Fate/Determination faith   作:桜花 如月

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12.情報整理

湊とわかれて自宅に帰ってきた私たちはその足で再び倉庫に向かった。

 

──倉庫でも漁るといいわ

 

彼女にそう言われて麻里さんが遺した色々な書物とかを片っ端から漁っていく。

魔術について、剣術指南、第三魔法、魔術師とは、etc.....

見る限りこれといって湊と麻里さん、それにセイバーが一緒にいたという記録は本には残されていない。

というか、麻里さんが書いたものというわけでもなさそう。

 

 

『魔術回路、魔術の移植』

 

そう書かれた本を手に取る。

本というには他に置かれてるものに比べて新しく、表紙のタイトル?も手で書かれていて妙な雰囲気を漂わせていた。

それを開こうと手をかけたところで後ろに気配を感じて思わず刀に手をかける。

 

 

「……そんな殺気向けないでくれるかしら?」

「あ、マリン……ごめん」

 

いつの間にか帰ってきていたマリンが倉庫の扉に寄っかかって立っていた。

集中しすぎていたのもあったけど、咄嗟に刀手をかけてしまったことを謝罪して手を離す。

その横でセイバーは静かに警戒の顔を見せている。

 

「……マリン、あなたは私たちを裏切ってないよね?」

 

ポロッと湊に言われて少し気がかりになっていたことを口に出していた。

 

「そんなわけないでしょ、そういうあなたも急にそんなこと言うなんて、なにかしてたの?」

「……うん、実は」

 

マリンが裏切ってないと呆れながら言ったことで少し疑いが晴れ、それと同時に見透かされたことを説明する。

 

「なるほどね、アーチャー陣営のことに関して情報を得られたのはいいわ」

「あとは、信用に足るかどうか……」

 

マリンが来る前に開こうとしていた本を取ろうとしたところでセイバーがどこからか見つけてきた同じ筆体の本(のようなもの)を渡してきた。

開くと青白い光が一瞬発生した後、白紙に文字が浮かび上がってきて文を形成し始める。

 

 


 

冷夏市にて起きた聖杯戦争、その全てをここに記そうと思う

これは、神秘故に特殊な魔術により秘匿する

 

数年前、私はこの街に起きた魔力の歪みを察知して旅を中断して滞在することにした

途中、魔術の質だけは良好なのに異端だからと捨てられた少女を弟子にして魔術に関してを教えたが、そこは別にいいだろう、パスだ

 

ある日、どんな理由かは不明だが発生した聖杯により聖杯戦争の火蓋が切られ、私がマスターとし、弟子はあくまで生活補佐として戦争に参加した

 

セイバー、沖田総司を召喚して半隠居ではあったが拠点を強固にするのを最優先に戦いに身を投じて他のマスターたちを───

 

 


 

「……か、玲香!」

「──っ、マリン?」

 

読んでいる最中、マリンに肩を揺さぶられ意識が現実に戻る。

なにか、変にリアルな空気を感じた気がするけど、二人は全く何も変わらない顔で、むしろ私が変な反応をしているような空気になる。

 

「え、二人はなにも?」

「何言ってるの、その本──」

「何も書かれてません、マスター」

 

そう言われ本に目を向ける。

確かに少し歪んで見えるけど、それでも本には文字が浮かんでいるのに、二人にはそう見えてないらしい。

これは、隠した方がいい、のかな

 

「そ、そうだよね!あまりにも白紙でボーッとしちゃった」

「もう、しっかりしなさい」

「あはは、ごめん」

 

上手いこと誤魔化して本を閉じる。

すると、その衝撃で本に挟まれていた一枚の写真が私の足元にヒラヒラと落ちてきた。

そこには、やけに不服そうな麻里さんと、その横でぎこちない笑顔を浮かべている湊、そして慣れてないからかものすごくブレているセイバーが写っていた。

 

「これは……」

「あなたが言ってたアーチャーのマスターがこの制服の子?」

「うん、多分そうなんだけど……」

 

この写真は、聖杯戦争中に湊が提案したであろうもの、かな?

これは湊が麻里さんとセイバーのことを知っているなによりの証拠になるってことであり湊が倉庫を探せと言ったのもこれを探させるためだろう。

 

「セイバーはこのこと覚えてない?」

「別の聖杯戦争なので、だからこそミナトの事も忘れていたんだと思います」

「そうだよね……」

 

 

写真を先程の本に挟み込み一度床に座る。

過去の聖杯戦争についても細かいことは気になるけど、今は現在信仰している最中の聖杯戦争に関して情報をまとめる方がいいと思う。

 

湊から『サーヴァントが多重クラスで召喚されている』というメモを受け取った。

マリンが言うには英霊が複数のクラスで召喚されているとか同一クラスに別の英霊も当てはまってるとか、そういう意味らしい。

 

まず、私たちが対峙したディルムッド・オディナ。

彼は槍と剣を同時に扱っていた、それはつまりランサーとセイバーの2クラスを併せ持っていたということ。

幽霊城のサーヴァントはマリンが言うにはキャスターのクラスは確実に持っていてもうひとつは不明。

アーチャー、アタランテは本人からは聞いてないけど、何となくバーサーカーとか?

カチカチ鬼(大蜘蛛)は湊がバーサーカーと呼んでいたからひとつは確定、あとは爪が槍みたいに鋭かったからランサーかな

キャスターと名乗った法師、アレは……わからないけど、今の所候補のいないライダー?

 

「セイバーはもう一つのクラス、自覚は?」

「ライダーは無いでしょうし、アサシンとかその辺かと」

 

セイバーは「今の自覚はセイバーのみです」と何故か誇らしげに言っていた。

 

「あと一人、情報的にはライダーだと思うけど……」

「完全に情報が無いわね」

 

半数近くは仮とはいえ判明している中、姿もクラスも何も判明していない唯一のサーヴァント。

情報整理するにしても、そこだけは完全に謎だ。

 

「……とりあえず纏めるわ」

 

・沖田総司(セイバー/アサシン(?)) マスター:山崎玲香 協力者:マリン

・アタランテ(アーチャー/バーサーカー(?)) マスター:夏目湊

・幽霊城の主(キャスター(?)/????(不明)) マスター:神代 楓

・ディルムッド・オディナ(ランサー/セイバー)(現状退去) マスター:ピーチ(死亡)

・リンボ(キャスター(?)/ライダー(仮)) マスター:不明

・????(バーサーカー/ランサー(仮)) マスター:不明

・????(????/????) マスター:不明

 

「とりあえず次の目標は、幽霊城かしら」

「楓……」

 

少なくともマスターであることは確実な私の後輩、楓の名を呟く。

話し合ってどうにか出来るなら、それで済んで欲しいけど、それが無理なら私は──

 

「それでマスター、ミナトとの同盟は?」

「そうだった、それを決めなきゃ」

 

()()()()()を考えそうになったとこでセイバーに声をかけられて我に返る。

麻里さんとの関係が本当で、セイバーのことを知っていたのも過去の聖杯戦争があったからということなら、私はもちろん同盟に関しては拒否しない。

 

「私は無し、もちろんわかると思うけど」

「マスターに任せます、何かあれば切るだけですし」

「下手に敵を作るよりは味方を増やす方がいいと思う、もし何かあってもその時はどうにかするよ」

 

と、ほぼ多数決に近い形で湊との同盟を組む方向で話は決まった。

 

 

同盟が決まり、次にやることもある程度話し合いが終わったところでマリンは寝ると言って家のほうに向かっていった。

 

「マリンに見せるには、やけに手書きでしたので」

「ありがとうセイバー」

 

セイバーはマリンが来た直後に隠していた先程の回路の移植だとかと書かれている本を取り出して私に渡してきた。

他人に言われただけでここまで警戒するのは少し心が痛いけど、それはそれとして全てを見せるのはなにかあった時の弱点になってしまう気がするため、マリンには悪いけど重要なことは隠す。

 

「開くよ」

 

そう言って本を開く。

 

『これは、私が山崎玲香に施した《奇跡》を書き記したもの』

『この文を見れる者は私の魔術に少しでも触れた者、もしくは()()()()()()()()()()()()宿()()()のみ』

『沖田総司の、第三宝具を()()に遺す』




山崎玲香の蘇生
???と麻里の魔術回路(刻印)を移植することによる不可能に近い行いにより息を吹き返した。
玲香には蘇生された経緯の自覚は無い(無かった)
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