Fate/Determination faith 作:桜花 如月
《side:玲香》
謎の獣との戦闘を終えたあとマリンのメッセージに添えられていた座標に向かうとそこは脚立山の山中にあった集落の名残りとして放置された廃ビル。
その四階にてマリンと合流するとすぐに窓ガラスの奥、山頂に見える不思議な建物を指さされた。
「あれは?」
「聞きたいことはあるけど、それは後にするわね──少なくともあれはずっとあるものでは無いでしょう、つまり……」
「聖杯戦争に関係してるもの、ということですか」
指さす先にあったのはどう見ても場違いな大きな城。
マリンの言う通り脚立山の山頂にはあんな建物無かったはずだし、あったとしたら観光スポットにでもなるだろう。
ということはあれが一昨日奏が見せてくれた七不思議の中にあった「幽霊城」というやつだろう。
「これで七不思議は二つ……か」
「あれはわかるけど二つ?」
ふとここに来る道中に見かけた何が祀られてるのかパッと見分からない祠を思い出しそれも七不思議に含まれていたため口に出していた。
その旨を伝えると「まぁそっちは放置ね」と濁されてしまったけど、たしかに今は目の前の脅威……?をどうにかしないと。
「あのサイズ、なおかつだいぶ近づかないとわからないってことはだいぶ神秘を守る──キャスターってとこかしらね」
「魔術に長けてるってクラスだっけ……それで、どうするの?」
「セイバーだけじゃ心もとないけど、行けるかしら?」
「あの城程度なら、とはいえマスター達がいるといざという時庇いながらというのは大変なので」
「ここで待つよ、だから頼める?」
マリンに言われたからかムッとしながらも首を縦に振った。
と思いきやセイバーは一呼吸置く間に屋上から飛び出していき、そのまま城の方へと突き進んでいく。
《side:セイバー》
マスターの命を受け飛び出した私は木々を飛び移り城へと突き進む。
キャスターとやらがいると推測されていたため何かしらの妨害を危惧していましたが、今のところそんな気配は全くなく。
むしろ誘い込まれているのでは、と思えるほど城の周りには何もない。
「これがサーヴァントの根城──文字通りの城とは悪趣味ですね」
と独り言を呟いてしまうが、特に反応もなく。
かと思えば
「何奴」
「それはこちらのセリフだ」
背後に気配を感じ振り返ると弓を構えてこちらを睨む女性。
出来る限り自分の見た目を偽っているようですが、私の勘がこの人がサーヴァントである事を感じている。
「もう一度聞く、汝はなぜここにいる」
「質問が変わってますよ、それにあなたに教える必要は無いでしょう?」
「悪い、聞き直そう──
「はい?」
サーヴァント……多分アーチャーであろう女性は剥き出しの殺意を隠すこともなく弓矢を向けたまま変な質問を飛ばす。
「なに変なことを初対面のあなたに言われなきゃいけないんですか」
「変なこと、だと?」
私の返答にアーチャー(仮)は怪訝な顔を見せる。
何を考えているのかわからないこの相手に隙を見せるわけにもいかず睨み合っているとなにかに気づいたアーチャーが口を開く。
「さては汝、一度──」
と、何かを言いかけたところで幽霊城の扉が開き中から大量の生物──だけでなく紙で作られた物まで様々な《生き物》が飛び出してきてこちらに突っ込んでくる。
「罠ということですか──ならば全て斬ります」
「──っ!少しは話を……仕方ない、マスター!悪いが敵対する!」
私を呼び止めているうちに別方向から攻撃、生前嫌という程見慣れた戦法。
ですが、それも関係ない。
私にやることは一つ。
相手が手を組んでいようが、全て斬ってしまえば、殺してしまえばいいだけ。
誰かと話していたようですが、問答無用。
群がってきた城からの生物──使い魔を切り捨てつつアーチャーに距離を取らせないよう立ち回る。
最中、アーチャーにも使い魔が向かっているように見えたがそんなことは無視。
私はただマスターの為に斬る、ただそれだけ。
「く……っ!」
「二対一だろうが私には通用しませんよ」
矢と使い魔を避けアーチャーの眼前に入り込み刀を突き刺す。
運良く避けたアーチャーの反撃を全て弾き飛ばしおまけに使い魔も切り伏せる。
「マスター、悪いが諸共吹き飛ばすぞ!」
アーチャーがそう言いながら弓を構える。
……が、何も起きず。
「……仕方ない、宝具は辞めておくがマスター、三つ巴は」
「よくわかりませんがそこ──っ!」
今もまだ出続ける生物達を蹴散らしながらブツブツと何かを口にするアーチャーに詰め寄り再度切りあげる。
話し合う気もないのかなどとこぼしながら距離を取った弓使いは使い魔の方へと弓を構え始めた。
「汝とやり合うにもまずは──」
「……嫌な意見の一致ですがそれには賛成です」
一時休戦を申し込んできたアーチャーはすぐに矢を放ち使い魔を蹴散らし始める。
アーチャーが反応しきれないものと私に向かってくる獣達を適度に切り潰していく。
「キリがないですね」
「同意見だ、だが……」
アーチャーの視線の先には蝙蝠の群れの中に明らかに目立つ巨大な一匹。
妙に高い殺意のこもったボスのような一匹は定位置で羽ばたくだけで一切攻めてくる気配は無い。
「なぁセイバー」
「奇遇ですね、アーチャー」
考えてる事は同じ。
見るからに使い魔連中のリーダーであろうあの蝙蝠を倒せば後処理をする必要も無いはず。
「合わせてください」
「言われなくても」
妙に安心して背中を預けられる気がしますがそんなことは気にせずに先行して蝙蝠目がけて突っ切る。
私たちの狙いが親玉? であることに気づいた周りの使い魔たちが一斉に向かってくるのをアーチャーが仕留め足止めを食らうこともなく蝙蝠の群れへとたどり着く。
「獲った──!」
親玉?を群れごと一刀両断する。
すると消えるはずの蝙蝠が再び飛び上がり
『あなただけは許さない!*****!』
そんな言葉を発した後に消滅。
「今のは……」
「……気にしないでくれ、色々あってな」
蝙蝠が最後に言っていたのはこのアーチャーの真名だと思われるがしっかりと聞き取れはしなかったため当の本人に聞いてみても濁された。
「さて、邪魔は入りましたが──」
───セイバー!
休戦していた関係を解くか否か、それを聞こうとした矢先にマスターからの強い魔力の流れを感じ、何事かと気づくよりも先に私は宙に飛ばされ、目の前には腕を負傷したレイカと罵詈雑言を浴びせるマリンの姿があった。
新規説明(現状判明してるもののみ)
幽霊城
マリン曰くサーヴァント(キャスター?)の根城と推測されるもの
プロローグにて登場した『七不思議』にも記載されているが目撃した人は必ず「なにか」に襲われたと言われておりその詳細は不明
魔術的な認識妨害によりかなり至近距離に行かないと目視出来ないためそういう意味でも七不思議とされている
サーヴァント:アーチャー
幽霊城に攻め込もうとしたセイバーに対して矢を放った存在
何やら意味深な言葉を発していたが……?