盲目覇王による古代インド統一   作:アマエ

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1話目

一分でわかる古代インド:盲目覇王ドリタラーシュトラ その1

 

 

古代インド統一を成した盲目覇王ドリタラーシュトラを語るには、彼の若き日、まだ王位につく前から始めるのが相応しい。

 

ドリタラーシュトラは、クル王家ゆかりの聖仙ヴィヤーサが前王ヴィチトラヴィーリヤの妻アンビカーのもとを訪れ授けた息子とされている。アンビカーは苦行により恐ろしい容貌になっていたヴィヤーサから目を背けてしまい、その結果、息子のドリタラーシュトラは盲目で生まれた。若き未亡人はアダルマを持って生まれた息子を見て嘆いたことだろう。それが的外れな嘆きであると知ることなく。

 

ヴィヤーサはその後、前王のもう一人の妻アンバーリカーにパーンドゥを、アンビカーが身代わりとした侍女にヴィドゥラを授けた。そして再び世俗を離れ、苦行の日々へと帰っていった。

 

二人の王子と一人の異母弟はクシャトリヤの教育を受けてスクスクと育った。長兄ドリタラーシュトラは幼い時より象以上の剛力を誇り、手持ち無沙汰に鉄塊を粘土のようにこねて母や弟達の姿を模って見せた。次男パーンドゥは弓技に優れ、王子ではなく兄達の補佐として養育されたヴィドゥラは類まれな知恵を発揮した。それぞれ優れたヴィヤーサの息子達は、ドリタラーシュトラの圧倒的な力とカリスマにより強く結ばれ、お互いを支え合っていた。

 

ドリタラーシュトラの覇道の始まりは、クル族の長老らが次代の王の選定に入った時。勇ましく怪力無双で王の覇気に満ちた盲目のドリタラーシュトラ。蒼ざめた肌以外は完璧な貴公子であるパーンドゥ。戦士の気質が強い者が兄を、貴族の自覚が勝る者が弟を推したことで一族は二つに割れつつあった。

 

ここでパーンドゥに少しでも兄を見下す気持ちがあれば、王位は彼のものだっただろう。しかし現実は異なった。長老達の前に呼ばれたパーンドゥは、隣に立つ兄の前に跪き、その場で永遠の忠誠を誓ったのだ。同じ場所に立つことを許されなかった末弟ヴィドゥラも、会場の端で人知れず膝を折ったとされている。

 

かくして古き王国はドリタラーシュトラのものとなった。盲目覇王の第一次大遠征のちょうど一年前のことだった。

 

 

 

 

 

一分でわかる古代インド:盲目覇王ドリタラーシュトラ その2

 

 

クル国王ドリタラーシュトラは盲目であったが、彼が知覚する世界は常人とは比べ物にならないほど鮮明で遥か遠くを見渡すものだった。古代インドの神は時に第三の目と呼ばれる千里眼を持つ。有名なところでは太陽神スーリヤなどが知られる。ドリタラーシュトラも何かしらの方法で第三の目を開眼しており、戦場では地平線に立つ敵に槍を投擲して仕留めたとされている。日々の政務においても不自由することなく、彼の補佐を務めたヴィドゥラの書類の誤字脱字を指摘したというふざけた逸話も残っている。

 

王位を継承したドリタラーシュトラがはじめにしたことは、己と二人の弟のそれぞれの婚約者との婚姻だった。彼らの伯父ビーシュマが紹介した美しい姫君達との婚儀は同日に行われ、ここでも三兄弟の親密さが浮き彫りになっている。

 

美貌で知られたガーンダーリーを娶ったドリタラーシュトラは、彼女の姿形を優しく両手で確かめ、唯一の愛を誓ったという。苛烈な印象が強いこの英雄は、生涯一人だけの妻と彼女との百一人の子供達をこよなく愛した家族思いの父親でもあったのだ。

 

そして少しの時が流れ、盲目覇王は最初の遠征に旅立った。隣国を順に攻め落とし、クル族の勇士らを率いて最前線で最も多くの命を奪った。敵方が降伏するまで、相手の王都にまで攻め込んで刃向かうものは老弱男女隔てなく血祭りにあげた。そのかわり、決して街に火を放つことはなく、向かってこなければ相手が戦士であっても傷つけず、女子供を悍ましい欲望の対象にすることもなかった。これはドリタラーシュトラの全ての戦いに共通するスタンスであり、彼が率いる全軍が従うルールでもあり、略奪行為などは厳しく取締られた。

 

ドリタラーシュトラが攻め込んだ国は、攻め落とされ奪われるか降伏して属国になるかの二択を強いられた。初めのうちは前者が、数年すると後者が目立ち、最終的には戦う前から下ることを申し出る国が続出した。

 

七度の大遠征と三十五回の防衛戦。生涯で戦争に関わること二百二十四回。戦歴は二百二十四戦、二百二十四勝。起こした戦争による死者、十二億人超。これが古代インドを統一した盲目覇王の戦歴である。

 

 

 

 

 

 

とある転生者のモノローグ

 

 

死んだと思ったら古代インドに転生した。

 

よくあるトラック転生で腕が四本ある疲れた顔したイケメンの神様にチート能力をもらい、綺麗な嫁さんを約束されて転生した。古代に生まれるってのは正直嫌だった。ネットも水洗便所もカップラーメンもない生活とかありえないと神様に文句を言った。そしたらネットだけは、アカシックなんたらという上位存在専用のネットワークに脳内接続できるようにしてもらえた。使うのにコツが必要だったけど、あらゆる娯楽にアクセスできたので満足した。

 

俺が生まれたのは、クル王国という古い国だった。父親はおらず、母親は前王の妻。意味わからん。後々、前王の親戚のなんかすごいホームレスのおっちゃんが母ちゃんと寝て俺ができたと聞いたが、それも意味がわからなかった。そうまでして母ちゃんが子供を産む必要があったということか?

 

ともあれ、俺と下の可愛い弟二人はちょっと変な生まれ方をしたが、兄弟仲良く育った。俺は子供の頃、わんぱくガキ大将だったんだ。今生でも同じように弟達と遊んでいたら、自然と弟たちが子分みたいになっていた。武器の扱いが上手い色白美形のパーンドゥ。めちゃめちゃ賢いヴィドゥラ。どっちも自慢の弟だ。

 

さて、生まれ変わった俺のボディは目が見えなかったが、アカシック何ちゃらにアクセスできる脳みそは眼球を使わなくてもなんでも見ることができた。副産物的な千里眼ってやつだ。なんなら地球の裏側だって自由に観測できた。頑張れば宇宙も見えただろうが、興味なかったんで見なかった。弟達も周りの爺さんたちも、第三の目がなんちゃらと言っていたが、よくわからんかった。重要なのは、俺はちゃんとなんでも見えていたということだ。

 

このお陰で、神様が約束してくれた美人な嫁さんが嘘じゃないってわかったしな!

 

俺が王様になってそろそろ結婚したいなーと思っていた時、伯父ちゃんが近所の国のお姫様を紹介してくれた。ガーンダーリーという名前のエキゾチックな超美人さんだ。肉感的で腰がキュッとくびれている。二回生きて初めてお目にかかったレベルの美女に、俺は舞い上がって永遠の愛を誓った。

 

パーンドゥはマードリーとクンティーという美女二人と結婚した。俺は一人で十分だからいいんだけど、なぜ二人? ヴィドゥラはお姫様じゃなくて長老のお孫さんと結婚した。小さい頃から一緒に遊んだ幼馴染みというやつだ。俺には超絶美女のガーンダーリーがいるから全然羨ましくなかった。嘘じゃないぞ。

 

合同で盛大な結婚式をして、夜はそれぞれ楽しんで、平和な生活を送っていた。

 

少ししてガーンダーリーが妊娠して、夫婦で超ハッピーに子供の名前やどんな子に育ってほしいといった話をしていたある日。可愛い妻が俺にもたれかかって昼寝している時、暇だった俺は某ネットワークでエゴサよろしく息子(予定)の名前を検索して、とんでもないことを知ったのだ。

 

俺たち夫婦は百一人の子供に恵まれる。そして百人の息子を戦争で失うことになる。戦争の相手は可愛い弟パーンドゥの息子達。よくわからんが神の子供だという彼らがクル王族の、カウラヴァのみんなをほぼ殺し尽くして国を奪う。前の俺が生きていた未来でマハーバーラタと呼ばれた神話が、今の俺の人生だなんて。

 

「ありえぬ」

 

小さな独り言はガーンダーリーを起こすことなく空気に溶けた。

 

眠る奥さんのちょっとだけ膨らんだお腹に手を当てる。この中に百一人の子供達がいる。何もしなければ従兄弟に殺されてしまう、もしくは未亡人にされてしまう、俺の可愛い子供達が。

 

今の俺の手はとんでもなく大きい。ゴッツゴツの太い指で鉄を粘土扱いできる手だ。転生することになって俺はとにかく強い体を望んだ。世紀末覇王のような、100%を超えたパワー妖怪のような、天与呪縛の暴君のような、敵をワンパンするヒーローのような、あらゆる敵を肉体一つで倒す男に憧れていたからだ。俺を見送った神様は、もう好きにしろよと乾いた笑みを浮かべていたっけ。

 

ああ、好きにするさ。内輪で戦争なんて起こさせない。息子達の代で争う必要なんて残さない。女神様が人間が多すぎるって言うなら、もっと満遍なく世界中から間引かせてやる。その中に俺の子供は一人も含ませない。

 

「このドリタラーシュトラが覇を唱えよう」

 

「パーンダヴァと争う未来を砕こう」

 

「我が子らが悪だというのなら、それは外敵に対する悪である」

 

俺たちの敵は外に作る。俺が今、そう決めた。決めてしまえば後は行動するだけだ。ガーンダーリーをそっと抱き上げて寝台に寝かせてから、侍女に世話をことづけて部屋を出る。行く先は伯父ビーシュマの屋敷だ。呼びつけるより俺が行く方が早い。

 

伯父上、長老たちを集めてくれ。これから周辺国を落とすための軍議を行う。そうだよ、聞き間違いじゃない。

 

戦争の時間だ。

 

 

 




後書き

古代インド統一を目論む覇王系ドリタラーシュトラ成り代わり主でした。
見た目と口調は某世紀末覇者のイメージです。
子供達は完全に奥さん似。

原典で盲目だからと見くびられ王位を継げなかったお父さんを魔改造したらこんなことに……
百王子の親だけあって属性は秩序・悪です。
自分と周りさえ良ければ、息を吸うように他を犠牲にするタイプ。
なお、わし様と同じで外道ではありません。
殺すのは歯向かってくる相手だけに限定します。
それが訓練を受けた子供や殺す覚悟を持つ女性なら容赦しないだけで。

【2026.2.28まで】 本シリーズについて、今後の更新の需要確認にご協力願います。ここにないネタの希望はメッセージ(コメント欄は不可)でアンケート〆まで受け付けます。パロ・Ifの分岐ルート・番外の続き等、何でもOKですが、レーティングはR15まで(R18は不可)、キャラ死亡はパロかIFのみでお願いします。 ★重要★あくまで需要の確認です。必ず書くとお約束できないことをご了承願います。

  • 長兄以外の百王子から見た父王
  • パーンダヴァの誰かから見た伯父王
  • 敵国から見た盲目覇王
  • 現パロの盲目覇王一家
  • 第4次聖杯戦争の盲目覇王
  • 第5次聖杯戦争の盲目覇王
  • オリジナル聖杯戦争の盲目覇王
  • 百王子やパーンダヴァの子の話(孫世代)
  • ビーマとヒディンバーの話
  • FGOの実在イベントへの参加
  • マハバ三大美女に関する掲示板
  • 人類史上最強に関する掲示板
  • 治安維持部隊長アシュヴァッターマン
  • ビーシュマやドローナの掘り下げ
  • クンティーとカルナの話
  • パーンダヴァ長兄()カルナの話
  • 授かりたくないアルジュナの話
  • ビーマの料理関係の話
  • 戦場の殺伐としたエピソード
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