「私と契約して魔法少女になりなさい」   作:NARです。

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前話から少し時間が経ってしまいました。すみません。

言い訳になりますが、ちょっと忙しかったり、他にもやりたいことがあったりで手が回らなかったんです。

無事に見直しも終えたので、投稿します。


藪蛇

<暁美ほむら>

 

キーンコーンカーンコーン……

 

 

「はい!それでは皆さん、気を付けて下校してくださいね!」

 

早乙女先生の帰りの挨拶が終わり、教室にいるクラスメイト達は各々帰り支度を始める。

私もまた荷物をまとめ、教室を出る準備を済ませる。

 

チラリと、教室の後方の席へと目を向ける。

案の定、まどかは美樹さやかと共に不自然な目配せをしながら教室を出て行った。まだキュゥべえのテレパシーに慣れていない人間特有の仕草が滲み出ている。

”今”まで通りなら、まどかと美樹さやかはこの後、巴マミと合流して魔女を探しに街へと繰り出すはず。

本当なら、私はそのすぐ後を追いかけるか、先回りをして魔女を排除して、まどかが魔法少女について知る機会をなるべく潰していくつもりだった。

 

だけど、()()は違う。

 

まどか達が廊下の向こうに去っていくのを見送ると、私は踵を返して歩き出した。

向かう先は、マキマが待つ職員室だ。

 

 

 

部屋の前まで来ると、まるで来るタイミングが分かっていたかのように職員室の扉を開けてマキマが現れた。

 

「待ってたよ、ほむらちゃん。それじゃ、行こうか。」

「えぇ。」

 

マキマが先を歩き、私はその後ろをついていく。

すると、トイレの前を通り過ぎようとした辺りでマキマが突然ストップをかけた。

 

「ごめん、ほむらちゃん。少し待っててもらえるかな?すぐ戻るから。」

「分かりました。」

 

私が頷くと、マキマは周囲の様子を確認してからトイレに入った。

そして、1分も経たないうちにトイレから出て戻ってきた。しかも、入るときには持っていなかったはずのコートを手に持っている。

 

「お待たせ。それじゃあ行こうか。」

「え、えぇ。……あの、マキマ先生。トイレには何をしに行ったんですか?」

「ちょっと()()()()を用意しにね。ほら、私はまだ勤務中だから。途中で学校を抜け出すわけにはいかないでしょう?」

 

マキマはそう言って悪戯っぽく笑うと、手に持っていたコートを羽織りながら校舎の裏口に向かって歩き出した。

あの短時間でどうやって身代わりを……と思ったけれど、立ち止まっている時間も無いため、考えるのは後回しにして歩き出した。

 

校舎の裏口に出ると、裏門の傍に誰かが立っていた。赤いパーカーを着て、フードを目深に被っている。見た目からして同い年くらいかしら。

 

その時、指輪型にしていたソウルジェムが魔女の反応を示しだした!それもかなり近い!昔、魔女の姿を目視で確認できるほどにまで近づいた時と同じくらいの反応が___

 

「__ッ!!」

「待って、ほむらちゃん。」

 

魔法少女に変身しようとした瞬間、マキマが制止の声をあげた。

どういうことなのか説明を求めようとすると、マキマは口元に指をあてていた。

 

「静かに。騒ぐと目立っちゃうよ。」

「なら、説明してちょうだいッ!あの()()は一体何なの?」

「彼女のことについては後で話すよ。とにかく今日は、私たちの仕事がどんななのかを見せるだけだから、安心して。」

「…………。」

 

私が黙り込むと、マキマは小さく頷いてパーカーの少女__の姿をした魔女の下へと近づいて行った。

はっきり言って、これ以上マキマについていくのは危険だとしか思えなかったけれど……意を決して彼女の背中を追いかけた。

 

彼女は、今までの時間軸では現れなかった大きなイレギュラーなのだ。もしかしたら、この時間軸では掴み取れるかもしれない。今まで見つからなかった、まどかを救うことができる未来が。

そんな未来のためにも、私はついていくしかない。

 

私はパーカーを着た魔女との間にマキマを挟みながら、道のりを進んでいく。そしてそのまま最寄りのバス停に向かい、停車したバスに乗り込んで、私たちを乗せたバスが街に向かって走り出した。

ここまで来ると今更感があるけれど、気になった私は、隣に座るマキマに尋ねた。

 

「マキマ先生、私たちはどこに向かっているんですか?」

「それはもちろん、魔女のところだよ。」

「……どこに魔女がいるか、わかるんですか?」

「分かるよ。今朝見つけてから、今まで()()()見張ってたからね。」

 

「目がいいんだ、私」と自身の目を指して笑う彼女から視線を逸らし、窓際に座っているパーカーを着た魔女に目を向ける。

もう、詳しく聞こうとしても時期が来るまでは説明してもらえないのだろうと悟った私は、「はぁ……」と間の抜けた返事を返すことしかできなかった。

 

 

 

5つほどバス停を超えた辺りでマキマが停車ボタンを押し、私たちは停車したバスから降りた。

 

「ここからは歩きだよ。あと少し行ったところに魔女は隠れているね。」

 

マキマが言っていることは正しいのだろう。一応掌に乗せていたソウルジェムが微弱ながら魔女の反応__マキマの隣に立っている魔女とは別の__を示していた。この近くにいるのは間違いなさそうだ。

 

その時、前を歩いていたマキマが急に足を止め、顔を別の方向に向けて険しい表情を浮かべた。

 

「どうしたんですか、マキマ先生?」

「……まずいね、魔女に呪いをかけられた被害者が近くにいる。」

 

「ちょっと寄り道するよ」と言って、マキマは進路を変えて歩き出した。パーカーの魔女も何も言わずに後に続いていき、置いてかれそうになった私は慌てて彼女たちの後を追いかけた。

 

歩くことしばらくして、マキマの言っていた被害者というのは、確かにそこにいた。

スーツを着た若い女性が、フラフラと覚束ない足取りで歩いている。そんな彼女の首筋には、魔女の口づけと言われる”印”がつけられていた。

マキマはおそらく、魔女の餌食になろうとしている女性を助けに行くつもりなのだろう。しかし、魔女の口づけは、印を付けた犯人である魔女を倒さなければ消えない。

一体どうするつもりなのかとマキマの様子をうかがっていると、彼女は女性に近づいてその肩に触れ、耳元にそっと囁いた。

 

「命令です。ここでじっとしていなさい。」

 

その瞬間、魔女に操られるままに歩いていた女性がピタリとその足を止めた。そして、電池の切れた人形のようにそれ以上その場から動こうとしなかった。

 

(今、何をしたの?)

 

マキマが一体何をしたのか、少し離れたところから見ていたにもかかわらず、何も気づけなかった……。やったことと言えば、女性に近づいてさっきの()()を言っただけ。

 

(他者に命令を強制させることができる魔法?でも、魔力の揺らぎは感じ取れなかった。いえ、そもそも魔法ですらない?)

 

色々と考えを巡らせてみるけれど、結局納得のいく答えは見つからなかった。

そうしている間に、マキマはどこかに電話をかけており、女性は近くにあったベンチに座らされていた。

 

「…………。」

「…………。」

 

気が付くと、私はあのパーカーを着た魔女と二人っきりになっていた。

正直、ひどく居心地が悪い……。本来なら獲物を見つけた獣のごとく襲い掛かってくるはずの魔女が、マキマの仕事が終わるのを静かに待っている姿は違和感しか感じられなかった。

そのまま、パーカーの魔女の様子を窺っていた時だった。

 

「うるさい」

「…………えっ」

 

(今、喋った……?)

 

理性など残っていないはずの魔女が、人間の言葉を喋った。

 

その事実を理解が追い付かず、思わずぼうっとしていると、魔女がパーカー越しにこちらを睨んできた。

目深に被っていたパーカーの下から、縦に割れた二つの瞳孔が私を静かに射抜いた。

 

「視線が、うるさい。」

「……ごめん、なさい?」

「ん。」

 

どうやら私がずっと様子を伺っていたのが鬱陶しかったらしい。魔女にそんな感情があるだなんて思わなかったから気づかなかった。

とりあえず謝っておくと、どうにか許してもらえたらしい。魔女は私を睨むのを止めて、チュッパチャップスをくわえて視線を前に戻した。

だけど、私はまだこの魔女に用がある。言葉が通じるなら都合がいいと、今まで気になっていたことを彼女に問い詰める。

 

「あの、教えてほしいのだけれど、あなたは魔女なのよね?なぜ、理性を保ったままでいられるの?特異課という場所で、一体何を___」

「ん。」

 

その瞬間、私の口に何かが捻じ込まれ、続く言葉は出なかった。

舌が感じ取ったのは、ピリリと弾けるチュッパチャプスのコーラ味。

思わず口元を押さえていると、魔女はマキマの方を見つめたまま口を開いた。

 

「その話は後でマキマさんがする。聞きたいことはその時にして。」

「んぐ……わ、分かったわ。」

「あと、私のことは沢渡って呼んで。」

「沢渡?」

「そ、私が()()()()()時の名前。いつまでも魔女って呼ばれたくないから。」

 

「魔女って呼ばれたくない」……その言葉にどんな意味が含まれているのかは、今は聞くことはできないのかもしれない。

だけど、一見少女にしか見えないこの魔女__沢渡は、これまでの私の常識が通じる相手ではないということは、十分に分かった。

 

「二人とも、お待たせ。それじゃ、行こうか。」

 

マキマが私たちのところに戻ってきた。魔女の口づけをつけられていた女性の対処が終わったのだろうけれど、その女性は未だベンチに座ってボーっとしているままだ。

 

「マキマ先生、あの人、放っておいていいんですか?」

「大丈夫だよ。もうすぐ私の部下が保護しに来るから、彼女はそっちに任せておけばいいよ。」

 

マキマはそう言うと、来た道を戻って魔女の下へと向かい始めた。

私と沢渡も、その後についていく。

 

私はまだ、ほとんど彼女や特異課のことについて何も知らないのだということは承知していた。

その事実は、マキマの力や自我を取り戻した魔女の存在を知ってもなお変わらない。むしろ、分からないことが増えたともいえる。

だけど、この時間軸は今までのものとは違う、大きな変化なのだということを私は改めて理解した。

 

(マキマ……私はあなたのことを、信頼してもいいのかしら……。)

 

昨日の話し合いから、ずっと決断しきれずに揺れ動いていた心が顔をのぞかせる。

私はそれを胸に抱えたまま、淀みない足取りで進むマキマの背を見つめるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

___________

 

___________

 

___________

 

 

 

 

 

 

 

 

<巴マミ>

 

鹿目さんと美樹さんを危険の少ない結界の外縁辺りに待機させて、私は魔女のいる結界の中心へと着地する。

魔女はまだこちらに気づいていないようで、芋虫のような体を曲げてドロドロに溶けたスライムのような頭(?)を下にし、何かを熱心に覗いているみたい。時折パタパタと羽ばたく綺麗な蝶の羽が、あの醜い体から生えていると思うだけで同じくらい気持ち悪いと感じてしまうのは、なんだか不思議な気分だった。

 

まあ、だいたいの魔女はそういうものなのだから、今更ではあるのだけどね。

 

そんな魔女の様子を観察していると、大量の使い魔が現れて私をあっという間に取り囲んだ。以前、鹿目さんと美樹さんを襲った、丸い毛球にガイゼル髭が付いた使い魔だ。大きな鋏をシャキンッ、シャキンッと鳴らして、こちらの恐怖を駆り立てようと努力している。

 

「随分と熱烈な歓迎ね。ならこちらも、相応のお返しをしないとね!」

 

使い魔たちの物騒な挨拶に対し、私はスカートの端を摘まんで持ち上げ、優雅にカーテシーを披露する。

そして、スカートの下から魔法で作ったマスケット銃を取り出し、狙いを定めて引き金を引いた。火薬の弾ける音が鳴り響くのと同時に、銃口を向けられた使い魔に風穴が空いた。

それを開戦の合図に、鋏を鳴らすだけだった使い魔たちが一斉に襲い掛かってきた。私は使い捨ての銃を投げ捨てると、次の銃を手に取って再び引き金を引く。

 

決着はあっという間についた。

 

四方八方から使い魔は襲ってきたけれど、この程度はなんてことはない。なんなら、全ての銃を操って一斉掃射すればもっと早く終わったけれど、わざわざ銃を手に持って一体ずつ倒していく余裕すらあった。

 

クルクルと華麗に舞いながら、使い魔たちを殲滅する。

 

チラッと鹿目さんと美樹さんの方に目を向ければ、二人はキラキラと期待のこもった眼差しで私のことを見つめていた。美樹さんなんか、拳を握って「そこだー!いけー!」みたいな動きもしていた。盛り上がってくれているようで何よりね。

 

でも、まだまだ見せ場は残っているわよ、二人とも。

私は、ようやく私の存在に気づいたらしい魔女に向き直った。

 

「さあ、いくわよ!」

「_____!!!」

 

魔女が言葉にならない奇声をあげながら、巨大な椅子を持ち上げて私に向かって投げつけてきた。

さすがの私も当たればただでは済まない。だけど、それは当たればの話。こんな大ぶりな攻撃に当たってあげるわけもなく、私は余裕をもって飛んできた椅子を回避して空中に跳びあがった。

見下ろせば、魔女の全容がすべて視界に入る。今の位置は、絶好の射撃ポイントと言えた。

 

「今度はこちらの番___ッ!?」

 

ふと足元に違和感を感じて見下ろすと、左足に小さな使い魔が何匹も絡みついていた。しかもそれだけでなく、使い魔たちの姿が見る見るうちに溶けていき、一本の触手に変化して私の身体を縛り付けた!

 

「くっ!」

 

上に跳びあがっていた体を引っ張られて、逆さに吊るされてしまう。

でも、まだピンチというほどの状況には陥っていない。鹿目さん達は危ないと思っているかもしれないけれど、それならそれでいいわ。

 

ピンチから逆転する瞬間こそが、戦いで最も輝く瞬間なのだから!

 

私は口元に笑みを浮かべながら、脱出のタイミングを見計らいつつ銃の射撃で魔女を牽制する。

しかし、触手が大きく振り回され、私は結界の壁に強く叩きつけられた。

 

「マミさん!!」

 

鹿目さん達の悲鳴が私の耳にまで届いてきた。

少し怖がらせてしまったかしら?でも大丈夫。今ので私がかなり消耗したと思ったのか、魔女は攻撃を止めて触手に吊るされた私を眺めている。

ここが、まさに反撃の絶好のチャンスね。

 

私は射撃の合間に紛れて地面に撃ち込んでいた弾の魔力を開放し、私だけの魔法であるリボンを出現させる。

 

準備は整った。さあ、ここから私の逆転劇を____

 

 

 

 

ズドオォォォォォォン!!!!

 

 

 

「きゃッ!?」

「____ッッッ!?!?」

 

突如、魔女の結界内に轟音が響いた。それと同時に私の体を縛っていた触手が解け、空中で衝撃の余波に振り回された!

何が起こったのかと逆さになった視界で結界内を見渡すと、苦悶の声をあげる魔女の姿が目に入った。

その姿に、私は息を吞んだ。

 

なんと、魔女の芋虫のような体が、無理矢理肉を千切り取られたかのように大きく抉られていたのだ!

 

(一体、何が起きて……。)

 

状況を上手く把握することができず、私は困惑のままに落下していく。

慌てて空中で身を捻って、無事に地面へ着地した。視線を前に戻すと、相変わらず魔女は甚大なダメージを受けて弱っているようだ。

 

(よくわからないけど、止めを刺すなら今ね。)

 

ここで混乱を起こして魔女を取り逃してしまえば、未来の後輩たちにカッコ悪い姿を見せてしまったなんて、そんなことを言っていられる状況じゃなくなってしまう。

 

私の失敗で、誰かが不幸になってしまうだなんて、あってはならないのだから!

 

私は緩んでいた気を引き締め直すと、さっき呼び出したリボンで魔女が逃げてしまわないようにぐるぐる巻きにして拘束する。そして、首元のリボンを振って大砲サイズの銃へと変えて、魔女に狙いを定めた。

 

後は必殺技を決めて華麗に決着を付けるだけ。

砲身に魔力を装填し、発射と同時に私は叫んだ。

 

「ティロ・フィナーレ!!」

 

常人よりも頑丈で力持ちな魔法少女の私でも、全力で踏ん張らなければならないほどの衝撃が全身を突き抜ける。

解き放たれた魔力の塊は一直線に魔女へと突き進んでいく。

 

そしてそのまま、瀕死の魔女に着弾すると思った時だった。

 

ブワッと強い突風が吹いたと思ったと同時、黒くて巨大な()が高速で横切った。それは一瞬で魔女を呑み込み、私の魔法はその表面で大きな爆発を起こした。

想像以上の衝撃波に襲われて、私は思わず顔を庇った。

 

(どう、なったの?)

 

風が止み、目を開けていられるようになった私は、魔女がいた場所に目を向けた。いつの間にか周囲には濃い霧が立ち込めていて、なかなか視界が開けない。

その時、カツンッと軽くて硬い何かが落ちる音が響いた。それと共に魔女の結界が崩れていき、元の廃屋の中へと戻ってきた。

 

何かが落ちたと思われる場所に近づく。そこにはやはり、グリーフシードがただ一つだけポツンと落ちていた。

 

(グリーフシードがあるということは、魔女は倒せたのかしら……。でも______)

 

脳裏には、さっきの光景が鮮明に蘇る。

魔女結界の目がチカチカするようなカラフルな景色を引き裂くように現れた、巨大な黒い()

私と魔女の戦いの中に、間違いなく何かが紛れ込んでいた。……いえ、割り込んできたというのが正しいわね。

 

(アレは、一体なんだったの?)

 

拾い上げたグリーフシードを眺めながら、正体の見えない乱入者の存在について考える。

その時、後ろから「マミさん!」と私を呼ぶ声と二人分の足音が駆け寄ってきた。

振り向くと、鹿目さんと美樹さんが心配と興奮が混じったような表情で立っていた。

 

「マミさん、大丈夫ですか!?」

「えぇ、私は大丈夫よ。ほら。」

 

軽く両手を広げて無事をアピールすれば、今度こそ二人は安心したようだった。

 

「よかった~。それにしてもマミさん、すごくカッコよかったです!魔女も使い魔もあっという間にやっつけちゃって、思わず見惚れちゃいましたよ!」

「私も、マミさんのこと、カッコイイなって思いました!魔法少女って、すごいなぁ。」

 

二人の口から次々と称賛の言葉が伝えられる。それを私は嬉しく思いつつも、胸の奥にあるしこりが気になってしまって素直に受け取ることができなかった。

 

「…………そうか、()もこの街に来ていたんだね。全然気づかなかったよ。」

「キュゥべえ?どうかしたの?」

「いや、なんでもないよ。ただの独り言さ。」

 

魔女の結界があった場所を眺めていたキュゥべえは、私の声に振り向くとそう言って肩の上に登ってきた。

……なんとなく、あまり深く聞かない方がいい気がして、私はキュゥべえの口から続いた言葉に、素直に耳を傾けた。

 

「それよりも、グリーフシードについて2人に説明してあげたらどうだい?どうやらさっきから気になっているようだよ。」

 

言われて鹿目さん達の方に目を向けると、たしかに私の手の中にあるグリーフシードを興味津々といった様子で覗き込んでいた。

 

「キュゥべえの言う通りみたいね。2人とも、これはグリーフシードといって、魔女を倒した時に手に入れられる回復アイテムみたいなもので______」

 

そうして二人に魔法少女のことについて説明しながら、帰路に着く。

結局、魔女との戦いの中で見たあの()のことは、それっきり考えるのを忘れてしまった。




マキマメモ その4

原作マキマさんと同じく嗅覚で誰かを識別できる程に鼻が鋭いが、オリ主マキマは目もいい。顔や髪型などの特徴から個人を識別できるので、小動物の視界からも情報を得ることができる。
実は、目もいい理由には何か理由があるようで……。

ちなみに、聴覚や嗅覚だけでなく視覚もフルで使って、その状態で小動物達のネットワークを使おうとして、脳がショートしたことがある。
人間が外界から最も多く情報を得るのは視覚からなのだとか……。
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