零れ落ちる命の熱
すべてが、あまりにも出来の悪い冗談のようだった。
モニターの向こう側にあったはずの「旧都陥落」。多くの命が失われ、文明の終わりを告げた最悪の災害。その真っ只中に、俺はいた。
(なんで、俺なんだよ……)
空が、見たこともない色に染まっていた。
ゼンレスゾーンゼロの世界——知識として知っていたはずの「旧都陥落」は、画面越しに見ていたものとは比べ物にならないほど、血と鉄の臭いに満ちていた。
「逃げろ……雅……っ!」
喉が焼けるように熱い。叫んだ声は、周囲を包む爆鳴にかき消された。
目の前には、まだ幼さの残る星見雅がいる。彼女は呆然と、自分の前に立ちはだかる「名もなき青年」である俺を見つめていた。
彼女は強い。けれど、今の彼女はまだ「最強」じゃない。
今ここで、背後から迫る巨大なエーテリアスの爪に貫かれれば、彼女の未来は、そしてこの街の希望は断たれる。
グシャリ、と嫌な音がした。
「あ……」
視界が激しく揺れ、上下が逆さまになる。
遅れてやってきたのは、脳を直接焼かれるような、凄まじい衝撃と痛みだった。
エーテリアスの鋭利な爪が、俺の脇腹から肩口にかけてを、紙切れのように引き裂いていた。
「あ、が……っ、は……!」
口の端から温かい塊が溢れ出す。内臓が、骨が、自分の体から零れ落ちていく感覚。
雅が何かを叫びながら、こちらに手を伸ばしているのが見えた。その瞳に映る絶望。
だめだ、見ないでくれ。そんな顔をさせるために助けたんじゃない。
視界が急速に暗転していく。指先の感覚が消え、凍えるような寒さが全身を支配した。
これが、死か。
あんなにゲームで楽しんでいた世界で、俺は今、ただの肉塊として終わるんだ......
——そう思った瞬間。
ドクン、と心臓が跳ねた。
「…………え?」
目を開けると、そこは数分前の路地裏だった。
空の色も、周囲の悲鳴も、さっきと同じ。
けれど、先ほどまであったはずの「体が裂ける感覚」が、生々しい熱を持って脳裏に焼き付いている。
「はっ、はぁ……っ! げほっ、ごほっ!」
俺は自分の体を抱きしめ、地面に蹲った。
傷はない。血も流れていない。
けれど、死ぬ瞬間の、あの骨が砕ける感触と、内臓が冷えていく恐怖だけが、呪いのように心にこびりついて離れない。
「今の……夢、じゃない……」
震える膝を叩き、俺は前を見た。
角を曲がれば、またあの巨大なエーテリアスが雅を襲う。
知識はある。死の記憶もある。
けれど、俺には力がない。
「…………やるしか、ないんだろ」
俺は震える手で、近くに落ちていた瓦礫の鉄パイプを拾い上げた。
二度目の死が、すぐそこまで迫っていた。
どうもー。さっき読み終わった偉大な先人の方のゼンゼロ2次創作に感極まったので、衝動で書きました。この小説はこちらの作品に大きく影響されていますので、チェックしてください。↓
しづごころなく様「ゼロ・トゥ・ゼロ」
https://syosetu.org/novel/351815/
誰とのストーリーを書いたらいいでふかね(選択肢にないキャラは私の妄想が乏しいために入っておりません。ご要望あれば教えてください)
-
イヴリン&アストラ
-
朱鳶さん
-
儀玄師匠
-
福福先輩
-
ルーシー
-
シード
-
雅課長
-
柳
-
エレン
-
邪兎屋
-
カリュドーンの子
-
ヴィクトリア家政
-
対ホロウ特別行動部第六課
-
雲嶽山