秘境特異点〜疑似新世世界テイワット 作:Zakurosu666
空は、泣かなかった。
涙が流れなかったのではない。
流す理由そのものを失ったのだ。
「……あなたは、私の兄じゃない」
離れ離れとなった妹、蛍の言葉は刃ではなかった。
刃ならば、痛みがある。
だがそれは、ただの事実として宣告された否定だった。
世界が、音を失った。
モンドの風は彼を避け
璃月の岩は彼を拒み
稲妻の雷は彼を裁き
知恵の国は彼を解剖し
正義の国は彼を有罪と断じた
ナタは彼を敵と言い
ナドクライは彼をワイルドハントの一部と決めつけた
本来ならあり得ないな事だが
ファデュイの博士の発明品
其のせいで旅人が積み上げてきた旅路は「偽物」になった。
彼は歩き出した。
行き先はなかった。
ただ、テイワットの外へ。
その瞬間
「――観測完了」
時の彼方、時空を超え世界を超えてもうひとつの世界、天理に反逆し負け、崩れ落ちた時間神殿の残骸で、魔神柱パイモンは、確かにそれを見た。
壊れ掛けた王の資格をもつ者を
世界から切り捨てられた存在。それでもなお、世界を憎まなかった魂
「……哀れ」
別世界とは言え自分達の為に力を貸してくれた存在を無下にした
其が人ならまだ納得できる、だが魔神たる我等にも完全に効くとは思わない
何か違和感があった筈だそれなに
貴様らが捨てるなら、我等が救おう
柱は震え、同胞を呼ぶ。
『起動せよ、起動せよ、起動せよ』
『我が同胞たる魔神柱、即ち』
『バルバトス』
「その者、自由をもたらした」
『モラクス』
「その方、神がいなくても立ち向かえることを示した」
『バアル』
「その存在、変化をもたらした」
『ブエル』
「かの者、幽閉されし我を助けた者」
『フォカロル』
「かの者、預言を覆した者」
『アイム』
「英雄と呼ばれし者」
「彼を、新たなる我等の王にしよう」
それは救済ではない。
契約だ。
消えゆく魔神柱たちが、彼の側に侍り彼を支えるため、自らを繋ぎ止めるための“鎖”にした
こうして生まれた。
旅人が存在しなかった歴史の世界。
新たなる王が君臨する
疑似新世世界 テイワット
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だが物語は、まだ終わらない
「旅人?」
旅人が王となった時、其と同時に彼を発明品のせいで嫌っていた人達は正気に戻っていた
狂っていた方が嫌っていたままの方が幸せだったのかもしれないのに
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その次の日テイワットに七つの秘境が現れた
七つの内、今入れる秘境はモンドにある秘境のみ
来るがいい彼を見捨てた者達よ
其処こそ
【第一秘境特異点】
――自由が罪とされ自由を守る者がいない世界――
【暴風災厄領域・モンド】