サトシ君(転生者)の目指せ、ポケモンマスター!! 作:DestinyImpulse
「サイホーン…君に決めた!」
「ホーン!」
始まったジム戦。俺がサイホーンを出せば「ミーについてしっかりと勉強してきた様だな」と笑みを浮かべてレアコイルを繰り出すマチス。
バトル開始と同時に相手は“トライアタック”を仕掛けるが此方は“ステルスロック”を使う。レアコイルの三つの頭から放たれる、火、氷、雷が迫るが、サイホーンがばら撒いた岩石がそれを防ぐ。
“ステルスロック”は本来、周囲にばら撒きフィールドに残り相手がポケモンを出す度に一定のダメージを与える技。しかし、ばら撒き方を工夫すれば相手の攻撃を防ぐ事も可能だ。
反撃の“ドリルライナー”を指示すれば高速回転したサイホーンの一撃が咄嗟に躱したレアコイルに掠り微弱なダメージを与える。マチスが口笛を吹きながら「ステルスロックをディフェンスに使うとは…」と称賛の声を掛けてくれる。
これはタケシに教えてもらった上級テクニックだ。新米が使うとは思わなかったのだろう。
マチスが次に指示したのは“スピードスター”。必中効果付きの特殊攻撃だ、星形のエネルギーがサイホーンに迫るので“ロックブラスト”を指示して迎撃する。
巻き起こる爆発と巻き起こる土煙が晴れた時、サイホーンの姿は無かった。マチスが気を付けろと注意を飛ばすのと、サイホーンが“あなをほる”によってレアコイルの真下から飛び出してきたのは殆ど同時の事だった。
元々、ジム戦前にサイホーンに指示していたのだ。技のぶつかり合いで爆煙や土煙が巻き上がり自分の姿が相手に見えないと判断し、技を四つ使っていない場合に“あなをほる”を使えと。
四倍弱点を不意に喰らい、体勢を大きく崩したレアコイルにトドメの“ドリルライナー”を叩き込めば、レアコイルは地面に叩きつけられ戦闘不能になる。
「期待を裏切らないでサンキュー!勝負はココからだ!GO!ライチュウ!」
マチスが次に出してきたのはピカチュウの進化形のライチュウだ。電気は効かないから“メガトンパンチ”系統だと思っていたら“なみのり”が飛んできた。
まさかの攻撃にサイホーンが大ダメージを喰らってしまい、驚愕しているとマチスは、してやったりと、人差し指を伸ばしてチッチッチと「ミーが電気タイプを使うからって、地面タイプのポケモンさえいれば良いと思っていたのか?対策はできているのさボーイ」と笑うマチス。
こりゃ不味いとサイホーンを戻してピカチュウを出す。ピカチュウも出番だとヤル気十分にフィールドに飛び出す。進化形だからってビビってない。
マチスが“メガトンパンチ”を指示しライチュウが殴りかかって来るので“こうそくいどう”で素早さを上げつつ回避して“でんこうせっか”でガラ空きの背中に攻撃する。
パワーがそっちなら、スピードは俺達だ!一生かかっても追いつけんぞ!
「スピードで来たか…ナイス判断だ。ならばライチュウ、“ほうでん”!」
俺達がスピード勝負だと察して“ほうでん”で全方位攻撃を仕掛けて来る。進化した分、パワーがありまともに喰らえば電気タイプでも危ない。
なので“あなをほる”で地面の下に逃げる。尻尾をドリルの様に回転させて地面の下に消えるピカチュウに「What!?」と目を丸くするマチスとライチュウ。どうやら“なみのり”は覚えていても“あなをほる”を覚えるとは知らなかった様だ。
“ほうでん”を回避しライチュウの真下から飛び出してライチュウをカチ上げるピカチュウ。
「トドメだ!アイアンテール!!」
「ピッカー!!」
これで決めるとピカチュウの尻尾が鋼に輝き、新技の“アイアンテール”をライチュウの脳天に叩きつける。それが急所に当たった様でライチュウは目を回して戦闘不能になった。
マチスの2体を倒し俺達の勝利だ。
バトル終了と同時にライチュウを抱き起こしてボールに戻した後、拍手をしながら歩み寄ってくるマチスが「まさかピカチュウに“あなをほる”を覚えさせるとは…最初から最後まで退屈しないバトルだったぜボーイ…いや、サトシ!」と称賛しハグをしてくれるので心良く受け取る事に…
そしてクチバジムのジムバッジであるオレンジバッジが渡される。
「オレンジバッジ、ゲットだぜ!」
「ぴ、ピカチュウ!!」
ジム戦を観戦していたリーフも称賛してくれて、これでバッジ三つ。先はまだ長いな…と思いつつジムを後にすると…
「さ、サトシ!リーフ!大変よ!早くて来て!」
慌てた様子でカスミが俺達に駆け寄る。一体どうしたと落ち着かせれば、ゲンガーについてだった。
あの後、屋敷に戻り俺がジムに挑んだ事をタケシに伝えたカスミ。ゲンガーは俺の御三家と話をして少しは落ち着いたのか、タケシの作ったご飯を美味しそうに食べていた。
そうして気分転換に屋敷の外に出ると、運命の采配か、天の悪戯か、なんと偶然にもゲンガーを捨てた元トレーナーが屋敷の近くを通りかかったのだ。
もしや自分を迎えに来たのかと期待して元トレーナーに近づいたゲンガーが聞いたのは、元トレーナーの心無い本音。己に降り掛かった不幸の全てをゲンガーに責任転嫁して言いたい放題、挙げ句の果てには「ゲンガーなんてゲットするんじゃなかった」と吐き捨てたのだ。
それに激怒したゲンガーは今、暴れているのだ。
それは不味いと急いで屋敷に向かえば、怒りで我を忘れて“シャドーボール”を辺りに投げまくるゲンガー。タケシとウチの御三家がどうにか収めようとするが苦戦している。
そんな中で原因とも言える元トレーナーが所有物であろう自転車に乗って我先に逃げ出そうとするので……
「どこへ行くんだあ?」
「お、お前と一緒にぃ……避難する準備だぁ!」
「一人乗り用の自転車でかぁ?」
先回りして睨みつければ、元トレーナーの慌てて吐いた余りに苦しい言い訳に後ろのリーフとカスミ共々呆れる。どう見ても一人乗り用の自転車に乗り込みながら言う台詞では無い。
なので自転車の前輪部分を片手で引きちぎり半壊させ逃げられない様にする。「勝手に逃げたら次はお前がこうなる番だぞ」と脅して逃げない様にしてゲンガーに向かう。
「ゲンガー!!」
ゲンガーの“ナイトヘッド”が俺に直撃する。それを見た皆んなが俺に駆け寄ろうとするが静止させる。痛みはあるが伝説の超マサラ人のボディなら耐えられない程ではない…ゲンガーに「お前の怒りはその程度か?」と言えば矛先を俺に変えて“シャドーボール”をぶつけてくる。
ゲンガーの怒りは正当なモノだ、正論で蓋をしても意味はない。ならば思い切り暴れさせて発散させれば良い。
そのままゲンガーの技を喰らう事、数分……ボロボロの俺の前には疲れたのか肩を揺らして息を吐くゲンガーの姿があった。
「………少しは気が晴れたか?」
「げ…ゲン」
少しは気が晴れたのだろう、落ち着いたゲンガーは俺をボロボロにした事に負い目を感じて後退るので「この程度で俺を倒す事はできぬぅ」と強がる事にした。
「ゲンガー、お前は完全な被害者だ。人間が信じられなくて野生に戻りたいのなら協力する。だが…お前が良いのなら俺達と一緒に行かないか?」
「ピッカ!」
「ダネダネ!」
「カゲー!」
「ゼニゼニ!」
俺の言葉にピカチュウや御三家達もゲンガーを誘う。特に御三家達はゲンガーの事を他人事に捉えてはいないだろう表情は真剣だった。ゲンガーも御三家達が捨てられたポケモンなのは知っており、そんな彼等が信用してくれる俺と交互に視線を移している。
「……ゲン!」
そして、小さな笑みを浮かべて俺が差し出したモンスターボールの開閉スイッチを押してゲットされてくれた。
「ゲンガー…ゲットだぜ!」
ゲンガーが入ったボールを掲げればピカチュウ達も笑みを浮かべて喜びの声を出す。これにて一件落着と思った俺に飛んできたのは説教だった。
リーフにタケシとカスミ、そして騒ぎを聞きつけ駆けつけたジョーイさんとジュンサーさん。必要な事とは言え、ポケモンの技を敢えて喰らうなんて伝説の超マサラ人である俺以外からすれば自殺行為だ。烈火の如く怒った5人の説教を俺は正座で聞くしかなく。ピカチュウは俺を見捨てて、同じく騒ぎを聞きつけて来たマチスの背中に隠れてしまった。
助けてと、SOSサインをマチスに送れば苦笑いを浮かべてヤレヤレだぜとジェスチャーして流される。
「サトシ、聞いてるの!?」
あ、はい…ごめんなさいリーフ。
その後、ゲンガーを捨てた元トレーナーは悪質な行為としてジュンサーさんに連れて行かれ、俺はポケモンセンターで治療を受けた。特に大きな怪我ではないので一日安静にすれば問題はない。
ゲンガーが加わり、手持ちが七体になってしまったのでサイホーンを送る事に…これで俺の手持ちのピカチュウ以外が、全員曰く付きになってしまった、責任重大である。
とりあえず暇なのでマチスから“なみのり”のコツを教えてもらう事にした。まぁ、直ぐには無理だろうが…ピカチュウが地面タイプを蹂躙する日も近いな。
・サトシ(転生者)
マチスを倒してオレンジバッチをゲット。
サイホーンのステルスロックの防御方法はタケシから教わった上級テク。練度を高めれば、防御と同時に従来通りに岩をばら撒ける。
そして、ピカチュウに“アイアンテール”と“あなをほる”を覚えさせた。
“なみのり”は無理だが、“あなをほる”ならサイホーンやタケシから教わりモノにできた。流石はピカ様…才能が高い。
そしてゲンガーをゲットした。
相互理解の為に我が身を張ったが、側から見れば自殺行為なので皆んな気が気じゃなかった。
【ゲットしたポケモン】
・ピカチュウ
・バタフリー
・ヒンバス(色違い)
・サイホーン
・フシギダネ
・ヒトカゲ
・ゼニガメ
・クラブ
・ゲンガー