伏黒家の末裔、現代最強の生まれ変わりと噂される女に見初められる   作:呪術児

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鍛錬

 「かはっ………」

「はいっ、これで3度目の臨死体験だね…三度目の正直って言葉もあるけど、二度あることは三度あるの方だったかな。」

俺は今、現代最強に仮死状態までボコボコに殴られ、反転術式のアウトプットで蘇生されるという生き地獄を繰り返している。

よくキツイ苦行で挙げられる”千日回峰行”なるものがあるが、断言できる。今の俺の苦行の方が断然ハードだ。

 

 「私の先祖は、死の淵で反転術式に目覚めた者が多いって聞いたんだけどなあ。」

まあ私は産まれつきのセンスで覚えたけどね♪と、ムカつく補足を入れてくる”現代最強の術師” ”五条瞳”。何故か魔虚羅の自爆儀式に巻き込み本気で殺そうとした俺の事を気に入った彼女だが、何故こんな事に巻き込まれたかというと…

 

………

 

 「何してるの?フィーリングってやつ?」「うるせー話し掛けんな。」

高専で一般座学や呪術界の歴史などの授業を終えた後、誰もいない体育館で”反転術式”のイメージトレーニングをしていたのだが。

 

 「ねぇなにしてるのなにしてるのなにしてるの。」

「答えないなら永遠にウザ絡みするよ。」

答えても答えなくても絡んでくる癖に、ふざけやがって。こんな事なら寮の自室で………

 

「ちなみに、アンタの体には無下限の座標圧縮ワープのマーキングつけてあるから♡」

「………はあ!?」

ふざけんな今すぐ外せ、というより、俺が自室で練習すれば良かったと内心吐露したのを読んだかのような返答。その蒼空のように澄み渡った目は心の内すら見透かすのか?気持ち悪い………

 

………

 

 というわけで俺は反転術式を会得したいという目論見を強引に吐かされ、その修行に付き合ってやるとこれも無理矢理押し通され、人生三度目の臨死体験を迎えた訳だ。一度目は魔虚羅を召喚した時だから俺の自業自得な側面も…いや、あそこまで煽られて怒らない奴はいねぇよ。

「うーん、アプローチを変える必要があるのかな。」

 

 苗字通り地に伏せている皮肉な状況を前に何やら考え込んでいる。コイツの事だから碌な事じゃないだろうが。

「アンタの”十種影法術”ってさ。式神を部分的に顕現させる事も可能なんでしょ。」

高度な運用方法ではあるが出来ない事はない。事実”史上最強の呪いの王”と呼ばれた術師は水を吐き出す象の式神”満象”の水だけを顕現させ攻撃に転用したという記録が残っている。

 

 「私の遠縁の”乙骨家”でも、”玉犬”の爪だけを使う”形象拳”を使った子がいるとか聞いたし。」

何となく、コイツが言いたい事が分かった。

円鹿(まどか)の事を言ってるのか。」

「正解ッ」アンタは理解力が早くて話すのが楽だと褒められたが、全然嬉しくない。

 

 「確かに、円鹿を調伏し部分的に顕現させれば実質反転術式を扱えるのと同義だが…」

しかも呪力の消費は通常の術式運用の範疇で済むし”アウトプット”も可能、おまけに破壊の心配もない。三方良しの策に見えるが…

 

 「円鹿は攻撃性のない式神だが…全身反転術式の塊、俺の手持ちの式神だと調伏は至難の業だ。」

今の俺が円鹿の調伏の儀を始めても、呪力切れであの世に逝くのが目に見えてる。

 

「ねぇ、火力が欲しいなら玉犬の片方を破壊して…」

「絶対イヤ」

十種影法術、破壊された式神は二度と顕現出来ないという重い縛りがある。その代価として、破壊された式神を破壊されていない式神に継承させると爆発的に強くなるという”渾”という運用法がある。が………

 

俺はこう見えても式神への思い入れは深い。最初に与えらえた二対の玉犬、今までも破壊されぬよう細心の注意を払って来た。式神の破壊リスクを減らす為には式神使い本人も強くならねばとフィジカルトレーニングを怠らず、呪力強化術も磨いてきたのだ

 

 「人間嫌いなアンタでも、式神には思い入れがあるんだw」

「………分かってんなら俺に関わってくんじゃねぇよ。」

やーだよとベロを出された。本当に最悪だコイツ。

 

 「アンタさ、自分の限界を自分で作ってない?」

「はあ?」

「アンタにはさ、十種以外にもあの”呪いの王”と同じ術式があるでしょ。」

「何言ってんだお前。術式の同時運用は…」

術式を複数持つ者であろうと併用は基本出来ない。呪いの王でさえそうだったのだ。”領域”や”式神”などに外付けしない限りは………

 

 「だからさ、”領域”使えって言ってんのよ。領域に御厨子を付与すれば………まあ、アンタの場合必中効果はまだ無理だろうから領域に付与した術式をマニュアルで発動させる事になるかな?」

「えっ………」

反転術式も高度な運用だったがいきなりすっ飛ばして”領域”?何でも出来る奴はスケールがデカくて困る。

 

 「でもアンタ、簡易領域や帳は使えるんでしょ。」

「親の勧めで、”シン陰流”のサブスクを利用してたからな。」

なにそれウケると笑われたが、何が面白いのか分からん。

 

 「アンタの課題は、今日の鍛錬でよーく分かったよ。」

今日はもう帰っていいと、瞳は立ち上がり自室の寮へ戻っていく。やっっっっっと解放された…思わず体育館に伸びてしまう。意識も朦朧としてきた。

 

「明日アンタにとっておきの呪具を持ってきてあげr…」

何か不穏な言葉が聞こえた気がするが、聞こえない聞こえない………




見回りの教師に体育館で昏睡している所を発見され、入学初日同様キツくドヤされた。
アイツと関わってから碌な事がない………
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