異世界生活   作:ぜいにくまん

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昨日あれだけ間引いたのに、下手するとそれよりも多く感じるほど一階層ではゴブリンと会敵した。

 

投げナイフが増えた事で、慎重策を取らずとも数が多いグループをサクサク狩れるようになったため、より効率よくスコアを稼いでいた。

 

うーん、やはり遠距離攻撃は正義。

すっかり害獣駆除にも慣れ、鼻歌混じりにナイフを投げつける危険人物と化していた。

 

はからずも先へ進む道を真っ先に見つけてしまっていたが、分かれ道が少なく一階層であってもダンジョンは広大だった。

満遍なく探索するには半日掛かりの大仕事となってしまった。

 

その甲斐あってか、最後の行き止まりであろう場所にて念願の宝箱を発見することに成功した。

 

やったー。いったい何が入っているのか楽しみだ。

るんるん気分で蓋を開けると、銀貨とナイフが入っている。

わお。銅貨100枚分の価値があるんだっけ。コイツはおいしいぜーとホクホク顔。

ナイフはたぶん鉄製で、購入した銅製の安物より良いものが手に入ってこちらも嬉しい。

中のものを取り出すと宝箱は空気に溶けるように消えてなくなった。

冷静に考えると誰が設置してるんだよと思うが、これまた不思議なことにいつのまにか宝箱も再設置されたりするのだとか。

銀貨だけでも、おそらくかなり良い方の中身だと思われる。

色々教えてくれた狩人は一階層では銅貨が複数枚くらいとか言ってたし。

これも、設定していた宝箱良質化設定ONの恩恵であろう。

俺はソロだし独り占めできるのもいい。

そうそう出会えるものでもないらしいが、2回目で発見できてリアルラックの方も好調だぜ。

 

明日はどうしようか。二階層に行ってもいいし、討伐依頼を試してみても良い。

稼いだおかげでポーションを購入することもできるし、少なくとも無理しなければ充分生きていくことはできそうだ。

帰りに買っておこうと決め、ダンジョンを後にした。

 

 

 

 

次の日、幾つかある依頼の中からゴブリン退治を選び、依頼人の元へ話を聞きに向かう。

ゴブリンを選んだのは日和ったからだった。初見の化け物とかこわい。

ゴブリンにはすっかり慣れた。どうも数が多いようだが、無理そうなら断れば良い。

 

依頼人は少し町から離れた場所で伐採場を営んでいる。

その近くでゴブリンが群れているようで困っているそうだ。

既に雇われた者もいるらしく、現地で協力して事に当たって欲しいとのこと。

数がいてもソロじゃないならなんとかなりそうかな。

案内人と一緒に現場に向かった。

 

 

現地には作業員の中でも屈強な男が3人と、俺のように雇われた掃除人が…2人?いた。

何度か戦っているそうだが、中々駆除仕切るまではいかないらしい。

 

「あんたが増援か。よろしくな。俺はヤン。見ての通り獣人だ」

 

犬耳と尻尾がついた男だ。すごいファンタジーしてる。

しかしもう1人はもっとすごかった。

 

「私はセラフィーン。見ての通り妖精。魔法は一通り使えるけど、得意なのは強化と癒し。治すのに魔力使ってばかりで殲滅にまわせないの。増援助かる」

 

小さい妖精だった。すごい。

羽もないのに宙に浮いてる。そしてめちゃ可愛い。小さいけど。

地球のドールを思い出した。高級な着せ替え人形のあれ。

 

「なに?そんなに珍しい?妖精見たの初めてかしら」

「そら珍しいだろ。俺もセラフィが初めてだったぜ」

 

驚きのあまり間抜けズラでぼーっとみてしまった。

妖精自体が珍しい種族なのは間違いないらしい。

なんでも、どこかの町から一緒にイーラまで来て今回の仕事に当たったそうな。

 

「俺は故郷に戻るとこだったんだけどよ。セラフィは冒険したくって故郷を飛び出したらしくってさ。それなら途中まで一緒に行こうぜってパーティ組んだわけ」

「へえー。そうなんですね。俺も冒険志望…になるのかな。こうして依頼こなしたりダンジョン入ったりしてます」

「そうなの。パーティメンバーは来てないの?」

「そもそもソロですね」

 

ボッチ宣言したら2人共どころか作業員連中や案内人にまで驚かれた。

 

「えっ。お一人でダンジョンに潜ってらっしゃるんですか?一階層はゴブリンのみとはいえ相当な数が出てくるはずですが…」

「えっと。けっこうカンが良いので先制不意打ちとかでなんとかなってます。二階層に進んでみようか悩んでたんですが、やっぱりソロだと危ないですかね」

「二階層からは複数種類の魔物が出てきますし、自殺行為かと…。もしかして、魔法もお使いになられますか?」

「いえ、使えませんね。使えるようになる方法とかってありますか?」

 

案内人はあまり詳しくないようだ。

可愛い妖精ちゃんが教えてくれた。

 

「魔法使いに教わるのが手っ取り早いわよ。素養がないと無理だけどね」

「なるほどー。才能次第なんですねー」

 

うーん。魔法使ってみたいんだけどなー。

才能あるのか俺に??

 

「俺も使ってみたかった。獣人は素養ないから諦めるしかないけどよ」

「その分強いじゃない。妖精はどう足掻いても武器なんて使えないし」

 

獣人は基本的に魔法ダメらしい。その分運動能力が高い者が多いそうな。

妖精は逆で魔法が得意な者が多いけど肉体能力からっきし。まあこの大きさで戦ってもな。持てても針とかでしょ。一寸法師かな?

人間はかなり個人差があるそう。妖精以上の化け物もいたり獣人並みにからっきしなのまで。

 

「気が向いたら教えてあげる。この依頼が終わったらね」

 

妖精ちゃん先生!期待してます!

これは頑張って害獣退治せねばなるまい。

 

 

自己紹介を含めた雑談を終えたのでブリーフィング。

ステータスを見せるとやはり技能に驚かれた。

獣人くんも技能はなかったしな。

妖精ちゃんの技能欄には〜魔法っていうのがズラッと並んでいて壮観だった。かっこいい。

 

「得意だから。ただ、最初に大きく攻撃するけど私は皆の治療メインの契約だからあまり攻撃は当てにしないでね。強化は、この技能ならヤンじゃなくってあなたに使った方がいいね」

「そうしてくれ〜。正直俺もそんなに戦闘得意じゃないし」

 

強化は何やら力も素早さも割合で強化できる魔法のようだ。

弱い対象に使用してもあんまり変わらないらしい。

試しに使って欲しかったが、使用回数みたいなのが決まっているようで無駄うち厳禁な仕様になっていた。

本番でいきなりとか怖すぎるが仕方ない。

 

 

 

近くの洞穴に巣を作っているようで、今日までに削っていたがまだまだ30以上はいそうだとのこと。

巣穴まで戦闘員たちで向かう。案内人は町に帰した。

 

「魔法で大体、固まった5、6匹を処理できるんですよね。そして使うまでに集中が必要で即時発動はできないと」

「そう。火の玉をぶつけて爆発させるから、距離によって多少前後するわ。味方を巻き込まないように撃つとそれくらい」

 

ふーむ。

 

「あいつら共食いするじゃないですか。幾つか死体を用意しておいて、食いついたところに巻き込み考えないで撃ち込んだらもっと数倒せそうじゃないですか?」

「敬語じゃなくっていいわよ?まあ、それならもっと一度にやれそう。誘き寄せたりできる?」

「それじゃ遠慮なく。まあ試してみるわ。皆はこの辺で隠れてて。無理そうならさがるんで」

 

匂いとかでそれとなく感覚がわかると言うと獣人くんにドン引きされた。

人間よりは感覚が鋭いようだが、俺の強化感覚ほどではないらしい。

 

洞穴に近寄りながら集中する。

入り口付近にはおらず、かなり奥まったところに大多数がいるようだ。

それより手前側に4、5体の反応がある。コイツらだけ寄せられるか?

 

小石を洞穴に向けて投げ込む。音に反応した手前の1匹だけが入り口側に寄り始めた。よしよし。

洞穴の脇でタイミングをはかる。音と匂いでどの辺りにいるか、まるでウォールハックしたかのように鮮明に脳裏に描けていた。

 

正面に飛び出すと同時に投げナイフで仕留める。

声もなく1匹を倒した。が、倒れる音で2匹が寄ってくるのを感じる。

急いで仕留めた1匹を引き摺り岩陰に隠す。自分自身も同じ場所に潜んだ。

トコトコ近付いてきた2匹を連投して処理。2匹目に声をあげられた。

もう2匹が寄ってくる。

体格が小さくて助かる。両方の死体を引き摺って3匹の死体を纏めて岩陰に隠し、同様に処理する。

今度は奥のゴブリン達には気付かれなかったようだ。一安心。

 

5体の死体を入り口に引き摺って並べる。

隠れている皆に合図してナイフを抜き、死体を傷付けて血を流させた。

あいつらは鼻がいい。

 

様子を窺っていると、奥の多数の反応達がこちらへ向かってくるのを感じた。いけそう。

再び隠れてる味方に合図。妖精ちゃんの護衛に1人を残して、他は俺と共に洞穴の脇に控えた。

 

感覚を強化せずとも、多数の足音と鳴き声が感じられるほど近くに来た。

死体を見つけて一際騒ぎ出す。駆け出す足音たち。感覚を強化すれば幾つものゴブリンが死体に群がっているのがわかった。

いつでも撃ち込んでいいと妖精ちゃんに向けて合図を出し、槍を構える。

程なく、バスケットボールくらいの大きな火の玉が洞穴に向けて撃ち込まれた。

熱気と巨大な爆発音。そして悲鳴。

同時に俺も洞穴に飛び込み、感覚で捉えたゴブリン達へ片っ端から槍を突き刺していく。

爆発四散したヤツや燃え上がってるヤツ、衝撃で昏倒しているヤツなど相当の戦果が出ている。

 

10体以上は魔法の一撃で戦闘不能だろう。魔法強すぎワロタ。

未だ混乱して鳴き声をあげる化け物を突き殺すのに苦労はなかった。

少し離れて警戒していた集団、10匹ほどを残して殲滅した頃。

身体に何やら力が漲るのを感じた。これが強化か。

 

時間の流れがゆっくりに感じるほどの凄まじい集中力。

投げナイフで2匹を瞬時に仕留めると、間合いに入ったゴブリン達を槍で殺していく。

首を突く。即座に槍を引き、続けて隣のゴブリンの首を突く。

そのまま槍を振り払い隣のゴブリンの首を刎ねる。

身体を回し、石突を打ち込んで背後のゴブリンごと突き飛ばす。

掴みかかってきた相手の顔面に肘をぶち込み、棍棒の一撃を紙一重で躱わす。

回し蹴りでそいつの首をへし折った。

 

すごい全能感だ。強化魔法やばい。クセになりそう。

周りを確認すれば他はヤン達が仕留め終わっていた。

石突を打ち込んだ奴は瀕死だが、ついでに吹き飛んだ奴はまだ元気がある。

両方にトドメを刺せば、生きているゴブリンはいなくなっていた。

 

 

 

 

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