サクラ大戦 貴水玄治物語   作:無月

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⑦花見の宴 出発前

 翌朝、悪酔いすることなく無事に起床した玄治は時計を見つつ軽くシャワーで汗を流していれば、脱衣所が騒がしかったが気にしない。朝食の準備へと向かう際、玄治の部屋でマリアとかすみとレニが般若となり、ラチェットとロベリアが正座していたがきっと気のせいということにして通り過ぎていく。

 朝食の準備をすっかり終わらせたところで、花組の面々が起きてきて口々に挨拶を交わして、一通り盛り終わってから厨房から食堂を眺めて紅茶を飲んで一息つく。

 

「ゲンジさんも座って食べましょーよ」

 

「わかった、わかったから引っ張るな。紅茶が零れるし、コックコートを脱げない」

 

 エリカが厨房にいる玄治の手を引っ張っていく姿に、紅蘭が笑いだす。

 

「さっすがエリカはん、玄兄すら引っ張ってこれる行動力は見習いたいわぁ」

 

「お前ら、普通に止めろ・・・」

 

「それは無理というものだ、貴公とてエリカの行動は止められまい?」

 

 グリシーヌの言葉に否定できずに席に座らされ、玄治も食事をすることにした。今朝はトーストとスクランブルエッグなどが並んだモーニングセットである。

 

「それじゃ、いただきます」

 

『いただきます』

 

 大神の一声から全員が手を合わせて食べ始める姿に、巴里組も倣って祈りや黙祷を捧げてから食事を始めていく。

 

「それで今日はどうするんだ?」

 

 一通り食べたい物を食べ、お代わりする者以外は飲み物やスープで胃を休めてる間に玄治が問えば同じ席のラチェットがコーヒーを飲みながら答える。

 

「私はあなたに合わせるわ。あなたが残るなら残るし、出掛けるなら一緒に行きましょう」

 

「ハカセと二人っきりになろうとしているのが透けて見えてる」

 

「あら、二人っきりじゃなくてもいいわよ? 私は玄治と一緒にいたいだけだもの」

 

「ラチェットはあからさますぎですねー。レニもジェラシーですかー?」

 

「織姫には言われたくない」

 

「大神隊長にすぐ抱き着くあなたにだけは言われたくないわ」

 

 元星組達が言い合いをしてる中、大神が苦笑いしながら言う。

 

「どうせなら皆で行動するかい?

 もしやりたいことがあるなら別だけど、ちょうど桜も見頃だし」

 

 そんな大神の提案にマリアが少し考えるように告げる。

 

「では、皆で上野公園に花見はいかがでしょう?

 上野公園からなら動物園にも、浅草にも行きやすいので他の行動に移りやすいかと」

 

「サクラ! ゲンジさんとパリでも見たサクラをニッポンで見られるなんてトレビアンです!」

 

「そういえばエリカさん達に会ったのも桜の下だったんですよね」

 

「そうそう、お前らが展示物に乗っかるっていうマナー違反なことしてた時な」

 

「貴さん? 何かおっしゃいまして?」

 

「イーエ、ナンニモ」

 

 すみれが睨みを利かせれば玄治が棒読みしながらそっぽを向く。

 

「そうなると弁当がいるな、今から準備すれば昼には行けるが・・・」

 

「オイオイ玄さん、玄さんの飯は好きだけどよ。たまには出店の飯も食いてーよ」

 

「そやそや、たまには店のもんで済ませんと。なんのための休みかわからんやろ」

 

「俺はお前らの食事を作ることを苦だと思ったことはないぞ?」

 

 そこで何故か場が一度静まり返り、玄治が不思議そうな顔をする。

 

「なんだよ、一斉に黙って・・・」

 

「おじちゃんってイチローと同じでそういうことを普通に言っちゃうよね」

 

「だよねー、おじちゃんの癖にー」

 

「お前らの食いっぷりを見るのが好きだし、喜んでくれるだろ? 嬉しいし、楽しいんだよ」

 

「だからと言って、食事に対して至れり尽くせりすぎなんですよ。玄治さん。おやつと夜食を合わせれば、毎日五食は作っているでしょう?」

 

 かすみが問いに他の面々も同意するように頷き、カンナが口を開ける。

 

「夜食用におにぎりだとか、おやつ用に菓子だとか、巴里から帰ってきてからは菓子の種類も増えたしよぉ。あたいら的には嬉しいけど毎日準備してくれる申し訳なさもあるんだぜ?」

 

「完全に気分転換だ、気にするな」

 

「真面目な顔をして言うことではないな」

 

 無駄にキリッとした顔で返す玄治にグリシーヌが微妙な顔をし、大神が結論を出す。

 

「とにかく、玄治も今日ぐらいは休んでくれよ。

 昼からお昼ご飯も兼ねて上野公園に花見にしに行って、夜も支配人達に言って店屋物を取ろう」

 

「それじゃぁお昼まで解散ですね」

 

 食事を終えてそれぞれが席を立ち、玄治が後片付けをしていれば当然のようにかすみと花火が流しに立ちエリカとマリアが食堂のテーブルを片付け、ラチェットとレニがロベリアを引っ張って食堂の掃き掃除を行っていた。

 

「・・・お前ら、俺の仕事を奪うんじゃない」

 

「にやけながらなーに言ってんだよ、ドクトル」

 

「いやぁ、お前らとこうして傍にいるだけで顔がにやけて仕方ない。俺の顔に皺が出来たらお前らのせいだぞ?」

 

 笑いながらそんなことを言っても、ただの惚気にしか聞こえない。

 

「なら、私達に皺が出来たらあなたのせいね。玄治」

 

「舞台女優の顔に皺を作るなんて罪な人、これは一生責任を取ってもらわないといけないわね?」

 

「そうだね、僕らはハカセが嫌がっても傍にいる」

 

「嫌がるわけないだろ、無用な心配はしなくていい」

 

 マリア、ラチェット、レニの言葉に玄治が両手をあげ、かすみがそういえばと切り出す。

 

「お弁当は作らなくてもいいということは決めましたが、敷物は必要ですよね?」

 

「そうだな、敷物と他に何か・・・」

 

「ワガハイモ、ツレテイケ!」

 

 中庭から食堂の窓へと飛び込んできたアルセーヌを、エリカが両手で受け止めた。

 

「アルくん! 勿論です!」

 

「フントモ!」

 

「わかった、僕がリードを持っていくよ」

 

「そうなるとこいつら用の飯だけは持って行った方がいいな」

 

「ですね、流石にお二人の分は出店で売ってないでしょうし」

 

 他に準備するものがないか、しばらく考えても浮かばなかったのでその場で一度解散することになった。

 

「玄治は地下に行くの?」

 

「あぁ、少しでも銀座文書を読んでおきたい。それに俺の記憶を思い出すかもしれないからな」

 

「記憶、ね。

 こういってはなんだけど、思い出さないのも選択肢だということを忘れないでほしいわ」

 

 ラチェットのおもいもがけない発言に玄治が目を丸くするが、かまわず続ける。

 

「一度はあなたが忘れたいと願ったことは事実だわ。

 あなたには知る権利も、このまま忘れる権利もあるのよ」

 

「わかってる。

 悪いな、言いにくいことを言わせてるようで」

 

「いいえ、私はあなたに光を貰った身だわ。影ぐらいは背負わせて頂戴」

 

「俺の希望の星が何を言ってるんだよ」

 

 金の髪に触れながら告げればラチェットは耳まで赤らめて、同じように玄治の長い髪にキスを落とした。

 

「あなたがそう言ってくれるから、星組は今も輝いていられる」

 

 

「あー! ラチェットさんと玄治さんがイチャイチャしてます!」

 

 

「え、エリカ・・・ 声がでかい」

 

「だって、お二人ともすっごく仲良しなのが嬉しいんですもん!」

 

 玄治とラチェットを二人まとめて抱きついてくるエリカに苦笑いしていれば、エリカが急に玄治を中庭に引っ張っていこうとする。

 

「ゲンジさんそれはそうと、ちょっと中庭に来てもらってもいいですか?」

 

「なんだなんだ、中庭で何をやらかした?」

 

「もー、まだなんにもやってませんよ! あそこの木に風船が引っ掛かっているんです。ゲンジさんの背なら簡単に届くと思って」

 

 引っ張られていけばそこには紅蘭とコクリコ、さくらとアイリスまでおり、普段なら絶対に避けて通る面子に玄治が後退りかける。

 

「おっ、玄兄。まだ地上におったんやな、珍しい」

 

「おじちゃん! あそこの風船取ってもらってもいい?」

 

「だからなんでお前らの中で、そんなに地下に引き籠ってるように思われてんだよ・・・」

 

 文句を言いつつ言われるがままに風船を取ってやれば、表に書かれた漢字を見て紅蘭に渡せば、そこに大神がやってきた。

 

「皆、どうかしたのかい?」

 

「あぁ、そこの木に何か引っ掛かってたから俺が梯子代わりにされたんだよ」

 

「玄治兄さん、もっと言い方あるでしょ!」

 

「でも、おじちゃん背が高くて便利だよねー」

 

「そんなこと言ってる奴はこうだ」

 

 『便利』と言ったアイリスを左肩に乗せ、ついでにコクリコも右肩に乗せれば二人は一瞬驚くがキャッキャッとはしゃぎだす。

 

「すごいすごーい! お兄ちゃんだって見下ろせちゃう!」

 

「おじちゃんっていつもこの高さで僕らを見てるんだね、凄いや!」

 

「おう、こんくらい軽い軽い。

 で、赤チビ、なんて書いてあったんだ?」

 

「村に咲く花を世界に届けたい女の子からの手紙や。なんかえぇなぁ、こういうの。

 この風船も風に乗って中国から日本に来たみたいに、運命ってあるんかもなぁ」

 

 少女からの手紙を胸に抱く紅蘭に、さくらが強く頷いた。

 

「早速庭に植えましょうか」

 

「それなら巴里と半分こにしよう。二つの都市で同じ花が咲くと良いね」

 

「大神さん、その考え方すっごく素敵です! 女の子の願いが巴里にも届くんですね!」

 

「それじゃ種はコクリコに預けておくか」

 

「うん、僕がしっかり預かっておくよ」

 

「じゃぁ、帝都の種はここに植えてっと」

 

 コクリコがしっかりと種を持ち、アイリスが庭に植えたところでその場は解散となり、玄治は地下への階段を下りていく。

 自室の前に辿り着けば、そこには玄治を待っていらしいかえでが立っていた。

 

「玄治くん、今、平気かしら?」

 

「勿論、部屋にどうぞ」

 

 かえでのその真剣な表情に玄治はすぐに部屋に通せば、ソファのテーブルに写真が置かれた。

 

「どうかしましたか?」

 

「この写真を見て頂戴」

 

 そこには銀座のある一場面を撮ったものであり、そこには人影のような何かが映っていた。

 

「これは?」

 

「これは太正四年、降魔が日本橋の地下から現れる少し前の銀座を映したものよ」

 

「・・・今回の金の蒸気は、天海の封印よりも前の存在ということですか」

 

「わからないわ。

 でも、この姿はやっぱり能楽師のもの。そうなると金春流とのかかわりは否定出来ない」

 

「これまで降魔の発現はミカサ建造の星竜計画によって地脈が寸断されたことが原因だとされてきた、それすらも覆されるってことですか?」

 

「そうだとしたら、この人物が何者かが事件を紐解く鍵になるわね。

 現状、推測の域を抜けないところが悔しいわね」

 

 二人で両腕を組みながら考え込んでも、答えは出ない。

 

「かえでさん、金春流がいつ・どうして途絶えたのかはわかっていないんですか?」

 

「わかっていないわ。

 でも確実に言えるのは、降魔が現れた時には既に名を残していなかった可能性が高いことよ」

 

「そうですよね、銀座を鎮めていた一族なら戦力として選抜されてもおかしくはなかった」

 

「えぇ、ただでさえあの頃は軍から如何に霊力が高い者を見つけるかで苦労していたもの。軍ですらままならない中、一般市民のことなんて把握なんて出来ていなかった」

 

 そこで二人の間に沈黙が訪れ、玄治は頭をかく。

 

「俺の一族が殺された理由はなんだったのか、ここに隠されているかもしれないと考えるのは考えすぎですか。かえでさん」

 

「・・・それも含めて否定出来る要因がないわ」

 

 再び重い沈黙が訪れ、今度はかえでから口を開いた。

 

「今日はもう考えるのはここまでにしておきましょう。

 こんな話をしておきながら難しいかもしれないけれど、午後はしっかり楽しんできなさい」

 

「そうですね、巴里の皆にも上野の桜を見せれる最高の機会なのでのんびりしてきますよ」

 

「それはいいわね、私も花が散らないうちに見に行こうかしら。

 それじゃぁ、私はもう行くわね」

 

 そう言って立ち上がるかえでを扉まで見送り、玄治は銀座文書を開いていく。そこに書かれた人物の名を呟く。

 

「金春流の能楽師であり、金座・銀座を築いた大久保 長安、ね。

 大久保・・・ 大久保・・・ なんだ? 俺はこの名を聞いたことがあるのか?」

 

 何故か引っ掛かりを感じて声に出して繰り返してみるが、よくわからないままで首を傾げる。

 

「おい、ドクトル。引き籠って読書なんかしてないで、こっちに来いよ」

 

 壁の向こう側からノックの音が響き、玄治は思考を振り払って壁に向かって言い返す。

 

「いや、そっちに行くのはちょっと・・・」

 

「んだよ、こんな面白い部屋だってのにもったいないね」

 

「俺を恋愛対象にしようとしてかすみとラチェットに牽制された奴らだけどな」

 

 巴里に行く前に実際にあったことをあげれば、ロベリアの声が一段階低くなる。

 

「あっ? どういう意味だ、それ」

 

「そのままの意味だ、そいつらマジで心は乙女だぞ。さくらとか見習った方がいいくらいだ」

 

「アンタ、そういうところがあいつらを怒らせてるって気づけよ」

 

「俺をからかったり、叱ったりしてくるだから、これぐらいおちょくってもいいだろ」

 

「まぁいい。おい清流院、ちょっと話がある」

 

「はっ、はいぃぃぃ!」

 

 隣で巴里の悪魔式のお話し会が開催されているだろうが、玄治は静かになったところでもう一度銀座文書のページをめくれば、そこには不穏なことが書かれていた。

 

「どう足掻いても俺達が生きるのは人の血の上、か」

 

 銀座文書を閉じ長い溜息を零してから、愛刀を手に持って抜き放つ。

 幼い己が持っていたという一度は折れた刀、師によって二度目の生を受けた同じ運命を背負ってきた愛刀・我霊天晴。

 

「お前なら何か知ってるのか?」

 

 答えなどない。否、問うている玄治自身本当に答えを求めてるかもわからない。静かに愛刀を鞘に納め、定位置である腰に下げる。

 

「考えすぎても仕方ない、か。

 ・・・大久保の名で墓でも探すしかないか。いや、政府に追われて殺された奴の墓なんざ残っちゃいないよな」

 

 そうして考えることをやめて自室を出れば、ちょうど出たところに花火とエリカがいた。

 

「あっ、ゲンジさん。

 大神さんからプロポーズされたんですけど、どうすればいいですか?」

 

「は? エリカ、お前何言ってるんだ? 流石に大神でも俺の婚約者だってわかってるお前らにそんなこと言うわけないだろ」

 

「はい、勿論断りました!

 でも、花火さんも聞かれてたみたいでとりあえずゲンジさんに相談したいなって」

 

 あっさりと断ったことを告げるエリカに玄治は意味がわからず花火に助けを求めれば、花火もその通りだと頷いた。

 

「私も大神さんを疑いたくありませんが、私達は婚約者のある身です。お断りしたんですけどどうも話が嚙み合わなくて、聞かれた意味がわからなくなってしまって」

 

「あー・・・ なるほどな。

 今度の舞台のことで、話の主軸の一つにしたいらしい。あいつ、総合演出になることで頭がいっぱいだからどうにも言葉足らずになってて駄目だよな」

 

「『あぁ、無情』でですか? でも主軸にするほど恋愛の話ではないような・・・」

 

「演者であるあいつらが興味を持ったことを主軸の一つにしたいんだと」

 

 玄治がざっくりと説明すれば二人もようやく納得したように顔を見合わせ、ほっと肩を降ろした。

 

「なーんだ、そういうことですか。よかったです」

 

「でもな、もし俺より大神が良いようだったら・・・ 「玄治さん、あなたと言えどそこから先は口にしてはいけません。私達が好きなのは、あなたです」

 

 そう言ってそっと花火が玄治に寄り添えば、エリカも胸に飛び込むように抱き着いてくる。

 

「そーですよゲンジさん、私達はゲンジさんが好きなんです!」

 

「・・・そーかよ。ったく、本当に困ったもんだ。俺が地獄に落ちたら、お前達もついてきそうで悪いことだって出来やしない」

 

「ゲンジさんがジゴクになんか行くわけないじゃないですか!

 こーんなにたくさんの人を助ける物を作って、皆を笑顔にしてるゲンジさんは神様の一番近いところに行くに決まってます!」

 

「私は地獄でも構いません。あなたの傍こそが、私達が居るべき場所ですから」

 

 笑顔であり得ないと言い切るエリカと、笑顔でとんでもないことを言う花火に玄治は苦笑する。

 

「おいおい、やめろよ。マリア達も同じことを言いそうで笑えん」

 

「私が何? 玄治」

 

「げっ・・・ なんでもな「ゲンジさんがジゴクに行くわけないって話です!」エリカ・・・」

 

「あなたが地獄に落ちる? ありえないわね、あやめがそんなことを許すわけないわ」

 

 慌てて誤魔化そうとする玄治をエリカが聞くわけもなく、マリアがすぐさま否定する。

 

「地獄に落ちたとしても、サキさんがあなたを追い出しそうよね。まぁ私も褒められた生き方をしてないから、案外私の方が地獄行きかもしれないけれど」

 

「オイオイ、ラチェット、どんな生き方をしてきたんだよ? アタシみたいに真っ当な生き方をすりゃ地獄行きなんてことにはならないだろ?」

 

「ふふっ、巴里の悪魔様が面白い冗談をおっしゃるんですね」

 

 マリアの背後からは見慣れた面々が顔を出し、玄治が変な顔になってしまう。

 

「どうしたんだよ? 皆揃って」

 

「そろそろ集合の時間ですよ、玄治さん。

 敷物も準備は出来ましたし、あとはあなたを待つばかりです」

 

「あなたを財布代わりにしようとしている子達もいるけどね」

 

「困ったもんだよなぁ? こいつはアタシの財布だってのに」

 

「言われなくても俺が買うつもりだったけどな。お前らは楽しんでくれればいい」

 

 マリア達と共に集合場所である玄関に向かえば、他の面々が揃っていた。

 

「玄兄、おっそいでー」

 

「悪い悪い、いろいろとやることがあってな」

 

「時間にルーズな男は嫌われまーす!」

 

「玄治はいいのよ、私達が迎えに行くから」

 

「ラチェットは駄目な男が好きですねー」

 

 ケラケラと笑う織姫にレニがぼそりと告げる。

 

「覗き魔を好きな織姫ほどじゃない」

 

「レ、レニ!? 今、さらっと酷いこと言わなかったか?!」

 

「大神、諦めろ。お前がレニを男と勘違いしてたのは言い訳出来ない事実だ」

 

 皆の前ということもあり、表現を易しくして大神の肩を叩く玄治に大神ががっくりと肩を落とす。

 

「隊長、肩を落とすでない。

 男なら自分がしてしまったいかなる行動にも責任を持ち、堂々としていろ」

 

 グリシーヌの援護の言葉に事実を知っている面々が何とも言えない表情をし、大神も苦笑いしか出来ずにかすみから受け取った敷物を抱えなおす。

 

「と、とりあえず、上野公園に行こうか」

 

『おー!』

 




弁当を作らない花見って なんか落ち着かないな
おじちゃんって、実は働かないと落ち着かないところあるよね
玄治兄さんはコクリコみたいに真面目じゃないですけどね
次回 『花見の宴 蘇る名と記憶』
太正桜に浪漫の嵐! 愛の御旗のもとに
思い出した 俺の名は・・・
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