異世界生活   作:ぜいにくまん

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「お疲れさん!大活躍だったな!」

 

町の酒場で、ヤンとセラフィーンの3人で打ち上げをしている。

俺の参加で早期に解決したこと、セラフィーンの回復魔法で作業員の怪我もない事から依頼主は大喜びだった。

報酬は増額され皆笑顔である。

 

「いやいや、魔法が凄かったわ。火の玉がめっちゃ強かったし、強化魔法も最高に気持ち良かった。なにあれ。セックスよりイイんだけど」

 

「せっくす?いや、強化魔法だって、あんなに強くなるってことは元々が強いからよ。ユウ強いのね。作戦も上手くはまったし」

 

「ダンジョンでもあんな感じで狩ってるんで、慣れてた。姿をハッキリ見せなきゃアイツら肉を優先する。マジで魔法良かったよ。ホントに教えてくれんの?」

 

「いいよ。約束したしね。でも使えるようになるかは約束できないからね」

 

「あんたが魔法まで使ったら敵なしだろ。あとさ、報酬なんだが。本当に三等分でいいのかい。正直俺役に立ってねえんだけど」

 

「ヤン君よ〜。水臭い事言うなって。キッチリ分けて皆で笑顔になろう」

 

「胡散臭え笑顔だな!わかった。でも、ここの飯代はださせてくれよな!」

 

「ご馳走様でーす」

 

遠慮なく飲み食いしてるが、セラフィーンの分はタダみたいなもんだし問題なかろう。

 

「俺はこれで故郷に帰るが、セラフィーンはどうするんだ?ユウとパーティ組んだらいいんじゃねえかと思うんだが」

 

「んー。ユウがよかったら。魔法も教えなきゃだし」

 

「マジで?超嬉しい。大歓迎だわ。魔法もありがたいけどセラフィーンめっちゃ可愛いし」

 

「ん。ありがとう」

 

「さすが。言われ慣れてるね〜。これからよろしく、相棒」

 

めちゃくちゃ助かる。今日は機会がなかったが、回復魔法で作業員達の命を何度も助けていたらしい。

火力もあってサポートもできる上めちゃくちゃ可愛い妖精とか最高でしょ。

このサイズも可愛らしいが、人間大だったら好みドストライクだ。

甲斐甲斐しく、小さな妖精に食べ物と酒を分ける労を喜んで請け負った。

 

 

 

 

「2人とも世話になった。ウチの村の方に来ることがあったら是非寄ってくれ。歓迎する」

 

翌日の早朝、故郷の方角へ向かう商人の護衛に着いていく形で早々にヤンは旅立って行った。

 

「それじゃあ、改めてよろしく。早速だけど、魔法教えてください先生」

 

「うん。それじゃあ町の外でよっか」

 

適当なひらけた場所にセラフィーンを肩に乗せて移動する。

肩乗り良いな。可愛い。

 

「まずは適正を確かめないとね。手、だして」

 

手のひらを差し出すと、その上に飛んでちょこんと座るセラフィーン。

 

「これから私が魔力を流してみるから、コレが魔力なんだって感じるかどうかやってみて」

 

「ふむ。言うとおりにします先生」

 

俺の手のひらに座ったまま、両手をついたセラフィーン。

すぐにこれまで感じたことのない妙な感覚が全身に広がっていく。

なんだろうこれ。コレが魔力か。うーん、サウナの後に冷水に浸かった時の、ととのう?そんな感じがするような。

 

「あー。なんかわかるかも。魔力なのかどうかわからないけど。

けっこう気持ちいいなコレ」

 

「おー、適性あるね。おめでとう!それでは授業は終わりです」

 

「えっ。早くね」

 

「冗談だよ。とは言っても、使える魔法も適性次第だから私と同じ魔法使えたり使えなかったりするし。逆もあるよ。私が使える魔法なら教えてあげられるから順番に教えるね。最初は基礎から」

 

手を上げたセラフィーンが、離れた位置にある石を吹き飛ばした。

 

「魔力の衝撃。ただ魔力を撃ち出すだけ。見ての通り大して威力もないけど、詠唱も必要ないから咄嗟に使えて役に立つこともある」

 

ほうほう。魔法っぽい。

真似てやってみる。石を狙ったのに、扇状に衝撃波が生まれて雑草と土ごと前方を吹き飛ばした。

アレー?石を狙ったんだけどな。

何度か試すも、狙った位置だけを撃つことが出来ない。

 

「ユウは対象を絞って効果を出す事が出来ないみたいだね。たまに居るよ」

 

「制御が下手くそってことですか。コレって訓練でどうにか出来ますか先生」

 

「うーん、私の知る限りだとムリかなあ…。上手い下手じゃなくって、なんて言ったらいいんだろ。個性?みたいなものだから」

 

そうなんだー…もしかしてだけど。

 

「これ、セラフィーンみたいに火の玉撃てる?」

 

「同じようにぶわーって火を放つ感じにしか出来ないと思う。詠唱は、力のある言葉なら何でもいいよ。燃えろーとか、くらえーとかでも大丈夫。意味のある言葉で、相手を害する言葉や火に関する言葉なら出力が上がるの。攻撃魔法は皆同じ」

 

ほうほう。やってみるか。くらいやがれえ!!

 

火の粉が先程の衝撃波のように扇状に広がり、前方の雑草を焼き尽くした。

ふっ。燃えたろ?

 

「私みたいに撃ち出して爆発させるような使い方は難しいね。昨日のゴブリンの群れを纏めて焼き払うことは出来るし、気にしないほうがいいよ」

 

殺傷能力は充分だしコレはコレでアリだけど、ファイアーボール撃ちたかったな…

 

「そ、そんなに落ち込まないで。次いこっか!魔力の盾。名前の通りだよ。さっきの衝撃波の代わりに守りの壁を作る感じで…ごめん、出来ないよね…」

 

うん。俺は魔力とやらを上手く纏める事が出来ないようだ。

つまり壁も不可能。泣ける。

 

「落ち込まないで。向き不向きがあるから…。えっと、攻撃魔法の続きを教えよっか!私の切り札だよ。雷の魔法。見ててね」

 

セラフィーンは目を閉じて集中を始めた。

次第に彼女の周りが帯電しはじめたようでパチパチとスパーク音が鳴り始める。

たっぷり1分くらい経った頃には、目に見えてバチバチと電気が周囲に走っていた。

 

「『砕けろ』」

 

セラフィーンが言葉を発すると、彼女の指から雷が放たれ一瞬で狙った石が砕け散った。

か、かっこいいー!

 

「見ての通り雷を放つよ。威力も高いし、一瞬で相手を撃ち抜くから凄く強力。なんだけど…かなり長い間集中しなきゃいけない。消耗も大きくって、日に2、3回しか撃てないわね」

 

「いいじゃんいいじゃん!めちゃくちゃカッコいいよセラフィーン。尊敬するわ…。他の攻撃魔法も見せてくれよ!」

 

「ん、そう?ありがと…。攻撃魔法はコレで全部だよ」

 

あれ?ステータスにはもっと、水魔法とか風魔法とかなかったっけ?

記憶違い?

 

「水魔法?使えるけど…攻撃魔法じゃないよ?」

 

「そうなん?なんというかこう、水の玉を撃つとかないん?」

 

ファイアーボールに対してのウォーターボール的な?

 

「出来なくはないけど…火の方が強いじゃない。水を当てても…」

 

………確かに。

 

「便利よ?気軽に水を使えるもの」

 

風魔法で、こう、相手をズタズタにするとかは?

 

「うーん。頑張れば小規模な竜巻を作ることはできる。巻き込んだ相手に、竜巻の中の石なんかが当たって切り傷を作ることも可能でしょうね。ただ、竜巻を作ってもずっと制御しないといけないし、制御してても自分含め味方も巻き込むわ」

 

「消耗大きい割りにダメージ出すなら…」

 

「火の方が強いね。ただ、私の火の玉は風魔法も一緒に使ってるよ。撃ち出す速度を速くしたいのと、火って風があると大きくなるじゃない?そういうイメージで使うようにしたら爆発が強くなったわ」

 

なるほどー。そうやってアレンジも出来るのね。

 

氷はどうです?氷の槍を飛ばす的な。

 

「普通の槍を飛ばした方が氷より強いんじゃない?わざわざ氷作るより消耗少ないし。冷気は攻撃に使った事があるわね。攻撃というよりサポートだけど。火だと森が燃えちゃうから動きを鈍らせるためにとか」

 

なるほどなー。じゃあ土も同じか。

 

「でも、発想は面白いわ。適性さえあればある程度自由に事象を発生させられるのが魔法だから、色々試して新しい使い方をユウが編み出したっていいのよ」

 

ハイ!勉強になります先生!

 

「じゃあ、順番に試してみよっか」

 

 

結果、雷は適性無し。水は多少は作れて操作もある程度可能。

風も吹かせる程度なら。

氷自体を生み出すことは出来なかったが冷気は発生させられた。

コレで夏の暑さ対策はバッチリだ。

 

「火が使えたら大体氷も出来るのよね。熱いか冷たいかの違いだからかしら」

 

温度操作する魔法なのか?まあ使えるならなんでもいい。

 

 

「それでは回復の魔法と強化の魔法だね。私が一番得意なのはこれ。死んでなければ大体治せるよ。自分の強化は私できないから、ユウが自分自身を強化できる魔法が使えるように意識して練習してみると出来るようになるかも」

 

セラフィーンの回復と強化は別格だった。

死んでなければ四肢や内臓すら再生出来たりする、世界でもトップレベルの能力らしい。

強化魔法も、使う人によって強化出来る部分や強化率に違いがあって、セラフィーンの強化はほぼ全ての能力を上昇させるのだとか。

出来ないのは自分への強化くらいらしいが、そもそも妖精だし強化する事がないから実質最強のバフ魔法である。

 

俺にはどちらも適性がなかったが、自己強化はセラフィーンが使えないため真似する事が出来ない。練習次第で自己バフは使えるようになる可能性はあるとのこと。

セラフィーンの強化と重ねがけ出来るようになったら俺はスーパーサイヤ人になってしまうかもしれない。

 

しかし魔法が使えるようになるなんて感激だ。

テンション上がっちゃう。

それにしても、セラフィーンってかなり凄いのでは?

就職とかも引手数多なのでは。

 

「妖精はみんな魔法が得意だけど、私は特に使える方だね。売り込めば何処かのお抱えにもなれると思うけど…今はあまり興味ないかな」

 

「そっか。行けるとこまでダンジョン潜ってみようと思ってたんだけど、どうする?行きたいところあれば付き合うけど」

 

「私もそれでいいよ。本当だったら2人で潜るなんて危なすぎるけど…ユウならなんとかなりそう。無茶はしないからね」

 

「勿論。報酬も沢山貰えたし、まずは装備整えようかな」

 

鍛治師にて、手甲と脛当てを金属含みのものに新調する。

身体も鎧の方がいいんだろうけど。

レベルが3に上がった事ではっきりしたが、身体能力が上がっている。力の強さも上がった。

多少重くても動きに支障は無さそうなのだが、流石に金属鎧となると値段が高い。

中世の甲冑とか、財産だったらしいもんな。

全身甲冑とかちょっと憧れある。

まあ慌てる必要もないか。

2人で稼いでいけば武器ももっと良いものに変えていけるだろう。

中途半端な時間だが、装備と魔法も慣らしたいしゴブリン狩りに行くことにしよう。

セラフィーンを誘って再び町を出た。

 

 

 

 

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