サトシ君(転生者)の目指せ、ポケモンマスター!!   作:DestinyImpulse

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最強と至高、ミュウツーVSホウオウ

 

「ほ、ホウオウ…!」

 

 神聖な光を放ち降臨したホウオウに誰もが言葉を失っている。地に降り立ち、広げた翼を折り畳んでも、優雅さや存在感は一向に衰えない。

 以前、イミテのメタモンに変身させたが……比べる事すら烏滸がましい格を感じる。それはカスミやタケシも同じだろう漠然とホウオウを見る事しかできない。

 

「ショォ…!」

 

 誰もが圧倒される中でホウオウは片翼を広げ光を放つ。あの時と同じ様に光を浴びた俺とピカチュウは、秘湯の温泉に使った高揚感に包まれ傷と疲労感が無くなり万全の状態に回復する。

 

「ピッカ!ピッカチュウ!」

 

「ショウ…」

 

 傷の癒えたピカチュウが礼を言い、礼を受け取ったホウオウが小さく頷くと視線をミュウツーに移す。ミュウツーはホウオウから感じる強大な存在感を感じ動揺しつつもホウオウを睨みつける。

 

『貴様は…何者だ。何故、現れた…』

 

「ショオオ…!」

 

『なに?…【勇者の助太刀と……私に会う為】…どういう意味だ』

 

「ショオオオ…」

 

『…【其方は自分の生に疑問を持っている…自分は何の為に生まれたのか…】…ッ!』

 

 どうやらホウオウは俺達の助太刀と同時にミュウツーに会いに来た様だ。人の手によって生み出されサカキの道具扱いされているミュウツー…その心には己自身に対する不信感が有ったのだろう……自分は何の為に生まれたのか…それをホウオウに見抜かれたミュウツーは動揺する。

 

「奴の言葉に耳を貸すなミュウツー!お前はミュウから生まれた最強のポケモンだ!」

 

『……ミュウから生まれた…』

 

「そうだ!ミュウから生まれ最強であるべくして生まれたポケモン、それがお前だミュウツー!故に、あのポケモンを……ホウオウを倒すのだ!」

 

『ホウオウ……それが奴の名か?』

 

「その通り、奴はホウオウ!死者すら蘇らせる力を持つ、虹の神と称えられし伝説のポケモンだ!」

 

『虹の神……伝説のポケモン……』

 

「ホウオウを倒せばお前は名実共に最強だ!もはやミュウの力を確実に凌駕している!」

 

 そこにホウオウの登場で愕然としていたサカキが我に返りミュウツーに叫ぶ。今までミュウツーを言葉巧みに利用していたサカキからすればミュウツーをその気にさせる言葉など手に取る様に分かるのだろう、ホウオウの言葉に動揺していたミュウツーが、ホウオウに手を翳す。

 

「ショオオ」

 

『黙れ…… 私はこの世で一番強い。最強になるべくして生み出されたポケモンだ。力こそが私を証明するものであり、それ以外に私が存在する意味など無い…!』

 

 ホウオウが首を横に振り戦う意味のない事を説いているのだろう。しかし、最強であれと生み出され、サカキによって兵器同然に力を行使させられてきたミュウツーは止まらない。

 

 “サイコキネシス”でホウオウの動きを封じ、その身体を締め付ける。流石のホウオウもミュウツーのタイプ一致の“サイコキネシス”は効くのか一瞬、表情を苦痛に染めた。

 

「フッハハハー!!いいぞ、ホウオウを倒すのだ!ミュウツーとホウオウ、二体の伝説ポケモンの力を統べ全世界をロケット団の前に跪かせるのだ!!」

 

 それを見たサカキが完全に立ち直り飽く無き欲望を語り出す。世界征服など馬鹿らしいが、力と言う麻薬に依存しているサカキは至って真面目に言っているのだろう。

 

「…………」

 

「なっ!?」

 

 そんなサカキを冷めた目で見たホウオウは煌めく両翼で一仰ぎすると突風が吹き荒れると同時に“サイコキネシス”がいとも容易く振り払われる。

 

「ミュウツーの“サイコキネシス”をいとも簡単に…!」

 

「あ…見てホウオウの体が…!」

 

 あのミュウツーの“サイコキネシス”を容易く振り払うホウオウにジム戦で痛めつけられた経験のあるシゲルが驚愕し、リーフが何かに気づく。

 ホウオウの身体に刻まれた小さな傷から薄い光が溢れ、次の瞬間には傷が完全に完治したのだ。

 

「あれはミュウツーと同じ、“じこさいせい”?」

 

「いや、あれは特性の“さいせいりょく”だ!」

 

「でも、特性の“さいせいりょく”は一度戻り再び場に出ないと発動しないモノじゃ?」

 

「死者すら蘇らせる力を持つ程に生命力に溢れたホウオウにとって“さいせいりょく”は息をするとの同じ程に当たり前のモノなのだろう…」

 

 先のミュウツーと同じ“じこさいせい”かとリーフが反応するが、タケシが特性の“さいせいりょく”だと断言する。カスミの言う通り“さいせいりょく”は一度場を離れ、再び場に戻る事で発動する特性だ。しかし、ホウオウのそれは常時発動するリジェネ効果へと昇華されていた。

 

「おのれ小癪な!ミュウツー、圧倒的な一撃で倒すのだ!」

 

『…………』

 

「………ショォ」

 

「ホウオウ…」

 

 圧倒的な一撃で倒せと命令するサカキだがミュウツーは反応する事なくホウオウを睨みつける。それを見たホウオウが俺に視線を向ける。…“虹色の羽”を持っているからかホウオウの気持ちが何となく分かる。

 

 人間によって身勝手に生み出されたミュウツーは決して悪き存在ではない、故にホウオウは話し合いで解決したかった、しかしサカキによって兵器同然に扱われたミュウツーは【暴力】しか知らず【対話】を知らない……これでは一度、戦闘不能にするしか話を聞いてはもらえないだろう。

 

 サカキや自らを生み出した欲深い人間しか知らないミュウツーは人間に絶望しつつある……このまま行けば人間に復讐…いや、逆襲する為に暴走しても不思議ではない。そうなる前に止めるには今しかない……俺は帽子を後ろに回して気合いを入れる。

 

「……分かった、アイツを止めよう。ふぅー…ホウオウ、君に決めた!!」

 

「ショオオオオオオオ!!!!!」

 

 俺の声に雄叫びをあげて答えたホウオウはミュウツーに突撃する。ミュウツーが突撃するホウオウに十数個の“シャドーボール”を形成して放つが…

 

「ホウオウ、“せいなるほのお”!!」

 

「ショオオオオ!!!」

 

『ぬぅぅ!!?』

 

 ホウオウの技が手にとる様に分かり指示を出す。

 “せいなるほのお”を放ち、“シャドーボール”を一掃しミュウツーに迫る。ここ迄、容易く打ち破られた事は無かったのだろう、目を見開きつつも“サイコキネシス”で受け止めるが、“シャドーボール”で威力が下がったにも拘らず絶大な威力でありミュウツーが腕を焼かれ数メートル後退ることで漸く防ぐ事ができた。

 

「そのまま、“ダブルウイング”!!」

 

『っ!?グガッ!?』

 

 しかし、ミュウツーが決死に攻撃を防いでる間にホウオウは懐に飛び込んで“ダブルウイング”の二連撃でミュウツーを叩き付ける。

 

「凄い…!ミュウツーを圧倒している」

 

「あのシャドーボールを防ぐのにこっちは決死で挑んで満身創痍だったのに、一撃で掻き消すなんて…!」

 

「あのミュウツーの力は圧倒的だ、それをホウオウは容易く上回っている……これが神と称される程の力を持つ伝説のポケモンの力…!」

 

「それに、ホウオウはサトシの言う事を聞いている…!」

 

 自分達が手も足も出ずに、技を一つ防ぐだけでも満身創痍だったのに、ホウオウは“せいなるほのお”一つでミュウツーの攻撃は拮抗すら許さず一方的に掻き消し、今度はミュウツーが決死に防がなければならない。

 

『おのれ!』

 

 叩きつけられたミュウツーが飛び上がり“がんせきふうじ”を“サイコキネシス”で操りホウオウ目掛けて飛ばしてくる。炎・飛行タイプのホウオウには岩技は四倍だ…真正面から受けたくはない…

 

「ホウオウ、“ぼうふう”で吹き飛ばせ!」

 

 ホウオウに“ぼうふう”を指示して迫り来る岩石を全て吐き飛ばす。ミュウツーの“サイコキネシス”で後押しされていても、ホウオウが巻き起こす暴風を打ち破る事はできなかった。

 

『ヌオオオオオ!!!』

 

 しかし、最強の意地で“ぼうふう”を無理矢理“サイコキネシス”で打ち破ったミュウツーがホウオウ目掛けて“はかいこうせん”を放つ。

 

「押し返せ!“ブレイブバード”!!」

 

「ショオオォ!!」

 

 それに対して飛行の大技、“ブレイブバード”で押し返す。威力は“はかいこうせん”が上でも“ブレイブバード”はタイプ一致だ。“はかいこうせん”を弾き、ミュウツーを吹き飛ばし、“せいなるほのお”の追撃を叩き込む。

 

「ちょ、ちょとこれ不味いんじゃないの!?な、何とかしなさいよ!?」

 

「お、俺に言われたって!?」

 

「な、何だがやな感じがするニャー…」

 

 それは今まで絶望一歩手前だったリーフ達に頼もしさを宿らせ、逆にミュウツーの強さに完全に酔っていたムサシ達は不安を宿らせる。

 

「な、何をしているのだミュウツー!!お前は最強であるべくして生まれたのだ!それが無様に這い蹲るなど…有ってはならない!!」

 

「それが仮にもトレーナーがポケモンに言う台詞かよ……ジムリーダーの自覚が有ると言ってたアンタは何処に消えた?」

 

 サカキは今までミュウツーで無双していただけにミュウツーが圧倒的に押される現実を、絶対にありえないと叫び、焦りを見せている。

 

「黙れ小僧!ホウオウが居なければ無様に這い蹲るしかできない子供が!ーー「ショオオ!!」ーー…っ!何だ、何を言っている!?ニャース、翻訳しろ!!」

 

「は、はいですニャー!…えー【確かにミュウツーの力の前にサトシ達は無力に等しかった、だから私は来た。しかし、たとえ無力でも彼等は力を合わせ窮地を打破しようと足掻いた……。お前の様にミュウツーの力に溺れ、現実を直視せずに叫ぶしかない愚か者とは違う】……ニャー、ニャンと言う事を…!?」

 

 ホウオウが居なければ無様に這い蹲るしかなかった…それが間違いなく正論だ。しかしサカキにホウオウが威嚇する。ニャースに翻訳を命令するが、ミュウツーの力に溺れ、それが通じなければ癇癪を起こすサカキをホウオウは愚者と吐き捨てる内容だった。……後、どうやら俺達が何とかしようと足掻いていたのをホウオウは察知していた様だ。

 

「き、貴様…!この俺を…このサカキを愚者と言うか!?伝説であろうとポケモン風情が俺に説教を垂れるな!!全てのポケモンはロケット団の為に存在する!!ミュウツー!ホウオウを黙ら… ぐはっ!?……な、なんのつもりだ!?」

 

『……はあ、はあ……お前はもう黙れ…!私に指図をするな!!』

 

 どうやら愚者扱いされたのが相当頭にきたのだろう、一人称も、「私」から「俺」になりホウオウを黙らせろとミュウツーに命令するが…そんなサカキをミュウツーは“サイコキネシス”で放り投げ、指図するなと吐き捨てる。

 

 元々、既に人間に不信感を募らせていたミュウツーだ……近い内にサカキに牙を向けていただろう。ホウオウの攻撃を“じこさいせい”で回復をしようにも“せいなるほのお”の追加効果で火傷を負い思う様に回復はできず、顔を苦痛に染めて大きく息を吐いていた。

 

『私は…負ける訳にはいかない…!負けてしまえば…最強として生まれた私の存在意義を失ってしまう…!』

 

「……………ショォオ」

 

 

 ミュウツーが両腕を掲げて膨大なエスパーエネルギーで構成されたエネルギーボールを作り出す。見た事もない技だ……恐らく“せいなるほのお”と同じく特別な技なのだろう…

 

 あの技にミュウツーは全てを込めるつもりだ、常に“さいせいりょく”を発動させるホウオウを倒すには再生が追いつかない程にダメージを与えるしかない。

 

「………受け止めようホウオウ。…“せいなるほのお”をその身に纏え!!」

 

「ショオオオオオ!!!」

 

 これを真正面から打ち破らなければ、最強である事でしか存在意義を見出せないミュウツーを止める事はできない……それを悟り俺達も真正面から迎え撃つ。“せいなるほのお”を纏い虹色に煌めくホウオウは……

 

 

 

『迎え撃つ気か…!……いいだろう、これが私の全力だ!私の……“サイコブレイク”だぁぁあ!!!』

 

 

「全てを貫け!“ブレイブバード”!!!」

 

「ショオオオオオオオオオオオオ!!!」

 

 

 “ブレイブバード”を使って虹色の不死鳥へと変わり突貫するホウオウ。それを迎え撃つはミュウツーの“サイコブレイク”。ぶつかり合い攻めぎ合う二つの技、しかし…ホウオウが“サイコブレイク”を貫きミュウツーを呑み込む…

 

 …そして凄まじい光が世界を白く染めた。

 

「ショオオ!」

 

 光が晴れ世界を認識できた時、勝者もまた明らかになる。勝ったのはホウオウだ、傷を“さいせいりょく”で癒しつつ堂々と地に足を付けて佇む様は紛れも無く勝者の姿…

 

『……………』

 

 そしてミュウツーはボロボロで傷を負い倒れ伏していた。その光景を静かに見守る中でホウオウが片翼を広げて光を放つ。俺とピカチュウを癒してくれた光だ……光がミュウツーを包み込むと俺達と同じ様にミュウツーの傷も治っていく。

 

「ミュウツーの傷が…」

 

「だ、大丈夫なの?」

 

「先の一撃で勝敗は決した……故に問題は無いとホウオウは判断したのだろう」

 

「それに再びミュウツーが襲ったとしてもホウオウとの力の差は歴然だ」

 

 傷を癒して大丈夫なのかカスミが心配するが、既に勝敗は決し、ホウオウとミュウツーの格の差も明確になった。それに施しを受けて恩を仇で返す事はミュウツーはしないとホウオウは判断したのだろう。

 

 現に傷の癒えたミュウツーは起き上がるが、襲い掛かる事はせずに困惑した様子でホウオウを見ている。しかし、『……私が回復した所で大した問題ではないのか…』と、ホウオウとの力の差に諦めた様に俯いてしまう。

 

『……滑稽だな……最強であれと生まれた私の力は神と呼ばれたお前には遠く及ばなかった……これが、所詮は作られた存在である私と、正しく生を受けたお前達との差なのか…』

 

「ミュウツー……」

 

『私は誰だ、私は何の為に生きている…人間の手によって生まれた私は人間ではない……作られたポケモンの私はポケモンですらない…』

 

「ショオオ…!」

 

 負けた事で最強のアイデンティティを失い、そのまま…所詮、自分は作られた間違った命だと絶望してしまうミュウツーにホウオウは首を横に振り語りかける。

 

『……【確かに、其方は人間に作られたポケモンだ。だが、生まれがどうだろうと、其方はミュウツーという、今ここに生きているポケモンである事は間違いない】……しかし、私はミュウのコピーだ…オリジナルであるミュウを倒さなければ本物になれないのではないか?』

 

「ショオオ…」

 

『なに?…【其方の力は既にミュウを超えている】…だと?【もう、ミュウと其方は別のポケモンだ、故にミュウを倒しても其方はミュウツー以外の何者でもない】………私は既にミュウよりも強いのか』

 

 ホウオウは言う、ミュウツーの力は既にミュウを超えていると…他でもなくホウオウの言葉は真実なのだろう。ミュウツーも驚きを隠す事なく何かを考えている。

 

『………人間、お前とピカチュウは何故、ミュウより強い私の力を知りながら諦めなかった?ホウオウが来ると分かっていたからか?』

 

「……そんな訳ないだろ、ホウオウが来るなんて夢にも思わなかった。何で諦めなかったのか……理由は色々とあるが、“負けたくなかった”が一番分かりやすい答えか…負けたらロケット団に何をされるか分からなかったしな。お前だって、そうだったんだろ?」

 

『私が……?』

 

「ホウオウとの実力差は最初の時点で理解できた筈だろ?…でもお前は最後の勝負に出た。それはお前の中に“負けたくない”って気持ちがあったからだろ?」

 

『……………負けたくない…確かにホウオウは強かった。しかし、私は負けたくなかった』

 

 ホウオウから俺へ…少しずつ探る様にミュウツーは対話を続け、言葉の意味を考えている。

 

『……お前達、ポケモントレーナーはポケモンバトルなるモノをする。それはポケモンを道具の様に使うモノではないのか?』

 

「それは違うわよ!ポケモンバトルは戦争や殺し合いじゃない。ルールの中で行われる、命の優劣ではなく、自分達が積み重ねてきた技術や技を競い合う、競技!共に過ごして高め合ったポケモンと力を合わせて行う、それがポケモンバトル。決してポケモンだけに戦わせるモノじゃない、トレーナーも一緒に戦ってるの!」

 

『……積み重ねてきた技術や技……ポケモンと力を合わせる』

 

「確かに、結果を求める事に拘り…ポケモンを道具扱いし非道な事を行うトレーナーが居るのは事実だ。しかし、それを罰するルールがあり、正す事が人間にはできる」

 

『……正す事…』

 

 トキワジムでサカキに使われてポケモンバトルをしてきたミュウツーはポケモンバトルはポケモンを道具扱いするモノではないかと問うが、ジムリーダーであるタケシとカスミが、それは違うとハッキリ言う。

 

「ミロロー!」

 

「ゲンガー!」

 

「グオウウ!」

 

「ミロカロス、ゲンガー、リザードン…」

 

『……そうか、お前達は人間に住処を奪われ、裏切られ、捨てられた、…しかし、その傷を癒してくれたのも人間だった…』

 

 俺のボールから飛び出したミロカロス達がミュウツーに語りかける。確かに人間に酷い目に遭わされた、しかし、その傷を癒してくれたのもまた人間だったと……

 

「惑わされるな!ミュウツー!!」

 

「………サカキ、貴様まだ!」

 

「お前はポケモンだ!ポケモンは人間の為に使われ、人間の為に生きる!お前は人間によって生み出されたポケモンだ!他に何の価値がある!!」

 

「何て酷い…!」

 

「最低の発想だ…!」

 

 ミュウツーの“サイコキネシス”から立ち直ったサカキがミュウツーに惑わされるなと言うが、それは正に悪の親玉らしい最低の言葉だ。リーフとシゲルがドン引きするのも当然だ。

 

『……………』

 

「ぐはっ!?」

 

 それを聞いたミュウツーはもはやサカキと会話する事もなくサカキを念力で浮かしてトキワジムを制した証であるグリーンバッジを取り出し俺に渡してくれる。

 

『……………此処はジムで、ジムリーダーを倒した者にはバッジを渡すのがルールと聞く…持っていけ』

 

「でも、ホウオウは俺のポケモンじゃ……」

 

『それを言えばサカキは私をゲットした訳ではない。……お前達が勝者で有るならば受け取れ』

 

「………ありがとう、ミュウツー。グリーンバッジ、ゲットだぜ…!」

 

「ぴ、ピカチュウ…!」

 

「ショオオ…!」

 

 一瞬、受け取っても良い物かと疑ったが、ミュウツーが言うのだ、有り難く受け取る事にした。

 

『……ありがとうか…ピカチュウ、お前の言う通り。私の世界は狭く、息苦しいモノだったのだな』

 

「ピッカ、ピカチュウ!」

 

『確かに…お前も私も既に存在しているポケモンだ…』

 

 そうしてミュウツーは初めて笑みを浮かべて宙に浮く……もうミュウツーは自由だ、何処へだって行ける。

 

「ショオオ…!」

 

『…【世界は広く、そして様々な色で溢れている……それこそ虹の様に】…か……そしてその世界で私は生まれた…生きている。生き続ける、この世界の何処かで…』

 

 そしてミュウツーは言う、いつか…色々な事を教えてくれた誰かが己に言ってくれた事を……

 

 

 

生きているというのは、きっと楽しいことなのだと

 

 

 

「ショオオオ…!」

 

「……いい言葉だな」

 

『最後に名を聞かせてくれ…』

 

 その言葉にホウオウも頷き、俺達も笑みを浮かべる。最後にミュウツーが俺達の名を聞いてくるので断る筈もなく答える。

 

「サトシ…マサラタウンのサトシ」

 

「同じく、マサラタウンのリーフ」

 

「そのマサラの一番星、オーキド・シゲルさ」

 

「カスミ!世界の美少女、カスミちゃんよ!忘れないでね」

 

「タケシだ!」

 

『……サトシ。そしてお前達の事を深く刻もう…。そしてホウオウ、お前の事も忘れない』

 

「ショオオ…」

 

『……さらばだ、また会おう』

 

 

「ま、待てミュウツー!?何処へ行く!!戻って来いミュウツー!!ミュウツゥゥゥゥゥゥ!!!!」

 

 その言葉を最後にミュウツーは飛び立ち地平線の彼方へと消えていった。サカキが顎が外れん程に叫ぶがミュウツーが戻る筈もなくミュウツーが消えた先を愕然と見つめるしかなかった。

 

「おのれ…おのれぇぇぇ!!…貴様等…初めてだぞ、この私をここまでコケにした愚か者は!!」

 

 そして次の瞬間、フリーザ様が言いそうな事を言って俺達を睨みつける。組織の総力をあげて生み出した最強のミュウツーを失ったのだ、当然なのだろうが……知った事ではない。

 

 怒り心頭なサカキがニドキングとニドクインを繰り出し、他の団員達もポケモンを繰り出してくる。圧倒的な物量差だが、ミュウツーが居ないなら勝機は有るし、こっちにはホウオウが居るのだ…

 

「ショオオ!!」

 

 ホウオウもロケット団に怒り心頭の様子で手を貸してくれる様だし負ける筈がない。リーフ達もポケモンを繰り出して徹底抗戦の構えだ。

 

「やれ!奴等を叩き潰し!ホウオウを捕えるのだ!!」

 

 そうしてサカキの号令で飛び出したロケット団員達は……

 

 

「カイリュー、はかいこうせん!!」

 

 

 上空から飛んできた“はかいこうせん”で一掃させる。その光景に見覚えのある俺とリーフは咄嗟に技が飛んできた方を見ると…

 

「シルフカンパニー襲撃後の動きから怪しいと目星をつけて来てみれば……とんでもない光景だな」

 

「「ワタルさん!!」」

 

 相棒のカイリューと共にワタルさんが上空から現れる。シルフカンパニー襲撃後のロケット団の動きを追ってトキワジムに来たのだろう……

 

しかし、いざ来てみればジムは半壊しボスのサカキと大勢の部下に囲まれた俺達。そして何よりも伝説のポケモンであるホウオウが居るのだ…若干の苦笑いを浮かべていた。

 

「ぽ、ポケモンGメンのワタル…!ニドキング、ニドクイン!“じーー「遅い!カイリュー、“はかいこうせん”だ!!」ーーぬぅ!?」

 

 それを見て、ミュウツーを失った怒りが冷めて現実を悟ったサカキが咄嗟にニド夫婦に“じしん”を指示するが、それよりも早くカイリューが“はかいこうせん”を放つ。

 

 放たれた“はかいこうせん”は幾つもの枝分かれをした、もはや別ゲーに出てきそうなビームとなっても容赦なくニド夫婦達を戦闘不能にする。

 

 そしてワタルさん自身も飛び出して、これまでのショックから完全には立ち直れずに動きの鈍いサカキのみぞおちに強烈な一撃を叩き込む。

 

「グフゥ!?」

 

「終わりだサカキ。ポケモンGメンとしてお前を逮捕する!」

 

 

「ちょ、ちょと、どうするのよー!?」

「ど、どうするたって…ボスは捕まったし、他の団員は今の一撃で全滅しちゃったし…」

「ここは逃げるが勝ちだニャー…!」

 

 

 意識を失ったサカキがワタルさんに逮捕されされる。他の団員も、先の“はかいこうせん”で一掃されており動ける者は居ない……これで万事解決…?

 

「なんか忘れてないか?」

 

「え、そう?」

 

「ミュウツーは行って、サカキは捕まった、バッジだってゲットしたんだ。何もないだろ?」

 

「そうそう、用心深いのは良い事だけど、素直に喜びたまえサートシ君」

 

「うんうん、おめでとうサトシ!」

 

「んー、でもミュウツーから貰ったとは言え、このバッジは加えていいのか?」

 

 少し不安になったのでワタルさんに聞いてみる事にした。ワタルさんも俺達から詳しい話を聞きたい様なので洗いざらい説明する。トキワジムに挑戦したらジムリーダーがサカキだった事、ロケット団によって産み出されたミュウツーの事、ホウオウが助けに来てくれた事…

 

色々と信じ難い事ばかりだが、当のホウオウが目の前に居て俺達の言葉に頷いてくれたので信じてくれた。

 

「……成程、話はだいだい分かった。なら、その事に関しては俺がリーグに伝えておくよ」

 

「良いんですか?」

 

「ああ、サカキを逮捕できたのも君達のお陰とも言える。このチャンピオンワタルが証明する、そのグリーンバッジは正式に君の物だ!」

 

 若干、グリーンバッジが不安だったがワタルさんが正当性を証明してくれるなら問題ないな。…これでバッジが八つ、リーグ出場権をゲットだぜ!

 

「それにしてもホウオウを間近で見れるなんて……感無量だ」

 

 チャンピオンと言えどもホウオウクラスの伝説のポケモンを見れるのは容易ではない様で、目を輝かせてホウオウを見ている。ホウオウもワタルさんが心正しい者と判断しているのだろう、特に嫌な表情はしていない。

 

 

「ショオオ…!」

 

「ホウオウ……そっか、お前も行くのか」

 

 だが、ホウオウも何時までも此処にいる訳にはいかない、ミュウツーと同様に何処かへ飛び立つのだろう。

 

「ありがとう、ホウオウ……ホウオウが来てくれなきゃ俺達にはどうしようも無かったよ!」

 

「ピッカ、ピカチュウ!!」

 

「ショオオオオオオオ!!」

 

 俺達の感謝の言葉に頷き返してホウオウは美しい羽を広げて天空を舞い飛び立つ、旅立ちの日と同様に虹の軌跡を描きながらホウオウも地平線の彼方へと消えていった。

 

「……何か凄い体験をしちゃったよね」

 

「そうだね…お爺様に言ったら腰を抜かしそうで心配だよ」

 

「ホウオウは…“虹色の羽”を渡したサトシ君の助太刀と同時に、ミュウツーを正す為に現れたのだろう。人に作られ己の存在に意義を見出せないミュウツーに【何の為に生まれ、何をして生きるのか】…それを自分で決めさせる為に…死者すら蘇らせる事のできるホウオウは…“生”を我々以上に正しく理解している」

 

「作られたとか、オリジナルとか関係ないもんね…」

 

「ああ、作られたと言っても、この世に生きている生き物だからな」

 

 皆が思い思いの事を語りながらホウオウの虹の軌跡を見上げる。それはとても美しく怒涛の連続で疲れた俺達の精神を癒してくれた。

 

 こうして、今回の激闘はミュウツーの自由とロケット団のボスのサカキの逮捕と言う形で幕を閉じたのだった。

 

 





・ミュウツーを圧倒するホウオウ

 このSSのホウオウはマジで強キャラです。流石にシンオウ伝説迄はいかないけど、レックウザやパーフェクトジガルデ、クラスはあると思います。

 特性の“さいせいりょく”は毎ターン発動する特別仕様です。


・ミュウツーの逆襲フラグを折った。

 サトシ達やホウオウによって、世界の広さを知り旅立ったミュウツー。果たして次の出会いはいつなのか…

・サカキは捕まった。

 最強であるミュウツーが手元が消えたショックを抱えたままチャンピオンに勝てる筈もなく、ワタルに捕まった。………これでロケット団は壊滅?

・カイリュー、はかいこうせん!!

 シルフカンパニーの襲撃後の動きから、トキワジムが怪しいと現れた。
 ワタルのカイリューの“はかいこうせん”は枝分かれしたり、反動がなかったり、曲がったり、別ゲーのビームと疑う程に魔改造されてる。

・こっそり逃げた三人組

 ギャグ補正でしぶとかったムサシ達。ボスは捕まり、他は「カイリュー、“はかいこうせん”!」で気絶なので、できる事はなくこっそり逃げた。サトシ達も色々とあり過ぎでムサシ達の事まで回らなかった。



 過去最高に長くなってしまった…!

 次回からはリーグ編に入るので、今後とも宜しくお願いします。



 それと今現在悩んでいる事としては、禁伝をサトシ達に使わせるか、否かです。

 サトシが今回ホウオウを使いましたがホウオウはイベント専用のお助けキャラの扱いで、今後の展開としてホウオウに選ばれたサトシの様に伝説のポケモンに選ばれたキャラを登場させる予定です。


 私の解釈で人の手にギリギリ収まる禁伝と、収まらない禁伝に分けてゲットさせようと考えていて…

【人の手に収まらない】

・アルセウス 、シンオウ三龍、ホウエン伝説、キュレム、パーフェクトジガルデ、ムゲンダイナ、ネクロズマ、フーパ、ホウオウ、ルギア

【人の手にギリギリ収まる】

 ミュウツー、レシゼク、イベルタル、ゼルネアス、50%ジガルデ、ソルガレオ、ルナアーラ、ザシザマ、バドレックス、ミラコラ、テラパゴス、アルセウス&フーパ以外の幻

 現状はこの様に分けています。近年の禁伝もホウエンやシンオウの様に自然の化身や神って感じの絶対者って感じでは無いですし…リコロイは伝伝とかバンバン使ってますし…

 一応、サトシやリーフにゲットさせようかと考えているポケモンも考えてはいるので皆様の意見も御感想に載せてください。




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