サトシ君(転生者)の目指せ、ポケモンマスター!! 作:DestinyImpulse
「やったじゃないサトシ君!ヘッドリーダーから先に先手を取るなんて!」
ユウジさんのポケモンを三体先に倒し五分間のインターバルが入ったので待機席に戻るとフルーラ達が出迎えてくれる。
「ああ、だがユウジさんからは余裕が消えていない。勝負はこれからだ」
先手は取れた…しかしユウジさんから余裕が取れる事はなく、余程カイリューに自信があるだろう。そう考えているとバトルフィールドがチェンジされて砂漠のフィールドとなる。
「足場が悪いフィールドだ。これじゃガチゴラスは動き難いかもしれないな」
「そっか、足場が不安定だからパワーファイターのガチゴラスだと空振りしちゃう危険がある」
それを見たケンジとセレナがガチゴラスだと戦い辛いと表情も固くする。確かに大地を踏み込みパワーで勝負を決めるガチゴラスだと相性が悪い。
「…足場の悪さも考慮した戦い方が求められるな」
「そうね。ほら、もう少しでインターバルが終わるわ、しっかり勝ちきりなさいよ!」
「当然だ」
そうこう考えている内にインターバルが終わるのでカスミの激励を背中に受けてバトルフィールドに戻る。会場では久々の強いチャレンジャーの登場でカイリューの出番が来るんじゃないかと大盛り上がりだった。
試合再開のゴングが鳴るとポケモンを同時に繰り出す。
「ピジョット、君に決めた!」
「ピジョットー!!」
ユウジさんがフシギバナを、俺はピジョットだ。飛べるピジョットなら砂場なんて関係ないしフシギバナが相手なら相性も悪くない。それにしてもフシギバナか、後に控えてるであろうカイリューといい本当にリーフのリベンジの練習相手に最適だ。
まずは先手必勝と“でんこうせっか”で突っ込ませて必中技の“つばめがえし”で弱点を攻める。
素早さの差から避けるのは不可能と判断して向こうは此方の攻撃を敢えて受け止めた所で“ねむりごな”で眠らせようとしてくる。流石に眠り技をマトモに喰らいたくは無いので“フェザーダンス”を使う。
本来は相手の攻撃を二段階下げる技だが、踊る要領で砂を巻き上げて眠り粉を吹き飛ばす。
「ほぅ、砂を巻き上げて粉を無力化したか…」
「トレーナーになりたての最初のジムで粉技に頼ってたんでね。思い入れもあるから対処も考えてるんですよ」
「成程…ならフシギバナ、“つるのむち”で捕まえろ!」
俺の言葉に粉技はマトモに喰らってくれないと考えて“つるのむち”で仕掛けてくるユウジさん。フシギバナから十本近い“つるのむち”が伸びて一斉にピジョットに迫る。
“でんこうせっか”を使って回避させるが鞭の数が多過ぎて捕まるのは時間の問題なので、此処は思い切って真っ向勝負に出る事にした。
「ピジョット、“ブレイブバード”だ!」
「ピジョッ…トォー!!」
「思い切りがいいな!フシギバナ、“ハードプラント”!」
“つるのむち”を吹き飛ばしながら迫るピジョットにフシギバナが草の究極技で迎え撃つ。技の威力で劣っているが相性で補い、“つるのむち”を吹き飛ばすのに使ってしまったパワーを落下で補う。
そうした様々な要因が混ざった激突は相応相打ちの結末となり互いに吹き飛ばされる。しかし、“ハードプラント”の反動で動けないフシギバナに対して此方は動ける。
激突から立て直してフシギバナが行動するよりも早く“でんこうせっか”で突っ込む。ユウジさんも“でんこうせっか”なら耐えられると踏んでカウンターを考えているだろう。
「そのまま“ブレイブバード”!!」
「っ!」
しかし、そうは問屋が卸さない。ピカチュウの“でんこうせっか”からの“ボルテッカー”の様に、先制技からの大技コンボで勝負を貰いにいく。速度に乗った状態からの“ブレイブバード”が反動から立ち直ったばかりのフシギバナに直撃……戦闘不能へと押し込んだ。
「良くやったピジョット」
「…ジョー…ジョー」
しかしピジョットの消耗も激しい、こりゃ続けてのバトルは無理だな。ユウジさんがフシギバナを戻すのに合わせてピジョットを戻す。ユウジさんが五体目にエレブーを出してきたので此方はオコリザルで迎え撃つ。
コノヨザルに向けて“ふんどのこぶし”の練習に尽力しているコイツの気概を買ってチームに採用したのだ。
「挨拶代わりだ、“シャドークロー”!」
「プギィ!」
特訓の成果だと言わんばかりに習得したゴースト技の“シャドークロー”を放つオコリザル。腕を使うゴースト技の登竜門には最適な技だ。
それに対してエレブーは“かみなりパンチ”で迎え撃とうとする。拳の撃ち合いになるが、エレブーが急所を避けつつも自身の体に攻撃を当てさせようと身体を動かしているのを伝説の超マサラ人の眼は逃さなかった。
「っ、“シャドークロー”で砂を掻き上げて離れろオコリザル!」
オコリザルに“シャドークロー”で砂の地面を掻き上げて目眩ししつつ距離を取らせる。今の行動から恐らくエレブーの特性は接触技を受けると確率で相手を麻痺にする“せいでんき”だろう。
「ほう…見逃さなかったか…良い目をしているなサトシ君」
「……………」
気づくとは思わずに意外そうな表情をしたユウジさんの言葉を聞きつつ思考する。できれば触れたくはないがオコリザルのバトルスタイル的に厳しいかもしれないな…そう思いつつも“じしん”で触れずに弱点をつくがエレブーはジャンプして躱わすと同時に“ちょうはつ”で此方の変化技を封じてくる。
恐らくは“アンコール”で縛られるのを嫌ったのだろう。交代できないユウジさんにとっては“アンコール”は天敵だ。
コレで技は縛られないと“でんこうせっか”で先手を取ったエレブーが“かみなりパンチ”で殴り掛かってくる。先制技を使われる以上、此方は一手遅れるので後手の強みを活かす事にした。
「オコリザル、ガードだ!」
迎撃ではなくて受けに徹しさせてダメージを抑える。拳を叩き込んだエレブーが一瞬硬直したのを逃さずに“カウンター”を叩き込ませる。大きく吹き飛ばされたエレブー…しかし運悪く特性の“せいでんき”でオコリザルが麻痺になってしまう。
「オコリザル、“じしん”だ!」
「エレブー、“かみなり”!!」
これでは近づかないしユウジさんも今ので近づこうとはせずに距離を取るだろう、チャンスは今しかなく“じしん”を指示する。ユウジさんも麻痺になったとはいえ吹き飛ばされて距離もある状況では妨害はできないと“かみなり”で被弾覚悟の技を放つ。
オコリザルに雷が直撃しエレブーが地震で吹き飛ばされる。両者共に大技をマトモに喰らったが故に耐える事はなくダブルノックアウトとなる。
これで俺は残り四体、ユウジさんは残り一体となる。
実況も大いに盛り上がっており観客達もユウジさんの勝利を確信していた最初と違って殿堂入りが見れるんじゃないかと俺に期待の眼差しが向けらる様になっていた。
「見事だサトシ君。ポケモン達の鍛えられた強さに、君のトレーナーとしての閃き…実に面白い」
「……いつかは制限の無い貴方と戦ってみたいですよ」
しかしユウジさんには一切の不安はなく堂々した表情で俺達を見て首にぶら下げていたモンスターボールを手に取る。それに対して俺も笑みを浮かべて最後の一体が入ったボールを構える。
「ふ、現状に満足せずに上を目指すチャレンジ精神…それに応えよう。出番だカイリュー!!」
「バウゥー!!」
「いくぞ…リザードン、君に決めた!!」
「グオオン!!」
遂に現れたカンキツ島の守り神にしてユウジさんの相棒のカイリュー。それに対して俺が繰り出したのはエースのリザードン。遂に始まるラストバトルに会場は大盛り上がり、リザードンも相手が一筋縄ではいかないと悟り戦意が高まっていく。
「セキエイ大会でラティアスを倒したリザードン……相手にとって不足はない。カイリュー、“ハイドロポンプ”!!」
「“ニトロチャージ”で空に飛べ!」
本当の勝負はここからだと言わんばかりにカイリューに指示を飛ばすユウジさん。弱点の大技をマトモに喰らう訳もなく“ニトロチャージ”で素早さを上げつつ空を飛んで回避するリザードンだが…
「甘いぞ!“しんそく”で回り込め!!」
“しんそく”でリザードンの逃げ道に瞬時に回り込んだカイリューが“かみなりパンチ”を叩き込んでくる。咄嗟に受け身を取ってガードしたが…先手を貰ってしまった。
「反撃だ!“ドラゴンクロー”!!」
お返しだと“ドラゴンクロー”で切り掛かる。空中を飛びながら殴り合う両者、リザードンの“ドラゴンクロー”がカイリューの腹を切り裂けば、カイリューの“かみなりパンチ”がリザードンの頬に突き刺さる。
もう一度“ニトロチャージ”で更に素早さを上げて肉薄するにも関わらずにカイリューの優位に立てないという事はカイリューのレベルが高く飛行技術が此方を上回っているという事だろう。
「グオオン!!」
「バウー!?」
しかし格闘技術ならシバ師匠仕込みのモノを持っている俺達が上だ。“かみなりパンチ”を受け流して“ドラゴンクロー”を上から叩き込みフィールドに落下させる。
追撃だと“りゅうのはどう”を放つが立て直したカイリューが“しんそく”で此方に突っ込んでくる。
一体何を…と思った次の瞬間カイリューが凄まじいドラゴンエネルギーを纏って此方が放った“りゅうのはどう”を弾きリザードンに肉薄する。
「っ!?リザードン、“ドラゴンーー「無駄だ!カイリュー、“げきりん”!!」ーー…リザードン!?」
咄嗟に“ドラゴンクロー”を指示するもカイリューの一撃が“ドラゴンクロー”を叩き割り強烈な一撃をリザードンに叩き込む。空から地面に一瞬で叩き込まれたリザードン。
「グオ…ン!」
巻き上がる砂埃を振り払いリザードンが健全な姿を晒す。砂のフィールドのおかげでダメージは減少したのが幸いだが、それでも大きなダメージを与えられてしまった。
“りゅうせいぐん”が特殊ドラゴン最強技なら、“げきりん”は物理ドラゴン最強技。制御が難しくレベルの低いポケモンが使えば暴走する危険のある技だがユウジさんのカイリューには一切、そんな様子は見られない…
「決めろカイリュー!“げきりん”のまま“しんそく”だ!!」
しかも、空高く飛び先制技の“しんそく”も同時に使って落下の威力を上げて突っ込んでくる。
前にも言ったが技を同時に二つ使うのは難しく高威力の技なら尚更だ…混乱する可能性がある状況で“しんそく”を使うとは…間違いなくセキエイ大会でのリーフのカイリューよりも強い。
「だからこそ、リーフのリベンジに最適だろリザードン!!」
「グオオンンン!!」
しかし、今のチャンピオンリーグを経験しているリーフはセキエイ大会の時のリーフよりも格段に強くなっている。ならば、ユウジさんを倒さなければリーフにリベンジなど夢のまた夢だ。
それが分かっているからリザードンも戦意を高めて迫るカイリューを睨む。流石に“げきりん”に“しんそく”のスピードを乗せるのは難しい様で、カイリューの速度は“でんこうせっか”よりも少し速い位だ。
しかも、空高くから落下してくるので、“ニトロチャージ”を二回積んだリザードンに捉えられない筈はない。お互いに視線を交わして頷き合う、向こうから物理ドラゴン最強技なら此方も究極技で迎え撃つ……
……それも“絶技”を持って。
まだ十分な土台ができているとは言えないが基礎はある。シバ師匠との特訓で鍛えた“体”にカンナ先生が手解きしてくれた“技”。完璧とは程遠いが挑戦しなければ始まらない。
失敗を恐れては何も始まらない、大事なのはいつだって“心”だ。
それに裏にはピカチュウ達も居るのだ、恐れる心配は何もない。技のスロットは“ニトロチャージ”、“ドラゴンクロー”、“りゅうのはどう”……究極技の“ブラストバーン”を使うなら……合わせるのは“りゅうのはどう”だ。
「リザードン!“ブラストバーン”に“りゅうのはどう”を合わせるんだ!」
「グオン!!」
ポケモンにも技の相性という物があり保有タイプなら当然相性が良いが、保有してなくても種族や生態によって更なる相性の良し悪しがある。
それによるとリザードンと言う種族は炎と飛行タイプに加えてドラゴンタイプとも相性が良い。無論、鍛錬すれば相性が悪くても組み合わせる事ができるが、未熟な俺達は素直に相性の良さに頼らせてもらおう。
リザードンの口に“ブラストバーン”の爆炎に“りゅうのはどう”が混ざっていく。
散々練習して今では立派な切り札の“ブラストバーン”の制御ならリザードンならお手のもの、そこに別の技を少し合わせる位ならギリギリ可能だ。
二つのエネルギーがリザードンを蝕み苦しそうな声を漏らすが勝利への渇望で無理矢理抑え込む……
「っ、まさか!?」
「ああ、そのまさかさ!!」
上空から“しんそく”の速度で落下するカイリューはその身に纏うドラゴンエネルギーによって巨大な龍の様にも見える。自信のある技なのだろう勝利を確信していたユウジさんだったが、俺達が絶技を使おうとするのを察して初めて目を見開き驚愕していた。
混ざりつつも荒れる二つのエネルギー…完全なる制御はできていないがブレスと言う体内のエネルギーを口から放つと言う単純なプロセス故に放つだけなら何とかできる。
「やるぞリザードン!!」
狙いを此方に迫るカイリューに定めて遂に俺達は放つ…!!
“ブラストバーン”の爆炎に“りゅうのはどう”のドラゴンエネルギーを加えた超火力…その名も!!
「ドルオーラァァァァァァ!!!」
放たれた一撃は、赤かったリザードンの炎を
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「ど、どうなったの?」
閃光によって包まれた世界が元に戻った後、最初に口を開いたのはサトシの戦いを見守っていたセレナだった。
リザードンが放った絶技“ドルオーラ”と龍星となって落ちてくるカイリューのぶつかり合い…その衝撃はスタジアムを揺らしバトルフィールドは舞い上がった砂埃で見えなくなっていく。
「あ、砂埃が晴れてきた!」
「っ、見て!」
しかし砂埃も次第に晴れていき決着の全貌が明らかになっていく。そしてカスミが何かを発見した様で指差す方に視線を向けると……
「グオオン…」
「バウ…」
ボロボロになって片膝をつくリザードンと…目を回して倒れ伏すカイリューの姿があった。
「っー!勝った!サトシ君が勝ったのよ!!」
「そうか!ぶつかり合う二つの強力なエネルギー!その中心により近かったカイリューの方がダメージがデカかったんだ!!」
それを見て歓喜の声を出すフルーラと納得した様に考察するケンジ。審判もカイリューの戦闘不能を確認して判定を下す。
「カイリュー、戦闘不能!リザードンの勝ち!よって勝者、チャレンジャーサトシ!!」
審判の判定が響き観客達が殿堂入り達成の瞬間に大いに沸き立つ。そんな中でサトシはリザードンに駆け寄る。戦闘不能にこそなってはいないがリザードンは絶技“ドルオーラ”の反動でとても戦える状態ではなくボロボロだ。
「お疲れ様……道はまだまだ険しいな」
「グオオン!」
これでは到底、実戦で安定して使えない。
まだまだ精進が必要だとサトシとリザードンは笑みを浮かべてセレナ達が待つ待機席に戻った。
こうしてサトシ達は無事にオレンジリーグの殿堂入りを果たしたのだった。
・強敵カイリュー
他のポケモンと違ってユウジのパートナーで手持ち唯一の本気のポケモン。ぶっちゃけると、セキエイ大会どころか現状のリーフのカイリューと堂々か、それ以上…
最後の技も、“げきりん”のエネルギーを身に纏い、空高くから“しんそく”で落下して相手を倒す絶技。…名前はまだ無い。
・絶技ドルオーラ
まだ未熟ながらも形にして放った絶技。
“ブラストバーン”と“りゅうのはどう”を組み合わせた強力な一撃だが連発はできない。現状では暴発の危険や反動に耐えられない欠陥もあるので、使いこなせてはいないが確かに一歩を踏み出した。
元ネタは元ネタはダイの大冒険から。
アイディアを提供してくれた【リユ】様、本当にありがとうございます。活動報告の方ではりゅうのはどう➕オーバヒートでしたが、作中でオーバーヒートは使っていないのでブラストバーンに変更しました。
本来はジョウト編の後半からまで出さない予定でしたが、沢山のご意見を頂いたので、未完成として出しました今後もよろしくお願いします。
・実は結構ギリギリ
楽勝に感じるかもしれないが、ドルオーラで倒せなかったら反動でリザードンは戦闘続行が困難でピジョットもボロボロ。ガチゴラスは砂の足場で十分なポテンシャルを発揮できず、マトモに戦えるのがピカチュウだけなので実は結構ギリギリだった。
次回でオレンジ諸島編は終わり、間話としてとあるキャラ達が参加するリコロイ編は4〜5話連載します。