盲目覇王による古代インド統一   作:アマエ

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番外「カルデア頂上決戦!!~筋肉は世界を制す」4話目

 

 

カルデア頂上決戦四回戦もとい準決勝。この高みまで勝ち残ったのはカルデアが誇るトップサーヴァントの上澄みも上澄みだ。ダークホース一名を除き、人類史が誇る大英雄がそろい踏みであった。

 

古代メソポタミアに君臨した最古の英雄にして人類の裁定者。アーチャー・ギルガメッシュ。

 

古代エジプト最強の神王(ファラオ)、偉大なりし太陽王。ライダー・オジマンディアス。

 

古代インド随一の大英雄、常勝無敗の盲目覇王。セイバー・ドリタラーシュトラ。

 

そして今大会のダークホースである大地母神の複合体。アルターエゴ・キングプロテア。

 

カルデアのマスター・藤丸立香は、このラインアップを聞いた時「プロテア、立派になって……」と謎の保護者目線で目元を拭ったとか。また、準決勝の紅一点への応援は凄まじく、キングプロテアの大本であるBBと姉妹にあたるサーヴァントたちも無関心を装いつつ全員が観戦席の最前列に陣取っていた。

 

イベント最終日のシミュレータは、カルデア首脳陣の大判振る舞いで聖杯をひとつ使用して最大限強化された。そのうえでスタッフは中央管制室でモニターに張り付き、シオンにダ・ヴィンチ、キャプテン・ネモ率いるマリーンたちは整備的な意味で臨戦状態だ。新所長は藤丸とマシュとともに特等席に座り、悟りを開いたような顔でティーカップに口をつけている。

 

「準決勝第一戦、ギルガメッシュ対キングプロテア!」

 

対戦カードの紹介はマスターの役目だ。マイク片手に二人を紹介した藤丸の声に続いてコロシアムに大歓声が沸き起こる。フィールドに立つ男と少女の様子は対照的で、片や余裕綽々、片や眉をさげた緊張顔であった。

 

「決勝の前座に巨人退治とは、見せ物としては及第点だな」

 

「貴方はなんとなく嫌いです。潰しちゃいます!」

 

試合開始ともにキングプロテアが普段の5メートルからみるみる大きくなっていく。ギルガメッシュは小手調べとばかりにいくつか大剣を打ち出し、少女の肌がそれらを弾いたことに口角を釣り上げた。

 

「ほう、これならどうだ?」

 

「もっと大きく! どこまでも強く!」

 

シミュレータ内は仮想空間であり、すべてがデータ化された上で管理されている。このためコロシアムの上空はキングプロテアの成長を妨げないよう高さの制限が解除されており、数秒のうちに膝をついた彼女の下半身がフィールドをほぼ埋め尽くした。隅の方に追いやられたギルガメッシュは不愉快を隠さず巨人殺しの武器を相手の眼球に差し向ける。それは巨大な手のひらに遮られたが、肌を貫き柄まで通った。

 

「いたっ」

 

「図体頼りで回避も防御も捨てるとは、我を侮るにもほどがあろう! 疾くその首落としてくれる!」

 

「小さいくせに……っ、えーい!!」

 

カルデア頂上決戦のルールには場外負けがある。フィールドを囲む円形の壁は「壊れない」設定がされており、場外判定は壁を超えた場所に体の一部が触れることだ。すでにフィールド内はキングプロテアの支配下にあるも同然。通常の戦いであれば、敵はこのまま叩き潰されるか、捕まって場外に放り出されるかだろう。しかし彼女の対戦相手は英雄王。巨大な神獣フワワを討伐した大英雄なのだ。

 

地響きを伴う拳を避けたギルガメッシュが手にしたのは、彼のクラスにそぐわない大斧と大太刀であった。身の丈に近いそれらを携えて相手の巨体を駆け上っていく。止めようとするキングプロテアの手のひらが自らの体を叩くが、最古の英雄は俊敏であった。

 

「フワワは我と友の三度の攻撃で倒れたが、貴様はどうか?」

 

長大な、しかし白い首に対して小さすぎる刃が振るわれる。観客席で同じような顔をした少女らが息を呑む中、キングプロテアの項から吹き出した血が大雨のように降り注いだ。

 

「うああああっ、このぉ死んじゃえッ」

 

「遅いわ、たわけ!」

 

大太刀に続いて大斧がキングプロテアの首を襲った。それは概念的な威力によって強靭な肉と骨を断ち、巨大な頭部を体から切り離した。

 

死亡判定により巨大な少女が光の粒になって消えていく。足場を失ったギルガメッシュが危なげなくフィールドに降り立ち、一瞬の静寂の後、轟くような歓声がコロシアムを満たしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

とある転生者のモノローグ

 

 

準決勝第一試合はなかなか面白かった。ギルガメッシュの実力を図る参考にはならなかったけど、あいつが持ってる概念付きの宝具の厄介さはよくわかった。あのお嬢ちゃんのぶっとい首をあっさり切り落としたのはフワワ退治の再現だ。王殺しの武器とかなら俺のスペシャルボディを切り裂くことも容易いだろう。難しい相手だな。

 

ともあれ今は目の前の対戦相手だ。二回戦で俺の子供達をクルクシェートラしてくれやがった太陽王オジマンディアス。まあ、本当に殺したわけじゃないので別に憎んじゃいないが、最高に胸糞悪いことを思い出させてくれたのはちょっとだけ恨んでる。逆恨みだが、それが何か?

 

「フハハッ、インドの覇王よ、ファラオの威光の前に跪くがいい!」

 

「我が覇道の前に屍を晒せ、太陽王」

 

オジマンディアスの戦闘データは確認済みだ。こいつが勝ち上がってくるのはわかってたからな。昨日のうちにアカシック何ちゃらの制限された範囲を隅々までさらい、大遠征前のように勝利ルートを確認した。懸念材料はサーヴァントになって弱体化した俺自身だが、それはお互い様だから気にしない。

 

ケイローンが試合開始を告げるなり、杖を手にしたオジマンディアスが早速レーザーを撃ってきた。そんな直線攻撃が俺に当たるかよ!

 

「ぬんっ」

 

フィジカルは圧倒的に俺が有利だ。剛力無双EXは伊達じゃない。オジマンディアスもそれをわかっているようで、俺の剣を受けずに大きく避けた。お前はスカサハほど敏捷が高くないからそうするしかないよな。距離をとってスフィンクスや魔力の攻撃を浴びせ、最終的に宝具で押し潰す算段だろう。生前ならいざ知らず、今の俺じゃ大神殿を受け止めたりパンチで穴を開けて受け流すことはできない。でもちゃんと対策は練ってあるぞ。

 

「地上に在ってファラオに不可能なし! 万物万象、我が掌中にあり!」

 

ギルガメッシュもそうだが、こいつらの自信はどこからくるんだろう。俺も王としてそういった言動を心がけてきたけど、俺のは半分演出だ。王様が自信なさげじゃ戦争なんてできない。残りの半分は、自分の強さへの絶対的な信頼あっての本当の自信だったわけだけど。うーん、この骨の髄まで俺様何様神王様な態度は見習うべきか。

 

高笑いしながらスフィンクスの群れを差し向けてくる太陽王。音速に反応しきれないから細かく攻撃して足止めする、的確な戦法だ。

 

「打ち砕く!」

 

目の前のスフィンクスを殴り殺し、次の一頭の首を刎ねる。少し力を入れて薙ぎ払って、ジープぐらいの大きさの神獣を三頭まとめて両断だ。オジマンディアスが放つ光線をサイドステップしたところに大きめのスフィンクスがさらに追加された。むむっ、面倒臭いな! 

 

「温いぞ、盲目の! 貴様はその程度の男であったか? フハハハハッ」

 

何がそんなに愉快なのかわからんが、笑っていられるのも今のうちだぞ。でっかいスフィンクスの首根っこを掴んで音速で投げつけてやると笑い声が止んだ。まだまだ行くぜ!

 

しばらくスフィンクスを千切っては投げしていると、土煙の向こうで金色の魔力が膨れ上がった。ついに来たな。

 

「全能の神よ、我が業を見よ! そして平伏せよ。我が無限の光輝、太陽は此処に降臨せり!」

 

「クル族よ、団結せよ! 我らが敵は外にあり!」

 

宝具には宝具で対抗するしかない。俺の足元から世界が塗り変わり、懐かしい古代インドの戦場の空気がフィールドに広がっていく。聞き慣れた戦士らの足音、軍馬のいななき、開戦の雄叫び。征くぞ、みんな!!

 

「 『光輝の大複合神殿(ラムセウム・テンティリス)』!」

 

「『偽典マハーバーラタ(ヤー・ラージャ・キー・カハーニー・ハイ)』!」

 

コロシアムの上空からとんでもない大きさの神殿が落ちてくる。二人とも固有結界に分類される宝具だからか、シミュレータのテクスチャが変なことになって、ぶつかりあう魔力が嵐のようだ。千里眼に映るオジマンディアスも吹き飛ばされないように踏ん張ってる。その顔は勝者の余裕か? ……そうだな、相手が俺じゃなきゃ、お前の勝ちだっただろうよ。

 

「伯父上、カルナ、アルジュナ、上を任せる」

 

応、と重なった声を置き去りに、俺はただ前進する。立ち塞がるスフィンクスどもは精鋭部隊と息子達が蹴散らしてくれる。直後に背後の温度が急上昇し、三発のブラフマーストラが落下中の建造物に炸裂する轟音が響いた。古代エジプトの大神殿が落ちてくるのを古代インドの核攻撃系奥義で迎え打つとか、深く考えると頭がバグりそうだ。

 

どんどん迫る俺に逃げるそぶりを見せないオジマンディアス。ああ、王の中の王を自負する男が他国の王から逃げるわけがないよな。

 

「オオッ!!」

 

「神たるファラオの武勇を見せるとしよう!」

 

俺の大剣と相手の魔力を帯びた杖がぶつかり、ビリビリと空気が揺れた。すごいな、魔力による身体強化で俺とやり合えるとは。見直したぞ、ファラオ!

 

でも数回打ち合うとオジマンディアスの額にうっすら汗が滲んだ。そりゃそうか、戦上手の武闘派とはいえステゴロなんてほぼ無縁だっただろうし、俺は徐々にペースを上げてる。核攻撃でも止めきれなかった大神殿が頭上に迫ってきてることだし、そろそろ幕を引くとしよう。

 

「終わりだ、太陽王」

 

「この、オジマンディアスたる余を……倒す、のか……ふ、フハハっ、見事だ!」

 

攻撃力アップのスキルを重ねがけした俺の振り下ろしが、ついにオジマンディアスの肩口に入った。無骨な刃が肉を断ち、霊核を含めた中身を破壊する。即死のはずの男は退去の間まで笑っていた。一つ前のスカサハといい、戦闘の何がそんなに楽しいのやら。

 

俺の宝具で現れた懐かしい面々が勝鬨の声とともに消えていく。コロシアムを満たす大歓声の中、俺の意識はすでに次の勝負に向いていた。

 




後書き

戦闘シーン書くのが難しすぎて辛い><

プロテアは(主にオルタの方の)ゲーム内の活躍から対戦者に選びました。
凄く頑張ったけど、相手が悪かったとしかいいようがない。
ファラオは息子→父で対戦させると最初から決めてました。
図らずもクルクシェートラを再現した&かなり難敵なので、覇王の宝具がついにお目見え。
タイプはイスカンダルとダダ被り。
ただし召喚される軍勢のうち大英雄たちは覇王が知る生前の彼らをまんま持ってきており、盲目覇王の人類史における知名度と逸話と(人口大国インドの「人類最強の英雄はインド人だぜ、いえーい」的な)信仰によってここまで昇華されました。
サーヴァントとしての覇王の出鱈目な強さも同じ理由からきています。
次回はギルガメッシュとの決勝とエピローグ!

コメント、ブクマ等大変嬉しいです!ありがとうございます!

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