考え、万の頃に基礎設計は済ませてある。

 非術師の垂れ流す非活性呪力。

 これは通常の呪霊化した呪力や呪術師の操るそれとは異なり、主体性が存在しない。

 逆に呪術師や呪霊の操る呪力は活性呪力とし、発生させた者の主体性に基づいて自在に変動する。

 気体とも粘体とも違うが、一部では両者に似た性質を持つこれは物質に付着して暫くの間残り続ける事もあれば、一定以上の密度になると呪霊に転じ、時に器物に宿って何百年以上も存在し続ける。

 廃墟やホラースポット、人気の多い場所等には滞留しやすいが、前者は怖くて負の感情を向けられやすい場所、後者は純粋に垂れ流される量が多いだけとなる。

 これら呪力は基本的に消える事は無い。

 +の呪力に触れない限りは-が0になる事は無く、呪霊や呪物を破壊した所で一時的に霧散したに過ぎない。

 そして、霧散した呪力は天元の結界に阻まれ、日本の外に出ていく事は無い。

 また、地脈≓大陸プレートによって運ばれてくる世界中の非活性呪力は日本に到達した際に天元の結界によって濾過され、日本に残り続ける。

 結果、日本を除いた世界は呪霊・呪詛師被害にほぼ悩まされる事はなく、自然災害や疫病、人同士の当たり前の争いに集中する事が出来、日本のみは何時までも何時までも永遠に呪いの齎す輪廻から抜け出る事は出来ない。

 正直、万の頃は興味もなかったが、万穂となった現在では天元の存在は疎ましいの一言だった。

 確かにその結界術によって呪術師・非術師問わず多くの人命を救ってきた天元だが、万穂からすれば「もっとやりようあっただろ」としか言えない。

 現には干渉しないと言っているが、それはつまり座して自らの生み出し続けている地獄を放置している事に他ならない。

 どの様な意思でやってるかは知らないが、元師匠なのに羂索に抹殺対象とされているだけはある人物だった。

 

 「まぁそれはさて置き。やっぱりちょっと量産性がなー。」

 

 試作型非活性呪力変換用風車型呪具。

 見た目は完全に縁日で売ってる様な風車であり、耐久性も見た目通り。

 刻まれた術式は単純に「周辺に漂う非活性呪力を吸って回転する事」だけである。

 一見すると大した事では無いが、これの本質は「呪力を回転運動へと変換」している点にある。

 この回転運動でコイルを回せば、発電が出来る。

 

 つまり、今までほぼ何も用途の無い害悪なだけだった非活性呪力から電力を生産できるのだ。

 

 しかも実験室レベルだが、かなり占有空間当たりの発電効率が凄まじい。

 その効率たるや、国内の原子力発電所の平均値の5倍はあるだろう程に高い。

 ぶっちゃけると、この時点でこの呪具を備えた街灯とかで発電したら、余裕で大都市の必要電力を賄える計算になる。

 より広範囲の非活性呪力を集める術などを組み合わせれば、更なる効率アップも目指せるだろう。

 もうウランや石油燃やすのが馬鹿馬鹿しくなる程に優れたエネルギー資源、それが呪力だ。

 羂索が千年もの間夢中になってしまうものだけはある。

 まぁ一カ所で大規模発電所作るには非活性呪力の性質上効率が悪くなるので、小型のものを数作る必要があるのが問題と言えば問題だ。

 ただし、どうやって都市部全域(どころか日本全域)に配置する程の量を作るかは・・・考えてません!

 だってどう考えても過労死になる未来しか見えないので基本的に封印です!

 

 「実験するにしても超広範囲であちこちでデータ取るのが大前提だし・・・一応意見書として上げておくかぁ。」

 

 この時、万穂はまだ知らなかった。

 この時上げた研究資料が呪術界の未来を揺るがす大騒動へと発展する事を。

 すっげぇ発明に目を輝かせたウッキウキのメロンパンが満面の笑みで突撃してくる事を。

 今はまだ知らなかった、知らなかったが・・・きっと知ってたら公表しなかった事だろう。

 

 

 

 




メロンパン「これだから万は面白いんだよなぁw」
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