『終焉』が近いであろう青空世界で私達は生きる......らしいよ?   作:エリオ(別同位体)

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サム……いや、■■■。
君はこの学園(トリニティ)で生死を別つ境界線となる。
その時まで、思う存分(はね)を舞うといい



Vol.3 エデン条約編1・2・3章  担当【熔火騎士】
プロローグ『5人目の落伍者』


トリニティ総合学園。

キヴォトスにおいて三大学園に数えられるそのマンモス校は、世間から「お嬢様学園」と称されるに相応しい気品を纏っている。

宮殿を思わせる白亜の校舎、荘厳な礼拝堂、知の集積地たる古書館、そして優雅な調べを奏でる音楽堂。

 

だが、その優雅な歴史の根底には、かつて散発していた学校間の血生臭い紛争の記憶が眠っていた。

 

「パテル」「フィリウス」「サンクトゥス」

 

かつてしのぎを削った三つの主要な分校は、後の生徒会「ティーパーティー」が主導した「第一回公会議」を経て、多くの分校が併合しようやく一つの連合、即ち現在のトリニティへと統合された。「アリウス」は除いて

 

そんなトリニティが今、最大の転換期を迎えていた。

隣接する自治区を持ち、古くから確執の絶えない宿敵・ゲヘナ学園。

その永きにわたる憎しみの連鎖を断ち切るため、当代の連邦生徒会長が主導した平和案

 

───【エデン条約機構(ETO)】の設立である。

 

調印へ向けて動き出した歴史の歯車。しかし、待っていたのは最悪の事態だった。

最高責任者である連邦生徒会長の突然の失踪。後ろ盾を失った条約は空中分解し、霧散するはずだった。

 

それを繋ぎ止めたのが、「ティーパーティー」フィリウス派リーダーにしてホスト代行

──────【桐藤ナギサ】である。

 

彼女の執念とも言える尽力により、消滅しかけた条約は再び息を吹き返し、ついに調印間近のところまで漕ぎ着けることに成功した。

 

しかし、その輝かしい努力と想いの背後には、形を持たない不穏な靄が静かに、だが確実に蠢いていた。

 

信じられる者は誰か。誰が裏切り者なのか。

押し寄せる疑心暗鬼の暗雲に、ナギサの心は深く堕ちかけていく。

張り詰めた孤独の限界の中で、彼女が縋るように思い出したのは、砂漠の学園───アビドスでの奇跡的な縁だった。

 

ナギサは決意する。この混沌の渦中へ、あの人物を招き入れることを。

 

【連邦捜査部S.C.H.A.L.E】

「シャーレの先生」を

 

これは、調印式を間近に控えた「エデン条約」を巡り、先生とトリニティの生徒たちが運命に抗う奔走劇。

 

そして────独りの少女が歩む、”生きるための青春劇”の始まりである。

 

 


 

 

正午を告げる鐘の音が、トリニティ総合学園の広大な敷地に響き渡る。

燦々と降り注ぐ真昼の太陽光は、白亜の校舎や美しく整えられた庭園を眩いほどに照らし出している。

 

この時間帯の生徒たちは優雅にランチタイムを楽しみ、おしゃべりを嗜む。

それがトリニティ総合学園の日常。

 

しかし、そうでもない者もいる。

 

正義実現委員会が拠点とする教室から一歩外へ出た集団。

彼女たちはティーパーティーから直々に「落伍者」の烙印を押された者たちだった。

 

【阿慈谷ヒフミ】

やらかし:テストサボり故の追試

【白洲アズサ】

罪状:校内で暴力沙汰を起こしたため拘留/素行に加え成績不振

【浦和ハナコ】

罪状:校内を水着で徘徊していたため拘留/奇行と成績不振

【下江コハル】

理由:単純に赤点。成績不振

 

そして、もうひとり。

大人である「シャーレの先生」は彼女たち。臨時に設立された新たな部活【補習授業部】の特別顧問教師・監督役としてティーパーティーの要請を受けていた。

 

アビドス、百鬼夜行、そしてミレニアムの件を解決したばかりだったとは言え、先生はこの案件も解決できるよう、ティーパーティーの要請を引き受け、補習授業部を支えようと決意した。

 

そんな補習授業部だが、現在。

長々と伸びる自分たちの影を踏みながら、大通りを歩く。

追試こと「第一次特別学力試験」に挑むための予習を行う前に。少しばかりの寄り道をしていた。

 

「うぅ…困りました」

 

阿慈谷ヒフミは、手元にある数枚のプリントを何度もめくり、困ったように眉を下げている。

ティーパーティーの生徒会長「桐藤ナギサ」から手渡されたその資料には、まだ見ぬ「5()()()()()()()」の情報が記載されていた。

 

「”ヒフミ。本当にここに5人目の子がいるの?”」

「はい。とは言っても、友達からの口伝なので情報としては不確定なものですが………」

「…………にしても、随分と寂れた場所だ。襲撃の合わないよう、警戒すべきだ」

 

その隣を歩くアズサは、周囲の屋上や死角になりそうな路地へ鋭い視線を走らせながら、ガスマスクを付けながら銃を構える。

彼女の物々しい様子に、コハルは呆れながら言う。

 

「寂れたのは否定しないけど、そう警戒しなくてもいいわよ。襲撃なんてゲヘナじゃあるまいし」

「そうですよ。ここは連邦生徒会長が行方不明になってから激戦区になってしまった場所とは言え、景色と裏腹に治安としては他の場所と差異はないですが」

 

彼女たちが足を立つこの場所はトリニティ・スクエアからちょっとばかり離れた薄暗い街中。

所々、建物が崩壊した後が目に映る度に気になるが、スラム街やゲヘナ、ブラックマーケットのような治安が悪いわけでもなく、寧ろ良い。

 

「…………甘い。私が居たところはこういった寂れた場所が死地になり得た。例えば、あそこの屋上から石を投げつけてくる。もしくはここの路地裏から爆弾を抱えながら特攻してくる。そう考えたら、危険じゃないか?」

「考えすぎ。あんたいったいどこで暮らしていたのよ」

 

アズサにツッコミ入れつつ、コハルは鬱になりながら嘆いた。

周囲の建物の崩壊跡、ガスマスク姿で銃を構えるトリニティらしからぬ二年生(自分より一つ年上)

自分自身の置かれた理不尽な状況。それらすべてが重くのしかかり、彼女は深く重いため息を吐き出す。

 

「はあああああ。赤点だなんて、なにかの間違いよ。なんでエリートの私がこんな集団と一緒に…………」

「コハルちゃんの場合は、純粋な学力不足なので………そんなに泣かなくても」

「この際百歩譲って、あなたとこの凶悪犯はいいのよ。問題は…………()()()よ」

 

ヒフミの優しい(しかし現実的な)フォローを遮り、コハルが忌まわしい気に視線をずらす、とそこに居るのは、未だ大胆にスク水を着たままの変態。

トリニティの街並みの中で、眩しい太陽の光を浴びながら、何食わぬ顔でスクール水着を着用しているハナコ。彼女が自身の隣に歩いていることにコハルはご立腹だった。

 

「あなた、いつまで水着着続けているの!?その状態で一緒に歩かないでよ!!」

「別にいいじゃないですか♡今更誰も気にしなませんし♡」

「節穴!?よく見なさい、ひといるじゃない!ほら、あそこにいる業者さん気まずそう彼方に向いているわよ!!」

 

コハルの言う通り。

周囲を見渡せば、人通り自体は少ないものの、崩壊跡を直している最中らしき修繕業者が数名程確認できる。そして彼らは全員ハナコ───ひいては補習授業部に目を合わせないよう彼方の方へ視線を向けていた。

 

あからさまに「見なかったこと」にしようとする大人たちの不自然な態度に、コハルは恥ずかしさで爆発しそうになる。

 

「あらあら♡私たらうっかり♪全然気が付きませんでした♡」

「”あまり行儀良くないから、あっちの物陰で制服に着替えなおしてね”」

「まあ、先生たら大胆な♡更に私のアレやコレを晒して欲しいのですか?」

「”()()()じゃなくて、()()()()()()と言っているんだよ。これ以上はヒフミたちに迷惑になるから、ね?”」

「ああん♪いけず♡分かりました。では………」

「え?」

 

先生の言う事を承諾した途端。ハナコは隣を歩いていたコハルの肩を、がっしりと掴む。

 

「ちょ、ちょっとなんなのこの手は!?何する気?!」

「ナニって、ちょっと手伝って欲しいので一緒に路地裏に来てくれませんか?ねえ?」

「何を企んでいるの!まさか、私にいかがわしいことをする気!?」

「いかがわしいって、ただ間仕切りカーテンになって欲しくてお願いしているのですが………いったいナニを想像していたのですか?」

「~~~~~!!!」

 

ハナコはふくよかな胸元に手を当て、すべてを見透かしたような笑みを浮かべる。

真っ赤に赤面し、まるで威嚇する猫のような眼になるコハル*1

コハルは持ってた鞄をハナコに振りかざすが、難なくハナコはひらりと避ける。

 

「しかし、完全にミセナイようにするにはもう一人は欲しいですね……」

「それなら、私が護衛しよう。着替え中は無防備になる以上、傍に誰か戦える者は必要だろう」

「ありがとうございます♡それじゃ阿慈谷さんたち、少し待っててくださいねー♡」

「ちょ、一緒に行くって言ってな………いやあああああ!!!!!」

 

3人はそう言って、古い建物の隙間に広がる薄暗い路地裏へと向かっていく。

ずるずると引きずられて絶叫するコハルを尻目にヒフミはどこか遠い目をしていた。

 

「騒がしくてすみません。先生」

「”いいよいいよ。あれくらいが女子生徒らしいくて微笑ましいからね”」

「…………そう言ってくれるとありがたいです」

「”ハナコみたいな子は慣れないけど…………”」

「それはわかります」

 

先生の気持ちに深く共感するように真顔で同意するヒフミ。

そんな二人の静かな会話から数分も経たぬ内に3人は帰ってきた。

アズサは(ガスマスク付って見えないけど)いつも通りの淡々とした顔であるが、コハルは精神的に少しやつれ、ハナコは満面の笑みでこっちに来る。

 

「異常なし。合流を果たした」

「ふふふっ。お待たせしました♡」

「…………もう、こいつと関わりたくない」

「”…………何となく想像はできるけど、なにがあったか聞かないようにするよ”」

「そ、それじゃ、気を取り直してもうひとりの仲間を迎えに行きましょう!」

 

ヒフミが必死に空気を変えようと声を張り上げ、再び足を運ぶ補習授業部一同だったが、それからトリニティの街を歩き回って30分経った頃。

 

「全然居ないじゃない!」

「お、おかしいですね?同級生が確かにお昼初めにここに向かったって言っていたはずなのに……」

 

未だ見つからないもう1人の仲間。

どれだけ歩いてもターゲットである少女の姿は見当たらず、訝しげにコハルは愚痴を吐く。

 

「逃げたんじゃない!追試が嫌で寮に帰ったと思うわ!」

「いえ、懸念は分かりますが、そこまで問題児じゃないようで、資料によれば真っ直ぐした性格らしいです。見たところ素行も成績もそこまでひどくありませんし」

「本当?こいつらみたいなタイプじゃない?」

「ふたりは例外にしといてください」

 

「むっ?」

「ひどいですね♡」

 

ヒフミの容赦のない言葉に、アズサが小さく声を漏らし、ハナコがクスクスと笑う。

 

(”ヒフミもその()()に入っている気が…………”)

 

先生は知っている。普段は常識人に見えるヒフミが、ペロロ様のことになると発揮する常軌を逸した行動力を。

とはいえ、只でさえ場が困惑しているのにソレをいうとややこしくなるため、先生はお口を閉じることにした。先生は分かる大人である。

 

「そんな子がどうして、こんな寂れた場所に来るのよ?」

「………そうですね。同級生の最後の証言によると、パテル派の人達に呼ばれたから、と仰っていましたが………」

「…………!」

 

ヒフミがそう言うとハナコの様子が変わる。先程みたいなふざけた姿勢から、険しそうにそれでいて嫌なものを思い出したかのような、冷徹な表情へと一瞬で切り替わる。

 

「…………急いだ方がいいかもしれませんね」

「ハナコさん?」

「”そう言えば、その子の名前を知らないや。ヒフミ、その子の名前はなんて言うの?”」

「あ、忘れていました。確かその方の名前は…………」

 

「────待て

 

ヒフミが探し人の名前を告げようとした途端、アズサが静止する。

ガスマスクの奥の瞳が鋭く細められ、周囲の建物の壁へと視線を向けた。

 

「ど、どうしたんですか?」

「僅かだが、人の声がした。こっちだ」

 

すると、アズサは迷うことなく走り出した。

その足取りは恐ろしく迅速で、一瞬にして崩壊跡の隙間へと滑り込んでいく。

 

「ちょ、勝手に行かない!独断行動はダメ!!」

「先生、阿慈谷さん。急いで白洲さんが向かった方へ向かいましょう。私の予想が正しければ…………」

 

ハナコもアズサの後を追う。

いつものトボけた様子は完全に消え去り、その横顔には隠しきれない焦燥感が滲んでいた。

 

「あ、あんたまで!?」

「ま、待ってください!先生、私たちも追いましょう!」

「”いったいどうしたんだろう……?”」

 

残された3人もまた行ってしまったふたりを追うため、慌てて地を蹴る。

真昼の明るい大通りの輝きを背に、一行は日光の届かない、影の濃い裏路地へと足を踏み入れていった。

 

 


 

 

入り口こそ人が一人通れるほどに狭いが、奥に進むと不自然に開けた空間。

トリニティの古い建築群に囲まれたその裏路地は、真昼の太陽光を遮るように高い壁がそびえ立ち、ひんやりとした冷気が満ちている。

先程までの寂れた大通りから更に嘘のように音が遠のき、古い石壁が不気味な静寂を際立たせていた。

 

その空間の中心に、ひとりの少女が孤立していた。

衣服に目立った乱れはないが、その立ち姿からは、周囲を完全に包囲されていることが見て取れた。

しかし、彼女の表情に怯えの色はなく、あるのは底深い「面倒臭さ」と「呆れ」だった。

 

「…………呼ばれたから来たというのに、随分と物騒な歓迎だね。そんなにあたしが気に入らなかったの?」

 

彼女を取り囲むのは、トリニティの制服を完璧に着こなした4人の令嬢たち――パテル派の生徒だった。

彼女たちは、孤立する少女を見下すように冷酷な笑みを浮かべている。

 

「まあそんな顔をしないでください、()さん」

「ええ、その通りですよ。私たちはただあなたと()()()()したいだけですから」

 

お上品な言葉遣いの裏に隠された、剥き出しの悪意と陰湿なプライド。

少女は呆れて、訳をしろうとパテル派の少女たちに問いかける。

一体、なんの件で自分が呼び出されたのかを。

 

「呼び出しの理由はなに?あなたたちが苛めていた(かがり)さんの件?それとも成績に対する妬み?」

 

リーダー格の子が答えた。

お気に入りの扇子で口元を隠しながら、その細められた瞳の奥にどす黒い独占欲と野心を滾らせて。

 

「ご自覚はおありのようで。私たちが『おもちゃ』として遊んでいた篝さんを横から奪い、おまけにぽっと出の分際でクラスのトップ成績をかっさらっていく生意気さ……。思い出しただけでも虫唾が走りますけれど。………まぁ、今回はそれだけのために集まったわけではありません。貴女に『有益なご提案』を差し上げようと思ってお呼び立てしたのです」

「提案?」

「ええ。小耳に挟みましたわよ? 貴女、あのナギサ様が直々に組織なさった『補習授業部』という名の泥船に放り込まれたそうですわね。なんと不憫で、滑稽なことかしら。家の都合でたった一回テストをサボっただけで、落ちこぼれの墓場行きだなんて……。私、心底同情してしまいますの。本当にかわいそうでお労しい境遇ですね?」

「その通りだよ。これに関連しては私の自業自得だし、否定しないけど」

 

少女はサッパリと言うが、リーダー格は気にせず続けていう。

 

「お話が早くて助かりますわ。だからこその、ご提案です。場合によっては、私たちがパテル派のコネクションを用いて、それなりの待遇――つまり、その泥船から貴女を引き上げて差し上げてもよろしくてよ?」

「…………何が目的なの?」

「なんでも、その補習授業部という集まりには、あの賢かった浦和さんや、私どもの『お仲間』が以前大変お世話になった白洲さんがいるのでしょう? 私たちが望むのはただ一つ……。彼女たちが追試に合格できぬよう、貴女が内側から足を引っ張る『()()()()』になっていただきたいのです」

「…………一応聞くけど、彼女たちに怨みでもあるの?」

「いや全然」

 

あっけらかんと、しかし冷酷にリーダー格の少女は言い放った。

 

「浦和さんや白洲さんに対しては、多少の思うところはありますが……。そもそも、あんな簡単なテストすら受けないような不良生徒や、赤点を取るような欠陥品なんて、神聖なるトリニティには相応しくないでしょ? 伝統ある我が校を美しく保つために、害虫を間引くお手伝いをしていただきたいだけです」

「…………私情すぎるね」

「ハハハ、そうですね。私情です。ですが、目の前にある蜘蛛の糸を自らぶち壊すような真似をすればどうなるか……あなたのような賢い方なら、断ったら分かりますよね?」

 

リーダー格の少女は、勝ち誇ったように唇の端を釣り上げた。

完全に優位に立っているという確信からくる、傲慢な笑み。

その薄汚い脅迫を前にしても、包囲された少女の瞳から光が消えることはなかった。

彼女はふぅ、と小さく吐息を漏らすと、冷ややかな視線を令嬢たちへと突き返す。

 

「…………そう」

 

張り詰めた空気の中、少女は少しの躊躇いもなく、はっきりと拒絶を口にした。

 

断るよ。一時的とはいえ仲間を売るのは嫌いだから。この話、聞かなかったことにするよ」

 

踵を返し、その場を去ろうとする少女の背中に、令嬢たちの凍りついたような沈黙と、直後の激昂が突き刺さる。

 

「――――!? 逃げ気ですか! いいでしょう、私たちパテル派にこれ以上の恥をかかせた以上、ただで済むなどと思わないことですね! それなりの覚悟を………」

「好きにしたら?」

 

少女は歩みを止めることなく、肩越しに冷淡な言葉を投げ捨てた。完全に子供の我が儘をあしらうかのようなその態度に、令嬢たちの顔が屈辱で赤黒く染まっていく。

 

「あたしは逃げも隠れもしないし、例え靴箱に嫌がらせしたり、机にクロユリや黄色いカサブランカを置かれても気にしないよ。あなたたちのような相手するぐらいなら自分の青春を優先する。それだけだよ」

 

少女が淡々と並べ立てたのは、トリニティの裏で横行している陰湿な嫌がらせの数々の例。

上品な仮面の下で行われる幼稚な精神的私刑など、彼女にとっては一顧の価値もない、くだらない時間潰しでしかなかった。

 

「そうですか。そこまで私どもの『おもてなし』を侮辱なさるのでしたら、こちらも相応の対応をせざるを得ませんわね。私たちの計画を知られた以上、ただではすみませんよ?」

 

パテル派のリーダー格の少女が、侮蔑を込めた目で少女を睨みつけ、合図のようにパチンと指を鳴らした。

その合図と同時に、裏路地の不気味な静寂がガシャガシャという重苦しい機械の駆動音によって破られた。

 

周囲に積まれた古いコンテナや、錆びついた資材の影から、真昼の光を反射する冷たい鉄の塊────数体のオートマタが姿を現した。

 

少女はその傭兵たちの素性を知っている。

そして、信じられない目でパテル派を見据えた。

 

「………軽蔑したよ、陰湿でも君たちには譲れない矜持があると思っていた。自ら手を汚さず、他所の……それもブラックマーケットの悪党を使うなんて」

 

いくら派閥争いが過激化しているとはいえ、一般の生徒が……よりにもよって麗しいトリニティの令嬢が、ブラックマーケットの傭兵を雇っていた事実に驚愕した。

誇り高きトリニティの生徒が、最も忌むべき無法地帯の悪党と裏で繋がり、その力を借りて私刑を行おうとしている。

 

その事実を突きつけられた少女の瞳には、怯えではなく、底冷えするような深い軽蔑の色が宿っていた。

 

「何度でも言いなさい! こうするしか、私はティーパーティーに目を向けてもらえないのですから! 綺麗事だけであの頂点へ昇り詰められるとでも思っていらして?」

 

だが、その軽蔑の眼差しすら、野心に狂ったリーダー格の令嬢には火に油を注ぐ結果でしかなかった。彼女はお上品な仮面を完全にかなぐり捨て、怒りと焦燥で顔を歪ませながら叫ぶ。

 

「私はティーパーティーに……いずれ聖園や桐藤を失脚させ、次期生徒会長の座を手に入れる! その大願を果たすためならば、使えるものは薄汚い傭兵でも何でも使って見せる!」

「お前はそのための犠牲となれ!!」

 

パテル派はリーダー格がそう宣言すると、

冷たい鉄の銃口が一斉に少女へと向けられ、路地裏の緊張感は限界まで高まる。

 

(こんなことしても自分の首を絞めるどころか、差し出していると同じなのに)

 

少女は、腰のホルスターに収められた自前の拳銃のグリップへと静かに手をかけた。

 

(…………パッと見て数は20人。無事じゃすまないかも。仕方ない、彼女たちの為にもここは全力で………)

 

対峙するオートマタの硬度、配置、そして自分に残された弾薬の数を瞬時に脳内で弾き出す。

────彼女が引き金に指をかけた、まさにその刹那だった。

 

「ガハッ!?」

「グワーッ!!」

 

突如響いた銃声とともに、目の前にいた傭兵ふたりが急所に当たり、火花を散らして倒れる。

それと同時に、ガスマスクをつけた白い天使――白洲アズサが路地裏へと舞い降りる。

 

「見た限り、孤立無援と見た。──────援護する」

「そこまでです!これ以上の狼藉は許しません!」

 

アズサとハナコに続き、ヒフミたち補習授業部の面々が次々と路地へ突入していく。

 

「え?なに!?なんなの!!?」

「──────!先生!」

 

あまりの急展開にパテル派の令嬢が混乱する中、包囲されていた少女は、補習授業部の少女たちの中心に立つ大人の姿に気づき目を見開いた。

 

「君は──────」

「”状況が飲み込めないけど、指揮を執る!戦闘開始!!”」

 

補習授業部&先生集結。

先生は少女を囲う対オートマタにむけてシッテムの箱を展開する。

青い端末から放たれた光の粒子が一同を包み込み、反撃の火蓋が切って落とされた。

 

 


 

 

「こちら正義実現委員会のマシロ。ブラックマーケットの傭兵と思わしき集団と関係者と見られる生徒の身柄を拘束。これより留置室へ送ります」

 

戦闘開始から約1時間。先生の的確な指揮のもと、戦闘は驚くほどあっけなく幕を閉じた。

傭兵オートマタたちは火花を散らして地べたに倒れ全滅し、少女を貶めたパテル派4人組もお縄につく。

 

無線機に淡々と状況を報告する正義実現委員会の一年【静山マシロ】は、仲間と共にパテル派4人組を手綱を付けていた。

 

「離しなさい!私たちが誰だと………」

「話は牢で聞きますので、さっさと乗ってください」

 

マシロは令嬢たちの見苦しい抵抗を冷ややかにあしらい、護送車へと押し込んでいく。

ようやく周囲に静けさが戻り、ハナコを除く補習授業部3人は、包囲のただ中にいた少女のもとへと一斉に駆け寄った。

 

「大丈夫か?」

「うん。なんとか」

 

少女は衣服についた埃をパタパタと払いながら、安心したように息を吐く。

怪我もないようで、その凛とした佇まいに一同は胸を撫で下ろした。

一拍置き、後からハナコもいつもの足取りで、しかしその瞳の奥に冷徹な光を宿しながらこちら側に歩み来た。

 

「…………やはり、先程襲っていた方々はパテル派の連中だったようです」

「パテル派?ミカ様の………」

「ええ。と言っても派閥に属しているだけでティーパーティーの方々ではありませんでしたが」

 

ハナコは、連行されていった護送車の方を一瞥してから、静かに首を振る。

ただの派閥の末端がこれほどの暴挙に出たという事実に、ヒフミは驚きを隠せない様子だった。

 

ハナコはふくよかな胸元に手を当て、視線を包囲されていた少女へと戻す。

そのお上品な笑みの裏側で、目の前の少女がなぜトリニティの最大派閥から命を狙われるほどの状況に陥っていたのか、その核心へ深く踏み込むように言葉を重ねた。

 

「正実の方々が言うにはあのグループはパテル派の中でも問題児だったらしいです。大変失礼ですが、あの方々とはどのような関係で?」

「あはは……。ちょっと縁ができちゃっただけだよ。虐められていた子を助けたら、巻き込まれちゃって」

 

少女は困ったように眉を下げ、どこか言い辛そうに応える。

そんな時、状況収拾をまとめていた正義実現委員会副委員長【羽川ハスミ】が、大きな翼を静かに揺らしながら補習授業部と少女の方へ近づく。

 

「まさかこんなことになるとは……。ご協力感謝します先生。ヒフミさんたちもありがとうございます。それに暁さん、お久しぶりです。あの時の騒動以来ですね」

 

どうやらハスミは、まだ名前を知らぬはずのその少女──「暁」と呼ばれた彼女とは知り合いらしい。

その親しげなやり取りに、ヒフミやコハルは不思議そうに目を丸くした。

 

「”知り合いなの?”」

「ええ。先生と出会う前、連邦生徒会長の失踪騒動の影響でトリニティが危機に陥っていた時、手を貸してくれた生徒です」

「ごめんなさい。ハスミ先輩。正義実現委員会は今忙しい身なのに………」

「いえ暁さん。こちらこそ。あなたが危険な目に遭っているとは知らず、遅れてしまい申し訳ありません。まさかまたあの連中があなたを狙っていたとは、不覚です」

 

ハスミは悔しそうに眉をひそめ、連行されていった護送車のほうへ厳しい視線を向けた。

 

「あの4人組。篝さんの件と()()()()の件も遭ってそれなりに反省したかと思ってましたが…」

「そのことなんですが、ハスミ先輩……」

 

少女はハスミに近づき、ふたりしか聴こえないよう耳打ちをする。

周囲の雑音に紛れるほどの小さな囁き声。

しかし、その内容がハスミの耳に届いた瞬間、彼女の表情は目に見えて強張っていった。

 

「……それはほんとうですか?」

「はい。…………彼女たちはそう言っていました」

「幾ら末端とはいえ、冗談にしてはたちが悪い。このことは尋問後にナギサ様やミカ様に直接報告致しましょう。情報感謝します、暁さん」

「こちらこそ。わざわざ、お仕事を増やすような真似してごめんなさい。今度、お詫びに一緒に()()()()()()でも………」

「…………!?ン、ンンッ!…………そ、それはまた後日に」

 

ハスミは誤魔化すよう咳払いをし、その表情はどこか苦々しい経験をした顔。

『オークロール』という単語が出た瞬間、ハスミは何か苦々しい思い出でもあるのか、思い詰めたような顔をして即座に話題を変えようとした。

 

同時に輸送車近くに居たマシロが、ハスミの方へ走ってきた。

 

「ハスミ先輩。移送準備完了しました。いつでも行けます」

「ご苦労様ですマシロ。では、先生。私たちはこれで」

 

ハスミは身なりを整える。

彼女は少女、並びに先生と補習授業部に向かって礼を述べた。

 

「”ありがとう、ハスミ”」

「仕事ですから。それと………コハル」

「は、はい!」

 

憧れの先輩に名前で呼びかけられ、姿勢が固まるコハル。

 

「暁さんから聴きましたよ。先生の指揮がありつつも勇敢に悪に立ち向かっていたと。やはりあなたは正実の仲間です。補習を告げられた以上、あなたは暫く正義実現委員会として活動停止の身ですが、私たちは追試に合格できるよう応援しています」

「…………は、ハスミ先輩!」

 

ハスミの温かい言葉がコハルの胸に深く染み渡る。

こんな落ちこぼれの自分をまだ「仲間」だと認めてくれた嬉しさと感動で視界が潤むが、彼女は涙を堪えて力強く叫んだ。

 

「待ってください!補習行きだろうと必ず、正義実現委員会(みんな)の所に戻りますから!!」

「ふふふっ。待っていますよ、コハル。では今度こそ失礼いたします」

 

大胆に背伸びする後輩の姿を見収めたハスミ。

彼女は正義実現委員会の仲間と共に寂れたエリアから容疑者を連れ、留置室へ向かう。

コハルは尊敬する先輩からの激励の言葉を胸に抱えながら、その背中を見送った。

 

ここに居るのは補習授業部のメンバーと先生、そして少女だけになった。

 

 

 


 

 

「さて、色々と言いそびれちゃったね」

 

正義実現委員会が去った後。暁と呼ばれた少女は改めて向き直り、補習授業部の面々と先生に視線を向けた。

 

「ありがとう。君たちが駆けつけてくれなかったら、あたしは大怪我していたかも」

 

暁はそう感謝の言葉を述べた。

 

「”兎に角無事でよかったよ。まさかブラックマーケットの傭兵がトリニティに居たなんて。ブラックマーケットかぁ…………あの日以来を思い出すよ”」

「…………ほんとですね」

 

先生とヒフミ。

ふたりは懐かしむ。何せブラックマーケットは先生とヒフミが出会った場所。

同時にヒフミにとってはアビドスの件で黒歴史(覆面水着団のリーダー『ファウスト』)を生み出した苦い過去だからである。

 

「?ふたりとも。なんで暗い顔をしているのよ?」

「…………色々あったんですよ」

 

コハルの疑問を”色々あった”で誤魔化すヒフミ。

話題を変え、暁はハスミとコハルの会話で聞き逃せない言葉があったことに気づき口に出す。

 

「そう言えば、コハルちゃんだっけ?ハスミ先輩が”補習を告げられた”って言ってたということは…………もしかして、君たち()追試を受けることになった子?」

「”()?ってことは君が…………?”」

「はい。先生が思っている通り、彼女こそ、私たちが探していた子です」

 

そう。暁と呼ばれた少女こそ。

先生たちが探していた補欠仲間であった。

 

探していた子がまさか、こんな陽が差し込まない暗い路地裏に居たとは。

 

「あなたが?まったく探したのよ!なんでこんなところに居るのよ!」

 

コハルが責めるように暁に言い寄る。

なにせ彼女を探すうちにお昼時間が終わってしまったのだ。

コハルのちょっと機嫌が悪い理由も、大体の想像がつく。

 

「ご、ごめん!私もすぐ正実の教室へ行こうとしていたんだよ?でも、そのまえにあの4人に捕まちゃって…………」

 

暁は申し訳なさそうにそう答える。

すると、それまで様子を見ていたハナコが、おもむろに口を開いた。

 

「先程、あのパテル派の集団とは縁があると仰っていましたが………具体的にどんな関係を?」

「それは……その、あまり大っぴらには言えないんだけど……」

 

どことなく圧を感じるハナコに、暁は言いにくそうに視線を泳がせ、困ったように頭をかいた。

彼女は言い淀みながらも、ハスミに耳打ちした同じ内容を。

あの場では言い辛く、自身が窮地に陥れられたわけを補習授業部に暴露した。

 

「…………というわけなの」

 

暁から聞かされた事件の内情に、一同はそれぞれ異なる反応を示しながらも、一様に度し難い表情を浮かべていた。

 

「な、なによそれ!?」

 

曰く「痛い目に遭いたくなければ、妨害者として追試に合格できないように、自分たちの邪魔をしろ」と脅されたのだという。

 

先生とヒフミは自分たちが狙われていたという事実に驚愕し、コハルは怒りのあまり感情を爆発させ、アズサはガスマスクを被ったままだが怒りで拳を固く握りしめる。

 

そして、

 

「……………………やはり屑ですね

 

一瞬、先生は彼女が無表情で彼方……正確には護送車が行ったであろう方角を見据え、暴言を吐いたのを逃さなかった。

 

「あら?先生、私になにか?」

「”…………いやなんでもないよ”」

 

いつも通りのニコニコとした笑みを向けるハナコ。

何食わぬ顔をする彼女を見て、先生はあえて深く追及せず、そっと視線をずらした。

 

「もちろん、あんなバカげた提案は蹴ったよ。あたしは彼女たちの名誉の為にも聞かなかったことにして後にしたら…………」

「ブラックマーケットの傭兵を雇っていたというわけなんですね」

「大方、助けると言いつつも、その裏は君たちをダシにあたしを貶める為の提案だったかもしれないね」

 

暁が肯定するよう頷く。

事の顛末を聞いてしまったヒフミは頭を抱えた。

 

「…………大変なことになってしまいました」

「”確かにブラックマーケットの傭兵が来るなんて………”」

「それもそうなのですが……問題なのが、実行犯がよりにもよって()()()()()()()()()()方が問題なんです」

 

元より派閥争いが激しいトリニティは現在、ある大きな転換期───例の「エデン条約」によって、非常にアンバランスな状況に陥っている。

パテル派は生粋のゲヘナ嫌い(アンチ)な生徒が多く所属するため、条約に対して批判的な意見も多い。

それに加え、ホスト代行である桐藤ナギサではなく、本来のホストの席に座るべき「()()()()」が不在であるため、かろうじて均衡を保っていた生徒会(ティーパーティー)は危機的な状況に瀕していた。

 

ヒフミは上司であるナギサの身、正確には彼女の胃の具合を心配するが、ハナコはそんな彼女の肩をポンと叩く。

 

「いいじゃないですか。私たちは落伍者ですし、ティーパーティーの方々の内輪揉めには関係ないじゃないですか」

「いや、あ、あの。それは……そうですが…………」

「あはは、そうかもね。あたしたちは一先ず追試の方を集中してないとね。…………ところで、この大人(ひと)は……?」

 

暁が先生の方へと視線を向ける。

先生は「忘れてた」と言わんばかりに少し焦りつつ、自己紹介を始めた。

 

「”はじめまして。私は連邦捜査部S.C.H.A.L.Eの担当顧問────先生だよ”」

 

大人らしい挨拶を見て、暁は子供らしく、はしゃいだ。

 

「やっぱり!君が噂のシャーレの先生なんだね!スズミちゃんや遠く居る友達から聞いたよ」

「”スズミとは知り合いなの?”」

 

スズミとは恐らく「守月スズミ」のことだろうか?

彼女はハスミと同じく、先生がシャーレに就任した際に出会った「最初の4人の生徒」のうちの1人だ。知っている生徒の名前が出たことが気になり、先生はそう質問した。

 

「うん。あたしは自警団に所属しているの。自警団同士のパトロールの関係上、仲良くしてるんだ」

「”そうなんだ!”」

「それにほら、君は廃校寸前だったアビドスを手を差し伸べたり、ミレニアムで生徒1人の為にトラブル起こしながらも活動してるって聞いたよ。そんな人があたしたちの顧問だなんて、すごく頼もしいよ」

「”そ、そんな大げさな…。私ただ出来る範囲でサポートしただよ”」

 

過大評価にも聴こえるほどの賞賛に、思わず困惑する先生。

改めていままでの歩みを振り返り、まさかここまで自分の活躍が広まっているとは思わなかった。

謙遜しつつも、生徒からの素直な賛辞に、先生は内心で嬉しさを噛み締めていた。

 

「これで全員揃いましたね。それじゃ、時間も惜しいので教室に………」

「ちょっと待って!」

 

ヒフミの言葉を合図に、全員が暁を連れて教室に向かおうとする中、コハルが呼び止めるような声をあげる。

彼女は何かどうしても言いたいことがあるらしく、暁に詰め寄った。

 

「…………あなた、名前は?」

「え?」

 

困惑している暁に対し、コハルはさらに語気を強める。

 

「名前よ!な、ま、え!!下の方の名前はなんなの!?」

 

「あらあら♪」

「…………そう言えば、知らないな。辛うじて副委員長の口から”暁”しか知らされたばかりだけど」

 

ハナコは微笑しく笑みを浮かべ、コハルの言葉に同感するようアズサも頷く。

思えば名字の部分は「暁」なのは知っているが、彼女の下の名前はまだ誰も聞いていなかった。

 

「あ、忘れてた。でも別に、今じゃなくてもいい気が………」

「そうかもしれないけど!ハスミ先輩が信頼しているし、私の事も褒めてくれたでしょ。こんな変な集団でも、一緒にテスト受ける仲だもの。………仲間はずれは良くないと思う」

「………ふふふ。君は優しんだね。それじゃ、簡単な自己紹介するね」

 

もじもじしながら照れ隠しをするコハルを見て、暁は小さく笑った。

 

改めて、向き直る。

 

黒いカチューシャがよく映える、輝くような銀髪。

新緑を思わせる、朝露のように澄み切った翡翠の瞳が、補習授業部の面々と先生の姿を真っ直ぐに捉える。

トリニティの校章が施された制服の胸元にそっと手を当て、彼女は穏やかに、自身の名前を紡いだ。

 

ホタル

 

自分自身の大切な名前を愛おしむように、彼女は微笑む。

 

「あたしは(あかつき) ホタルっていうの。自警団所属の二年生だよ。みんなよろしくね」

 

【暁 ホタル】

 

彼女こそが、補習授業部に新たに加わった【5人目の落伍者】であった。

*1
꒰ঌ(⸝⸝ↀ□ↀ⸝⸝)໒꒱




遂に始まりましたエデン条約編
ここから趣向を変え基本的に、トリニティ二年生「暁 ホタル」を視点に物語を進めていきます。

因みに補習部行きになったのは「わざそうなるよう動いた結果」です。
なんででしょうね?(スットボケ
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