「私と契約して魔法少女になりなさい」   作:NARです。

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続きを待っていてくださった方々、お待たせしました。最新話の投稿です。
ようやく体調不良が治り、やる気と体力が回復しました。
ので、寝込みながらちょくちょく書いていた今話をしっかりと仕上げ、投稿しました。

それでは、本編へどうぞ。

※タイトルをデフォルトのまま投稿しちゃったので、書き直しました。すみません。
※とあるキャラクターの口調を修正しました。僕の中では大丈夫そうですが、皆さんからして上手く噛み合っているか分かりません。ちゃんと違和感が無くなっていれば良いなと思います。


変化、異変、予兆

<鹿目まどか>

 

「行ってきまーす!」

「行ってらっしゃい。車には気を付けるんだよ。」

「はーい!」

 

特異課見学から帰ってきた私は、いつもの日常へと戻ってきていた。

だけど、完全にいつも通りの日常っていうわけでもない。そこには確かな変化というものがあった。

 

 

 

「おはよー、まどか!」

「おはよう、さやかちゃん!」

「あれ、ほむらも一緒じゃん。おはよー、ほむら!」

「え、えぇ、おはよう……さやか。」

 

いつもの通学路を歩いていると、さやかちゃんが手を振りながら合流しに来た。そして、今さっきさやかちゃんが言った通り、ここにはほむらちゃんの姿もあった。

ほむらちゃんはさやかちゃんのテンションに慣れないのか、目を僅かに泳がしながらも挨拶を交わしていた。初めて会った頃みたいな刺々しさは無くなった気がするけれど、色々行き違いとかあったりしたからまだ完全には打ち解けられはしないかな?ほむらちゃんとも、これからいっぱいお話していきたいな。

そんなことを考えていると、隣に並んださやかちゃんが「そういえばさ」と口火を切った。

 

「先週の特異課見学、だっけ?マキマ先生の職場ってどんな感じだったの?」

「なんていうか、不思議な場所だったよ。絵本に出てくるみたいなお城の中で、スーツ姿の大人の人たちや魔人の子たちが行ったり来たりしてたんだ。」

「ナニソレどういう世界観?」

 

「詳しく」と迫ってくるさやかちゃんをどうどうと宥めつつ、特異課見学で見聞きしてきたことを口に出して振り返ってみた。

特異課ではどんな仕事をしているのか、特異課で働いている現役の魔法少女や魔人達はどんな人たちなのか、魔女対策のためにどんなことをしているのかとか、いろんなことを勉強してくることができた。マミさんからも魔法少女や魔女のことについてたくさん話を聞かせてもらっていたけれど、やっぱりたくさんの人を動かして全国の情報を集められる警察の情報力は段違いだった。私たちはどれだけ狭い世界で物事を知った気になっていたのかというのを思い知らされた気分だった。

 

「あと、沢渡ちゃんって魔人の子と契約も結んだんだ。」

「へ~、その沢渡ってどんな子なの?」

「マキマ先生も言ってたけど、ちょっとツンツンしてる子で、でも根は優しい女の子って感じだよ。」

『別に優しくないっての。』

「うおわ!?ど、どっから声が!?」

『ここだよ、ここ。』

 

そんな声と共に私のカバンの中から一匹の蛇が灰色の頭を出した。

さやかちゃんが恐る恐るといった様子で蛇を指差した。

 

「こ、この蛇が沢渡って魔人?」

『正確には使い魔だ。こうやって電話を使わずにやり取りできるから、まどかに連れてもらっている子機みたいなもの。本体の私はちょっと離れたところでアンタたちのことを見てるよ。』

「はえ~、魔人って使い魔も操れるんだ。」

『ま、性質的には一応魔女だからね。面倒だからやらないけど、結界を張ることもできるし。』

「なるほどなるほど。ってことは、ほむらも魔人と契約をしてきたの?」

「えぇ。」

「それってどんな子?」

「イナリよ。あの子は魔女を生け捕りにできる力を持った珍しい魔人だから、特異課に籍を置いている、或いは協力者である魔法少女は契約を義務付けられている魔人なの。」

「そうなんだ。イナリってあんなだけど、実はすごい魔人だったりする?」

「かもしれないわね。」

 

そんな感じで、私たちは特異課見学で見聞きしてきたことを話しながら学校への道を歩いた。

不意にさやかちゃんが羨ましそうに溜息をついた。

 

「いいな~。あたしも行きたいな~。また次の機会とかってあるかな?」

「……マキマは不定期で特異課見学を開催しているらしいわ。頼めば、いつでも連れていってくれるんじゃないかしら?」

「マキマ先生ならきっとお願いを聞いてくれると思うよ。今日にでも話してみるといいかも。」

「確かに、マキマ先生って基本的に生徒のお願いは何でも聞いてくれるしね。ちょっと相談に行ってみるとしますか!」

 

私とほむらちゃんの後押しを受けて、さやかちゃんは早速今日中にマキマ先生に話を聞きに行くらしい。マキマ先生は優しいから、きっとさやかちゃんのお願いを聞いてくれると思うな。

 

 

 

 

 

 

 

 

<マキマ>

 

「それで、首尾はどうかな、姫野ちゃん?」

 

学校の屋上にて。

私は支給された携帯越しに姫野ちゃんと定期連絡を取っていた。

電話の内容は、昨日に確認された()()についてだ。

 

始まりは、私がまどかちゃん達を伴って開催した公安対魔特異課の見学ツアー……それが終了し、まどかちゃん達を見滝原市に送り返した直後のことだった。

ネズミやカラスといった小動物の視覚・聴覚をリアルタイムで同期することで見滝原市全域に広げている私の監視網__【街の小さな密告者たち】が、見滝原市で起こった異変をいち早く察知した。

 

その異変とは、見滝原市にいたマーク中の魔女数体が()()()姿()()()()()というものだ。

 

隣の街に出ていったとか、未確認の魔法少女によって退治されたという可能性も当初は考えられた。だけど、その魔女たちは特異課がマークしていたという通り、私の支配下にあるネズミやカラス達が四六時中監視をしていたのだ。それらの魔女の動向や周囲の状況に関しては全て筒抜けであり、変化があれば真っ先に情報が私に伝わるようになっている。そのため、魔女がなんの予兆も無く突然、それも一斉に姿を消したというのは原因不明の異常事態であり、すぐさま調査が開始されたというわけだ。

 

スピーカーから姫野ちゃんの疲れた声が聞こえてくる。

 

『全然だめですね〜。どっかに移動した痕とか、魔法少女と戦った痕みたいな痕跡は何も残ってないです。』

「……そっか。必ず何か理由があると思うんだけどなぁ。」

『こういうのって過去にもあったとか無いんですか?』

「いや、こんな事態は初めてだね。私もずっと動物たちと知覚を共有しているわけじゃないけど、みんなが何かしらの異変を察知したら私にソレが伝わるようになっているんだ。それでも何が起こったのか分からなかったから、こうやって人員を投入して調べているんだよ。」

『そうなんですか……でも、他の班のところも収穫無しみたいですよ。』

「ゴーストちゃんも、何も見つからなかったって?」

『はい。”魔女はただ一瞬にして消えた”その事実がハッキリしただけです。』

「魔人の目を以てしても分からない、か。」

 

魔法の痕跡は無し。戦闘痕も無し。自然消滅したなんて可能性は論外だ。彼女たちは肉体を形作ったエネルギー体のような存在なのだから、消滅すれば内包していたエネルギーの開放が起こる。何の痕跡も残らないなんてはずがない。

そうなってくると、あとに残った可能性は絞られてくる。

 

 

インキュベーター……通称キュゥべえ。

地球の外の遠い宇宙からやってきた異星人で、地球の文明とは比べ物にならないレベルの科学力を持った存在。

 

 

そんな奴らが、私たちの想像を超えるような未知の技術を以て魔女を一斉に連れ去った。あるいは消滅させたとしか考えられない。

 

(だけど、一体何のために?魔女化の際に絶望のエネルギーを吐き出し終えた魔女を態々処理する理由?エネルギー回収に血眼な奴らが、そんなコストしかかからないことをする意味が無い。それか、魔女から新たにエネルギーを搾り取る方法を発見し、今回はその試験用に魔女を回収した?だったら何で見滝原市の魔女だけを回収したの?他の地域にいる魔女にはこれといった変化は無い。見滝原市にいる魔女だけが狙われた。一体なぜ…………?)

 

奴らの考えていることが分からない。元々お互いに分かり合うことなどできるはずがないとはわかってはいるけれど、それはあくまで共存を目指すならの話だ。種としての価値観がズレているというだけの話。そういうのは抜きにして、戦局を見守る指揮官の立場から見て奴らの目的が見えてこないのだ。

ただ……姫野ちゃんやマミちゃん、ほむらちゃん、そして魔人のみんなが言うには、まどかちゃんは魔法少女として逸脱した才能を持っているらしい。それはもう凄い才能だそうだ。そんな貴重な存在をキュゥべえがそう簡単に諦めるとは到底思えない。

即ち、キュゥべえはまどかちゃんを魔法少女にした際に得られるだろう膨大なエネルギーをなんとしてでも回収したいと目論んでいるはずだ。だからきっと、今回の異変の犯人がキュゥべえだというのであれば、私達特異課の意識をまどかちゃんから逸らす意図があるんじゃないかと思う。

それにしては随分と回りくどいやり方だと思うし、「この程度で私たちが動揺すると思われたのなら舐められたものだ」とちょっとカチンと来てしまうけれど……。

故に、何かもっと別の大きな思惑があるのではと疑わずにはいられない。ソレが全く想像できないとあって、沸々とムカムカした感情が湧き上がってくるのを感じてしまう。

 

私の築いた盤面に余計な手を伸ばしてくる輩がいて、そいつらを振り払おうにも手は暗闇の奥から伸びてきていて、いつどこから現れるのか、どうすれば完全に防げるのかが分からない。

ただ後手に回り、めちゃくちゃにされそうになる盤面の駒を神経すり減らして守らなければならない。

 

____全く私の思い通りにならない。

 

____私の物を横取りしようなんて許されない。

 

____あぁ、もう、本当に、心の底から____

 

「_____ムカつく。」

『え?なんか言いました、マキマさん?』

「…………えっ、あっ。」

 

その時、姫野ちゃんの不思議そうな声がぼんやりと耳に届いて、私はいつの間にか自分の世界に入り込んでしまっていたことに気づいた。

「いけない、いけない」と自身の注意散漫を咎めつつ、深呼吸をしてささくれだった精神を落ち着かせた。

 

『大丈夫ですか、マキマさん?』

「だ、大丈夫だよ~!そんなことより、姫野ちゃんは引き続き調査の方をお願いね!何かあったらいつでも報告してね!」

『は、はぁ。分かりました……。じゃ、これで失礼します。』

 

姫野ちゃんはそう言って電話を切った。

 

(……う~ん、ちょっと引いてた気がするな。いきなり声のテンション上げちゃったから変に思われたかも。)

 

自分の悪い癖だ。ちょっとでも思い通りにならないことがあると直ぐにイライラしてしまう。

果たして、前世の私はこんなにも怒りっぽい性格だっただろうか?などと過去を振り返ろうにも、そんな大昔のことなんか覚えているはずがない。まして前世だなんて、男だったか女だったかさえも覚えていないのに……。

 

(いかんいかん。これでも4課のリーダーなんだから。大人としてしっかりしないと!いつまでも子供みたいな癇癪起こしてたら、また先生に指導という名の暴力を振られちゃうぞ!)

 

パンパンと頬を叩いてイライラな気分と暗い気持ちを払い落とすと、うっすらと意識を繋げていた沢渡ちゃんとなぎさちゃんへと意識を集中させた。

 

『沢渡ちゃん、なぎさちゃん。二人とも聞こえる?』

『こちら沢渡、ちゃんと聞こえてる。』

『ばっちりなのです!』

『オーケー。さっきの姫野ちゃんとの会話は聞いてたよね。まだ原因がわかってないから、厳重警戒でお願いね。くれぐれも、子供たちの安全には気を付けて。もちろん、自分の身も大事にね。』

『分かってる。任せておいて。』

『安心してくださいなのです!マミは私が守ります!』

『頼もしいよ、二人とも!あとで二人には飴ちゃん持ってってあげるね。』

『ありがとうなのです!なぎさはチーズ味がいいのです!』

『いや、まだ仕事中なんだけど。』

 

なんて言うけど、ちゃっかり「コーラ味で」とオーダーを出して念話を切った沢渡ちゃんにクスリと笑みが漏れた。

なぎさちゃんのオーダーは……どうしよ。チーズ味の飴ちゃんってあるのかな?さすがに持ち合わせないな。仕方ない、帰り際にチーズケーキ買ってって差し入れてあげよ。

 

そんな風に勤務後の予定を考えるなどしているが、私の頭は現時点で直面している問題について思考を回し続けている。

今のところ、油断できない状況が続いているのは事実だ。ここからどう状況が変化していくのか分からない以上、私たちはいつでも対応できるように準備しておかないといけない。

 

私は屋上の転落防止柵に背を預け、空を見上げた。

宇宙の果てまで見通せそうな、透き通るような青空だ。時折通りかかる白い雲がいいアクセントになっている。

だけどふと、誰かに見られているような()()と目が合ったような気がした。

 

途端、せっかく落ち着いてきたところだった心が一気にささくれだった。

 

「獣風情が……私を見下ろすな。」

 

らしくもなく虚空に向かって睨み返すと……見られている気配はあっさりと消えた。だけど、奴らが周りで何かコソコソしているのは既に分かっている。

奴らに恐怖という感情が無い以上、いくら脅したところで意味はない。(悪魔)との相性は最悪だ。奴らの考えが読めないし、撃退するのに効果的な手段を瞬時に思いつかない。

 

(あぁ、なるほど。これが、頭のネジが外れたやつらを相手にするって感じか。ヤダなぁ、悪魔の天敵じゃん。)

 

イライラが収まらない。

何か気を紛らわせるものが無いかと懐を探れば、一本のタバコが出てきた。確か、昔に姫野ちゃんからお試しで貰った一本だった。姫野ちゃんのタバコの吸い過ぎを気にして話しかけたときに、タバコに興味があると勘違いされて渡されちゃったんだっけ。

手の中のその一本に視線を落とし、手持ち無沙汰にクルクルと弄ぶ。だが、私はライターなんか持っていない。

というか、学校の敷地内で吸っちゃダメだし。

 

その時、ガチャッと屋上と校内をつなげるドアの開く音がした。どうやら来客のようだ。

結局、イラついた感情をどこかに発散することもできないままになってしまった。それをなんとか胸の内に押しやり、笑みを作って訪れた人物に顔を向けた。

 

(……今夜、このタバコは返しておこう。姫野ちゃんには悪いけど。)

 

私は貰ったタバコを懐にしまいながら、そう思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<暁美ほむら>

 

__放課後。

 

あれから、美樹さや……オホン、さやかはマキマと話すことができたらしく、来週の週末に特異課見学へ行くことが決まったらしい。

『何故今週ではないのか?』という疑問については、既に心当たりがある。昨日、マキマから見滝原市で起こっている異変について記したメールが送られてきたのだ。特異課の方ではこの件の対処のために忙しく動き回っているらしい。だからきっと、ソレが落ち着くまではさやかを特異課見学に連れていくことができないということなのだろう。

ちなみに、マキマから送られてきたメールには『情報提供』や『要請があれば駆けつけて来て欲しい』などの協力を呼び掛ける言葉があったが、同時に『原因が解明されるまでは待機』という一文も添えられていた。私たち魔法少女の必要以上の介入は望んでいないということで、あくまで主体として動くのは特異課であるということなのだろう。謂わば、私に送られてきたメールは注意喚起というやつね。

ただ、まどかとさやかの会話からして、このメールは二人には送られていないようだ。私のように、特異課と協力関係を結んでいる魔法少女、つまり関係者にだけこの情報が伝えられているのかもしれない。もしかしたら、巴マ……巴さんも同じメールが届いているんじゃないかしら。

 

(とにかく、今の見滝原市には何か異変が起こっているらしい。私も長く魔法少女をやっているけれど、それ以上の専門家であるマキマ達が動いているのなら、向こうから呼ばれない限り私の出る幕は無いわ。私はただ、事が落ち着くまでまどか達の周囲に気を配ればいいだけよ。)

 

そう考えると、とてつもなく楽であると感じてしまう自分がいる。

ここからひとつ前の時間軸では、誰の協力も期待できないと見切りをつけて、一人ですべてをやり遂げようなどという無茶をしてしまった。計画の障害となる危険な魔女を倒し、神出鬼没であるキュゥべえの動向を逐一調べ、まどかが魔法少女にならないようにと周囲の環境にも気を配っていた。結局、当たり前だが私一人でそれらすべてを完璧にやり遂げることなんかできず、その結果まどかを救うことができなかったわけだから、今の時間軸に私がいるわけだけども……。

だがそれに比べれば、特異課という組織と協力関係を結べた今の状況はとてつもなく私に有利に働いている。私の代わりに周りの危険を取り除いてくれる上に、その実力はもはや疑う余地などない。一気に私のすべきことが実現可能な範囲にまで狭まり、余裕をもって行動することができている。

このままいけば、後は最後の難関をまどかの魔法少女化無しで突破すればいいだけ。希望は確かに見えて来ていた。

 

(だけど、楽観視はしてはいけないわね。相手はあのインキュベーター。この時間軸が他とは大きく異なっている以上、私の知っている未来で起こるはずの知識が全く役に立たない可能性は大いにありうる。奴らの動向は、これまで通り気を付けておかなければならないわね。)

 

まあ、と言っても、ここ最近は近くにキュゥべえの姿は影すら見ていないのだけど。

それを不審に思いつつ、病院へと続く道の手前でさやかに手を振って別れた。私とまどかは二人で並び、巴さんの住むマンションに向かって再度歩き出した。

今日は、巴さんのお見舞いに行く日だ。まだ完全に心の傷が癒えていない彼女は、外へ外出することに恐怖を感じている。それが完全に取り除かれ、彼女が元の生活を送れるようになるまでは、療養として学校を休むことになっている。

改めて思うけれど、やっぱりマキマの考えたあの作戦は少々やり過ぎだったのではと思わずにはいられない。私と姫野先輩も反対意見は出さなかったし、必要だと感じたから決行にまで移したが、その結果が巴さんの外出さえ困難になるほどの深刻な精神的ダメージなのだ。幸いにも完全に塞ぎこんでしまうほどではなく、私か魔人などのいざという時に戦える誰かが同伴であれば、散歩に行くくらいは可能ではあるようだけど……とはいえ、やはり巴さんの負った心の傷は深いようだ。

私は誰かのお見舞いに行くような性質ではない。だけど、こうしてまどかと一緒に巴さんのお見舞いに行くのは、そうしたことへの私なりの反省の意思でもある。

 

せめて、巴さんが速く回復できればいいと思う、今日この頃である。

 

 

 

 

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日が傾き、空が茜色に染まる頃。

 

独りの少女と、白い獣がとある展望タワーの中で密会を開いていた。

 

時間的にはまだ展望タワーが閉められるまで数時間の猶予があり、まばらに観覧者の姿が残っていてもおかしくはない時間であった。だが不思議なことに、その場にいるのは展望エリアの中心で毛繕いをしていた白い獣__キュゥべえと、奴に呼び出された赤毛の少女の二人だけだった。

まるで()()()()()()()()()()()ようながらんどうの展望エリアにて、少女はワッフルを齧りながらキュゥべえの正面にやってきた。

 

「よっ!来てやったぜ、キュゥべえ。」

「声をかけたのは僕の方だけど、まさか本当に来てくれるとは思わなかったよ。」

 

キュゥべえは少女を見上げながら、意外そうな声を出した。と言っても、奴の作り物めいた顔には一切の感情の変化は見られなかったが。

そんなキュゥべえに対し、少女は豪快にワッフルを齧ってニヤリと笑った。

 

「当然でしょ?マミの奴が魔法少女として戦えなくなった今、こんな絶好の狩場を放っておくわけないじゃん。まして、ぽっと出の奴に横取りされるなんてまっぴらだね。」

「そっか、君がそれだけ乗り気だというのはこちらとしても助かるよ。だけど、相手はなかなかの強敵だ。いくら君であっても勝つのは難しいかもしれない。」

「ハッ、あたしがそんなに弱い魔法少女に見えるわけ?……アンタの話だと、どうやってんのか知らないけど向こうは魔女を戦力として操れるんだっけ。確かにあたし一人じゃ厳しいかもだけど、こっちには情報があるわけだし、普通の人間が操ってるってんならやりようはいくらでもあるでしょ。それに、倒した分だけグリーフシードが手に入ると思えばなかなかオイシイ話じゃない?」

 

「アンタもしっかり働いてくれるんでしょ?だったら、なんとかなるでしょ。」

「君はベテランの魔法少女だと理解しているけど、その根拠の薄い楽観的思考はどこから来てるのか分からないよ。」

 

キュゥべえはやれやれと溜息をついたが、元から少女の参戦を止める気は無いらしい。

キュゥべえは少女の肩に飛び乗ると、今後の動きについて少女に質問した。

 

「今、見滝原は混乱の渦中にある。その上で、君はこれからどう動くつもりなのかな、佐倉杏子?」

「そんなの決まってんじゃん。

 

 

___一体ずつ、確実にブッ潰す。魔女狩りの開始だ!」

 

杏子と呼ばれた少女はそう宣言し、赤く輝く自身のソウルジェムを掲げたのだった。

 




____暗躍する二つの影。戦いの時はすぐそこに。

マキマメモ その14
少女達の間で、心の距離はぐっと縮まったらしい。ほむらは、さやかとマミとの交友関係に変化が生じ、以前までのような心の隔たりはかなり解消されたそうな。きっかけはそれぞれお菓子の魔女戦後にマキマの家で共にした夕食の時だったり、特異課見学の時に雑談に興じたりなどである。
また、マミとなぎさの距離感も一日の内にだいぶ縮まったそう。なぎさがマミをサポートするために一生懸命になっている姿が、マミにはとても微笑ましいものに見えたらしい。
各人同士の関係値は順調に進んでいると言えるだろう。
尤も、それを邪魔だと感じている異星人が密かに動いていたりするのだが……。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
前回から、ちょくちょく個人の好みに合う合わないが出てきたように感じます。
もし、僕の二次小説の展開に肩透かしを食らったという方には申し訳ないです。それでも僕は書きたいように書くつもりですが、こうして投稿している以上、皆さんとも一緒に楽しめたらいいなと思います。
さて、今まで僕自身、物足りなく感じていた【チェンソーマン】成分を増やしていきたいところです。どうぞ次回もよろしくお願いします。

それでは、また。
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