Fate/Determination faith   作:桜花 如月

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7.英霊たるもの

 

セイバーとの特訓を無我夢中に繰り返しているうちにすっかり暗くなり虫や狼の鳴き声が森に響く。

さすがに数時間ほぼ休憩無しでやっていたため少し身体が重い。

 

家に戻りセイバーと紅茶を飲んでいると、玄関が開きマリンが帰ってきた。

 

「おかえり……ってなにその怪我!?」

「ちょっと誰かの使い魔にちょっかいかけられただけよ、それよりあなた達はなにをしてたの?」

 

玄関からリビングに顔を出したマリンは、腕と足を数箇所怪我していて、少し傷も深そうに見える。

自分のことはいいからと言いたげに私達の様子を見て呆れた声で質問をしてきた。

 

「私たちは剣術の特訓をしてた、といってもまだまだなんだけどね」

「……そう、お疲れ様なところ悪いけど、街に偵察に出てもらえないかしら?」

「急な話ですが、何を企んでるんです」

 

疲れを多少でも癒すためにソファにもたれかかる私の前にセイバーが立ち警戒の色を見せる。

和解したと思ってたけど、セイバーとしてはやっぱりまだマリンを警戒してるみたいで、刀に手をかけている。

 

「私を襲った使い魔はまだそこら中にいる、それにこれは勘だけど、街中に今サーヴァントもいるわ。もちろん幽霊城の攻略もしなきゃいけない」

「それで、私たちを……」

「お疲れのところ悪いとは思ってるわ、でもほっとけば被害は増えていくと思うけど、その辺はセイバーとしては無視するのかしら?」

「……私はマスターの指示に従うだけ、あなたの一意見で動く気はないです」

 

セイバーとしては怪しすぎると言いたげな顔でマリンを睨んでいる。

マリンはそれに億さずむしろちょっと挑発的に言葉を返してお互いバチバチと睨み合う。

 

そんな2人を横目に私は思考を働かせる。

やることがまだ沢山ある、というのは私も納得するところではある。

幽霊城……(もみじ)がいるであろう場所の攻略も考えなきゃいけない。

もし、こうしてる今も昨日みたいに誰かが襲われているのなら、それは見過ごせないし止めなきゃ行けない。

 

 

「……うん、街に出てみよう、セイバー」

「マスターが言うなら、従いましょう」

「決まったわね、それで出る前に一つ聞きたいのだけれど」

「なんですか、怪我人は早く寝てください」

「うるさいわね、私はどうでもいいの……それよりセイバー、あなた──」

 

マリンは治癒魔術らしきものを使い怪我を癒しながらセイバーに質問した。

セイバーは「マスターでは無いとはいえ貴方には教えられません」と一蹴し私の貸した水色のパーカーの着崩れを直して刀の位置を調節した。

 

「マスターには道すがら」

それだけ言われ、私とセイバーは二人で街中……まだ被害が少ない海側に向かった。

 

 

私の家から山を降り街中へと入る道中、私たちの後ろから早歩きぐらいのローペースで自転車が通り過ぎ、私たちに気づくと急ブレーキをかけ停止する。

すると突然セイバーが刀に手をかけ私の前に立ち臨戦態勢に入り場の空気が一変。

 

「おや、なにか失礼なことでもしましたかね」

「見た目から何から何まで怪しいですが、何の用ですか」

 

自転車から降りた怪しすぎる人物はこちらを向き会釈する。

袈裟のような服装に妙に悪寒のする雰囲気を纏ったその姿はまるで……

 

「サーヴァント……だよね」

「えぇ、間違いなくそうかと」

「ご名答、我がクラスはキャスター、以後お見知りおきを」

 

キャスター、そう名乗った法師はこちらを見るとニヤリと笑みを浮かべた。

セイバーが間に入るがキャスターの怪しすぎる視線は全く気にする様子を見せずにこちらに向いたまま。

 

「……私になにか?」

「いやはや、これは失礼……未熟な魔術師殿にしては()()()()を感じたものでして」

まぁ気の所為でしょうが、そう続けるとキャスターは特に何もせず自分で投げ飛ばした自転車を起こしてそれに乗る。

そして漕ぎ出すかと思いきや最後に一言。

 

「身近な相手ほど信頼は置かない方が身のためですぞ」

 

そう言い残して先程とは違いものすごいスピードで走り去っていった。

 

 

 

「………なんだったんだろ、今の」

 

まるで幻でも見ていたかのような、今まで目の前にいたはずの法師がそもそも嘘なんじゃないかと言わんばかりに私たちの間には気まずい沈黙が流れた。

突然現れてよくわからないことを言って立ち去ったせいで、セイバーも困惑している。

 

「わかりません、が……あの法師、《キャスター》と名乗っていました」

「キャスターってことは、あの城を根城にしてる……」

 

そう考えたら違和感がすごい。

あのキャスターが法師と名乗った訳でもないけどあの見た目、口調から幽霊城を生成するかと言われると何か違う気がする。

私たちの予想がそもそも間違っているのか、それともキャスターと名乗ったのが嘘なのか、もしくはその両方……

 

「とりあえず、あの変人は無視しましょう」

「そう、だね……」

 

あのサーヴァントのクラスと真名も気になるけど、もうひとつ気になることを言っていた。

 

──身近な相手ほど信頼は置かない方が身のため

 

あれは、セイバーのこと?

それとも──

 

「マスター?」

「……あ、ごめん考え事」

「戦闘中は集中してくださいね、ではなくて先ほど話そうとしてたことですが」

 

嫌なことが頭を過ぎる中、セイバーに声をかけられた事でキャスター(仮)の事を一旦忘れることにして街へ向かう道を進む。

 

「マリンに聞かれてたこと、だよね?」

「えぇ、今後の戦闘で使うことになるかもしれないのでその前にマスターに伝えておこうかと」

 

セイバーはそういうと目を閉じ力を込めた。

するとセイバーが着ていた服が一瞬で変化し、それと同時に彼女の雰囲気も変わって私の目で見てもわかるほどに力が増している。

 

「これが一つ」

 

そう言うとセイバーの服装が元の私があげたパーカーに戻った。

 

「そもそも何、という話ですよね」

「うん、そこだよね」

「今の服もそうですが、サーヴァントには《宝具》と呼ばれるものを持ちます」

 

歩きながらセイバーの説明を受ける。

 

サーヴァントにはそれぞれの逸話を元にした奥義やアイテムがあり、それを宝具と呼ぶ。

セイバーであれば先ほど私に見せてくれた服装と《武器》、それ以外にも二つ持っているとの事。

宝具を使うデメリットもちゃんとあって、逸話を元にしたものである以上、真名をバラすようなものであるということ。

そして技によってはマスターの魔力を思いっきり消費する、と。

 

「まぁ私の場合マスターへの負担はないと思いますよ」

「そうなの?確かにさっき魔力減った感覚ないけど」

「なのでマスターは自分の魔術に集中出来るかと……まぁそれ以外の問題はありますが」

 

気になることを言われて聞き返そうとしたその瞬間、建物の倒壊する音と複数人の悲鳴が廃れた街中に響く。

 

「今のは……!?」

「行きましょう、マスター!」

 

瓦礫の山を飛び越えながら向かうとそこには二人の人影……そして、その前には心臓を貫かれ首から上がない複数の死体。

 

 

「……っ!」

 

私たちの接近に気づいた片方の女性は振り向くとニヤリと笑った。

 

「あら、獲物が来たわね……サーヴァントもいるけど、敵じゃないわ」

「サーヴァント・ランサー、貴殿の相手をしよう」






サーヴァント:キャスター(?)
玲香たちの前に現れた謎の法師。
どぅても普通じゃない見た目と雰囲気を醸し出している。
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