花見から帰ってきて玄関で一度解散し、大神は疲れたらしく伸びをしてから玄治に視線を向けた。
「俺はこれから風呂に入ろうと思うんだけど、たまには男二人で入らないか?」
「いや、まだ事件からそう経ってない。俺達二人が同時にのんびり風呂に入ってるわけにはいかないだろ
一人で入るのが嫌なら薔薇組でも誘ったらどうだ?」
「一人でのんびり浸かってくることにするよ」
玄治の提案をなかったことにして一人で大浴場に向かう大神を見送れば、玄治は自室で一息ついているとラチェットが入ってきた。
「どうした? ラチェット。皆と二階に行ったんじゃないのか?」
「えぇ。皆お風呂の準備をして下に戻ってきたから、私は後であなたとゆっくり入ろうと思って」
「入らないからな? 俺一人で大浴場使うなんてもったいないだろ」
「だから私と入れば問題ないでしょう?」
誘惑するように玄治の体に触れながら告げてくるラチェットからやんわりと距離を取り、手を前で交差してバツの形を作る。
「俺が大浴場で混浴してるなんてバレたら、さくら達から何されるかわかったもんじゃないから絶対しない」
「なら、あなたの個室の浴室でどう? それならバレないわ」
「ラチェット、やめろ。俺だって男だ、理性がもたなくなる」
「ふふっ、それが狙いに決まってるでしょう?」
玄治が理性と欲望に負けそうになっていると、大浴場の方から悲鳴が響いた。正直、何人もの声が重なり合っていて何を言っているのかわからなかったが、玄治はチャンスとばかりに大浴場に向かい脱衣所に入る前に声をかける。
「おい! 何があった!?」
が、男女いずれかが使用している時にかかっている筈の掛札がなく、この時点で既に嫌な予感しかしない。
「私が中を見てくるわね」
「待て、ラチェット。中に大神がいるかもしれないからくれぐれも気をつけてくれ。
それから大神が万が一マリア達の肌を見てたら、容赦なく目潰しを頼む」
「えぇ、了解したわ」
玄治の独占欲を感じてクスリと笑って入っていくラチェットに、脱衣所がバタバタと慌ただしくなっていく。そして、競い合うように飛び出してきた泣き顔の紅蘭とカンナに玄治は目を丸くしたが、涙を隠そうとする二人を出来るだけ優しく声をかける。
「どうした? 二人とも」
「げ、玄さん・・・」 「玄兄ぃ!」
二人が玄治に抱き着いて泣き出し、状況がわからないなりに頭を撫でて落ち着かせる。
「どーしたどーした? ほれ、落ち着いて話してみろ」
「た、隊長がさ、あたいに結婚について聞いてきたから勘違いしちまってた。そうだよな、あたいなんか女じゃないもんな」
「う、ウチも大神はんに結婚について聞かれたもんやから先走ってもうた。で、でも、み、皆に聞いてるなんてあんまりやないか・・・!」
二人の発言に大神がやらかした事態を理解し、泣き止まない二人をよしよしと頭を撫でてやる。
「なるほどなぁ・・・ お前らが俺にあんなことを聞いたのはそういうことか。うん、俺も全体像がわかってきたぞ」
内心で『大神、説教確定』と決めつつ、玄治はふと浮かんだ疑問を思いのままに口にする。
「で、お前らは大神のことを実際どう思ってるんだ?」
「えっ・・・ その・・・」
「な、なんで今聞くん? 玄兄」
「いや、お前ら他の連中と違って大神のことを恋愛対象として認識しているようには見えなくてな。
で、他の奴にまで告白まがいをして泣くくらい悲しいってことはそう言うことなのかと思ったんだが、違ったか?」
玄治の突然の問いかけに、二人は泣き顔から頬を赤らめて顔の熱を逃がそうとしだした。
「それはそのさ・・・ 玄さんはあたいにとって兄貴だし、隊長の優柔不断なところも知ってるけどさ。やっぱ、男として見れるのは隊長なんだよな」
「さくらはん達が大神はんを好きなのは知っとったし、そんな中にウチが入っていくのは気が引けてたけど・・・ やっぱり結婚って話をされた時、嬉しかったんや」
「そうかそうか。よし、わかった。
大神には俺ががっつり説教してやるからな」
二人の気持ちを聞いた末の結論が、最初と変わらず大神への説教となった。
「それと大浴場はどうして入ったんだ? 大神が入ってるのは知らなかったのか?」
「掛札がかかってなかったから普通に入ったら、隊長が入ってて・・・ この大混乱さ」
「・・・あいつ、女所帯だから気をつけろって散々言ってきたのに」
「それはウチらの注意不足もあるから、きつく言わんといてあげて」
「よくない。マリア達の裸を見たんだろ? 俺の婚約者の裸を見たことは断じて許さん。
というか、まだ責任とる覚悟もない癖に結婚前の女の裸を見た責任は普通に重いだろ」
玄治の個人的な怒りと正論に二人も苦笑いし、服を着なおした面々が続々と出てきた。
「玄治兄さん! 聞いてください! 大神さんってば酷いんですよ!」
「全員に! 全員に!! 結婚の話をしていたなんて、非常識すぎますわ!」
「まったくだ! いくら全員との結婚を我々が受け入れたとしても、発言があまりにも軽率で無責任すぎる!」
「そーでーす! 私達がどんな気持ちで結婚の話を聞いたのか、乙女心をなんだと思ってるんですか!」
「お兄ちゃん、酷い!」
「イチローが悪いんだ!」
全員の意見を聞いたところで、玄治も頷く。
「あぁ、今二人から話を聞いたよ。
で、マリア達の裸を見たんだよな? あいつ」
玄治が静かに怒っているのを察して出てきたマリア達が、次々と声をかける。
「玄治、落ち着いて。隊長だってわざとじゃないってわかっているでしょう?」
「マリア、これはわざとかどうかが問題じゃない。
見たか、見てないかが焦点を当てられているんだ」
「落ち着いてください、玄治さん。
湯気でほとんど見えていないでしょうから、ご心配はありません」
「落ち着けるわけないだろ? かすみ。お前らは俺のだ」
「お気持ちはわかりますが、落ち着いてください。
それにその・・・ 玄治さんが望むなら私の肌で良ければいつでもお見せしますので」
「花火も落ち着け。
俺は正式に結婚するまで、そういうのはしないって言っただろう?」
「ゲンジさんのそういう実は真面目なところ、だーい好きです!」
「俺も好きだが、今はそういう問題じゃないんだ。エリカ」
「なんだよ、ドクトル。
アタシらを独占したいのかよ? それともあれか? アタシらの裸は誰にも見られてくないってか?」
「婚約者の裸を他の男に見られて心穏やかにあれるほど、俺は心が広くない」
「玄治、大体のことは聞いてきたわよ。
皆も一度、サロンに行きましょう。大神隊長も後で来るように伝えたわ」
最後に出てきたラチェットに状況を伝えられ、大神好きの皆が足早にサロンに向かう中で早速今から大神に説教しに行こうとする玄治の首根っこを掴んだ。
「マリア、離してくれ。
俺は同じ男としてあいつに言わなきゃならな「それも含めて上で話しましょうね」
マリアの補助をするようにそれぞれ玄治の体の持てるところを持って全員で引っ張っていく姿は、とてもおかしな光景であった。
時を少し遡る。
大神が玄治と別れて一人で大浴場に向かい、衣服を脱いで体を洗ってから風呂に入って一息ついた。
「はぁ~、今日もいろいろあったなぁ~」
花見でのあれこれを思い浮かべながら、困った顔をしながらも自然と笑みが零れていることに気づいて、大神は溜息と共に呟く。
「あぁ、幸せだなぁ~」
心地よい温度のお湯、広い大浴場を一人で使っているという優越感と開放感。同じ日本人なら大神のこの心地よさがわかる者が多いだろう。
「それにしても結婚観について、巴里花組に皆にも聞いたけど皆答えを保留にしたり、自分なりに考えてたり、繋がっている証になるならいいとか、なんだか曖昧な答えだったなぁ」
玄治の婚約者であるエリカと花火とは何故か話が噛み合わなかったが、二人ともどこかずれたところがあるため会話が成立しないことはたまにあることであるため、いつも通りと言えばいつも通りだろう。
「結婚かぁ・・・ 俺にとって、結婚ってなんだろう?」
いつもの大神なら『よくわからない』の一言で片づけていたかもしれないが、一番近くにいる親友である玄治は早くに覚悟を決め、皆を迎えられるように体制を創り上げ、それに加えて婚約者であるマリア達ともよく話し合って公の正妻などについても取り決めている。
だが、それに対して自分はどうだろう?
『お前、さくら達と出会って何年だ? もう四年だ、十六だったさくらが二十になったんだぞ。
あいつらはお前を信じて十分待った。
いい加減、お前も本気で考えてやれ』
不意に巴里で玄治に突きつけられた言葉を思い出し、大神はお湯を顔にかける。
「皆を受け止める覚悟、か。
俺もいい加減、腹をくくらなきゃだよなぁ」
皆を受け止め、正妻を決めるか。
それとも誰も選ばずに、花組の隊長としてあることを選ぶか。
「俺は・・・」
悩みは尽きず、答えに迷っていると何故か脱衣所の方から賑やかな声を聞こえてきた。
「しかし流石現役名門サーカスの団員やなぁ、コクリコ。
あないな数の酒瓶をジャグリングしたり、手品したり、周りを楽しませる天才やないか?」
「褒めすぎだよ、紅蘭。
紅蘭だってあんなにたくさんのお皿を回せちゃうなんて凄いよ。ねっ、今度僕ら二人で一緒に舞台に立ったらもっと凄いことになるんじゃない?」
「ふふっ、お二人が一緒だったら凄く楽しい舞台になるでしょうね」
「本当、最終的に何枚のお皿と酒瓶だったでしょうね。周りの人達で見ていた人達からもおひねりも貰っちゃったし」
紅蘭達が先頭になって入ってきたことに大神はすぐさま背中を向け、硬直する。
「あれ、ラチェットがいませんねー? てっきりお風呂で第二試合をするのかと思ってたんですけどー」
「ラチェットさんのことですから、今頃貴さんのところにでも行ってるんでしょう。あの二人は特に一緒に行動したがりますから」
「まったく、ドクトルのどこがそんなに魅力的に映るのやら・・・ 私には理解できぬ」
言動からして周囲を見渡しているだろう織姫にすみれが冷静に返し、グリシーヌの溜息が響く。
「結局引き分けなんざ・・・ しらけた終わりになっちまったな」
「そんなこと言うなよ、ロベリア。あたいは楽しかったぜ?」
「勝負は勝負、引き分けでも無駄じゃない。
それに、まだしばらく帝都にいるならいくらでも勝負できる」
大神が知らないところでロベリアとカンナが勝負していることを知って冷や汗が噴き出るが、レニが厳しく言ってない辺り物騒な勝負じゃないと信じたい。
「うーん・・・ ちょっと頭痛いです」
「アイリスもー・・・」
「二人にお酒はまだ早かったみたいね」
「お風呂を出たら、二日酔いのお薬をお出ししますね」
飲酒した二人は既に二日酔いの前兆があるらしく、二人を見守るマリアとかすみの優しい声が聞こえる。
が、いずれの声も今の大神にとっては刑の執行を告げる前触れにしか感じられない。
(か、掛札をし忘れた・・・!? ど、どうすれば)
不意に数年前の夏を思い出してお湯の中に潜水しようか迷うが、ここは密室の室内且つ人数はあの時の約四倍。圧倒的不利な状況だと理解して、大神は隠れることを諦めた。
「あれ? 誰かいますよ?」
エリカが気づいたらしくその視線の先にいる大神に全員の注目が集まり、大神は右手をあげた。
「や、やぁ、皆」
そうして浴室内に響く悲鳴、反響する声。
「中尉さーん、いくら結婚前提だからってこーいうのは順序がありまーす!」
「せ、せやな、大神はんも男やから気持ちはわかるけど流石に犯罪やで」
「いくら婿になる者といえど、婚約もしていない身で婦女子の肌を見るなど不埒だ! 成敗する!」
「グリシーヌ、何もそこまでしなくても・・・」
「お兄ちゃん、結婚をしてくれるからっていくらなんでもお風呂を一緒にするのはエッチすぎるよ! べーっだ!」
「イチロー、婚約者だからっていきなり断りもなく一緒にお風呂に入ろうとするなんてエッチだ! いーっだ!」
「隊長がこんなことをするなんて・・・ 軽蔑する」
「ま、まぁ事故みたいなもんだな。あたい達も不注意だった」
「中尉も中尉ですわ、一緒に入りたいなら前もって言ってくださいまし。こちらにも準備というものがあります」
「すみれさん、そういう問題じゃないんですよ・・・」
「大神さんって、その・・・ とっても素敵な体ですね」
「えっ? ゲンジさんの方が素敵な体してますよ?」
エリカの発言に場が凍り付いたところで、マリアが代表して大神に問いかけた。
「隊長・・・ この件について、ご説明いただけますか?」
「ほら、言えよ。何かあるんだろう?」
大神に詰め寄ってくる織姫、グリシーヌ、ロベリア。
カンナの背に隠れるアイリスとコクリコ。
中間地点で呆れるレニとさらっととんでもないことを言っているすみれ、すみれの発言にため息を零すかすみと険しい顔で説明を求めてくるマリア。
そして、脱衣所の陰に隠れながらも止めに入る花火と大神を犯罪者発言する紅蘭。指の隙間から大神の体を凝視するさくらと爆弾発言をするエリカ。
が、そこで皆がそれぞれの発言の違和感に気づき、それぞれに共通する『結婚』の言葉に全員が一度顔を見合わせた後、大神に向かって叫ぶ。
『どういうことですか!?』
「隊長・・・ あんまりだぜ、それは」
「大神はんのおたんこなす! 甲斐性なし! 女たらしのアホンダラ!」
女優の声量がさらに反響し、カンナと紅蘭が涙目になって飛び出すのと入れ違いで、服を着ている状態で人数分のバスタオルを持ったラチェットが入ってきた。
「脱衣所の前から声をかけたのだけど・・・ 何があったの? あら大神隊長、入っていたのね」
「ら、ラチェット。助けてくれるのかい?」
「いいえ、助けに来たわけじゃないわ。
もう少しで玄治と二人っきりで入浴出来そうだったところを皆の悲鳴のせいで邪魔された・・・ わかりやすく言えば、私も被害者の一人ね」
花組の面々にバスタオルを配りながら、被害者ぶるラチェットに他の面々からツッコミが入る。
「ラチェットさん、それは被害者って言わないんじゃ・・・」
「むしろ中尉がとばっちり、が正確ですわね」
「ラチェットさん、また抜け駆けですか?」
「ラチェットは昔からそーいうずる賢いところありますよねー」
織姫の言葉にラチェットは鼻で嗤いながら、告げる。
「あら、私は名実ともに玄治の婚約者よ? 愛する異性に肌を見たい、見せたいと思うことは当然だと思うけれど?」
「おい、そーいうときはアタシらを誘えっての」
「誘う前に皆と大浴場に行ってしまったから仕方ないでしょう? それに玄治の自室の浴室は狭いから全員は無理よ」
「ラチェット、あなたとの話し合いは後回しよ。
とりあえず隊長、浴場の使い方についてと皆に結婚について話した二つの件を含めてこの後サロンで話し合う。ということでよろしいですね?」
マリアの冷静な一言に大神は頷くことしか出来ず、皆がバスタオルに身を包んで脱衣所へ戻っていく。
「ら、ラチェット、君はまだ出ないのか?」
「脱衣所に入るタイミングを私が見守っていた方がいいでしょう?
あぁ、あなたの肌を見ていることなら気にしないで。私は玄治以外の男性に興味がないもの」
一人浴室に残っているラチェットに大神が問いかければ、本当に気にしている様子のない彼女に大神はさらに聞いてしまう。
「それはわかっているし、助かるけど、その・・・ さっきの騒ぎ、気にならないのかい?」
「掛札がかかってなかった時点で大神隊長の不足と、あの子達の注意不足だわ。これに関しては両成敗が妥当だと個人的には思うのだけど・・・ 玄治に大神隊長がマリア達の肌を見ていたら目潰しするように指示されているのよね」
「め、目潰し・・・ それはその、本当に申し訳ないと思ってるよ。玄治には勿論、マリア達には誠心誠意謝ろうと思ってる」
「まぁ、その件については一度置いておきましょう。
問題はもう一件について、ね」
女性側から見れば裸を見られることは些事とは言えない上に、人の婚約者の裸となると下手すれば大事になりかねないことだが、ラチェットはもう一件について切り出す。
「正直に言うと、あなたが結婚観を皆に聞きだした頃から私を始めマリア達三名はこの混乱を予想していたわ。」
「それなら皆に誤解していることを伝えてくれれば・・・」
「『あなた、プロポーズされたと思っているようだけど勘違いよ?』って伝えるの?
あの子達にそんなこと言ったら、それこそどうなるか想像がつくんじゃない?」
「うっ!」
そこで大神が痛い所を突かれたとばかりに黙るが、ラチェットはさらなる追い打ちをかける。
「元々あなたは昨年巴里に赴任する前に少尉から中尉に昇進し、巴里に遠征するという実績を積んできた。軍人としての経歴も順調に重ねているわ。
そして今回、あなたは劇場に勤務している身としてはモギリからクリスマス公演の演出という経験を積んで今回総合演出という出世を果たした。
普通なら結婚をして所帯を持つには、ちょうどいいタイミングだと思わない?」
「そ、それは・・・」
「今まで皆の前であえて言わなかったけれど私達は結婚適齢期の女盛り、恋した男にはそういう考えを持っていても何もおかしなことでしょう。その上私達は玄治の行動力もあって、一足先に婚約者という正式な立場を得た。あの子達があなたの一挙一動を意識するのも仕方ないことで、そんな相手から『結婚』の二文字が飛び出して来たら舞い上がってしまうのだって当然だわ」
「うぅ・・・」
お湯に沈もうとしている大神を見ながら、ラチェットは笑っている。
「簡潔に言ってしまえば、あなたの乙女心への無理解と配慮不足が問題ということね」
「き、厳しすぎないか?」
「玄治はあなたに甘いから、ここまで口にしないでしょう? それに女の視点から厳しい言葉をあなたは知っておくべきだわ」
「それは・・・ その通りだ」
ラチェットの正論を受け止める大神の姿にマリア達なら花組なら許すだろうが、ラチェットは生憎鳥組である。
「まぁこの事態は、これまで答えを曖昧にしてきたツケが回ってきたと思って諦めて頂戴。大神隊長」
「はい・・・」
浴室の中で小さくなる大神に、ラチェットが脱衣所を覗いて状況を確認して問題ないと判断する。
「私が脱衣所を出る音がしてから脱衣所に入ってきなさい。それじゃぁまたサロンで会いましょう」
そう言ってラチェットが見送り、大神は意味もなく天井を見上げる。
「はぁ~・・・ まずは玄治や皆に謝らないとだよな。
それから皆にちゃんと誤解だったことと、俺なりに考えていることも伝えないと」
再びお湯を顔にかけてスッキリとさせてから立ち上がり、慎重に脱衣所に入っていくのだった。
さぁ中尉さん しっかり説明していただきますわよ?
浴場の件も 結婚の件についても 嘘偽りなく貴公の口から釈明してもらおうか
こわ~い二人に詰め寄られるなんて 中尉さんも大変ですねー
次回 『託されていた願いと希望』
太正桜に浪漫の嵐!
あぁ俺は・・・ こんなにもたくさんの想いを託されていたんだ