「私と契約して魔法少女になりなさい」   作:NARです。

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こんにちは、NARです。
皆さんの感想、評価、お気に入り登録、毎度感謝しております!ありがとうございます!
誤字報告もしていただいて、とても助かっていますし、嬉しい限りです!

さて、活動報告でも言っていましたが、ちょっとストーリーをしっかり練っていたので時間がかかりました。読んでくださっている皆様、お待たせしてすみませんでした。
個人的には納得のいく仕上がりになったので、皆さんも楽しめるように仕上がっていたらいいなと思います。

長々と失礼しました。本編へどうぞ。


宣戦布告

<マキマ>

 

まどかちゃん達が帰っていき、静かになった家の中で二人っきりになった私とほむらちゃん。

彼女だけは帰宅せず、「帰る前に聞きたいことがある」と言ってきたほむらちゃんに内心ドギマギしつつ、その内容について尋ねた。

そうして返ってきた返事は、以下の通りであった。

 

 

「マキマ、そろそろ私に教えてくれないかしら。あなたの、正体について。」

 

 

「随分と唐突だね?」

 

思わず、心の声がそのまま口から出てしまった。

 

いや、本当に急だね?いきなり改まった様子で「聞きたいことがある」って言われた時はまさかと思って身構えてはいたけど……えっ、本当に急だね??

 

「えっ………と、どうしていきなりそんなことを?」

「私たちは正式に協力関係を結んだんだから、いい加減教えて欲しいと思ったからよ。」

「あ~~~……今話さなきゃダメ?」

「そういう言い方をするってことは、私には既にあなたの言う機密について知る権利があるのね?なら、ぜひとも聞かせて欲しいわね。」

「うっ、まあ、そうなんだけど………。」

 

私の心の準備がまだと言いますか………。

書類とかの手続き的には確かに問題ないけれど、改めてこっちで場を整えてから話そうかなって思ってたものだから、その___

 

___うん、ガチガチに緊張してます!今完全にOFFモードでありますから!

 

うう、ここはなんとか先延ばしに出来ないかな?今週末には一度本部に戻る予定だから、その時にほむらちゃんも連れて行って、そこで話すって感じにできないかなぁ。

 

そんな風に頭を悩ませていると、「その……」とほむらちゃんが珍しく控えめな声を出した。

 

「どうしても今じゃ都合が悪いって言うなら、大人しく引き下がるわ。私も、あなたに秘密を話すよう強要することなんてできないから。」

 

ほむらちゃんのその言葉に、私は思わず顔を上げた。

ほむらちゃんはきっと、あの日ファミレスで私の手を取った時から、ずっと私の秘密について知りたかったはずだ。いや、それよりも前、私と初めて会った時からそうだったのかもしれない。

にもかかわらず、この貴重な機会を自ら手放すようなことを良しとしたほむらちゃんの言葉に、私は驚いたのだ。

 

私には限られた人にしか明かせない秘密がある。その一つは無論、私が支配の悪魔であること。これは何も「人外とバレて怖がられたくない」なんていう私情マシマシの理由などではなく(3割くらいは思ってる)、私という存在が今の公安対魔特異課にとってなくてはならない重要なシステムの一部になっているからだ。

だから、おいそれと私の秘密を話すようなことはできない。それこそ、悪魔の『契約』を結びでもしない限り……。

 

ほむらちゃんにとって私は、ずっと得体のしれないナニカであったはずだ。そんな存在に自分の背中を預けることなんて、普通はできないはずだ。

だけど、ほむらちゃんはそんな私の手を取ってくれた。

そこには私を上手く利用しようといった思惑や、メリットさえあるなら構わないといった諦めが、もしかしたらあったのかもしれない。

それでも、どんな形であれ、ほむらちゃんが私に感じてくれていた信頼はあったのだと思う。

 

 

(なら、私はその信頼に応えたい。)

 

 

わざわざ二人っきりになってまで、真実という闇の中に踏み込もうとする彼女の勇気を無碍に扱うことは、私にはできなかった。

 

 

私は「ほむらちゃん」と呼び掛けて、こちらを向いた菫色の瞳と目を合わせる。

そして、口を開きかけた____

 

____その時だった。

 

 

 

 

 

 

「僕にも君の秘密を聞かせて欲しいな、マキマ。」

 

 

「「!?」」

 

 

 

 

この場において聞こえるはずのない声が、私達の鼓膜を震わせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<暁美ほむら>

 

突如現れた”ヤツ”の気配に、緩んでいた緊張感が私の中に戻ってくる。

すぐさま魔法少女に変身していつでも銃を抜けるようにし、新たな気配を感じた方へと目を向ける。

 

すると、やはりそこに()()はいた。

一切の穢れも見えない純白の体毛に身を包み、ビーズのような赤い瞳を持ったケモノ。

ソレが毛づくろいをする姿は一見、無害そうな小動物を思わせるが、その実態は人間を食い物にする害獣だ。

 

 

インキュベーター__またの名を、キュゥべえ。

 

 

少女に奇跡を売り歩き、絶望へと導くそいつは、夜空を映す窓を背にして私たちを見下ろしていた。

 

(どうして、アイツがここに!この家は、マキマがキュゥべえの介入を防ぐために手段を講じていたはずなのに!)

 

キュゥべえの持つ技術力は、人類の持つソレと比較するのも烏滸がましいほどに発達している。やはり、いくらマキマが未知数の力を持っていたとしても、キュゥべえからすれば無駄な足搔きだったということかしら……。

 

(いや、待って。まさかとは思うけど、マキマとキュゥべえは裏で繋がっていた?)

 

あり得ない話ではない。

マキマの持つ力は、その全容が謎に包まれてはいるけれど、私達(魔法少女)の常識からかけ離れた異次元の力であることは明白。

だが、もしその力が、キュゥべえの力によるものだったとしたら?

 

(もしそうだとしたら、私はまんまと罠に嵌められたということになる!人間の心を掌握することに長けるマキマを経由すれば、まどか達を魔法少女にするのも容易い!私は、もう後戻りできないところにまで踏み込んでしまっている!?)

 

一度、嫌な想像が働いてしまえば、次々と最悪のシナリオが頭の中に浮かんでくる。

 

__全ては、マキマとキュゥべえの掌の上だった?

そんな疑念が際限なく湧き出し、銃のグリップを握る手に嫌な汗が滴る。

 

私は、さっきから微動だにしていないマキマへと銃口を向けた。

 

「マキマ!これは一体どういうこと!?あなたは私を騙していたの!?」

 

私がそう追及した、次の瞬間。

不自然なほどに黙っていたマキマが、バッと勢いよくこちらに振り返った。

 

「ちちち違う!違うからね、ほむらちゃん!ここここれは何かの間違いで!あの、えっと……とにかく違うの!!」

 

両手を上下左右にバタつかせ、首もブンブンと横に振って全力で無実をアピールし始めたマキマ。

その勢い全開の迫力に思わず気圧されつつも、負けじと私はマキマを問い質す。

 

「な、なら!なんでキュゥべえがここにいるの!?あなたの方で何か対策をしていたんじゃないの!?」

「した!したよ!だけどなんでかここにいるの!キュゥべえ、君どうして私達がここにいるってわかったの!?」

「そう複雑なことじゃないさ。君の近くにいる魔女……君は魔人って呼んでいるんだっけ、その魔人から発せられている魔力の揺らぎを観測していたら、不自然な動きをしているのを見つけたんだ。見滝原市にあった魔人の反応が一瞬で別の場所に移動した、まるで瞬間移動のようにね。だから、ボクはその反応を元に君たちの現在地を割り出したのさ。」

「__だって!ごめん、ほむらちゃん!」

 

マキマは謝罪しながら頭を下げ、その勢いで机にゴンっ!と額を打ち付けて「いったぁぁぁあい!?」と悶絶し始めた。

そのまま仰向けに倒れて「違くて……ごめん……痛い」と、否定しているのか謝っているのか、それともただ痛みに呻いているだけなのか分からない状態になったマキマ。

そんな彼女を見て、真剣に問い詰めている私が馬鹿みたいに思えてきてしまった。

 

「あなた、なにをしているの……?」

「違うんです……私の見通しが甘くて……痛いよぉ……。」

「……もう一度聞くけど、キュゥべえと手を組んでいるわけじゃないのね?」

「ちぎゃう……わたし、キュゥべえ嫌い……。」

「……キュゥべえ。」

「マキマの言っている通りだ。ボク達とマキマは協力関係ではないよ。」

 

その言葉を聞いてマキマは裏切ったわけではないと知り、私は溜息と共に向けていた銃口を降ろした。

「ボクは嘘をつかないんだから、真っ先にボクに聞いてくれたら早かったのに。」などと余計なことを言うキュゥべえを無視しつつ、嗚咽まで漏らし始めたマキマを助け起こした。

 

「……大丈夫?」

「いたい……いたいよぉ、ほむらちゃん。」

「本当になにをしているのよ、あなたは。」

 

よく見たら、マキマの額が赤くなって腫れていた。聞こえてきたゴンっ!という音からでも分かるけど、相当な力で頭をぶつけたらしい。

 

(まあ、それだけ必死になっていたということなんでしょうけど……。)

 

彼女の腫れている額を見て、一瞬でもマキマを疑ったことに罪悪感を抱きつつ、まるで子供のように泣くマキマの額を魔法で治癒していった。

やがて怪我が治り、マキマが落ち着きを取り戻し始めたところで、律儀に待っていたキュゥべえが声をかけてきた。

 

「そろそろ落ち着いてきたかい、マキマ?」

「ズズッ……君に、心配される筋合いは、ひっぐ、無いよ、キュゥべえ。」

「それにしても驚いたよ。()()()から随分と感情豊かになったね。まるで別人のようだよ。」

()()()?」

 

キュゥべえの発した言葉に引っ掛かりを覚え、つい口に出してしまう。

そんな私の疑問に気づいたらしいキュゥべえが頷き、その続きを語り出した。

 

「ボクとマキマが初めて出会ったのは、今から30年くらい前なんだ。あの頃のマキマは今よりずっともの静かで、周りにいる人間には無関心な子供だったのに。」

「ちょっと、勝手に人の黒歴史を明かさないでくれる?」

 

泣き止んだマキマがギロッとキュゥべえを睨んだ。が、死すら恐れない地球外生物が睨まれた程度で怯むはずもなく、「ごめんね、勝手に話して。」と言葉だけの謝罪をするだけだった。

というかそれよりも、___

 

「マキマ、あなた一体いくつ__」

「ほむらちゃん、たとえ女性同士だろうと禁句だよ、それは。」

「あ、はい。」

 

ニコリと笑って私の失言を窘めたマキマだったが、その目は全く笑っていなかった。

私は直感に従って大人しく口を閉じることにした。

 

そうして口を一文字に噤んで傍観者になったところで、マキマとキュゥべえのやり取りが再開する。

 

「話を戻すけど、君の言う秘密について、ボクにも教えてはくれないかい?ずっと気になっていたんだ、君が一体何者なのか。」

「君に話すわけがないでしょ?だからさっさと帰ってくれないかな。」

「そういう訳にもいかないよ。君の力はボク達にとっても未知数だ。ボク達の技術力を以てしても解明できず、直接調べようにも君がボクの目の前で力を使ったあの瞬間まで、君の存在を30年間補足することもできなかった。その不可解な力の全容を、なんとしても明らかにする必要がある。」

「私からしたら『だからなに?』って話だよ。君たちに教えてあげるつもりは毛頭ないし、調べさせるつもりもない。私の周りを嗅ぎまわられるのも迷惑だし、今ここで君達のネットワークを乗っ取って、一斉に自害させてあげようか?」

「それができるなら、君はすぐにでも実行しているはずだろ?それをしないということは、不可能だと言っているようなものさ。」

「……じゃあとりあえず帰ってくれる?何度も言うけど、君に話すことは何も無いよ。」

「……仕方ないね。君の正体について聞くのはまたの機会にするよ。」

「いや話すことは無いって言ってんでしょーが!またも何も無いよ!」

 

目を三角にしていきり立ったマキマだったが、当然ながらキュゥべえは相変わらずの作り物めいた涼しい顔をしている。

威嚇しても意味が無いと悟ったマキマが「ほむらちゃん、あいつムカつく!」と小学生みたいなことを言って縋ってきたので、鬱陶しいくらいにグイグイ来る頭を押さえて「落ち着きなさい」と宥めた。

その瞬間にハッとした表情で「ほむらママ?」と寝言をほざいたマキマを無視しつつ、私の方からもキュゥべえに対して口を開いた。

 

「マキマもこう言っているんだし、あなたも早く帰りなさい。こんなところにいても時間を無駄にするだけよ。」

「いや、ボクはまだマキマに聞きたいことがあるからね。帰るのはその答えを聞いてからにするよ。」

「だ!か!ら!話すことは無いって言ってるでしょ!」

 

私の腰に腕を回したままのマキマが声を上げるが、キュゥべえは「さっきまでとは別の話だよ」と否定した。

一体、マキマに何を聞くつもりなのか。そんな疑問を抱きながら、キュゥべえの口からその”聞きたいこと”が語られるのを待った。

 

キュゥべえは一度瞬きをすると窓辺から降りて床に着地し、改まった様子でマキマを見上げた。

 

「マキマ、()()()の答えをもう一度聞こう。

 

 

 

___僕と契約して、魔法少女になってくれないかい?」

 

 

 

「!?」

 

キュゥべえが口にしたその言葉に、私は思わず耳を疑った。

キュゥべえが魔法少女にする少女の選定には、いくつか条件があると推測している。その中でも顕著にみられるのは、キュゥべえが契約を持ちかけている相手はいずれも『小学生から思春期真っ只中の中学生の少女』という点だ。

しかし、マキマは__実年齢はともかく__どう見ても大人だ。大人であるマキマは当然ながらこの条件には合っていない。

 

だがキュゥべえが選ぶ相手は、なにも”全て”の『小学生から中学生の少女』ではない。そのうちの、魔法少女としての”素質”があると見做した相手にのみ、キュゥべえは契約を持ち掛けている。

 

___その”素質”とは何なのか?

残念ながら、その答えを私は知らない。もしかしたら、『小学生から中学生の少女』の中にその”素質”を持つ人間が多いというだけで、本当に重要なのは『”素質”が有るか無いか』だけなのかもしれない。

 

(つまり、マキマには魔法少女としての”素質”がある?しかも口ぶりからして、キュゥべえがマキマに契約を持ち掛けるのはこれで二回目らしい。わざわざこうしてキュゥべえが契約を持ちかけるほどの何かが、マキマにはあるの?)

 

訊きそびれてしまったマキマの正体。

それに加えて、マキマの持つ素質とキュゥべえの関係性。

 

一つ明らかにするどころか新たな謎が増えてしまった……。

どんどん謎が深まっていくことに頭を悩ませつつも、マキマとキュゥべえのやり取りを見守る。

私の腰に巻き付けていた腕を解いたマキマが、キュゥべえへと向き直った。

 

「そんなの、答えは決まっているよ。キュゥべえ、私は君と契約は結ばない。」

 

キュゥべえの勧誘に対し、マキマの答えは実にシンプルなものだった。

しかし、マキマの口から発せられたその声は、今まで聞いた中でも底冷えするような温度の無い声だった。

それは私に向けられたものではないと分かっているはずなのに、私は思わず息を止めてしまった。

そんな張りつめた敵意を向けられていながらも、キュゥべえは尚も諦め悪く居座っている。

 

「どうしてだい?30年前、君は確かに一度、ボクに奇跡を()()()だろう?その願い事はもう無くなってしまったのかい?」

「無いよ。私の願いは夢になったから。」

「……そっか。なら仕方ないね。」

 

キュゥべえは目を伏せて溜息をついたような仕草をすると、窓辺に跳びあがった。

そのまま星と人口の明かりに包まれた夜の世界へと飛び出そうとする前に、キュゥべえは振り返って言葉を残した。

 

「マキマ、君はこれからもボク達の邪魔をするんだろう?だから、ボク達もそれ相応の対応を取らせてもらうよ。君の力はただの魔法少女とは比べ物にならないほどに厄介で、危険なものだからね。」

「それは宣戦布告と受け取っていいのかな?だったら望むところだよ。私の『名』の下に、徹底的に潰してあげる。」

 

 

 

 

「ボク達は諦めないよ。君と鹿目まどか、少なくともどちらかが魔法少女になってくれるまではね。」

 

 

 

 

そう告げたキュゥべえは相変わらずの無表情だった。

けれど、キュゥべえには感情が無いはずなのに、去り際に見せたその瞳には底の知れない執念が燃えているようだった。

 

 

 

開け放たれた窓からキュゥべえの姿が消えてから、しばらくして。

机に突っ伏していたマキマが弱弱しい声で喋り出した。

 

「ごめんね、ほむらちゃん。私の慢心のせいで、キュゥべえの侵入を許しちゃった……。」

 

そう謝罪するマキマの姿には、先程までのような冷たく鋭利な大人の仮面は完全に取り払われていた。

その様子を見て、改めて「なんて差の激しい人なのか」と思いながら、緩く首を振った。

 

「あなたが謝る必要は無いわ。奴らが神出鬼没なのは今に始まった話ではないし。」

「うぅ、ほむらちゃんが優しい。……もっかいナデナデしてくれる?」

「ちょっと何を言っているのか分からないわ。」

 

調子に乗ったマキマを素気無くあしらうと「ほむらちゃんが厳しい……」とぼやいてそのまま沈黙してしまった。

そんな大人として情けない姿に何とも言えない気分を味わっていると、マキマが不意に声色を変えて話し出した。

 

「ほむらちゃん、私の秘密についての話だけど、話すのはまた別の機会にで良い?ここだと、キュゥべえに聞かれちゃう可能性があるから……。」

「……分かった。それに関しては、私も異論は無いわ。あなたの方で準備ができたら、またその時に聞かせてもらうわ。」

「ありがとう、ほむらちゃん。」

 

未だ突っ伏したままのマキマだったが、私の賛成の返事を聞いて声にいつもの柔らかさが戻ってきたようだった。

キュゥべえに聞かれる可能性を危惧しているあたり、マキマの抱えている秘密は公安対魔特異課にとっても重要な情報なのは間違いない。

だけど、彼女がこれほどまでに慎重になるのには個人的な理由もあるように思えた。……私も、同じようにいくつもの秘密を抱えている身であるせいか、どこか安心したようなマキマの心がなんとなく分かるのだ。

 

(お互い、秘密主義っていうのは難儀なモノね。)

 

 

 

さっきのマキマとキュゥべえの会話にあった、『一度はキュゥべえに奇跡を願った』と言っていたこと。

それは即ち、マキマはキュゥべえと()()()()()()()()()()()という意味のはずだが、なぜマキマは魔法少女にならなかったのか?

それだけでも今この場で聞こうかと思っていたけれど……きっとマキマの秘密と関係があることなのだろう。

なら、その時にまとめて教えてもらうことにしようと思い、そっと胸の内にしまったのだった。

 

 

 

結局、キュゥべえの割り込みによって時間を食ってしまい、そのまま夜も更けてきたとあって、今日は解散することになった。

「良かったら泊まってかない?」と誘ってくるマキマを「ガワだけとはいえ教師としての自覚を持て」と正論ビンタをかまして黙らせ、マキマに車で家まで送ってもらった。

 

玄関を開けて家に入ると、風呂に洗濯、明日の学校の準備とテキパキ済ませる。パジャマに着替えてベッドに近づけば、昼間から夜にかけての諸々の疲労を自覚した体がクタリとフカフカのベッドへと倒れ込んだ。

ゆっくりと寝返りを打ち、天井を見上げる。

 

今日はいろんなことがあった。

 

__巴マミの死の回避。

__マキマの見せた一方的な魔女戦。

__まどか達への説明と説得をするための話し合い。

__久方ぶりにまどか達と囲んだ食卓。

 

 

そして、突然現れたキュゥべえとマキマの衝突。

 

 

(キュゥべえも、マキマも、あんなに敵意を張り詰めさせているのは初めて見たわ。)

 

果たして感情の無いキュゥべえが本当に敵意を持っていたかどうかは怪しい所ではあるけれど、基本的に人間を家畜のようにしか思っていないキュゥべえが人を相手にあそこまで威圧するような発言をするのは初めて見た。

そして、そんなキュゥべえの圧に退くどころか好戦的に向かっていたマキマもまた、魔女戦の時に見せたあの雰囲気とは別の恐ろしさを感じた。

そんな両者の舌戦は、この先に起こるであろう戦いを私に予感させるのには十分だった。

 

(今回の時間軸は、今までの時間軸とは一味も二味も違う。きっとこの先、私の想像以上の激しい戦いが待っているかもしれないわ。)

 

その戦いを生き延びてまどかを救うためにも、私は備えなくてはならない。

ベッドから起きて立ち上がり、学校指定のカバンに入れてあった一冊のパンフレットを取り出した。

 

その表紙にポップな字体で書かれているのは、

『ようこそ!公安対魔特異課へ!~特異課ってどんな所?~』というタイトル。

 

その内容と表紙がチグハグなものになっているふざけた代物を眺め、マキマが週末に計画しているという特異課社会見学の日に思いを馳せた。

 

「私は、ここで戦う力を手に入れる。……まどかは、私が必ず救って見せる!」

 

口から零れた誓いを再び胸に刻み込み、真っすぐに未来へと目を向けた。

 

 

 

私の戦いは、まだ始まったばかりだ。

 




___衝突する思惑。少女、戦いに備えよ。


お読みいただきありがとうございました。
まだしばらく忙しいので、きっと更新頻度は落ちたままになります。この二次小説を愛読してくださっている方々には申し訳ないですが、気長に待っていただけると助かります。

<マキマメモ その10>
宿敵を前にしても情緒がずっとジェットコースターに乗ったまま帰ってこないマキマ。
そんな彼女のあしらい方を理解してきたほむらだったが、その鬱陶しさに慣れるにはまだまだ経験値が不足している。
ちなみに、公安で最もマキマの世話の仕方(躾け方とも言う)を熟知しているのは、マキマが師と仰ぐ二人の最強のウィッチハンターである。

オリ主マキマが使った魔人の能力は?

  • 天使くん、ちゃん?
  • 実は地獄
  • 面食い狐
  • 未来サイコー!
  • ばん(銃)
  • 幽霊の全部
  • 蛇、丸呑み
  • 暴力さん
  • まさかのチェンソー
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