サトシ君(転生者)の目指せ、ポケモンマスター!! 作:DestinyImpulse
決勝は俺とリーフの決戦となるが、その前にシゲルとジョーイさんの三位決定戦がある。結果はシゲルの敗北だった。……やはりラティアスの壁は高く圧倒的なスペック差が響いてきた。
正直に言えば、俺が勝てたのも初見だったからで、次に戦えば確実に負けてしまう。
そして、その戦いで負傷したリザードンがドクターストップを受けてしまって試合に出せない。エースが出せないのは苦しいが、ここまで来たらやるしかなかった。
とは言え、リザードンがドクターストップを受けて出せないのを知っているのは俺の他にはタケシとカスミの二人だけだ。リーフはリザードンを警戒してるし、水や岩を出すかもと思ったが、変な山を張らずに無難にいく事にした。
幸いにもピカチュウは戦えるので、ピカチュウ、ドサイドン、ゲンガー、ジバコイル、ケンタロス、オコリザルの六体で挑む事にした。
控室で作戦を練っていると、係員からそろそろ時間と言われたのでバトルフィールドに足を運ぶ。やはり決勝戦だけあって、観客やマスコミの盛り上がりは準決勝の比じゃ無かった。この試合で、セキエイ大会の優勝者が決まる以上、当然と言えば当然か。
少し緊張してきたなと思いつつ、対戦相手のリーフを見れば、リーフも表情が硬い。初めてのリーグで決勝戦まで進み、もう少しで優勝なのだ無理もない。
「ん?タケシとカスミはどうしたの?」
「ああ、今回は俺だけで挑む事にした。二人は観客席に居るよ」
リーフがコーチ陣にタケシとカスミが居ない事に気づいて聞いてきたので、今回は俺一人だと観客席を指差せばオーキド博士達と共に観客席で俺達を見る二人が居た。
何だかんだで、リーフとは共に旅をした時もある間柄だ。そんなリーフとのバトルは一対一で戦いたいと思っていた。
「そっか。…後で二人が居ない事を言い訳に使わないでよ!」
「使う訳ないだろ!」
笑みを浮かべて軽口を叩き合いボールを構える。実況の声を聞き流し、審判の指示の下で遂に決勝戦が始まる。
「ケンタロス、君に決めた!!」
「ブモー!」
「お願い、ニドキング!!」
「ニドー!!」
俺の先発はケンタロス、リーフはニドキングだ。ケンタロスの“いかく”でニドキングの攻撃が下がる。相性はそこまで悪くはない。
ケンタロスに“レイジングブル”を指示して突っ込ませる。それを見たリーフが“きあいだま”を指示をしてエネルギー弾を放つ。“いかく”で攻撃が下がったから特殊に切り替えた様だ。
突っ込むケンタロスに“きあいだま”が迫るが、向こうがタイプ不一致のサブ技に対して此方はタイプ一致のメイン技だ。“きあいだま”を弾き飛ばしてニドキングに突撃する。しかし、不一致のサブ技とは言え弱点の“きあいだま”を弾き飛ばすのにパワーを使ってしまいニドキングに受け止められる。
「押し込め、ケンタロス!“インファイト”だ!!」
「踏ん張って、ニドキング!口から“だいもんじ”!!」
ケンタロスが“インファイト”で自身を押さえ込むニドキングの腕を振り払い滅多打ちにする。しかし、ニドキングも唯ではやられずに口から“だいもんじ”を放ちケンタロスを無理矢理引き剥がす。
“インファイト”で防御と特防が下がった状態で炎の高火力技を喰らったケンタロスが苦しそうに……いや、炎だけじゃない。見ると、ケンタロスの額が紫色に滲んでいた。どうやら、特性“どくのトゲ”の毒を貰ったらしい。
これでは持久戦はこっちが不利だ。笑みを浮かべたリーフがニドキングに“じしん”を指示するので、此方も“じしん”で相殺する。攻撃力はケンタロスが上なのでニドキングの“じしん”を呑み込みダメージを与えるが、やはり倒すには至らない。
それに対して此方は毒ダメで少ない体力が削られる。“じしん”を止めるには止まって此方も“じしん”をしなければならないので、ケンタロスの自慢の足が活かせない。……リーフめ、考えやがったな。
どの道、ケンタロスは毒ダメで直ぐに倒れるならばニドキングを持っていく!ニドキングが“じしん”を放つ直前にケンタロスに“なみのり”を指示する。波に乗るケンタロスに「うっそー!?」と唖然とするリーフ。
聞いた話によれば、パルデア地方には、炎や水タイプのケンタロスが生息している様で、それ故に原種のケンタロスも炎や水タイプの技を覚えるとの事。それを聞いて障害物を排除する為に、“かえんほうしゃ”と“なみのり”を覚えようとすれば、結構あっさり覚える事ができた。
“かえんほうしゃ”はリザードンが、“なみのり”はピカチュウが教えてくれたのも上手く覚えた要因だろう。
ともかく、“なみのり”で距離を詰めるケンタロス。ニドキングが一歩遅れて“じしん”で揺らすが、その前には波から飛び出したケンタロスが“インファイト”でニドキングに突撃するので、リーフもやむなしと“ばかぢから”を指示。
一致技を放ったケンタロスがニドキングを押し込み戦闘不能になるが、続けて毒ダメで戦闘不能になる。
互いに相打ちなのでポケモンを戻して二体目を繰り出す。俺がオコリザルでリーフがドードリオ。素早さの高いドードリオ、タイプ相性は不利だが。引く事はせずに“かみなりパンチ”で突っ込ませる。
「ドードリオ、“さわぐ”!!」
「「「ドー!!」」」
「プギィ!?」
しかし、リーフはオコリザルを惹きつけてパンチが当たる前に“さわぐ”を使ってきた。“さわぐ”は少しの間、“さわぐ”しか使えず、お互いに“ねむり”状態にならず身代わりを貫通する音技…
至近距離で三つの頭から放たれる大きな騒音を聞かされたオコリザルが攻撃を中断して思わず耳を塞いでしまう。少しは防げるかもしれないが焼石に水だろう。
「ドードリオ、“ブレイブバード”!!」
連続で騒音を叩き込まれ動きの鈍いオコリザルに容赦なく飛行技の最大打点の“ブレイブバード”を叩き込むドードリオ。咄嗟に“ビルドアップ”で防御を上げたが弱点の大技を叩き込まれて勢いよく吹き飛ばされるオコリザルの体力はミリだ。
「オコリザル、“ステルスロック”!!」
「っ、“でんこうせっか”!!」
だったら後続に繋げる為に“ステルスロック”をばら撒く、ドードリオに“でんこうせっか”を打たせるが、ギリギリ間に合った様でばら撒いた直後にオコリザルが吹き飛ばされて戦闘不能になる。
「オコリザル、戦闘不能!ドードリオの勝ち!!」
「……“ステルスロック”か…うう、相変わらず意地が悪い」
「オコリザルを完封しかけておいて…よく言うよ」
ヤマブキシティのバトルを思い出したのか苦い表情を浮かべるリーフ。それに対して俺はオコリザルを戻してドサイドンを繰り出す。ドサイドンなら雷なんて怖くない。それを見たリーフが素直にドードリオを戻してラプラスを繰り出す。
ラプラスが出てきたことで、中央のフィールドの数ブロックが半分に割れ、下から水のフィールドが出てきた。水ポケモンへの配慮だろうラプラスが水に飛び込んで、素直に“ハイドロポンプ”を指示してきたので此方は“すなあらし”を指示する。
天候が砂嵐になった事で岩タイプの特防が1.5倍になって、“ハードロック”と合わさりドサイドンは難なく耐え切る。
更に今後、ラプラスには砂ダメが襲い掛かる。“ステルスロック”のダメージも重なってダメージレースは互角だ。リーフは相性も考えて、ドサイドンを倒す事に集中する様で再び“ハイドロポンプ”を指示するので“ストーンエッジ”で防御する。
フィールドから飛び出た岩石が“ハイドロポンプ”を受け止めるが相性の問題か少しすれば岩石にヒビが入り砕かれてしまう。しかし、その少しの隙にドサイドンに“あなをほる”を指示して地面に潜らせて回避する。
リーフからは“ストーンエッジ”が壁になってドサイドンの姿が見えなかったので、“ストーンエッジ”の先にドサイドンが居ない事に驚くが、穴を掘った事に気づいて指示を出すが遅い。
ラプラスが居る水のフィールドをぶっ壊してドサイドンが自慢のドリルを回転させて突撃する。“あなをほる”と同時に“ドリルライナー”を指示して穴を掘る勢いを加速させて通常よりも早く強烈に飛び出したのだ。
不意を突かれたラプラスは吹き飛ばされ体勢を崩す。その隙に“ストーンエッジ”でトドメを刺す。
これで互いに二体を失った。ラプラスを戻したリーフが相棒のフシギバナを繰り出す。ここでドサイドンを確実に倒す気だろう。“ステルスロック”でダメージを負うが“ギガドレイン”で回復できるから気にも止めない。
「フシギバナ、“ギガドレイン”!」
「ドサイドン、“ストーンエッジ”!」
「バナー!」
「ドッサイ!!」
案の定、フシギバナが“ギガドレイン”でドサイドンの体力を吸収しようとするので此方は“ストーンエッジ”で素直に殴る。“あなをほる”で避けようにも“じしん”を使われたら二倍ダメで御陀仏だし、“ドリルライナー”で突っ込もうにも下手すれば“ハードプラント”で返り討ちなので技のスロット的に“ストーンエッジ”しかなかった。
交代しようにも、ゲンガーはカイリューの“しんそく”を無効化するのに必須だし、ピカチュウは温存したい。ジバコイルはリーフの他のポケモンの相性補完の為……ここはドサイドンを切って少しでもフシギバナを消耗させるしかない。
“ギガドレイン”でこっちの体力を奪うフシギバナだが、ドサイドンの攻撃から放たれる“ストーンエッジ”は苦しく砂ダメもあるので回復よりもダメージの方が多い。
しかし“ハードロック”と砂の特防1.5倍でも四倍弱点を何度も受けるのは無理があり地響きを立てて戦闘不能になる。しかし、フシギバナも苦しそうな顔をしており、おおよそ体力の半分に届くか届かないか…次のステロダメの事も考えれば悪くはない。
俺のポケモンが先に三体戦闘不能になったので五分間のインターバルになる。俺の残りはピカチュウ、ゲンガー、ジバコイル。対してリーフはフシギバナ、ドードリオ、そして間違いなくカイリューは入っている。残りの一体は謎だが……サポート要員のピクシーか?
そんな事を考えていると、あっという間にインターバルが終わったのでバトルフィールドに戻る。砂嵐は既に止んでいるが、鋼の耐性を信じてジバコイルを出せばリーフは再びドードリオを出してくる。
「……………」
ドードリオがステロダメで痛そうにするが、ジバコイルを出した俺に疑問を宿した視線を飛ばすリーフ……リザードンが居ない事がバレたか?
圧倒的な耐性を持つジバコイルに何をするか注意する。ステロがあるので迂闊な交換はできないと考えていると、まさかの“あまごい”をするので即座に“ラスターカノン”で戦闘不能にする。
砂ダメとステロダメを一回ずつ受けた状態でジバコイルのタイプ一致の弱点である“ラスターカノン”を耐えられる筈もない。
「……サトシ、リザードンは戦えないんだね?」
「……何でそう思う?」
「……サトシの残りのポケモンは二体。その内の一体はピカチュウで最後の一体はカイリュー対策のゲンガーの筈だよ、私がサトシだったら絶対にそうする。更にフシギバナを出した時に圧倒的に相性の良い筈のリザードンを出さなかった事にも違和感があった」
「…………………」
つまり、ドードリオを犠牲にしても雨を降らせたかった。そう考えているとリーフがリザードンが戦えない事を聞き、リザードンが居ない事の根拠を述べていく……概ね正解なので口を挟まずに沈黙してしまう俺。
「……残念だけど手加減はしないよサトシ!」
沈黙を肯定と受け取ったリーフが一瞬だけ残念そうにするが、勝負は譲らないとボールを構える。
「本当はリザードンの対策に用意した子だけど関係ない!お願い、キングドラ!!」
「ドラララー!!」
リーフが繰り出したのは、カスミのシードラの様にタツノオトシゴの様な身体……と言うか間違いなくシードラの最終進化ポケモンだ。
どうやらリーフは俺を倒す為に最大限の準備をしていた様だ、雨が降るバトルフィールドで気合いの入った声を轟かせるキングドラに俺は冷や汗を流していた。
・ジョーイさんに負けたシゲル
三位決定戦でジョーイさんに負けたシゲル。回復力も他のポケモンとは違うのか、万全なラティアスのスペックに押されて負けた。ぶっちゃるとサトシに負けたのは初見殺しなので、もう一度戦った負ける。因みにリーフでも勝てない。
・遂に始まった決勝戦
メンバーは相棒のピカチュウに主力のドサイドンとカイリュー対策のゲンガー、残りはバランスを考えてケンタロス、オコリザル、ジバコイル。
・リーフの隠し球
リザードン対策に用意したキングドラ。ここに来て切り札をまだ隠し持っていたリーフ……だが当のリザードンがドクターストップで出れなかった。
リーフがキングドラをゲットした背景には“とある人物”が関わっている。