「私と契約して魔法少女になりなさい」   作:NARです。

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初めまして、NARと言います。
続けられるように頑張ります。

※空けすぎた行間が気になったので修正しました。
※気になった言い回しがあったので修正しました。文脈は変わっていないのでお気になさらず。

※早速【チェンソーマン】のネタバレがあります。ご注意ください。


転校生と教師

__

 

 

____

 

 

_______

 

 

 

どこまでも広がる、青々と茂った草原。

覚束ない足取りで、柔らかな草を踏んで歩く。

 

 

見えるのは、果ての見えない地平線だけで、時々バスタブや靴の片方が転がっている。

一体どこからここに入り込んだのか、皆目見当もつかないものばかり。

 

 

 

耳元に、微かな息遣いが聞こえる。

とても苦しくて、悲しい声が近くで鳴いている。

 

 

その時、目の前には一つの扉があった。シンプルな木製のドアで、それは私を待っていたかのように佇んでいた。

その扉の取っ手に私の手が伸びる。

 

 

唐突に、視界にノイズが入り始めた。ソレは扉を開けようと手を近づける程に激しくなっていき、目の前が真っ暗になっていく。

 

 

 

そして、____

 

 

 

 

 

 

 

_____ガチャリという音と共に、意識がぶつりと途切れた。

 

 

 

「........はぁぁぁ........またあの夢か。」

 

 

再び目を開くと、日の光が差し込む見慣れた自宅の天井だけが見えた。

 

 

 

 

 

 

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<鹿目まどか>

 

私たちのクラスに転校生がやってきた。

その子の名前は、暁美さん。暁美ほむらさん。

暁美さんはとてもキレイな子で、ちょっと不思議な雰囲気を纏っているように見える。

もしかしたら、昨日見た夢のこともあって、そういう風に見えちゃってるだけなのかもしれないけど......。

 

そして、今はその暁美さんと一緒に保健室に向かっているところ。

体調が優れないらしい暁美さんに、「連れて行ってほしい」って言われて、それで保健係として案内しているんだけど........。

 

(私、本当に必要だったのかな?)

 

私よりも先を歩いて、暁美さんはずんずんと廊下を進んでいってしまっている。保健室の場所は既に知っているみたい。

保健係として、暁美さんの身体を支えてあげたりした方がいいのかなって思ったりするけれど、暁美さんは教室に入ってきた時から変わらない涼し気な表情で歩いているから、特に補助が必要とかも感じない。

本当に私、いる必要があったかな?

 

それからも、ただ黙ったまま歩いているのも気まずくて、なんとかお話しできないかなって喋ってみるけれど、状況は変わらない。むしろ、だんだんと声が上擦ってきちゃって、上手く喋れているのか自信が無くなってきちゃう。

暁美さん、じゃなくて”ほむら”ちゃんって呼んでもいい感じになって、もしかしたら距離が縮まったのかなって思ったけれど、私の勘違いだったのかな。

 

突然、ほむらちゃんが廊下の真ん中で足を止めて、私の方に振り返った。

 

「鹿目まどか、あなたは自分の人生が、尊いと思う?家族や友達を、大切にしてる?」

 

そして、ほむらちゃんはいきなりそんなことを私に聞いてきた。

あまりに突然すぎて、何を言われたのか一瞬分からなかったけど、真剣な表情で私の答えを待っているほむらちゃんに、私も正直に答えた。

 

「、........私、は、........大切だよ。家族も友達のみんなも、大好きで、とっても大事な人たちだよ」

 

それを聞いたほむらちゃんは、「本当に?」って聞いてきたけれど、嘘なんかじゃないって答えた。これは、まぎれもない私の本心だから。

 

「そう、もしそれが本当なら、今とは違う自分になろうだなんて絶対に思わないことね。さもなければ、全てを失うことになる。」

 

ほむらちゃんはそう、忠告みたいなことを言った。

正直、何のことだかさっぱり分からない。上手く呑み込めなかったほむらちゃんの言葉は、どこか遠くに流れて行ってしまった気がする。

 

その時だった。二人っきりだった廊下の中に、カツ、カツって固い靴音が響いた。

私たち以外の誰かが来たのだと気づいたとき、廊下の向こうから”先生”が歩いてくるのが見えた。

 

「おはよう、二人とも。こんなところで内緒話かな?」

 

校舎の陰から現れた”先生”に日の光が降り注ぎ、”先生”のキレイな赤い髪に目が惹かれる。

”先生”は今日も、思わずぼうっとしてしまうくらいとても綺麗だった。

 

気が付くと、”先生”は私たちのすぐ前にまで来ていた。

 

「どうしたの?もうすぐ授業が始まるよ。」

「........あ、マ、マキマ先生!おはようございます!」

 

声を掛けられたところでやっと返事をした私は、さっきとは違った意味でドキドキしながら廊下に二人でいた訳を説明しようとした。

 

「これは、その、ほむらちゃんを保健室に案内しているところだったんです。」

「ふふ、そうだったんだ。」

 

マキマ先生は私を見てクスリと笑った。私は恥ずかしさのあまり顔を覆いたい気持ちを、ただ目を逸らして耐えるしかなかった。

マキマ先生はそんな私から顔を逸らして、私より手前にいたほむらちゃんの方に顔を向けた。

........?ほむらちゃん、どうしたんだろう?なんか、怖い顔してる?

 

「君がほむらちゃんだね、今日転校してきたばかりの。私の名前はマキマ。世界の歴史をみんなに教えているよ。よろしくね。」

「........よろしく、お願いします。」

 

ほむらちゃんはゆっくりと頷いて、じっとマキマ先生の目を見つめていた。マキマ先生も、こてんと首を傾げてほむらちゃんを見つめ返している。

 

「........失礼します。」

 

だけど、ほむらちゃんはそう言ってマキマ先生から顔を背けて、廊下の奥へと歩いて行っちゃった。

その場に取り残された私とマキマ先生は、なんとなく顔を見合わせた。

 

「........私、何か怒らせるようなことしたかな?」

「........やっぱり、初対面の人をいきなり”ちゃん”付で呼ぶのは、ちょっと馴れ馴れしいんじゃないかなって、その、思います........。」

「そっかぁ。まあ、すぐに慣れると思うけど。」

「先生はやめないんですね........。」

 

「やめないよ」と頑なに譲らない様子のマキマ先生を見て、思わず苦笑いを浮かべてしまった。

 

 

 

あ、ほむらちゃんを一人で行かせちゃった!お、追いかけないと!

 

 

 

 

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<マキマ>

 

 

(どうしよう........。)

 

現在、マキマこと私は、背後から感じる謎のプレッシャーに冷や汗を流していた。

ゲームやアニメが好きだったただの平凡な学生だったはずの私は、【チェンソーマン】という漫画に登場するキャラクター__マキマさんにいつの間にか転生してしまい、悪魔であることをなんとか隠しながら懸命に生き続け、そうしてあっという間に20年以上の年月が過ぎた。

この世界に生まれ落ちたばかりの頃は、自分が【チェンソーマン】のラスボスキャラである支配の悪魔__しかもマキマ(子供ver)に転生したことに気づいていずれ迎えるだろう未来に震えたり、怪我や病気とかで悪魔特有の体質がうっかりバレてしまわないかとビクビク震えながら子供時代を過ごしたり、ムカついたクソジ........上司を支配してしまおうかと魔が差した自分に震えたり、とにかくなるべく平穏な生活を送れるように頑張って生きてきた。

........よく考えたらずっと震えてるな?チワワかな。

 

まあ、つまり何が言いたいかと言うと、これまで私は己の正体がバレないように__何回か危ないシーンはあったけど__上手く隠して生きてきたわけで、今さらそう簡単に隙を見せるような人外転生者ルーキーではないということだ。

 

それなのに、それなのに___

 

(なんでそんなにこっちを睨んできてるのかな、ほむらちゃん!?)

 

直接確認せずとも分かる無言の圧が、前列の席に座っているほむらちゃんからヒシヒシと伝わってくる!まるでジッと注意深く観察するような、警戒心マシマシな視線がジリジリと私の背中を焼いている。

なんだろう?何がそんなに気になるのだろう?もしかして私、自分が気付いていないところでポカやらかしてしまったのだろうか!?

 

私は教壇に立って電子黒板に文字を書きながら、ほむらちゃんの鋭い視線に込められた意図を見抜こうと、グルグルと思考を巡らせていた。

 

(いや、落ち着け、私!今はまだ、私の正体がバレたと確定したわけじゃない!もしかしたら、授業でちょっと分からないところがあったとか、そんな些細なことが理由かもしれないよね!)

 

よし、ここは一つ、ほむらちゃんに声を掛けてみるとしよう。

キリの良い所で板書を書く手を止めた私は、その内容を教室のみんなに解説しながら、さりげなくほむらちゃんに声を掛けてみた。

 

「ほむらちゃん、さっきの説明で何か分からないところでもあったかな?」

「!........いえ、大丈夫です。」

 

ほむらちゃんは急に私に声を掛けられたからか、一瞬ビクッと肩を揺らしたかと思うと、次の瞬間にはフッと表情を消してそう言った。

う~ん、そうか。別に授業が分からなかったとか、そういうのではないのかな?もう少し様子を見てみようか。

 

「そう?気になることがあったら遠慮なく質問してね。」

「はい。」

 

ほむらちゃんから視線を外し、私は授業を再開した。

だが、その直後にジッッッ!!!と強烈な視線がグサリと私に直撃した。

言わずもがな、視線の主はほむらちゃんだ。

 

(あれ???なんでもっと睨みがキツクなっちゃってるのかな、ほむらちゃん???)

 

その目はもはや、先程までのコソコソ探るような視線___と言ってもめちゃくちゃ分かりやすかったけど___ではなくなり、まるで親の敵を睨むかのような目付きへと超進化していた。

 

なんでそんなに睨んでくるの!?一体私が何をしたっていうの!?

 

その時、私の脳内に今朝の記憶が落雷のごとく飛来した。

 

(ま、まさか、ほむら”ちゃん”って気安くちゃん付けしたことを根に持ってるのか!?)

 

最早それしか考えられない。支配の権能は人間を意思の無い操り人形にしてしまうくらいにまで出力を上げないと目視できない力だから、私が人外だとバレる可能性は限りなく低いはずだし、やっぱり何かポカした覚えは何一つない。

ならばもう、ほむらちゃんが顔に出るほどまでに私に抱いている感情は、疑念ではなく怒りしかない。そして、「馴れ馴れしいんじゃないかな」と言っていたまどかちゃんの言葉を考えれば___

 

 

 

即ち、ほむらちゃんはちゃん付けで呼ばれることが嫌い、ということだ!

 

 

 

くっ、私としたことがっ、初めましての初っ端から生徒の不信を買ってしまうとは!何たる不覚!

........いや、諦めるにはまだ早い。第一印象がマイナスからのスタートではあるけれど、今後の対応次第ではプラスに持って行くことは十分可能かもしれない。

よし、そうなったら、まずは少しずつコミュニケーションを取ることから始めよう。会話を通してお互いのことを理解し合っていけば、自ずとしこりは解消されていくはずだ。

 

ふふふ、待っていてね、ほむらちゃん!いつか必ず、私は君を攻略して仲良くなって見せるから!!

 

 

 

……あれ、なんか乙女ゲーム始まった?この世界は【チェンソーマン】じゃなくて、乙女ゲームの世界だった!?

 

 

 

 

 

この時の私は知らなかった。

彼女との出会いが、この世界の物語が始まったことを意味する、プロローグであったことを……。




マキマメモ その1

マキマさんに転生してから一度も自分以外の悪魔を見たことが無ければデビルハンターという用語も聞いたことが無いので、この世界は【チェンソーマン】とは違う別の異世界なのではと、だいぶ初期に気づいていた。確信に変わったのは小学校で悪魔について教わらなかったとき。
ちなみに、彼女の転生した世界が【まどかマギカ】の世界だとは知らない。なぜなら未履修だから。
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