サトシ君(転生者)の目指せ、ポケモンマスター!!   作:DestinyImpulse

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カイリューの楽園での乱闘

 

 

 タケシにとってサトシは【トレーナーとして尊敬できる一面を持つ反面、危なっかしい弟】の様な存在だった。

 

 普通、新人トレーナーは相性を駆使してジム戦を勝ちに来るがサトシは相性の悪いバタフリーやピカチュウで挑戦して、勝利を収めたのだ。

 

 最初は相性も知らない素人と思ったが、すぐにその考えは否定された。変化技や技の組み合わせで相性の不利を覆すのは、とてもポケモンを貰ったばかりの新人トレーナーとは思えない。

 

 サトシからはトレーナーとして光り輝く素質を感じ家族の問題が解決したこともあり、タケシはサトシと一緒に旅をすることになった。

 

 一緒に旅を始めてサトシの周囲には良くも悪くも人やポケモンが集まってくると理解するのに時間は掛からなかった。

 

 それは何故か、サトシは人もポケモンも関係なく相手と目線を合わせてくれるからだ、目線を合わせて真剣に向き合い、理解しようとする。故に捨てられて心に傷を負ったポケモン達も、そんなサトシに何かを期待して寄り添うのだ。

 

 ブリーダーを目指すタケシにとって、尊敬でき学べるモノを持つサトシ、そしてお転婆なカスミやお淑やかなリーフと旅をする今が大切な時間であった。

 

「リーフを連れて戻る、心配すんな!」

 

 しかし、旅仲間のリーフが沈没するサントアンヌ号に取り残されサトシは迷う事なく助ける事を選択した。背を向けるサトシに叫ぶ事しかできず、気づけば救命ボートに乗ったタケシ達は荒れ狂う海に脱出していた。

 

 周りには他の救命ボートで脱出した乗客達が居て…上下逆さまになり沈むサントアンヌ号を唖然と見つめるしかなかった。

 

「よく聞いてください、此処に居ない人は返事をしてください!……うん、全員無事、よかっーー「ピッカジュウー!!!」ーーあがががか!!??」

 

 職務を放棄して我先に逃げた船長のふざけた言葉にピカチュウが飛び出し電撃を叩き込む。ピカチュウだけではなく、咄嗟にサトシに預けられたフシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメも怒り心頭と言わんばかり船長に飛び掛かる。

 

 更に周りから「僕のポケモンが居ない!?」、「私のポケモンも!?」と悲鳴が聞こえる、救命ボートに向かう時の混雑で気づかぬ内に落としてしまったのだろう…現場は阿鼻叫喚の地獄だった。

 

 カスミは普段の我儘っぷりや活気が嘘の様にサトシとリーフの名を呼びながら泣き叫び、サトシやリーフの幼馴染であるシゲルは普段の自信満々の笑みが完全に消えて顔を真っ青に染めながらサトシとリーフが消えた海を見つめていた。

 

 その後は救助隊のお陰でタケシ達は近くのビーチであるアオプルコに辿り着くと同時にタケシとカスミはジムリーダーの権限をフルに使ってサトシとリーフの救助に動いた。嬉しい誤算だったのはマサラタウンの慰安旅行でサトシの母親、そしてオーキド博士がビーチに来ていた事である。

 

 事件は昨日の事であり、まだ公になっていないのだろう。シゲルの言葉に顔を真っ青に染めたハナコは我が子の現状に気絶してしまい、オーキド博士は直ぐに関係各所に連絡をした。

 

 話は直ぐに大きくなった。

 実はリーフの父親は大企業のシルフカンパニーの重役であり、その一人娘が他会社の豪華客船の事故で行方不明、更に船長は職務放棄で我先に逃げ出したとあれば激昂するのは必然だった。

 

 オーキド博士やリーフの父親のコネにより大規模な捜索が始まった。未だに顔を俯かせるカスミやサトシのポケモン達に暖かなスープを差し出しながらタケシはサトシとリーフが消えた海に視線を向ける。

 

「サトシ…リーフ……無事で居てくれ」

 

 あれから三日、タケシの願いを込めた言葉が海風に攫われて消えていく。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 見上げれば青い空、目先に見える分厚い白い雲、そして広がる海…

 

 そんな光景を俺は波の音が心地いい砂浜から眺めていた。俺は現在、絶海の孤島……

 

「本当にありがとうなカイリュー」

 

「バウ!」

 

 それもカイリュー達が暮らす秘境に居た。

 沈むサントアンヌ号から脱出したものの嵐に襲われた俺達の前に現れたカイリュー達。そのカイリュー達に連れられて俺達はこの孤島で難を逃れる事ができた。

 

 カイリューはドラゴンタイプのポケモンで、あの世界一のドラゴンマスターでありカントー・ジョウトチャンピオンの【ワタル】の相棒。

 前世で言う600族と呼ばれる強いポケモンの一体でもある。しかし、カイリューの生息地は未だに明らかになっておらず希少性の高いポケモンだ。

 

 そんなカイリュー達が隠れて住む、この島は周りが嵐で囲まれており、故にバレる事なく隠れ住む事ができたのだろう。

 

 孤島にはカイリューの他にも進化前のミニリュウとハクリューもおり、穏やかに暮らしている。俺はそんな光景を眺めながら手に食べられる果物を持って島の中を進み…滝の裏に隠された洞穴に入る。

 

「気分はどうだ、リーフ?」

 

「うん、ありがとう。だいぶ良くなったよ」

 

 其処には焚き火で体を温めて安静にしているリーフの姿があった。カイリュー達に助けられた俺達だったが、立て続けに起こるピンチと嵐の海で身体が冷えた事でリーフは体調を崩してしまったのだ。

 

 故に今は安静にしておりカイリュー達に島の食べ物を分けてもらい栄養を付けてた事で動くのが問題ない程には回復した様だ。

 

「それにこの子も良くしてくれたしね」

 

「リュー!」

 

 リーフの側にはカイリューの進化前であるミニリュウがおり、リーフに懐いたのか楽しそうにリーフに戯れている。人懐っこい性格なのだろう、俺達が島に来てから二日、俺やリーフ、そして俺達のポケモンと楽しそうにコミュニケーションを取っており可愛い奴だ。

 

 その後、ずっと寝ていたので気分展開にと洞窟の前の泉に足を入れながら日差しの暖かさを感じる事にした。

 

「まさか、カイリューの島があるなんてね」

 

「どうやら、カイリュー達は俺達みたいに海で遭難した人やポケモンを助けているみたいだな」

 

「心優しいんだね」

 

「ああ、お陰で助かった。人が居る場所までカイリュー達が送ってくれるらしいから、このピンチの連続も漸く終わりだな」

 

「リュー…!」

 

 俺達の話を聞いてミニリュウが寂しそうに俯く。せっかくできた友達が消えてしまうのは寂しいからな。

 

「…ごめんね。でも、タケシやカスミにシゲル、それにお父さんやお母さんも心配してるだろうから…」

 

 寂しがるミニリュウをリーフが優しく撫でいたその時だった。突然の爆発音が俺達の耳に響く。何事だと見てみれば砂浜の方角から黒い煙が出ていた。

 

「な、何!?」

 

「どうやら、只事じゃないみたいだな。行こう!」

 

 トラブルなのは確かなので急いで砂浜に向かえば、怪しげな三人組の男がカイリュー達を襲っていた。

 

「バウゥゥ!!?」

 

「ひ、酷い…」

 

 しかも、腕につけた怪しげな装置から発射された光線がカイリューに当たると、なんとカイリューがブロンズ像になってしまったのだ。あまりの非人道的行為にリーフが思わず口を手で覆い愕然とする。

 

 海岸にはカイリューとハクリューのブロンズ像が至る所にあり潜水艇の様なモノで回収しようとしているので…

 

「イレイザーキャノン(仮)!!」

 

 手段は選んでられないとイレイザーキャノン(仮)を放ち潜水艇を破壊する。流石に自分達の足である潜水艇が破壊され動揺する三人組は直ぐに俺達に気づく。

 

「な、このガキ!何をしやがった!?」

 

「おい!この秘境には人間は居なかったんじゃなかったのか!?」

 

「生憎だったな。このカイリュー達に命を救われたばかりなんだ、お前等みたいな奴等に酷い目にあわされてるのを黙って見てられるか!」

 

「チィ!カイリュー達が助けた遭難者か…運のない!」

 

 男三人組……恐らくポケモンハンターが俺達を睨みつけるのでリーフを庇いつつ前に出る。どうやらカイリュー達の噂を聞いてやって来てカイリュー達を非合法に売り捌くつもりだ…許す訳にはいかない。

 

「覚悟しろよ小僧!我らの邪魔をした報いを受けろ!レアコイル、デンチュラ、やれ!」

 

「ゆけ、ラッタ!グラエナ!」

 

「お前達もだ!ドクグラゲ、スカタンク!」

 

 ポケモンハンター三人組が2体ずつポケモンをだして襲い掛かってくる。俺もゲンガーとミロカロスを出して応戦する。

 

「ほう、ゲンガーにミロカロスとは中々にレアなポケモンだな」

 

「しかも見ろよ、ミロカロスの方は色違いだぞ!」

 

「運がいい。ミロカロスの色違いなどマニア共は喉から手が出る程に欲しがる筈だ。潜水艇の破壊を差し引いてもお釣りが来る。この島のカイリュー共々渡せば【J様】もお喜びになる」

 

「なんて酷い事…そんな事させないんだから!フシギソウ、ニドキング、お願い!!」

 

 どうやら俺のポケモンも標的になった様で下衆な笑みを浮かべる三人にリーフも怒りフシギソウとニドキングを出して乱闘となる。

 

 レベルの高いゲンガーとパワーのあるニドキングを主体に六体のポケモンを迎え撃つ。

 レアコイルとデンチュラの“10まんボルト”をミロカロスの“ミラーコート”で跳ね返し、ゲンガーに向けて“かみくだく”をして来たグラエナを“ゴーストダイブ”で躱してニドキングに“ハイドロポンプ”を放とうとしたドクグラゲを吹き飛ばし、近くのスカタンクに叩きつける。

 

「リーフ!」

 

「うん!ニドキング、メガホーン!」

 

「ニドー!」

 

 そうしてフリーになったニドキングが攻撃を透かされて隙を見せたグラエナに“メガホーン”を叩き込み、高威力の弱点技を喰らったグラエナが戦闘不能になる。

 

 しかし、意識がニドキングに向いた隙を突かれてフシギソウにラッタが“いかりのまえば”で襲い掛かる。

 

「リュー!」

 

「ラッタ!?」

 

 だが、リーフの後ろから飛び出したミニリュウが“りゅうのいぶき”を放ちラッタに不意打ちする。そのチャンスを逃すリーフではない、フシギソウに“ヘドロばくだん”を指示してラッタを戦闘不能にする。

 

「ありがとうミニリュウ!」

 

「リュー!」

 

 リーフに感謝されてミニリュウが嬉しそうに答える。二体消えて戦闘に余裕が出てきた、ゲンガーに“シャドーボール”をミロカロスに“みずのはどう”を指示してデンチュラとスカタンクを戦闘不能にする。

 

「くそ、コイツらタダの餓鬼じゃねぇ!」

 

「……どうやらお遊びは終わりの様だな」

 

 不利を悟ったポケモンハンター達が次の行動に出る。一人が更なるポケモンを呼び出そうとし、二人が腕に付ける装置を此方に向ける。どうやら、なりふり構ってられない様だ……

 

 そっちがその気なら容赦はしない。伝説の超マサラ人の力で血祭りにあげてやる!

 

 

「カイリュー、はかいこうせん!!」

 

 

 しかし、その考えは突如とした飛んできた“はかいこうせん”で霧散する。飛んできた“はかいこうせん”は残っていたドクグラゲとレアコイルを呑み込み一瞬で戦闘不能にし近くのポケモンハンター達を吹き飛ばす。

 

 俺達を守る様に降り立つのは一匹のカイリュー……しかし、そのカイリューは島のどのカイリューよりも強い存在感を放っており、その背から一人のトレーナーが現れる。

 

「うそ…だろ?」

 

「え…!?」

 

 そのトレーナーを俺とリーフは知っている。いや、カントーのトレーナーなら知らぬ人など居ない程の有名人…

 

「行方不明の君達を探して、もしやと思ってこの島を訪れたが…まさかポケモンハンターが来ていたとは…ありがとう、カイリュー達を守ってくれて」

 

「……チャンピオン…ワタル?」

 

 特異な服装に靡く黒いマント、逆立った赤髪の男性トレーナー……その人こそ、【世界一のドラゴンマスター】と名高い【カントー・ジョウトチャンピオンのワタル】だった。

 

「な、なんでチャンピオンワタルがこんな所に!」

 

「に、逃げるんだぁ!」

 

「勝てる訳ない!」

 

 流石にチャンピオンを前に傲慢な態度が出せる筈もなくポケモンハンター達は哀れにも逃げ出そうとするが…

 

「カイリュー、“しんそく”だ!」

 

 ワタルさんのカイリューの“しんそく”で一瞬で意識を刈り取られて倒れ伏すポケモンハンター達。こうして、カイリューの島で起きた騒動は呆気なく幕を閉じた。

 

 

 

「それじゃワタルさんは俺達を探してこの島に?」

 

「ああ、ジムリーダーであるタケシ君にカスミ君、それにオーキド博士やリーフ君のお父さんが様々なコネを使って救助を要請し、あのパニックでポケモンと逸れてしまった多くのトレーナー達の要望で大規模な捜索が行われているんだ、俺も捜索をお願いされてね」

 

 どうやら、相当な騒ぎになっている様だ。

 俺達の捜索に乗客への慰謝料、更に沈んだサントアンヌ号に取り残されたモンスターボールの捜索……一体損害は幾らになるのか…こりゃサントアンヌ号の会社は倒産だな。

 

「この島のカイリュー達は海で遭難した人やポケモンを助ける事があるんだ、それでもしやと思って来たらビンゴだった訳だ」

 

 この島は一部の人間しか知らないカイリュー達の秘境であり、保護指定にも入っているので他言無用でお願いされた。俺達としても命の恩人であるカイリュー達の暮らしを崩したくはないので受け入れる。

 

 俺達の言葉に穏やかな笑みを浮かべてワタルさんはポケモンハンターの被害を受けたカイリュー達の解放に移った。話を聞くに、このポケモンハンター達は【J】と呼ばれる極悪人の部下で、腕の装置で抵抗できない様に対象をブロンズ像にして裏社会で高値で売り捌く事で有名らしい。

 

 元に戻るのかとリーフが心配するが、どうやら警察もブロンズ化を解除出る様に研究しているらしく、ポケモンGメンでもあるワタルさんには解除装置の試作品が渡されおり無事に元に戻る事もできた。

 

 後に応援が来る様でポケモンハンター達は装備を取り上げられた状態で縛り上げて自由に動けない。俺が壊した潜水艇も、ワタルさんが何か【J】への手掛かりに繋がる可能性のある物を回収した後にカイリューの“はかいこうせん”で念入りに破壊され、これも環境に影響がない様に回収されるらしい。

 

 これで一件落着。

 タケシ達が居る場所までワタルさんが送ってくれるらしく有り難く甘える事に……すると、俺達と一緒に居たミニリュウが何かを訴える様にリーフに飛び掛かる。

 

「……もしかしてリーフと一緒に行きたんじゃないか?」

 

「リュー!」

 

「そうなの?…でもこの場所って…」

 

「確かに保護指定されているが、ポケモン自身がゲットを望むなら我々に止める権利は無いよ」

 

 俺の言葉にミニリュウは頷くが、保護指定のある場所でのゲットは禁止されてるんじゃとワタルさんに視線を移すが、ポケモン自身がゲットを望むなら止める権利は無いとリーフの背中を押す。

 

「そっか…なら、よろしくねミニリュウ!」

 

「リュー!」

 

 ならばと笑みを浮かべて空のボールを差し出せばミニリュウは笑みを浮かべてリーフにゲットされる。

 

「ミニリュウ、ゲットだぜ!」

 

「……俺の真似か?」

 

「うん、見てたらやってみたくなっちゃって」

 

 なんか俺の真似をするが、まぁリーフなら構わないだろう。そうしてカイリュー達に改めてお礼を言って俺達はワタルさんに連れられて島を後にした。

 

 もう少しで皆んなと再会だ!

 

 





 前半はタケシと内心と沈没後の流れで、後半は新無印の【カイリューの楽園、ハクリュウの試練】と合わせたオリジナル回です。

 現れたポケモンハンターはアニポケ屈指の悪役である【ポケモンハンターJ】の一派であり、ブロンズ化の装置が渡される位には地位のあった者達。

・そして、チャンピオンワタルの登場。
 このssではカイリューの楽園は一部の人間には知られており、龍の一族のワタルも当然知っており、ワンチャン、カイリュー達がサトシ達を救助したと思って現れた。

・ブロンズ化の解除
アニポケではJのヤバさを引き立たせる為に専用の手段が特殊な方法でしか解除できないが、コレは現実で警察も馬鹿じゃ無いので解除方法を研究しており、ポケモンGメンでもあるワタルに試作品を与えている。

・サントアンヌ号の会社の倒産

 サトシとリーフの救助に乗客への慰謝料、更に紛失したモンスターボールの捜索などシャレにならない不祥事を起こしたので間違いなく倒産である。
 サカキはあくまでサントアンヌ号で開かれたパーティーの主催者でありサントアンヌ号の保有する会社に依頼しただけであり、成功してポケモンを大量にゲットしても良し、失敗しても不祥事で他社の信用を落とせるので良しの二段構えだった……流石はボス、汚い。

・リーフがミニリュウをゲット
 実はこのミニリュウは新無印でサトシがゲットしたカイリューであり、この時点ではまだミニリュウ。世界チャンピオンになれる程なので将来性がかなり高い。

 サトシには今後、他の600族を使わせるので、リーフにも600族が必要と思ってカイリューにしました。

 サトシがカイリューをゲットすると期待していた方たちには申し訳ないと思っていますがご理解の程お願いします。



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