『終焉』が近いであろう青空世界で私達は生きる......らしいよ?   作:エリオ(別同位体)

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第二節『水面下の影、それはそれとして合宿開始ッ!』

【補修授業部が合宿を始める前、深夜】

 

真夜中のトリニティ。

シャーレの顧問であり、現在は補修授業部の担当顧問を務める先生は、学舎と時計塔を一望できるテラスへと赴いていた。

 

「こんばんは、先生。夜遅くまで業務お疲れ様です」

「”来たよ、ナギサ”」

 

テラス。かつて“夢の中”で見たことがあるような、或いは無いような、先生は何故かここに既視感を覚える。

テーブルの向かい側では、長く伸ばしたプラチナブロンドの髪の少女が、右手に持ったティーカップを口元に寄せながらチェスを嗜んでいた。

 

「補修授業部の方は…………いえ、既にお話はお聞きしております。上手く行かなかったようですね」

「”流石だね、生徒会長の一人だね。耳が早い。お恥ずかしい限り、全員合格できなかったよ”」

 

─────桐藤ナギサ

 

フィリウス分派首長であり、ティーパーティーの「ホスト“代理”」。

そして同時に、補修授業部の設立者でもある。

 

「”こんな夜遅くまで訪ねて、ごめんね。…………でも、聞きたいことがあるんだ”」

「…………構いません。大方ヒフミさんから小耳に挟んだようですね。私が言える範囲ならいくらでも」

 

先生がわざわざナギサと対面しに来たのは、事の真相を確かめるためだった。

ヒフミは言っていた。「もし三次試験まで全てダメだったら………」と。

その不穏な言葉の真実を知るために、先生はナギサの元を訪れたのだ。

 

そして今、先生はその言葉の真意を知ることになる。

その言葉の真意とは─────

 

「”た、退()()…!?な、なんで……?”」

 

三度の特別試験、そのすべてに落第すれば、()()()()()()()()()退()()()()()()()

 

それは、あまりにも残酷な死刑宣告だった。

確かに落第や停学、退学に関する校則自体はトリニティにも存在する。しかし今回の補修授業部における退学システムは、通常の校則を事実上無視できる措置を施し、シャーレの権限を逆手に取る形で構築されたものらしい。

 

だが、それにしても異例が過ぎる。

仏の顔も三度までというが、個人が成績不振で落とされるならまだしも、連帯責任のように一人でも欠ければ全員がトリニティを去らねばならないなど、いくら何でも理不尽でおかしい。

 

だって、退学とはキヴォトスにおいて身分を失うのと同義である。

学籍を失い、退学となった生徒は暗い未来を歩むことなる。

 

なぜ、そんな真似をするのか。

先生は強い疑問を胸に、再びナギサへと問いかけた。

 

「先生には知っておかなければ、なりません」

「補修授業部とは何か?」

「そして、その裏に潜むトリニティを脅かす影を……」

 

ナギサは静かに真実を告げる。

補修授業部を設立した本当の理由。そして、その裏に隠された真意を。

 

ナギサは隠すことなく、すべての真実を教えてくれた。

曰く、補修授業部の中に裏切り者が潜んでいるのだと。

 

裏切り者の目的は「エデン条約締結の阻止」。

近日、仇敵であるゲヘナ学園との平和条約を全否定する者()()が、締結を目前に控えたこのタイミングで動き出したのだという。

 

エデン条約は、ゲヘナ学園との無意味な争いに終止符を打つために。

キヴォトスの勢力バランスを保つために。

そして、条約を提案した連邦生徒会長の努力を無駄にしないために必要なものだった。

 

その想いを踏みにじられる前に、ナギサは裏切り者を炙り出すべく、ある策を講じた。

 

それが「補修授業部」である。

裏切り者の特定にまでは至らなかったものの、彼女は次善の策としてこの部活を設立した。

容疑者である彼女たちを閉じ込めるための「檻」であり、「ゴミ箱」としての役割を持たせた補修授業部を。

 

「以上が事の真相です。ご理解いただけましたでしょうか?」

「”…………………”」

「……………騙した形で協力を要請したのは謝罪します。罵っても構いません。ですが、理解して欲しいのです。裏切り者は平和(エデン)を壊そうとするテロリスト。キヴォトスの平和の為に引き続きご協力を…………」

 

裏切り者を捕らえ、平和条約を無事に完了させる。

ナギサの真意、そしてその切実な想いは理解できた。先生としても、トリニティとゲヘナの子たちが無意味に戦い、いがみ合う現状をどうにかしたいと考えている。

あの日、シャーレ奪還のために手を貸してくれた子たち(ハスミ、スズミ、チナツ)のように、互いに手を取り合う光景を見てみたいとも願っていた。

 

それに、条約は連邦生徒会長(あの子)が遺したものだ。

そこに先生として手を貸すのも、自分の仕事のひとつだと思っている。

 

しかし、補修授業部の扱いについて、どうしても納得できない部分があった。

容疑者であるというだけで、彼女たちを退学処分にする。その一点だけは、先生としてどうしても許容できなかった。

 

「”ナギサの気持ちは分かったよ。……でもそれなら、補修授業部は『檻』だけに留められるはず。もし、みんなが裏切り者じゃなかったら、それこそ本末転倒だ。みんなを『ゴミ箱』から捨てる必要はないと思う”」

 

そうだ。仮に彼女たちの中に裏切り者がいたとしても、部活内への拘束だけに留めておけばいい。

檻としての機能だけで、裏切りを阻止する効果は十分に発揮できるはずだ。

 

「……………確かに先生の仰ることは理にかなっています」

「”なら………!”」

「─────ですが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……?

 

先生の反論などお見通しと言わんばかりに、ナギサはさらなる事実を突きつける。

 

ティーパーティー(私たち)が連邦生徒会長が行方知らずになったことを知る、その前日。()もまた、エデン条約を否定するためにこの地を訪れたのです」

 

キヴォトスの裏世界で悪名高き組織。その中でも最大の脅威が、エデン条約を瓦解させようと目論んでいるのだから。

 

「─────神秘ハンター『サム』。熔火騎士と恐れられる指名手配犯が、今もこのトリニティに潜んでいるのですから」

 

 


 

 

【連邦生徒会長が行方不明になってから数日前】

 

──────街が、燃えていた。

 

ひび割れた煉瓦の歩道。砕け散ったショーウィンドウの向こうでは、令嬢たちお気に入りのカフェの看板が無惨に転がっている。

 

焦げ付く硝煙の匂いが漂う中、見慣れたはずの街角は、昨日までとは一変した不気味な静寂に包まれていた。

 

見上げる空はどこまでも青く澄んでいるのに、立ち上る黒煙がその青を容赦なく侵食している。

 

『い、たい………』

『た、たすけ、てぇ…………』

 

道端に倒れ伏しているのは、三人の生徒たち。

彼女たちは苦痛に表情を歪め、涙を流していた。

トリニティの制服は所々が黒く焼け焦げ、手にするはずの銃火器は熱に晒され、無残に変形している。

 

彼女たちの所属はパテル派。

トリニティを構成する三大派閥の一つであり、その末端の構成員だった。

 

『な、にものですか………私たちが誰だと………』

 

重傷を負いながらも、未だ恐れているリーダー格の少女が叫ぶ。

生まれたばかりの小鹿のように恐怖で身を震わせ、虚飾のプライドだけでどうにか立ち上がりながら、自分たちを容赦なく蹂躙した恐るべき存在へ問いかけた。

 

《────パテル派 赤坂オウコ》

 

その存在は、さながら白銀の騎士。街を行き交うロボット住民や、PMCの兵士オートマタのような無機質で単純な造形ではない。

機械でありながら高貴さと高潔さを感じさせるフォルムとデザイン。

強固な甲冑の隙間から覗く青緑色のバイザーが異質な不気味さを醸し出し、その胸部からは灼熱の炎が噴き出していた。

 

《木更津ルズ、間月ジメコ、狸塚セン》

『な、なんで名前を………!?』

《私はあなた達の悪行を知っています。横領に賄賂、カンニング行為、イジメに誹謗中傷。興味本位で遠目から見ましたが、余りに腐敗した態度には救いようがない》

 

失望と辟易を孕んだ感情が、男性的で重々しい機械の声音を介して、リーダー格の少女へと叩きつけられる。

 

《近日。あなた達はふたりの少女を貶めようと計画していたようですね。残念ながらその企て、ここで食い止めさせていただきます》

『あ、アンタに何の関係があるのよ………!!?』

《ありませんとも》

 

きっぱりと関係を否定する。その上で、騎士は少女たちを急襲した真の理由を冷淡に告げた。

 

《私が用があるのはティーパーティー。あなた達は序でです。襲った理由はただ2つ、その陰湿なやり方が気に食わなかったのと、事を起こす動機として丁度良かっただけのこと》

 

そう告げると、目の前の「騎士」はヒール状の鋭い脚部を滑らかに持ち上げた。

 

それは明確な、容赦のない蹴りの予備動作。見上げるほどの巨体を持つ騎士の威圧感に気圧され、少女は背後の壁にぶつかり、そのまま腰を抜かしてしまう。

 

『ひぃ……っ!』

《これは全てのトリニティの生徒に言うべき台詞ですが、お詫びとして一言助言しておきましょう。────────誠実に生きなさい

 

冷酷かつ無慈悲に。炎を激しく撒き散らしながら、強靭な健脚が少女の顔面へと突き出された。

 

しかし、予想に反して少女の命は奪われなかった。

騎士の踵は少女の頭すぐ横の壁へと深くめり込み、周囲に蜘蛛の巣状のひび割れを走らせている。

顔面への直撃こそ免れたものの、少女は恐怖のあまり失禁し、整った顔を醜く歪ませたまま、白目を剥いて情けなく気絶してしまった。

 

《────()()()()()

 

騎士が静かに振り返る。そこに佇んでいたのは、鮮烈な赤いラインが走る黒いセーラー服を纏った少女たち。

 

正義実現委員会。

 

その先頭に立つのは、副委員長である【羽川ハスミ】

彼女は鋭く険しい眼差しで、穏やかな街を蹂躙した襲撃者をじっと見据えていた。

 

《安心してください。意識を失っているだけです。殺す理由などこちらにありませんから》

『それは安心しました。彼女は以前より問題児としてマークしていましたから。…………………

 

──────あなたは何者ですか』

《──────神秘ハンター『サム』》

 

騎士…………サムは、完全に包囲されている状況下でも、微塵も動じることなく淡々と佇んでいる。

 

《あなた達に警告を伝えに来ました》

『警告ですって?』

 

どこか物腰の柔らかさを感じさせる敬語のまま、サムは言葉を紡いでいく。

 

《はい。助言と言い換えていい》

《数ヶ月に開催予定のあなた達トリニティとゲヘナ学園との平和条約機構『ETO』》

《かの『超人』によって発案された今は無き対雷帝同盟。その()()()()()()()を推薦しにここにやってきました》

 

条約の撤廃。

サムは呼吸をするように平然と、極めて重い政治的要求を口にした。

 

『条約の撤廃!?一体何が目的ですか………!』

《意図などありません。私はエリオの(めい)と善意でここにやってきただけです。このまま、条約を進めても待っているのは破滅。歴史的観点から見て、悪魔と天使が手を結ぶことは無理に等しい。それはあなたも同じことを思っているのでは正義実現委員会副委員長「羽川ハスミ」》

 

サムの言葉は、彼女の胸の奥にある本音を鋭く射抜いていた。

 

確かに、ハスミのゲヘナ嫌いは委員会内でも有名だ。

 

職務上、ゲヘナ学園の中でも特に手に負えない問題児たちと衝突する機会が多すぎるせいで、彼女の中には「あいつらと言葉を交わすだけ無駄だ」「議論が成立する相手ではない」という諦念にも似た感情が少なからずあった。

 

だが、私情は私情、公務は公務である。

たとえどれほど尤もらしい善意を並べ立てようとも、目の前の存在はトリニティの自治区を脅かしたテロリストに他ならない。

 

いかに素行の悪い問題児であろうと、同じ学び舎の生徒を私刑に処し、大怪我を負わせた輩を、「正義」を掲げるハスミが容認することなど、決してあり得なかった。

 

『………ゲヘナが嫌いなのは否定しませんが、エデン条約はティーパーティーの……ナギサ様やセイア様の堅い決意そのもの。第一、条約には連邦生徒会長が…………』

()()()()()()()()()()()()と言ったら?》

 

サムの言葉に、正義実現委員会の面々に動揺の波紋が広がる。

消えた?あの『超人』が?誰もが認めるキヴォトスの主席が?

 

『なに、を言って………?』

《彼女は消えました。たった一通の手紙を残して。条約には彼女が不可欠。彼女が居なくなったその危険性をトリニティ。ティーパーティーは理解しているはずです》

 

正実の誰もが理解を追いつかせられずにいる中、サムは言葉を続ける。

 

《私の身柄をあなた達に預け、この武装(戦略強襲装甲)も解除します。今後のトリニティ、ひいてはキヴォトスの為、神秘ハンターサムはティーパーティーの生徒会長と面会を希望します。どうか決断を》

 

サムはそう言って、両手を上げ、戦闘の意思がないことを示す。

 

ハスミの内心には、激しい狼狽が広がっていた。

あの連邦生徒会長が失踪したとなれば、エデン条約に及ぼす影響は計り知れない。

ハスミ個人としては彼の言う通り、条約を撤廃するというのは良案だとも考えていた。

 

だが、ハスミはあくまで正実の副委員長であり、ティーパーティーの人間ではない。

政治の決定権はティーパーティーの彼女たちにあり、正実が容喙(ようかい)すべき領域ではなかった。

 

『…………お引き取りを。この件はしっかりとティーパーティーに伝えます』

《………確実性がありません。ならば、暫く生徒会の決定を知るまで自治区での滞在許可を》

『それでもです。神秘ハンターサム。あなたの危険性は他の所でも聞き及んでいます。例え連邦生徒会長が消えたのが真実でも、街を破壊した者をみすみす、あの方々に会わせるわけにはいきません。もう一度言います。お引き取りを』

『そうだ!ハスミ先輩の言う通り、テロリストの言うことに信じられるか!』

『そうだそうだ!』

 

ハスミの峻烈な拒絶の言葉に、周囲の正実の生徒たちも一斉に声を荒らげる。

自治区の平穏を脅かす侵入者を前に、現場の空気は急速に凍りついていった。

 

《…………そうですか。でしたら、直接こちら側から出迎うしかありませんね》

『ッ!?そうはさせません……ッ!』

 

その言葉を合図に、サムが静かに戦闘態勢へと入る。

ハスミとしても無用な戦闘は避けたかったが、テロリストをティーパーティーの重鎮たちに近づけさせないことこそが、今ここにいる自分たちの義務であった。

 

一触即発。ハスミが背後の仲間に警戒を促し、迎撃の陣形を整えようとした、その矢先──────

 

『ひゃっはぁああ……!!』

 

正実の生徒たちの頭上から、獣の如き奇声と共に黒い影が飛び出してくる。

猛烈な勢いで迫る影はサムへと直撃し、ハスミはその横顔から正体を確認した。

 

「ツルギ!?」

 

正義実現委員会委員長【剣先ツルギ】

トリニティの『歩く戦略兵器』と称される最強の存在が、猛然たる敵意を剥き出しにしてサムへと豪速で突貫したのだ。

 

『全員引けえ!こいつが噂の熔火騎士なら、力不足!ここは私に……………まかせろぉ!!!

《………………不本意ですが、仕方がありません》

 

最早、交渉は完全に決裂した。

サムはツルギの一撃を受け流して距離を離すと、トリニティ最強と名高き少女へと明確な戦意を向ける。

 

《彼女の言う通り、この場から去りなさい。

 

────────でなければ全員死にます》

 

熔火騎士の冷徹な忠告と共に、周囲の街並みは再び、爆炎と激しい炎の海に包み込まれた。

 

 


 

 

「”……………神秘ハンター”」

「あら?彼女たちについてご存知だったですか?………いえ、彼女たちの悪行を考えると知ってて当然でしたか」

 

神秘ハンター。

それは先生にとっても聞き覚えのある、或いは知人の生徒たちの組織名だった。

これまでに遭遇したのは【ヴィヴァルディの蜘蛛】【パンクロード】【血塗れの剣客】の三人。

まさか、彼女たちの同胞がこのトリニティにまで現れているとは。先生は内心で驚愕しながらも、ナギサの問いに言葉を返した。

 

「”アビドスでお世話になってね。ホシノ達と一緒に共闘もしたよ”」

「…………………」

「”ナギサ?”」

「共闘?彼女たちが先生と、ですか?…………………冗談ですよね?」

「”ホントだよ。何度も危機を救ってもらったんだ。あ、ただ【パンクロード】だけは音声越しでのやり取りで、実際にはまだ会えていないんだけどね……………”」

 

ナギサは未だに信じられないといった表情を浮かべているが、先生が彼女たちに救われたのは紛れもない事実だった。

ちなみに、【パンクロード】の銀狼の容姿や素性を先生自身はまだ把握していないが、実のところ彼女は既にゲーム開発部と『廃墟』で邂逅を果たしている。その事実に先生が気付くのは、まだ随分と先の話である。

 

「…………失礼いたしました。(にわ)かには信じ難いお話でしたので、少々混乱してしまいました」

「………………先日、パテル派の末端4人組が暁 ホタルさんを襲撃した場所。あそこに残されていたものこそ、あの【熔火騎士】によって徹底的に破壊された痕跡です。彼はツルギさんと一戦を交えた後に撤退し、私たちも彼をエデン条約を脅かす危険分子であると認識するに至りました」

「それから言い忘れておりましたが、ホタルさんを襲った彼女たち(パテル派の生徒たち)は、しかるべき会議とミカさんの命によって停学処分といたしました。事後の取り調べでエデン条約や裏切り者とは無関係だと判明したものの、補修授業部のみなさんへ下手に勘繰られないための予防措置ですので、悪しからずご了承ください。この件で先生のお手を煩わせてしまったことは、深くお詫び申し上げます」

 

ナギサは手元にあった紅茶入りのティーカップを再び口元へと運び、一呼吸を置く。

 

「長くなってしまいましたが、これで概要はお分かりいただけたでしょうか?」

「”ナギサがどれほど真摯にエデン条約と向き合っているかは理解できたよ。それほどまでに裏切り者と、その……神秘ハンターの『ヨウカ騎士』?を警戒しているんだね。外敵の相手をしている隙に、裏切り者に背後から刺されるような事態を防ぐために”」

「ふふ、ご理解いただけたようで何よりです。あと言い添えておきますが、【熔火騎士】の『ヨウ』は金属を熔かすという意味の『熔』ですので、どうかお見知り置きを」

 

一連の説明を終え、ナギサは改めて目の前の先生へと真摯に要請する。

 

「私からのお願いです。連邦捜査部シャーレの権限を以て、トリニティに潜む彼の騎士サムの捜索と補修授業部の中から裏切り者を見つけ出してはいただけないでしょうか?」

 

エデン条約の裏で渦巻く、補修授業部に課せられた真の試練。

突きつけられた彼女の切実な願いに対し、先生は───────

 

 


 

 

【トリニティの別館・合宿所】

 

第一次特別学力試験の結果が出た、その翌日。

補修授業部の面々と先生は、ティーパーティーが手配したバスに揺られること2時間。ようやく目的の合宿場所へと到着した。

 

「ようやく着きましたね、ここが私たちの………」

「はい、合宿の場所です。ようやく着きましたね…………」

 

ハナコの言葉に頷くと同時に、ヒフミは息を整えながら辺りを見渡す。

ここが次の試験に合格するまで、彼女たちが寝食を共にする拠点だ。今メンバーがいるのは、各自の荷物を置き、夜を明かすための寝室だった。

 

「中は思ったほど、綺麗ですね」

「そうですね。ナギサ様が私たちのために、あらかじめ綺麗に清掃しておくと言っていましたから…………」

 

自分たちはあくまで落第寸前の身。相応の扱いとして、トリニティの本校舎から遠く離れた、寂れて荒れ果てた場所を覚悟していたのだが……。

 

「てっきり長年使われていない別館の、冷たい床の上で”裸”で寝る羽目になると思っていましたけれど……安心しました♪」

 

目の前に広がる清潔な空間。埃一つなく磨かれた床や設備。

そして、人数分しっかりと用意された清潔そうなベッド。

ハナコは満面の笑みを浮かべ、嬉しそうに声を弾ませた。

 

「ここなら安心して”裸”でも過ごせそうです♪可愛いベッドにも満足ですし、これなら”裸”でみんなと一緒に眠れそうですね♪…………”裸”で!!!」

「”裸””裸”うるさいわよ!!どんだけ”裸”を強調するのよっ!!!」(バシッ!!)

「アーン♪」

 

あまりに”裸”を連呼するハナコに対し、コハルが手にしたスリッパで、鋭いツッコミと共にその背中を叩く。

 

「今のはいいツッコミでしたよ、コハルちゃん♪」

「喜ばないでよ!しかもサラッと変な喘ぎ声まで出してッ!」

「すみません♪ちょっとはしゃぎすぎてしまいました。ここでみんな仲良く一緒に眠れるのだと思ったら……つい♪」

 

相変わらず言葉のチョイスがアレ(変態)すぎるハナコ。

謎に頬を赤らめる彼女から目をそらすように、コハルは救いを求めてヒフミへと視線を向けた。

 

「ヒフミ!絶対にハナコの隣を私にしないで!!その……なんかイヤらしいから!!!」

「あはは…………」

「…………私とコハルちゃんを挟んで、ヒフミちゃんが真ん中。

つまり、3Pサンドイッチですか!!大胆ですねコハルちゃん!!」

「死刑ィ!!!!」

 

「私を巻き込まないでくださいぃ………。なかよく、仲良くおねがいします…………」

 

次の試験まで残り一週間。

このメンバー(+先生)で寝食と勉学を共にしなければならないというのに、初日からこのグダグダ感である。

怒り狂うコハルと、それを面白がってからかうハナコ。そんな二人のやり取りを見つめながら、ヒフミはただ遠い目をしていた。

 

「って、あれ?アズサちゃんとホタルちゃんは………?」

 

騒ぎが一段落したところで、ヒフミはある異変に気付く。

いつの間にか、アズサとホタルの姿がどこにも見当たらないのだ。

 

「呼んだか?」

「うわっ!?背中から声をかけないでください!!どこに行ってたんですか………」

「偵察だ。ここに来るまでの道すがら、周囲の状況を確認してきた」

 

そのタイミングで、アズサがようやく寝室へと姿を現した。

しかし、本来なら警戒する必要などないはずの場所だというのに、彼女は愛銃【Et Omnia Vanitas】をしっかりと構え、ヒフミの背後――正確には部屋の扉付近を陣取っていた。

 

「偵察って………」

「ああ。私はここが気に入った。トリニティの本校舎から隔離されている点と、出入り口が二つしか存在しないのが特に素晴らしい」

 

本校舎からこれだけ離れていれば、死角からの狙撃に怯える必要がない。

出入り口が二つだけなら、片方から侵入した襲撃者を一階の体育館へ誘導して一網打尽に足止めし、残されたもう一方から安全に脱出できる。

 

アズサは戦術的な利点をどこか嬉しそうに分析する。だがその反面、セキュリティ上の脆弱性も目立つと指摘した。

 

「この辺りは私が改修すれば問題ない。む?ここが寝室か?」

「そ、そうですが…………」

「こ、これはッ!?」

 

おもむろにベッドに触れたアズサは、何かに気付いたようにそのまま横たわった。

 

「や、柔らかい……!こんな上質なベッドで横になるのは……初めてだ!!」

 

まるで初めて立派なベッドを与えられた幼子のように、その声には心からの驚きと感嘆が滲み出ていた。

 

「ああ、満足した。…………しかし、これほど充実した施設を長らく放置していたとは……トリニティは無駄遣いが多いな。まったく」

「あ、あの、アズサちゃん。さっきから何を言っているんですか………私たちは戦闘をしに来たんじゃなくて、勉強をするためにここに来たんですけど……」

 

ヒフミの真っ当な諫めに対し、アズサは「もちろん。分かっている」と至って淡々とした表情で応じる。

 

さらに彼女は、この施設に籠るにあたって様々な必需品を個人的に用意してきたらしい。

体操服や細かい着替えは言うに及ばず、歯ブラシや石鹸などの衛生用品、さらには長期戦を見据えた食料まで。

そのあまりの用意周到ぶりにハナコは深く感心し、アズサはどこか誇らしげに胸を張る。

 

方向性が色々と狂っているが(戦いにいくわけじゃないぞ、アズサ)…………

 

「あ、でも任務は遂行する。きちんと勉強して、第二次特別学力試験は全員で合格する。…………私のせいでみんなに迷惑はかけたくないから」

「…………アズサちゃん」

「もちろん。万が一の事態に備えて、対人地雷とクレイモアは用意してきた。ついでに即席爆弾IED一式と、TM-62などの対戦車地雷も各所に配備し……」

「要らないですから!?第一、こんな場所に敵襲なんて来るわけな──」

 

いですから、と言いかけた、その瞬間だった。

 

───ドォォォォォンッ!!!

 

『きゃああああああああ!!!?』

 

建物全体を揺らすほどの大規模な爆発音と、鼓膜を突き刺すような甲高い悲鳴が合宿所内に響き渡った。

 

「今のは……」

「ホタルちゃんの声!!?」

 

部屋にいないもう一人の仲間――ホタルの悲鳴を耳にした瞬間、寝室にいた4人は弾かれたように廊下へと飛び出した。

慌てて声のした方へ駆けつけようとした彼女たちの目に飛び込んできたのは、部屋を出てすぐの廊下で、見覚えのある人影が派手に転がっている姿だった。

 

「うぅ…なんで、あんな所に地雷が………ガクッ」

「ほ、ホタルちゃああああああんッ!!!!!??

 

綺麗な銀髪は見る影もなくぐしゃぐしゃに縮れ、全身黒焦げになったホタルがその場に力なく倒れ伏している。

あまりにもボロボロになった彼女の悲惨な姿を見て、ヒフミは思わず絶叫しながら、その名を叫び散らすのだった。

 

 


 

 

【数分後】

 

あの後、別館に響き渡った大爆発音を聞きつけて駆けつけてくれた先生と合流し、補修授業部の面々は倒れたホタルを急いで寝室へと運び込んだ。

 

先生が外の簡単な片付けや清掃を引き受けてくれている間、ハナコとコハルは彼女の替えの制服を用意し、ヒフミはボサボサになってしまったホタルの髪を櫛で丁寧に整えていく。

 

「おぉ!?ホタルちゃん、スタイルいいですね。特にむ……」

「STOPッ!!ホタルに変なことしたら死刑だから!!」

 

ハナコのせいで危うく、意識のないホタルの身に別の危険が及びそうになる一幕もあったが、身だしなみの整理は順調に進んでいった。

 

「これでよし。はい、終わりましたよ、ホタルちゃん」

 

さらりと綺麗な銀髪がなびき、ヒフミによるヘアケアが完了する。

ホタルは無事に、いつもの端正な制服姿を取り戻すことができた。

 

「ごめんね。……まさか、戦闘でもないのに味方の地雷でフレンドリーファイアを受けるなんて思わなくて」

「ふむ……。撃退の火力としては足りなかったか。まだ改良の余地があるな。次はもう少し設置数を増やして威力を補おう」

ア・ズ・サ・ち・ゃ~~~~ん?

 

事の元凶である下手人が放った第一声が、まさかの「地雷の威力不足への反省」という、あまりにもズレた内容だった。

その不穏極まりない発言を耳にした瞬間、ヒフミは静かに笑みを浮かべた。もちろん、心からの親愛など微塵も籠っていない、凍りつくような笑顔である。

 

その場にいた先生を含む他の面々は、一斉に背筋を凍らせて引き下がった。

アズサの突飛な発言にも呆れたが、それ以上に、普段は温厚なヒフミから放たれる凄まじい威圧感に気圧されてしまったのだ。

 

よく見ると、アズサの目の前に突き出されているヒフミの握り拳には、青白い血管がピキピキと浮き出ている。

これは完全に、弁解の余地なくお怒りモードだった。

 

「ホタルちゃんに謝ってください。い・ま・す・ぐ・に

「あ、ああ。…………すまない、ホタル」

「いいよいいよ!確かに本当に襲撃されたら、元も子もないわけだしね。少し寝ぼけたまま歩いていたあたしも悪かったし……」

「そう言えば、ホタルちゃん、ここに来るまでのバスの中ではずっと深く眠っていましたからね」

 

ここに来るまでの移動中。

ホタルがまるで死んだように深く眠りこけていたことを、ハナコは思い出す。目的地に到着した後も完全に眠気が抜けていなかった様子を見るに、もしや昨夜はかなりの夜更かしでもしていたのだろうか。

 

「ホタルちゃん、夜遅くまで何をしていたんですか?もしかして自……」

「そこから先は言わせないわよ!!」

ハナコさん?それ以上言ったら、分かりますよね?

「はい(´・ω・`)」

 

コハルの必死な制止と、再び拳を上げたヒフミの凄まじい威圧感に、ハナコはあっさりと引き下がる。

そんなコミカルなやり取りを前に、ホタルは大きく背伸びをしながら、ハナコが口にしかけた疑問へと答えた。

 

「別のところに友達と夜遅くまで電話していたの。合宿中はどうしても、勉強に集中しないといけないしね」

「別のところ……。クラスメイトの…方々には事前に挨拶を済ませていたようですし、もしかしてホタルちゃんが前に所属していたマルタ分校のご友人ですか?」

「えっ?いやいや、違うよ。カフ、……ゲヘナとミレニアムの友達と会話していたの」

「”ミレニアムなら分かるけど……。ゲヘナに友達?ホタルの居たマルタ分校って、ゲヘナと仲いい子が多いの?”」

 

トリニティとゲヘナの根深い確執を念頭に置きながら、先生はそう問いかける。

マルタ分校という環境が特殊なのだろうかと、純粋な疑問からの質問だった。

 

「ううん。マルタ分校の生徒も他のトリニティの子たちと同じだよ。環境的に治安はいいけど……ゲヘナとの関係は……うーーーーーんって感じかな」

「でも、あたしは特にゲヘナの子に対して悪い感情なんて、抱いていないし、その友達とはお姉さんみたいな関係かな?しばらく連絡できないことに残念がっていたよ」

「クラスや3年生の先輩だけじゃなく、ミレニアムやゲヘナにも交流があるのか。すごいなホタル」

 

アズサからまっすぐな視線を向けられ、ホタルは気恥ずかしそうに身をすくめる。

 

「そ、そうかな。すごいと言っても大袈裟な気が…………」

「少なくとも、私はすごいと思う。…………私が居た場所は、環境の都合上、どうしても他人と良好な関係を結ぶことができなかった。今までの人生の中で友達と呼べる子は良くて4人しか私は作れなかったから。そう思うとやっぱりホタルは尊敬に値する」

「…………アズサちゃん」

 

どこか寂しげな陰りを帯びた表情を見せるアズサ。

そんな彼女の様子に、その場にいる全員が言葉の裏にある重みを感じ取っていた。

一体、彼女がこれまでどんな境遇に身を置いていたのか、詳しい事情までは分からない。しかし、それが決して平坦で幸福なものではなかったことだけは、容易に想像がついた。

 

沈みかけた重苦しい空気を払拭するように、ヒフミが明るい声を上げる。

 

「アズサちゃん! 友達なら、これからたくさん作りましょうよ! 少なくとも私は、もうアズサちゃんのことを大切な友達だと思っていますから!」

「…………ヒフミ」

「私も同意見かな。こうして補修授業部で一緒にいる以上、私たちはもう友達だよ」

「…………ホタル」

 

二人の温かい言葉に触れ、アズサの口元に少しだけ柔らかな微笑みが浮かぶ。

 

「…………そうだな。合格した後、たくさんの友達、作れたらいいな」

 

前向きにそう言葉を紡ぐアズサ。そんな彼女の姿を横目に、ハナコはどこか眩しいものを見るかのように細めた。

 

「アズサちゃんは強いですね。(…………私には到底、そんな風に友達は作れませんでしたから)」

「?ハナコちゃん、何か言いましたか?」

「いいえ、何でもないですよ♪」

「…………怪しい。なんか、イヤらしい想像でもしてた?」

「ふふふっ…………」

 

そう言って、ハナコはいつものおどけた笑みを浮かべ、はぐらかすように首を振る。

彼女の胸の奥底に、どれほど深い心の闇が渦巻いているのか、今はまだ誰も知らない。

 

しかし、目の前で微笑み合う仲間たちの姿を見つめるハナコの瞳には、その闇を少しだけ照らすような、微かな光が宿っている気がした。

 

 


 

 

「…………というわけで、改めて」

 

ヒフミはすっと立ち上がり、4人に面と向かって改めて現在の状況を説明し始めた。

その表情は、いつになく真剣そのものだった。

 

「私たちは残念ながら、一次試験は落ちました。ナギサ様は特別措置としてこの別館を用意し、私たちは次の試験。第二次特別学力試験に向けて、一週間、ここに滞在することになります」

 

ここ別館、もとい補修授業部の合宿所は、長らく放置されていたにもかかわらず、少し掃除をすれば勉強や生活を送る上では何ら問題のない素晴らしい環境だった。

 

アズサが事前に偵察してくれた通り、一階には広い体育館や、身を清めるためのシャワー室などの設備が充実している。

 

「言い忘れていたが、偵察中に敷地内でプールを見つけた。今は藻などが大量に発生して汚れていたけど」

「あ、プールもあるんですね。それから、地下には食堂もありましたよ。これならお腹を空かせても安心ですね」

「…………加えて、本校舎までも頑張れば徒歩で行けそうな距離。思っていた以上に至れり尽くせりです。流石はティーパーティーのホスト『代行』、随分と太っ腹な措置ですね」

 

ハナコの言葉に、一同は深く同意するように頷き合う。

その充実ぶりに、まるで自分たちだけの城を手に入れたかのような、どこか高揚した気分に包まれていた。

 

「”そう言えば、私の部屋はどこになるのかな……?”」

「えっと先生は、通路を挟んで向かい側に空き部屋がありますので、そこをお使いいただければ…………」

「”なるほど。わかっ…………”」

 

会話の最中、先生の背後へハナコが音もなく忍び寄る。

彼女が先生に触れようと手を伸ばしたその瞬間、コハルが過敏とも言える大声を張り上げた。

 

「ダメっ!!!同衾はえっちすぎるから死刑っ!!!!」

 

「”同衾ッ!?えっ!?なになに!?ってハナコ、いつの間に背後に………!?”」

「えっと、私はまだ何も言ってませんが………?」

「言葉にしなくたって、見れば分かるわよ!その手は何をしようとしてたの!!?とにかく、ダメなものはダメ!!!」

「コハルちゃんは厳しいですねぇ…………(ちょっとがっかり)」

 

「ホタル。何がダメなんだ?私としては、先生もここで一緒に寝ても構わないけど?」

「…………成人した大人が、未成年と一緒に寝るのは色々とダメだと思うよ。そうだよね、先生?」

 

「”あ~~………私はヒフミが言った向かいの部屋にいるから、何かあったらすぐに呼んでね”」

 

これ以上の追及を避けるように、先生はハナコや補修授業部のみんなから、じりじりと少し距離を取る。

大人として、実に賢明かつ相応しい対応であった。

 

「すみません先生…。お気を使わせちゃって………それじゃあ、私たちは荷物を片付けて、さっそく勉強を…………」

 

そう言って、ヒフミが持ってきた荷物をベッドの脇に置こうとした、その時だった。

ハナコが静かに一歩前へと躍り出る。

 

「待ってください、ヒフミちゃん。勉強の前に私たちにはやるべきことがありますよ」

 

唐突な言葉に、一同は頭の上にハテナを浮かべた。

やるべきこと?何かやり残したことでもあっただろうか?

 

「え?な、何でしょう?何かありましたけ?」

「ま、まさか、また何かエッチなことを企んでるんじゃ………ッ!?」

「安心してくださいコハルちゃん。もっとずっと健全ですよ」

「分かった。敵襲を想定してさらなる防衛トラップの敷設を…………」

アズサちゃん?

「なんだろう?ハナコちゃん、勉強の前にやる事って……一体何をするの?」

 

これから始まる猛勉強の前にすべきことなど、全く思い浮かばない4人。

全員の視線が集まる中、ハナコは意味深に微笑みながら、その答えを口にした。

 

「それはですね。…………お掃除です♡

 

「「「「「…………なんで? 」」」」」

 

突然突きつけられた、合宿所の大掃除開始の宣言。

ハナコ以外の全員のセリフが見事にハモリ、寝室は一瞬にして深い困惑の渦に包まれるのだった。




2026年7月4日(土)
エデン条約編『プロローグ』から今回まで。使われていた単語「落伍者」を「落第者」に変更しました。
意味は同じでも作者的にやっぱり読みづらかったので…………。

トリニティに裏切り者に、サム襲来。
いったい、彼(?)の目的は?なぜ、エデン条約の撤廃を求めたのか?
引き続き、宜しくお願い致します。
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