Fate/Determination faith   作:桜花 如月

15 / 16
13.同盟の行方

誠の旗のもとに、私たちは戦うと誓った。

刀を、銃を、槍を──各々の武器を手に取り、悪を絶つために日々色んな場所で、色んな()()を斬った。

 

それは、同じ旗に誓いをあげた者にも容赦なく。

 

何度、同胞を斬ったのか

どれだけ血を浴びたのか

誓いの旗も、羽織りも、私にもちゃんとあったはずのものが。

 

近藤さんも、土方さんも、斉藤さんも

みんなと、新撰組と共に戦いたかったのに

私は

沖田総司は

刀を、最後まで振るうことなく、その生涯を終えることになってしまった。

 

 


 

鳥の声と暖かい日差しに包まれる感覚で目を覚ます。

麻里さんが書いた本を読んでいるうちに寝てしまったようで布団……ではなくセイバーの膝の上に寝っ転がっていた。

 

「おはようございます、マスター」

「うん、おはよう……」

 

夢で見た景色がフラッシュバックし、一瞬セイバーの言葉に返答が遅れる。

あれは、セイバーの生前──新撰組として戦っていた姿の一部、そしてセイバー……沖田総司の抱えている願い、なのか。

 

「マスター、あなたは……」

「セイバー、あなたは……」

 

そう、同時に口を開く。

 

「マスターも見たんですね」

「も、ってことはセイバーは何を?」

「あなたの過去……言っていた死ぬ直前の光景と──あなたの()()()を見ました」

「可能性……」

 

セイバーが見たものは多分、私が時折見る夢と同じ、悪夢のようなあの()()()()()()のことだろう。

 

「マスターはなにを?」

「セイバーの生前の姿、それと……あなたの後悔、かな」

「お恥ずかしいことに、英雄と呼べるようなものでは無いですよね」

「そんなこと、無いと思うよ……少なくとも私は、新撰組の沖田総司が好きだから」

「……ありがとうございます、マスター」

 

何故か気恥ずかしくなってしまい倉庫内の片付けを手早く終わらせて自宅に戻る。

マリンはもちろん既に出かけていた。

 

昨日話し合った同盟に関してを湊に返答するため貰ったメモに書かれている電話番号に連絡する。

 

『もしもし、かな』

「朝早くからごめん、私、わかる?」

『……玲香ね、うんわかる』

 

電話というものに慣れてなくてお互い変な空気が流れる。

 

『それで、答えはどうかしら?』

「見たよ、麻里さんの日記、そこに湊がいたのも確認した、だから──同盟には乗っかるよ」

『そういうと思ったわ、とりあえず今日夜バーサーカーを確実に潰すわ』

「あれ、消滅しないんじゃないの?」

『それでも仮退去させないと被害が増えるだけよ、少しずつでも霊基を崩したいの』

「わかった、それならこっちも時間までに準備する」

『ありがとう、場所は───』

 

湊が掴んだバーサーカーの根城とされる場所をメモして電話を終える。

約束の時間まではかなり余裕があるため、私たちはそのまま次の目的を達成するために移動した。

 

 

 

 

 

 

「やはり、小物が多いですね」

「歓迎……は無いね…っ!」

 

同盟に参加してくれそうな──話が通じるかもしれない──知り合い、神代楓がいるであろう幽霊城に向かう道中。

私たちの接近に気づいたのか、幽霊城の使い魔が私たちを取り囲むように現れて襲いかかってきた。

数日前、あの時はマリンを庇いながらなんとか対処する程度だった相手だけど、セイバーに剣術を教わり、魔術の使い方も再認識した今ならそこまで苦戦はしない。

 

「とはいえ数が多い……っ!」

「マスター、突っ切ります!」

 

進むにつれて数が倍ずつ増えていくため手一杯になり始めたところでセイバーが私の首根っこを掴み踏み込んだと思えばそのまま一気に使い魔の群れを吹き飛ばしながら幽霊城の目の前まで突き進んだ。

 

「あ、ありがとうセイバー」

「えぇ、なんか今はすごいやる気なので……それより出てきたらどうです」

 

瞬きする間に景色が一変したことで理解が追いつかない私をさておいてセイバーは幽霊城の上に殺気を向けた。

彼女の声に反応するように飛び降りてきた影は陽の光を浴びてその姿を露わにする。

 

「来たんだ、先輩」

 

歪に、それでありながら人のような形をした何かの上に乗っていた少女が地面に降りて私に視線を送る。

今にも飛び出しそうなセイバーを手で抑えながら刀の柄に手をかけて対峙する。

 

「あなたもマスターだったなんてね、楓」

「それはこっちのセリフですよ、それで何が目的ですか?殺し合いなら、私のゴーレム共々受けて立ちますよ」

 

楓は臨戦態勢になり、隣にいるゴーレムと呼ばれた人形も再度動き出す。

学校での無邪気な後輩だった姿とは全く違う雰囲気を纏い、本気で戦おうとしているのが伝わってくる。

 

「ごめん、今はそれを目的にしてない」

「……というと?」

「私たちと、同盟を組んで欲しくて」

 

そう言った瞬間、私の身体は近くの木へと突き飛ばされていた。

セイバーは私を吹き飛ばしたゴーレムに刀を向けているが、それよりも早く私の首元には楓の変化した獣のような右腕から伸びた爪が押し付けられ、状況を見てセイバーは踏みとどまった。

 

「……どうせあのオッドアイ女からですよね?」

「そう、だったら?」

「断ります、私は神代の後継者として、一人の魔術師としてこの聖杯戦争を勝ち抜くと決めたんです。そこに誰かの協力も、敵同士のなれ合いも要らない、まして私の兄からサーヴァントを奪ったあの女の提案なんて真っ平御免です」

 

怒りからなのか、私を押し付ける腕の力が少し強まる。

息苦しくなり始めてまずい状態だけど、セイバーにはそのままと視線を送り楓の言葉に答える。

 

「敦也、が……?」

「えぇ、マスターでした、サーヴァントはあのアーチャー」

 

聖杯戦争が長く続いていることと、サーヴァントの多重召喚。

それらを考えれば再召喚されたサーヴァントが記憶を持たないことは有り得る。

 

「それ、は裏切ったとかじゃない──サーヴァントは、多重召喚されてるから、そのせいで──」

「理屈はどうでもいいよ、真偽はともかく今マスターなのはその女、なら私は信用しないし同盟には乗らない」

 

楓はそういうと手を離し右手を元に戻した。

ゴーレムも戦闘態勢を解き幽霊城の中へと消えていく。

 

「じゃあね、先輩。次会うときは本気で殺しますよ」

 

そう言い残し、楓も幽霊城の中へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

《Side:?????》

 

我々は、復讐する

我らを土蜘蛛だと馬鹿にし、日陰へと追い込んだ人間共の収める国、その全てを、根絶やしにする。

どれだけ駆逐されようとも、我々の炎は消えることは無い。

この手で、血を、肉を。

 

 

 

「おやおや、燃えておりますな」

 

我々とさして変わらぬ化け物に似た怪しげな法師がケタケタと笑いながら我を見下す。

会う度に中身が濁っている男は、いつも以上に胡散臭い笑みを浮かべながらこう言った。

 

「あなたには最高の席をご用意しましょう、()()()……」

 

と。





New Data

神代 楓(かみしろ もみじ)
高校一年生/女
使用魔術:???

玲香の後輩で聖杯戦争前は兄含め仲良くしていた関係
聖杯戦争開始後に兄を失ったこととアーチャー(アタランテ)が取られたと勘違いしたことで主に湊への警戒心がやけに高くなっている
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。