「ところで相棒、相棒が”レクト”じゃないのはわかったけど、じゃあ相棒の名前はなんだ?前の名前があるんだろ?」
「そうだな。この体の名前は龍塚 レクト、それは間違いないし身分証にも書かれてるから今更変えるなんてできないけど、ナビルーには教えておくよ。俺の名前は――――」
「そうか!良い名前だな!」
「ありがとう。…さて、外に出て最も頼りになる俺達の仲間を呼べるか試してみよう。ナビルー、この家に厩舎はなかったよな?」
「ああ、厩舎はなかった。だからオトモン達は一緒に来てなかったのかと思ったけど…」
「俺達が共に旅してきたオトモンは、今も変わらず傍にいる。何故かそう確信してるんだ」
俺の心の中で思い浮かぶオトモン、計6体。彼らはきっと
今は誰もいないし、外に出た瞬間呼んでも何ら問題ないだろう。
「よし、ナビルー。準備は良いか?」
「おう!いつでも大丈夫だ」
ナビルーの返事を聞いて、俺は胸の奥底に結びついてる絆の紐の一本を手繰り寄せるようにして名前を呼ぶ。彼は世界を救った竜にして白の奇跡を共に起こした最初の絆。彼無くして物語は始まらない。
「レウス!」
名を呼んだ瞬間一陣の風が俺の頬を撫で、咆哮が耳に届く。音の方に目を向ければ太陽を背にこちらへ向かってくる隻眼のリオレウスが見える。
レウスは俺の前の方で着地し、勢いを足で殺しながら俺の胸に顔をうずめてくる。愛いやつめ。
「レウス、来てくれてありがとう…本当に」
「よし!レウスがいるなら百人力だぜ!」
レウスが小さく唸りながら気持ちよさそうに俺の撫でる手に頭をこすりつける。信じられるか?こんな甘えん坊のリオレウスが世界を救ったんだ。見なよ…俺のレウスを。
「じゃあまずはこの辺りの地形を把握しよう。どこに何があるか、地図を見ながら実際に空から見てみる。どうやらこのアビドスって土地の地図はネット上にアップされているものが何年も前に止まっているみたいだからな」
「地形の把握は大事だよな。了解したぜ、相棒。…んで、ネットってなんだ?落とし穴に使うやつか?」
「…空を飛びながら説明するよ。レウス、乗せてくれるか?」
レウスは小さく唸り少し背を低くしてくれた。ありがてぇ~。
さて、ナビルーに現代文明の技術をどう説明したものか。俺普通に前世学生だったんだけど。教職でもなんでもないし説明が特段上手かと言われるとそうでもない。まあスマホ触らせながら実際に体験してもらうか…。
ちなみにだが、この世界で暮らすための軍資金はさっき口座見たら何故か何十億単位であった。まさかゼニーが円に変換されたのかな?とか思ったがゼニーはカンストしてたけどあれ億は行かないはずだし…いや、2万ゼニーで一生暮らせるとかいう世界だしな。1ゼニーの価値は明言されてないけど1ゼニー>1円なのは間違いない。それを考えると何十億でも安かったのかもしれない。
一般的なサラリーマンの生涯年収をはるかに超える大金を手にしたが、金銭感覚は変わらない。ちまちま稼ぎながらちょっとプラスになるくらいの収支にしよう。その方が健全だ。この世界での金策も知らなきゃいけないし、調べなきゃいけないことがたくさんだ。一つ一つ知って行こう。
俺達はレウスの背中に乗り、空へと旅立った。
「なんですか…あのドラゴンは。しかも男子生徒…?覚えておきますか」
遥か後方に刺々しい雰囲気のピンク髪オッドアイがいるのに気づかず。
あれから一週間後。レウス以外の5体のオトモンが呼べるか試したり、ナビルーにインターネット講習をしたり、二人で一日中引きこもって情報を集めたりするなどした。
そうして迎えた入学日。俺達は歩いてアビドス高等学校まで向かっていた。
「なあ相棒、どうしてレウスに乗って行かないんだ?」
隣をテクテク歩くナビルーが不思議そうに問いかけてくる。
「入学式にレウスに乗って行ったら絶対悪目立ちするからなあ。ただでさえ俺以外の男子生徒は見かけないってのに。それに、ずっとレウスに乗ったら運動不足になりそうでな…」
「ああ…確かに」
このライダーの体は基礎スペックがめちゃくちゃ高い。そりゃ俺のデータを引き継いでるならLv99だし成長薬も全部限界まで使ってる。腕力だって武器無しでコンクリの壁を破壊できるし、怖かったから防具アリとはいえ銃弾を食らっても平気だった。HPも怖いので減らすような行為はしてないから不明だが。
ただ、現時点で分かってることはフィジカルギフテッド並みの身体能力と五感を持ってるって事。そのせいかよく食べるしよく寝るのだこの体は。それで運動をしなかったらどうなるのか…俺にはとても恐ろしくて実行できない。
本物のフィジカルギフテッドと違うのは、俺にもなんらかのエネルギーが宿っていること。そしてキヴォトスにいる生徒全員が、俺とは別種のエネルギーを宿していることが感じ取れた。俺に宿っているのは生命が本来持つエネルギー…言ってしまえばモンハン世界のモンスターが宿しているようなエネルギーだ。それに対してこの世界の生徒が持っているエネルギーはなんというか…透き通っていて神秘的だ。俺の持っているエネルギーを闘気、彼女らが持っているのを神秘として、俺は闘気を意図的に操れるがキヴォトスの生徒のほとんどは神秘を自分の意思で動かすことはできないようだった。なんなら認識している人も少ない。今のところ自分の意志で神秘を動かせるのはゲヘナに居た白い髪がモフモフのロリや、ミレニアムに居た口が悪いチビ(ぼそっと口に出したら死ぬほどキレられた)くらいなものである。いずれも強者であった。この世界のロリは強くなきゃいけないのか…?前に体型と強さは関係ないといったが噓かもしれない。
あと今担いでいる氷妖イヴェリアだが、威力がなんかおかしい。具体的に言えば弾速がまず銃弾並みに速いのと、着弾地点から冷気の大爆発が起きる。これのせいでいつも敵対した生徒相手に爆風を掠めるように撃たないと大怪我するので狙いが結構大変である。最終強化した強い武器以外売り払ってしまったのが仇になった。俺も銃を持つべきだろうか。
そんなわけで新入生数人、在校生徒十数人のアビドス高校に到着。泣けてくるぜ。こんな人数だから入学式と言っても簡素なもので、入学式だっつってんのに在校生徒全員で集合写真を撮ったりするなどした。ナビルーと俺は当然の如く浮いていた。
入学生の中にはいつぞやに見た仏頂面のピンク髪のオッドアイロリもいたが話しかけようにもなんかめっちゃ睨まれてたのでやめた。
俺、この学校でうまくやって行けるんだろうか…。
そんな不安もナビルーが隣に居れば紛れる。ま、なんとかなるだろ。
解散にもなったので各自帰宅ということで帰ろうとしたところ、誰かに呼び止められた。
「あなたが、龍塚レクト君だよね?もしよかったら生徒会に入らない?」
ふわふわとした雰囲気のお人好しオーラがあふれ出てる青がかった緑髪の先輩にそう言われ、俺の