急に未完とか作品削除になったらそういうことだと思ってください
俺がビルを倒壊させてから少し経ち。
アビドス復興のための活動、日に日に減っていく生徒、莫大な利子のせいで減らない借金。この日常が楽しいとはいえ少し息抜きが欲しいところだ。いやまあ最後のに関しては俺が借金を全部返してしまえば一気に解決するんだが、ユメ先輩とホシノに止められたからなあ。でも俺の口座に入ってて推定俺のセーブデータの金というだけで、出所不明な金ではあるので正しいのかもしれない。とはいえ、黒服の依頼以外にも賞金稼ぎや仕事をこなしたりしているので、数十億のこの金がなくても前世日本の価値観からすると受け入れるのが難しいくらいの収入を得ている。
という諸々の事情が重なり、俺が出所不明の金を使わない代わりに俺の奢りで水族館に行くことになった。息抜きの場所が水族館なのはホシノの強い希望である。ナビルーも水族館という概念が初めてみたいでワクワクしていた。モンハン世界で水族館は確かになさそうだ。あまりにも収容する水生生物のパワーが強すぎる。
「クジラは流石にいませんね…」
ドクターフィッシュの水槽に張り付いてるナビルーを一旦放置し、この水族館の目玉である大型水槽の前でホシノが残念そうにつぶやいた。
「クジラが水族館で飼育出来る技術があったらガノトトスも行けるかもなあ」
「ガノ…?なんですかそれ」
「亜空間タックルしてくる30mくらいの魚」
「そんな魚居たら大騒ぎになってますよ」
「キヴォトスに居なくてよかったよ。いや、マジで」
「レクト君って偶に変なこと言うよねえ」
こうしてゆっくりするのは久しぶりだな。キヴォトスに来てから心休まる瞬間って言うのがあんまりなかったから。来たばっかの時は外でいきなり銃撃戦が勃発するようなこの世界の情報収集をしなきゃいけなかったし、一週間経ったらアビドスに入って生徒会の活動してたし、その上で仕事もこなしてたし。あれ、なんか前世が一般ゲーマーと思えないくらい働いてるな。ライダーの体じゃなかったら倒れてたかもしれない。
「あっ!大変、そろそろイルカショーの時間だよ!」
「やっべ、ナビルー連れ戻してきます」
「ユメ先輩、急ぎましょう!」
そうしてイルカショーを満喫し、お昼を食べて少し個々で見て回ろうということになった。ナビルーはドクターフィッシュが楽しすぎるらしく、「また後でな!」と言いながら水槽に向かっていった。ナビルー、毛ふさふさだけどいいんだろうか。まあ獣人の多いキヴォトスだしいいのか。
独りになった俺は去り際のホシノの顔がどうしても忘れられなくて少し考えてホシノを探すことにした。
探すこと十分。トンネル水槽の端にホシノは立っていた。
「ホシノ」
「…レクトですか。今は別行動のはずですが?」
「折角のお前の希望の水族館なのにあんな悲しそうな顔してたらお節介も焼きたくなるさ」
「…あなたには関係ありません」
…ホシノの神秘は誰よりも透き通っていて、なおかつ秘める神秘はキヴォトスでも1,2を争う量だ。それを考慮した上で俺にも出された提案を考えると…
「黒服か?」
「ッ!」
ホシノが反射的に銃を構える。
「落ち着け、この水槽もどうせ防弾だろうが、お前が撃ったら壊れかねない」
「…なんでアイツの事を知ってるんですか」
「俺も提案されたからだよ。モルモットにならないかって」
「そう、ですか」
ホシノが銃を下ろしたのを確認し、俺はトンネルの手すりに寄りかかる。…こういうのはユメ先輩の役目だと思ってたんだけどな。ユメ先輩は黒服の事を知らないし、俺もユメ先輩を黒服に関わらせたくない。となると、こうした話題は俺しかできない。仕方がないな。
「どうせ身を差し出せばアビドスの借金を一部負担とか、アビドスの生徒の安全を確保するとか言われたんだろ。先に言っとくが、俺はこの提案を蹴った。借金は黒服に頼るくらいなら俺が負担するし、ユメ先輩達の安全だって俺とホシノが居れば済む話だ。だからホシノ、お前が身売りする必要なんてどこにもない。アビドスを守る力が、俺達にはある。そもそも、客観的に見て俺とホシノだけでゲヘナだろうがトリニティだろうが一学園くらい潰せるぜ?あんな奴に頼らなくたって、俺達は自分で道を切り拓いて行けるんだ。それを忘れるな」
「…まさかレクトに励まされる日が来るとは思いませんでした」
「おい、どういう意味だそれ」
「でも、そうですね。少し難しく考えすぎたのかもしれません。レクトと私が居て、恐れるものはないですね」
「…見事にスルーしやがったな。でもまあ、その通りだ。らしくなってきたんじゃないか」
「なんですか、私らしいって」
「あー、怒るなよ?…暴力装置。やめろ!無言で拳を握るな!怖いって!ホシノのパワーで殴られたらさすがの俺でも洒落にならない!」
「誰がゴリラですか!」
「誰もそんなこと言ってnぐえっ」
そうして俺は見事腹パンされ蹲った。痛い。でもこの程度で回復薬とか情けなすぎるし我慢します。
「ふん」
どこか満足気なホシノの顔には、今度は翳りがなかった。…なら、いいか。
気が付けば集合時間になっており、お土産コーナーに寄って帰る時間になっていた。集合場所に向かえば既にユメ先輩とナビルーがおり、途中からは二人で回ったようだった。大分満喫したようで何よりだ。陽キャと陽キャの組み合わせなのでさぞ盛り上がったことだろう。
「あ、ホシノちゃん!レクト君!」
「待ってたぜ!」
ユメ先輩はホシノを見てこちらにこっそりウィンクしてきたので、やっぱりホシノの異常には気付いてたみたいだ。これも後進育成の一環なのかなあ。
帰り道、ホシノと俺どちらかが貧弱(当社比)なユメ先輩を家まで送ることになり、先日ホシノがその役を担ったので俺が送ることになった。
「今日は楽しかったねぇ」
「そうですね。なんだか久しぶりに気持ちが落ち着きました。ナビルーも楽しんでくれたみたいだしな」
「ドクターフィッシュ、新鮮な感覚だったぜ…」
相当気に入ったらしい。
「…ホシノちゃんの事、ありがとうね」
「なんかあーいうのはユメ先輩の方が上手くできた気がしますけど?」
「あー、ホシノが悲しそうな表情してたことか?相棒と戻ってきたときには平気だったけど」
「そう。ホシノちゃん、ああ見えて誰よりもアビドスの事を考えてて、責任感が強いから。騙されやすい私が言うのもなんだけど、なんだかいつか遠くに行っちゃうような気がして。でも、似た境遇を持ってるレクト君なら悩みを打ち明けられるかなって、そう思ったの」
なーんで、服と関連がある事が共通してるって見抜いてるんだか。…ユメ先輩は一見ふわふわしててバカっぽそうだが、全然そんなことはない。特に人の心の動きに関しては誰よりもセンサーが強い。こういうところでこの人には敵わないなって思うんだよな。
「…女の勘ってやつですか」
「そんなところかもねー、ふふん」
横に居たユメ先輩がそう言うと、小走りで俺の前に歩み出て振り返ると、笑みを浮かべて続けて言葉を投げた。
「だからね、レクト君もいつか、その胸に抱えてるモノを吐き出してほしいな。私も、きっとホシノちゃんも待ってるから」
ほんと、こういうところなんだよな。この人は。
「いつかきっと、話しますよ。…ほら、家はすぐそこですよユメ先輩」
「はぁい。…今思ったけど後輩の男子生徒に住所把握されてるってどうなんだろうね?」
「今更でしょう」
不安そうなナビルーの頭を撫でて、歩を進める。
ユメ先輩と連絡が取れなくなったのは、それから1週間ほどの事だった。
今のところレウスとネギしか出てきてませんが、残りの4体は未だ審議中です。