『終焉』が近いであろう青空世界で私達は生きる......らしいよ?   作:エリオ(別同位体)

2 / 7
続いたよ。
改めて、この小説は神秘ハンター(星核ハンター)中心を主にした第三者目線で執筆しています。
いずれ、この世界のブルアカ先生たちの掲示板を書きたい。


Vol.1 対策委員会編1・2章  担当【ヴィヴァルディの蜘蛛】
物寂しい砂丘の空に 前編


彼女たち【神秘ハンター】にはある絶対的ルールが存在する。

それはたったひとつのシンプルなもの。

 

それはリーダー『エリオ』の脚本に従うこと。

 

【エリオ】

またの名を()()()()()()()()

「運命の奴隷」の二つ名を持ち、預言じみた"脚本"を紡ぎあげる存在。

 

彼は未来が見える目、未来予知を保有する。

未来を知る彼が書き記した脚本にはこれから起こるであろう未来そのものが記されている。

 

彼の力はトリニティ総合学園のある”生徒”の特殊な力と似通った部分があるが、関連性はない。

神秘ハンターNo2が言うには『そもそも源流が違う』と述べている。

 

書かれた脚本は最善なものとなる未来を基に選りすぐり、それぞれの目的・野望を抱くメンバー四人にそれぞれ違う脚本を渡している。

 

脚本に書かれた内容は必ず現実になる。

とは言え、具体的にどのような形で起こるかは実際の場面に直面するまで解らない。

逆に脚本に書かれていない範囲外ならば、神秘ハンターは比較的自由に行動でき、結果さえ同じ内容ならばそのとき引き起こされる形は問われない。

 

故に、彼女たちは先の見えぬ闇の中で(うごめ)く。

己の願いの為にも、最悪な未来から遠ざける為に。

 

 


 

昨今。

神秘ハンターがD.U.区で暗躍し終えたその後。

連邦生徒会長失踪による大騒動鎮圧後、連邦生徒会によりある組織が設立が発表された。

 

【連邦捜査部S.C.H.A.L.E】

通称「シャーレ」

 

キヴォトス史上。勢力図における最大特異点。

連邦生徒会を束ねる連邦生徒会長自らが呼び寄せた大人「先生」の活動を拠点する組織。

 

キヴォトスで暮らすあらゆる生徒の相談に応じ、同時に所属や学籍によらず不特定多数の生徒の協力を仰ぐことのできる。連邦生徒会長によって与えられた権限によって規約や法則を無視できる超法規的機関。

 

その設立目的は、

連邦生徒会名義では介入の難しい諸問題にも積極的に解決するため。

わかりやすく例えを挙げるなら「国境なき医師団」のような慈善組織。

連邦捜査部「シャーレ」の担当顧問兼責任者としてが赴任した大人『先生』。

()あるいは()()は「大人とは、子供たちのため責任を負うもの」という信念のもと、キヴォトス全ての生徒の味方として仕事に明け暮れていた。(たまに出張という名のサボタージュしているが)

 

そんな先生の下にひとつの依頼が舞い降りる。

 

ある生徒から送られてきたメッセージ。

内容はアビドス高等学校を助けてほしいというものだった。

 

アビドス高等学校。その自治区。

かつてはキヴォトスで最も長い歴史を誇り多数の生徒が通う、キヴォトス最大の学園として名を馳せた学園だった。

 

数十年前のある時期から頻発し始めた大規模な砂嵐によって、学区の環境は激変し、他所からの借金に加えて、当時シンボルであったオアシスも枯れてしまったことにより、急激に過疎化。

羨望や畏怖の目で見られた超有名校はいまじゃ見る形もなく、その栄光の痕跡が寂しく残るのみ。

 

現在のアビドス。

対策委員会というたった五人の生徒が9億にも上る借金を細々と利子の返済をこなしながらも、懸命に借金完遂を目指しているらしい。

 

そんな学園からの救援を受け取ったシャーレの先生はいざアビドスへと向かう。

着いて早々、熱中症で死に掛けたりしたが。

 

嘗ての帝国、その夢の跡。

アビドスを取り巻く大きな陰謀。

対策委員会と先生の来訪をきっかけに物語が動き出す。

 

 


 

舞台は代わり、とある裏路地にあるオフィスビル。

連邦捜査部S.C.H.A.L.Eのオフィスビルがある地区の真逆にあたる別のD.U.区の外郭地。

過疎化のアビドス自治区と無秩序のゲヘナ自治区が隣接している場所。

 

ここは闇市。またの名を――ブラックマーケット。

 

都市部から離れた自治区だった土地。市場の規模を超えたスラム街。

不良生徒や悪質な大人たちが拠点する、キヴォトスの闇と呼べる象徴。

油断すれば、身ぐるみを奪われ、下手すると尊厳さえも奪われるまさに怖ろしい所だ。

 

そんな悪意の闇市の入り口付近。

珍しく荒らされていないオフィスビルにてふたつの人影が佇んでいた。

 

「貴女が依頼した『ファウスト』?」

 

神秘ハンターのひとり「カフカ」。

いま彼女は普段身に付けている服から一変。黒一色のサングラスとスーツ姿に着替えている。

その姿は男性と間違えるような正しく男装の麗人。しかし、どことなく危険な香りが漂う美しい女性として場に君臨していた。

 

裏世界ではヴィヴァルディの蜘蛛と恐れられる女。

彼女は現在、依頼としてある顧客を相手していた。

 

「は、はい『ファウスト』です。えっと、貴女が護衛をしてくれる人ですか?」

 

その相手は、明るいベージュの髪色。幼い顔立ちに大きな特徴もない普通の少女。

ただ、白を基調とした制服――三大学園の一角 トリニティ総合学園の生徒であった。

 

「そうよ。私は……とりあえずレディ・アラネアと呼んでちょうだい。依頼されたからにはしっかり仕事をこなすつもりだから、大船に乗った気持ちで安心して」

「よ、よろしくお願いします!」

 

最初はどんな悪いひとかと不安な気持ちだったが、カフカ……レディ・アラネアが予想よりも良い人そうで安心するファウストと名乗る少女。

 

「まずはすり合わせをしましょう。依頼内容は《ブラックマーケットの護衛》。赴く理由としてはブラックマーケットでしか手に入れないものがある、と依頼書には書いてあったけど。どういうものかしら?なにか分かるものある?写真とか」

「は、はい!画像があるのでどうぞ!!」

 

そう言い、おぼつかない手でファウストは自身のスマートフォンの画面をこちらへと見せていく。

そこに映っていたのは、ひとつのぬいぐるみの画像だった。

 

白い鳥をモデルにしたキャラクター。

丸々と太っていてそれが愛くるしいさを感じる大きな鳥。

しかし、どことなく目の視線は明後日の方向に向いており、間抜けにピンク色の舌が伸びてだらしない。

デフォルメで誤魔化してはいるが、そのせいで見ているだけで不安になりそうな雰囲気を(さら)し出していた。

 

知らぬ者からしたら、気味が悪くなりそうで、何ともまあ好き嫌いが分かれそうなキャラクターだ。

画面に映るこのブサイクなキャラクター。このキャラをカフカは偶然にも知っていた。

 

「これは…ペロロ?」

「ご存知ですか?!」

 

ファウストは思わず、興奮した。

まさか請負人が「ペロロ様」を知っていた事に驚きを隠せず、思わず前のめりにカフカに詰める。

謎の勢いを持つ彼女に思わず引いたもの、ペロロについて知っているわけを述べた。

 

「ええ。……と言っても、モモフレンズのファンじゃないわ。私の後輩がホムくん*1のファンなの。それで知ったという感じね」

「ホムくんですか!わたし、miHoYo社とのコラボグッズも持っているんです!どちらも可愛いですよね!」

(…………銀狼がペロロのことを気持ち悪いって言ったことは、黙っておきましょう)

 

とても機嫌良さそう笑う少女を前に、カフカの目は遠い目だった。

この満面の笑みで微笑む少女にそのような残酷なことを言えるはずもない。冷酷の女は真実を堅く閉じたのである。

 

話は変わるが、そもそもカフカがどうしてファウストと行動を共にすることになったのか。

それは数日前に至る。

 


数日前……

それは銀狼との報告会による出来事から始まった。

 

『――――というわけで、予想外のハプニングが起きたけど、脚本には問題ない。明日も引き続き監視する予定』

『そう。()()()()()()()は?』

()()()()()()。というより、動く必要性は感じられない。何せ、最強の門番が二体いるもの。機械の癖に使命感に酔っているんじゃない?』

『未だ行動を起こせる程、準備が整ってないということかしら。偽りの神に関しては脚本の通り今は放っておくのが無難ね。今、私たちが相対してもよくて相打ち。今の世界(キヴォトス)記号(テクスチャー)が剝き出しされてこの後の流れが最悪になる』

 

現在、銀狼は自身が担当する『ミレニアム』自治区郊外の「廃墟」と呼ばれる立入禁止区域で潜伏している。

立入禁止区域と言っても、少し前に連邦生徒会が規制していたが、これも連邦生徒会長が失踪したことにより、出入りが容易になってしまっている。

 

「廃墟」には脚本に描かれる程の重要な存在が眠っている他、その奥深くに脅威的存在が息を潜めている。銀狼はそれらの動きを注視し、脚本から外れている存在を除外したりなど、四六時中監視し警戒するのが、いまの銀狼の仕事だ。

 

『終わり?それじゃ、おやすみ………』

『待って』

 

銀狼が眠たそうに回線を切ろうするが、そこへ待ったをかけるカフカ。

当時の時刻は真夜中の11時。

銀狼の顔には既にクマができる程、眠気に満ちていた。

 

『なに?こっちはすぐに寝たいんだけど……』

『君に頼みたいことがあるの。聞いてくれる?』

『明日にして。こっちは面倒な相手に会ったせいで、リセットしたい気分なんだけど』

 

銀狼が苛立ちながら、腕を組みトントンと指を叩く。

こうも苛立っているのは理由がある。

この日、彼女にとって最も面倒で会いたくもない人物と出会ってしまったらしい。

その人物は、彼女の()先輩に当たる生徒であり、銀狼はかつてその生徒と同じ所属だった。結果的に元先輩と仲違いを起こし、逃げるよう退学した過去を持つ。

 

それが今日、偶然にも元先輩と再会し質問攻めされた。そんな中、銀狼はうまく交渉し終え、この拠点スペースまで逃げて帰ったのである。

 

『……っていうか私の記憶に違いがなければ、あまり動く必要はないんじゃないの』

『そうもいかないの。アビドスの物語にはゲヘナが必然的に関わってくる。ゲヘナが常に私を狙っている以上、アビドスでの活動が困難になるの』

『それのどこが私の力が必要になるの。流れは先生とアビドスの連中に任せてそのまま見守ればいいじゃん』

 

そうもいかない、とカフカは首を横に振る。

 

『脚本の照り合わせで分かったことなの。私がいまここで行動起こさないと、後々の展開に悪い方向へ向く可能性が高い』

『…………それにあの地には()()()()()や【神々の星座】の残り香が眠っている。下手な輩が触れたりすると困るのよ』

 

あ、コレ言う事聞くまで続きそう。

そう悟り銀狼はため息を吐きつつ、観念した。

 

『…………こっちが終わったら、欲しかったヘットフォンがあるの。それでチャラにして』

『もちろん。なんなら、マイクとかモニターやら気が済むまで何でも買ってあげるわ』

『…………分かった。で、なにをすればいい?』

『簡単な仕事よ。ブラックマーケットの傭兵リストに私のプロフィールを作ってほしいの。もちろん偽名で』

『? なんでそんな回りくどいことを?』

 

ブラックマーケットには独自の仕切りが存在し、その中のひとつとして傭兵業が存在する。

傭兵業を営む集団の中に紛れ、偽の履歴書(プロフィール)を作成するという内容。

偽名にする理由としては良くも悪くも「カフカ」の名は知れ渡っている為、動きにくいのだと推測できる。

 

しかし、そんなことをしてメリットはあるのだろうか?

当然、銀狼の問いに対し、カフカはわけを述べた。

 

『3日後のブラックマーケットにある生徒が訪れる。その子はアビドスと先生と深い縁を作ることになるの。これを機に私はその生徒を守るブラックマーケットの傭兵と言う役を羽織って脚本に介入するつもりなの』

『その生徒って?』

『トリニティ総合学園二年生、名前は阿慈谷ヒフミ』

 

その名前に銀狼は聞き覚えがあった。

 

サムが担当する子じゃん!』

 

確かその生徒は仲間のひとりが担当する監視対象だったはず。

神秘ハンターにとって脚本に描かれる最悪な運命。それを覆す可能性を持った重要人物の名前であった。

そんな生徒が何故、ブラックマーケットなどという悪意の巣窟に行くのだろうか。

 

『…………あとでサムに報告してよね。観察対象が突然いなくなったら、慌てるのが目に見えるから』

『そうね、これ以上、あの子の仕事を増やすのはあまりに気の毒すぎるわね』

 

とりあえず銀狼はその要望に応えた。

その第一として、ブラックマーケットのネットワークに偽の情報を拡散する。

その日のうちに裏世界にある噂が流れることとなる。

 

『レディ・アラネア』

裏世界に突如として現れた謎の傭兵。

依頼を忠実にこなし、依頼した人間を傷一つつけず守護し、敵を喰らう女郎蜘蛛。

 

その傭兵のことを知った件の生徒。

受注料が価格だったため、阿慈谷ヒフミは勇気を持って傭兵レディ・アラネアに護衛の依頼を発注。

間も空くことなく、ヒフミの依頼は受注され、現地に赴き会うこととなった。

 

数量限定となった目的のペロロ様人形を手に入れるために。

 

アラネア……カフカの狙い通り、ヒフミは蜘蛛の巣にかかったわけである。

別に彼女を取って食おうというわけでない。

幾ら騙したとは言え、依頼をこなすつもりであった。

 

 


 

 

ブラックマーケット内の露店通り。

露店の名の通り、経緯不明の商品が並らんでおり、ブラックマーケットの名物となる場所。

 

ここならば、探しものが見つかるのではないかと思い、まず近くの老舗にふたりで向かったものの……目的の品は中々見つからず、難航していた。

次々と探して回っていても、何処へ行っても取り扱っていないと一点張りに言われる始末。

 

現在、六店目に当たる店舗にて。普段常連客として通う店ならと。

「ファウスト」ことヒフミは店の入口前に待機され、カフカ改めアラネアは店主と話に向う。

この店なら、と思ったのも束の間、現実は非常であった。

 

「うちではこの商品を取り扱っていないんだ。悪いな」

「そう」

 

この店もダメであった。

おかしい。ペロロ様及びモモフレンズはマニアックな層しか人気が無いはず。

それなのに、ペロロ様のぺの字も見当たらない。入手率がバクっていないか?と疑ってしまう。

 

そう思っている中、世話になっている店主がアラネアに話しかけた。

 

「つか、珍しいすぎるぞ。アンタがこんな人形を探しているなんてな。なんの冗談だコレ」

「ふふ、意外だった?」

「意外もなにも、アンタは名高いマフィアさえも恐れられる大悪党だ。そんな輩が其処らの傭兵紛いな仕事するとは思わなかったぞ」

 

そう言って呆れる獣人の店主。

アラネアとは昔からとの付き合いだ。腐れ縁と言っていい程に。

店主は嫌という程、目の前にいる女のことは熟知していた。

 

「あの嬢ちゃんも運がいいのか、悪いのか。おまえさんと関わってしまったのは同情するぜ」

「あら、ひどい言い草」

「どの口が言ってんだよ……!」

 

嗤うアラネアに対し、思わず悪態をついてしまう。

ここの店主はかつてあるマフィアの一員であり、それなりの名で悪事を働いた経緯を持つ。

しかし、運が無いことにそのマフィアは目の前の蜘蛛の逆鱗に触れてしまったのが運の尽きだった。

ある日を境に彼が所属したマフィアは壊滅。

現在は足を洗ってブラックマーケットのしがない雑貨屋として少ない稼ぎで生活する。そんな日常を続けていた。

……はずだったが、店主の人柄に気に入られてしまい。いまのような付き合いが出来る程、切っても切れない関係なってしまったのである。

 

(……ま、それなりに買ってくれるおかげで店が繫盛しているし、文句言えねぇんだよな)

「ほかにありそうなお店に心当たりない?」

「そうだなぁ……。ここから500m先に……って、あ?」

 

地図を開こうとした矢先、店主は異変に気づいた。

 

「……おい。あそこに居たおまえさんの依頼人どこに行った?」

「あら?」

 

振り向けば、さっきまでいたはずのヒフミの姿が見当たらない。

話に夢中で、何処かへ行ってしまったようだ。

 

「まずいな。おまえさんの依頼人はトリニティの生徒だろ?急いで見つけないと厄介なことになるぜ」

「そうね。早く見つけないと大変なことになるわ」

 

お店を去る前、アラネアの懐から出てきたのは大金。

それも数十万もありそうな札束が店主の目の前に放り出された。

 

「ちょ、今日は何も買ってねぇだろうが!?」

 

店主は札束を返そうとするが、時すでに遅し。

アラネアは振り向かず、この場から去ろうとしていた。

 

「情報量と次の代金よ、釣りはいらないわ」

「まったく。……最近(ちまた)の『超人』が行方知らずになってから、礼儀を知らねぇ奴らが増えてきやがった。……気をつけろよ」

「誰に向かって言っているのかしら」

 

店主の問いとその心配は愚問であった。

本当にあの依頼人は運がいい。この女が敵なら恐ろしいが護衛ならどんな脅威が来ようと跳ね除ける。そう思ったと同時に、アラネアの姿はすでに見えなくなっていた。

 

「……この金、どうすんかねぇ」

 

目の前に映る大金。

一先ず、店主は受け取った大金の使い道を考える羽目になった。

 

 


 

 

行きつけの露店から離れて20分。

依頼人を見つけるのは時間は掛からなかった。

 

目の先にはヒフミと彼女を襲う数人程度の不良生徒(スケバン)

そして……4人の生徒とひとりの大人がヒフミとを守るように対峙していた。

それを見たアラネアは笑みを浮かべた。

 

()()()()

 

彼女らこそ、エリオの脚本に描かれた者たち。

アビドス高等学校対策委員会のメンバー、そして彼女らを助けに来たシャーレの先生であった。

 

彼女は普段携帯している二丁のサブマシンガンをスケバン向けて放つ。

 

「「「ぐぇ!!?」」」

 

「ん!?」

「な、なに!?」

 

撃たれたスケバンは倒れ、

生徒ふたりは突然の撃たれたスケバンと発砲音に驚く。

彼女たちは後ろへ振り向き、一番早く反応したのは依頼人のヒフミであった。

 

「アラネアさん!」

「ダメじゃない。依頼人が護衛から離れるなんて」

「ご、ごめんなさい!待っている間、目的のものが見つけちゃったので……」

「そう。でも、契約には最後まで付き合うって書いてあったもの。ここは私に任せていい?」

「わ、分かりました。み、みなさん。ここはアラネアさんに任せて逃げましょう!」

 

「いや、このひと誰よ!」

「ん、まだ戦える」

「ダメです!これだけ騒ぎを起したらここの治安維持組織……マーケットガードがやってきてます。そうなったら、逃げられません!」

「“あのひとは大丈夫なの?”」

「大丈夫です!はじめて会ったばかりですが、信頼できるひとなので!!」

 

ヒフミの焦りに感化されたのか。対策委員会と先生は急いでこの場から逃げる選択肢を取る。

逃げていく彼女らを見たスケバンたちは追おうとするが、アラネアの連射によって阻まれ、ヒフミたちは無事逃げ切ることが出来た。

 

「おいコラ待って!?」

「テメェ、いきなり撃ってきた挙句、邪魔しやがって!覚悟しやがれ…!」

 

獲物が逃げられ、アラネアに怒りを抱くスケバンたち。

安っぽい怒りに対し、アラネアは呆れてながらサブマシンガンを構える。

 

「覚悟?する必要性さえ感じないわ。だって」

 

─── いまから、覚悟するのは貴方たちの方だもの

 

 

結果は言うまでもない。

 

ブラックマーケットに来て間もないスケバンたちは騒動を嗅ぎつけたマーケットガード諸々、アラネアに蹂躙され全滅。

以後、彼女たちがどうなかったか、脚本には記されていない。

 

 


 

スケバンどもとマーケットガードをミンチにし終えた後。

アラネアはヒフミとアビドス対策委員会の後を追う。

あれだけ騒ぎを起こしたのなら、彼女たちはそこから出来るだけ遠くに逃げたのだろう。

 

……と思っていた矢先に見つけた。

 

食品系の出店が並ぶ歓楽街。

彼女たちはそこへ逃げ延び、今は休息と話し合いをしている。

アラネアと彼女たちが互いに視認が出来る距離になった時、ヒフミが真っ先に此方に気づいた。

 

「あ、ここです!アラネアさーーーん!!」

 

彼女は大きく手を振り、安堵した表情を浮かべる。

 

「あ、さっきのひと」

 

同時にアラネアの方へ目を向ける対策委員会とシャーレの先生。

合流を果たした七人。

一先ずの無事を喜ぼうとするヒフミであったが、彼女の額に瞬間的な痛みが飛んできた。

 

「痛っ!?」

「何も言わずに勝手に行動した罰よ。ファウスト。いいえ、阿慈谷ヒフミちゃん」

「はいぃ……。え?どうして私の名前を?」

 

デコピンを喰らったヒフミは困惑する。

確かアラネアと自分は正体を隠す為、お互い偽名で呼び合い、本名は知り合ったばかりの対策委員会しか知らないはず。

アラネアは意地悪そうに答えた。

 

「お生憎。貴女のことは前々から知っていたわ。このブラックマーケットには生粋のモモフレンズマニアがいる、って噂されているの。グッズを手に入れるならば大金を厭わず、悪質な転売屋にはその辺にあった巡航戦車で転売屋そのものを破滅に追い詰めた最恐のペロロマニア。それが貴女でしょ?」

「そんなことしていたのアンタ!?」

「ご、誤解です!た、確かにそんなこともあった気が……ゴニョゴニョ

 

心当たりがあるのかボソボソと口ごもるヒフミ。

そんな彼女を苦笑いする先生と訝しげにジト目で見る対策委員会。

 

「そんなことより、マーケットガード相手によく無事でしたね」

「ああ、そいつら?ミンチにしたわ」

「え、ミンチ?ミンチってなんですか?!」

 

「それで、そちらの方々ははじめましてね?」

「え?無視?無視ですか!?ミンチにしたってなんですか、ねぇ!!!」

 

「私はレディ・アラネア。このブラックマーケットで傭兵をしている者よ。もちろん名前は偽名。諸事情有って本当の名前は言えないの。よろしく」

 

サングラス越しに微笑むアラネア。

彼女は対策委員会とシャーレの先生との邂逅という目的を果たすことが出来たのであった。

 

 


 

 

偽名を名乗ったアラネアに対し、先生と対策委員会もそれぞれ自己紹介をする。

 

対策委員会は五人のメンバーで構成されており、

委員長の【小鳥遊ホシノ】

二年生の【砂狼シロコ】と【十六夜ノノミ】

一年生の【黒見セリカ】。この場には居ないがアビドス高校からの通信から【奥空アヤネ】が所属するアビドス高校と自治区を救おうと奔走する委員会。

 

「あのアラネアさん。先程は助けて下さってありがとうございます」

「ヒフミから聞いたよ。あのまま戦っていたら、私たち捕まっていたかも。ありがとう」

 

ノノミとシロコ。ふたりは自分たちを助けたアラネアに頭を下げ、ふたりに続いて、対策委員会全員がお礼の言葉を述べる。

 

「気にしないで。私はただヒフミちゃんを護衛する依頼に全うしただけよ」

「でも、嬉しいわ。ここで仕事している間柄、純粋な感謝なんて初めてよ」

 

そう言い、アラネアはにこやかな笑みを浮かべた。

実際、彼女が今まで仕事で関わってきた相手から返ってくるのは銃弾と恨みや懺悔等の負の側面のみ。

対策委員会のような裏表ない謝礼の言葉は本当に初めてなのである。

 

和気あいあいと駄弁ている中。

アラネアは自身に対する後ろめたい視線を感じた。

 

「(……この人、ただものじゃないね。あの後激しい戦いが起きたはずなのに無傷で済んでいる。ヒフミちゃんが言っていたマーケットガードだけ?そいつらと戦っていたにも関わらず、ね。あの戦闘でみせた的確な射撃といい、実力は私以上かも。それに……礼儀正しいけど、まるで”アイツ”みたいな”大人”を相手しているような、そんな感じがする。…………警戒はしておこう)」

『(アラネアさんでしたか。この方、何処かで見たような気がするのですが………)』

 

視線の主は小鳥遊ホシノとアビドスから遠隔通話で参加している奥空アヤネであった。

ホシノは警戒心を、アヤネはどうやら見覚えのあるようで思考を巡らせていた。

 

当然、自身に向けた視線に反応するアラネア。

彼女は分かって、ふたりに話しかける。

 

「あら?どうしたの。そんなに私を見つめて」

「うん?なんでもないよ~お姉さん、おじさんより美人さんだなぁって思っちゃて~」

『あ、ごめんなさい。私も少し考え事を……気を悪くしたらすみません』

「ふふっ。口が巧いのね。さて、それじゃ目的のペロロ人形も手に入れた所で、帰りましょうかヒフミちゃん」

「あ!え、っと…………そのぉ一……」

 

ヒフミの方を振り向けば、彼女は何か言いたげそうに立ち止まっていた。

実はアラネアがここに来る前、ヒフミは対策委員会からブラックマーケットの案内を(半ば強引に)二つ返事で頼まれてしまった。

ほっといて帰ることもできたが、阿慈谷ヒフミという生徒は根っこが善人であり、助けてもらったのに恩を仇で返すのは気が引ける。かと言って、自分が役に立つかどうかも分からぬ。

 

ならば、ヒフミは無理承知でアラネアに事情と依頼というお願いを口にした。

 

「あーーー……。すみません、もう少しだけお時間を頂いてもいいですか?」

 

 


 

午後中頃あたりの時間帯。

ブラックマーケットの繫華街。スーツ姿の麗人を先頭にラフな格好をした集団が路上の中心で闊歩していた。

その集団こそ、ブラックマーケットに訪れた対策委員会と先生、阿慈谷ヒフミ本人たちであった。

 

『と言うわけでして、アラネアさんが付いてくれる事になりました!……正直ここに来て日の浅い私なんかより、ベテランのアラネアさんが居れば大丈夫だと思います!私より強いですし!!』

『ふふ。短い間だけど、よろしくね』

 

ヒフミの説得により、対策委員会と同行することになったアラネア。

未だ警戒心の強いホシノだけは遠回しに同行を拒否しようとしたが、案内人が増えるのと戦力は大いに越したことはないという事でアラネアだけ仲間はずれという事はなくなった。

 

そもそも対策委員会がブラックマーケットに赴いた理由がある。

 

アビドス高校に迫る脅威のひとつとして、ヘルメット団がなぜか自校に攻めてくることがある。

先日、いつも通りヘルメット団を追い返している中、彼女が持つ装備の異常性に気がついた事が発端から始まった。

 

ヘルメット団はスケバン同様、不良生徒の集まりであり、その資金力や組織力は無いに等しい。

だが、黒見セリカ誘拐事件を機に遺された装備から違和感を感じ始める。

 

その痕跡として、ヘルメット団が使っていた銃の刻印は前から既に生産中止された型番。

貴重すぎて彼女らには到底用意できる代物ではないもの。

数多の学園が存在するキヴォトスの自治区で、ありそうな場所。

 

恐らくブラックマーケット。其処から流出したものではないかと踏んだ対策委員会はそれを調査に来たという経緯(わけ)であった。

 

『実のところ心当たりがあるのよ。……正確には()()()と言った方が正しいのだけど』

『あった?』

『連邦生徒会長の失踪が判明してから、キヴォトス中大混乱だったのはみんな経験しているでしょ?その大混乱に応じて、多くの様々な銃器や物資、兵器がブラックマーケットに流れ込んでいたの。その流れ込んだ品物を使って儲けを重んじるブラックマーケットの業者が出す市場は今までより酷い有様だったわ』

『そんなにひどかったの?』

『ええ。騙されやすそうな可愛い子猫ちゃん。ただの安っぽいライフル銃が1000万で売られているぐらいに』

『誰が騙されやすい子猫よ!ってみんな、なんでそんな目で見るのよ!?』

 

『話を戻すわ。興味深いことにゲヘナに劣らないカオスな状況の中で()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の。しかも、不思議な事に顧客相手は主にヘルメット団しか相手していない』

『…………なるほどね。お姉さんはこれに意図的な作為があるって感じているんだね。そのヘルメット団を相手した()()()()()()()()()()()?』

『言ってもいいけど、実際に見た方が早いわ。出発する前にちょっとした準備をしましょうか』

 

そして現在。皆アラネアが用意した服に着替え、変装を終えた頃。

対策委員会はいつもの制服から私生活感が強い服装を。

先生はシャーレの礼装から”ヤ”の頭文字が付きそうな柄の悪い姿に。

 

そして、ヒフミはたくさんのペロログッズを付けた所謂オタク風な格好をしていた。

 

「いや!なんで私だけ普通の服装じゃないんですか!?」

 

思わず、突っ込むヒフミ。

傍から見れば、マフィアぽい集団に紛れる一般人。付けている膨大なグッズのせいで痛い奴と見らそうな姿。ぐふふ、と言いそう。

現に姿を見た通行人からは「なんだアイツ!?」と鋭い視線で釘付けにされ、皆若干引いていた。(ヒフミは泣いた)

 

「身元が分かる制服は危ない」と、アラネアから着替えを提案され、それを素直に受け取った結果がコレである。

 

「ごめんなさいね。貴女に似合いそうな替えの服がなかったから急遽、頼んでもコレしかなくって」

「ううう……別にいいですぅ。ペロロ様がたくさんいるおかげでなんとか………。嘘です、消えたい」

「”せ、先生はいいと思うよ!個性的で!”」

 

先生がヒフミを必死にフォローするが、どんよりとした空気は重いまま。

それに対し、対策委員会は明るい空気が漂っていた。

 

「パーカー付きの服なんてあまり着る機会ないので、そのぉ…似合ってます?」

「大丈夫。ノノミ、すごく似合っている」

「わあ、ありがとうございます。そういうシロコちゃんも似合ってますよ!」

「そうかな?こういった服あんまり着たことないから、よく分からないけど。なんだかうれしい」

 

「いつも通りふたりが仲慎ましくていいね~。服装も相まって眼福眼福」

「そういうホシノ先輩も似合ってるわよ。近所の子供みたい」

「それって褒めてるのセリカちゃん……?おじさんとしてはもうちょっとおじさんらしいものが着たかったかな~。ハラマキとか」

 

「「「それは絶対に似合わない(から・ですよ)」」」

「そんなに」

『(みなさん、楽しそうでいいなあ)』←若干空気になっているアヤネ

 

そんな会話もあり、小休憩として売店からたい焼きを食べ歩きつつ、交流を深めていく7人(+α)。

たい焼きを片手にヒフミは違和感を感じた。

 

「……アラネアさん」

「あら、気づいたようね」

「はい」

 

ヒフミはアラネアに自身が頂いた違和感を確認する為に問い掛ける。

 

「歩いて数時間。本当なら探している違法部品なら簡単に見つかるはずです。例えば、型番を仕入れた場所を絞るとか。なのにここまで何も情報が出ないなんて、幾ら何でも可笑しすぎます」

「え、なに?どういうこと?」

 

ヒフミは自身の所感を語る。

 

本来、ブラックマーケットという場所には悪事を誇る連中が多い。

牛耳っている大企業やマフィアたちは自分達が悪事を働いているという自覚を持ち、悪事を行っている事自体を隠そうともしない。

それどころか、それを誇りに思い、盾とし、相手に舐められぬよう誇示する連中である。

 

「そんなにおかしいの?」

 

権力、実力、そして大金に卸売業。

これらを保持し、正々堂々と開き直って見せびらかすことによって、それぞれの勢力がブラックマーケットを支配しているのである。

弱者は淘汰され、ずる賢い者か強い者が制する。それがブラックマーケットの流儀。魔窟と言われる要因でもあった。

 

首を傾げるシロコ。アラネアは彼女の為に分かりやすい例を出す。

 

「例えばとても強い傭兵を雇ったマフィアと裏でコソコソと大金を蓄えたヤクザ。攻撃するなら()()()()()()()()()()?」

「ん、なるほど。それならヤクザの方を選ぶ」

 

「そうですね。そういうこともあってここの企業は逆に開き直っているので、変に隠したりしないんです。例えばアレとかです」

 

そう言って、ヒフミが指さしたのはひとつのビル。

それは悪名高い組織が巣食う建物である。

 

「ブラックマーケットに名を馳せる闇銀行。キヴォトスの犯罪の15%の盗品はあそこに流れているそうです。横領、強盗、誘拐等、様々な犯罪でによって得た財貨が、違法な武器や兵器に変えられてまた他の犯罪に使われる。そんな悪循環が続いているんです」

「……銀行が犯罪を煽っているようなものじゃないですか……」

「はい。ここでの銀行も犯罪組織。その上、治安組織(マーケットガード)もあの闇銀行を支援しているので……」

 

改めてブラックマーケットの恐ろしさを知る対策委員会。

アビドスの借金返済に注力しすぎていた自分達はあまりにも外のことを知らなすぎたとい実感する。

そんな中、アラネアは対策委員会に質問を投げた。

 

「なぜ着替えたのか分かった?」

「…………私たちがアビドス高校の生徒だと、悟らせない為かな」

 

ホシノの答えにアラネアは嬉しそうに笑った。

 

「やっぱり君は賢いわ。あのまま制服で街を歩いたら君たちの身元が割れてしまう」

「凋落したアビドスは悪い意味で知られている。最悪、ここの誰かが君たちを利用しようとする悪い人が居たら、どうなっていたかしら?」

 

その言葉に対策委員会は息を呑む。

ヒフミから語ったブラックマーケットの悪循環に犯罪。もし自分たちがあのまま制服のまま歩いていたら、どうなっていたのか。想像してしまう。

 

「そんなこと、させないよ。だって私が……」

「守れる。本当に?」

 

ホシノが勇敢に吠えるも、アラネアは冷酷に告げた。

 

「本当に守れ切れる自信はあるのかしら?ここは実力だけじゃやっていけない。ずる賢く立ち回る者もいる。力だけあっても物事は上手く進まない。力と感情のまま寧ろ最悪な結果を産んだ。そんな経験を君は知っているんじゃない?」

「…………なにが言いたいの?」

 

警戒心と敵意を剥き出しになるホシノ。

恐れを知らないアラネアはホシノに近づき、耳元である言葉を囁く。

 

()()()()()()()()()()()()()()言霊を。

 

「二年前、梔子ユメを喪った。その経験を」

「!!!!」

 

ホシノは思わず、アラネアを押し出し後退りをしてしまう。

予想にもしなかった言葉()に動悸が激しくなる。

 

「なんで、それを……」

「ホシノ先輩!!」

 

対策委員会のみなが心配し身体を支える。突然の状況に困惑するヒフミと先生。

直感で何かされたと感じたシロコだけがアラネアを睨め着けた。

 

「ふふ。お姉さんは何でも知っているの。でもごめんね、ちょっとした悪戯よ。でも勉強になったでしょ?」

「うん勉強になったよ。…………同時に君がヤバイ奴だってことがハッキリとね」

 

落ち着きを取り戻したホシノは改めて、警戒心を抱いた。

この女に気を許してはダメ。耳を傾けば、操り人形のようにされる。

アビドスを守護する神性を持ち、歴戦での経験で培った感覚がそう告げていた。

 

「そろそろね。アヤネちゃんだったかしら、私の計算が正しければこの付近に近づく連中がいる?」

『え?…………!?』

 

アラネアの言う通り、画面には先生たちの近くに大きな反応を捉えた。

それはブラックマーケットの治安維持組織、その最上位。アラネアがミンチにしたマーケットガードだった。

 

「マーケットガード!?に、逃げましょ……フギュ!?」

「必要ないわ。ここなら障害物が多いし、しゃがむだけであっちが気づくことないわ」

 

慌てて逃げるヒフミを頭を抑えるアラネア。

彼女の言う通りに全員しゃがみ込み、マーケットガードの様子を伺った。

 

「さて、答え合わせの時間よ」

ここ(ブラックマーケット)で隠す・秘匿するという行為はふたつの意味が存在する。ひとつは自分たちが弱いと言っているようなモノ。もうひとつは問答無用で黙らせられる程の力を持った組織ということ」

「そして、ここ辺りを支配するのは悪名高い皇帝(カイザー)の名を騙る大企業【カイザーコーポレーション】。その傘下組織カイザーローンこそが君たちが求めている答えよ」

 

アラネア以外の全員が息を吞んだ。

目にしたのはマーケットガードに護送された現金輸送車。

闇銀行の前に到着し銀行員が担当らしき行員へと資金を渡す一連の流れ。

 

取引をしている中、セリカがいち早くある人物に気が付く。

 

「あいつ、毎月うちに来て利息を受け取ってる銀行員……!?」

 

セリカの驚いた声に、全員が気が付いた。

現金輸送車近くに立つ銀行員。その者は今朝方にアビドス高校に集金にやってきた職員本人であった。

いつも通り、取りに来る人物が故に見違えるはずもない。

 

預けていた借金資金。

それを軽々しく渡す銀行員たち。

それが意味していたのはただ一つ。

 

「私たち、ブラックマーケットに犯罪資金を提供してたってことですか……?」

 

ノノミの悲痛なその言葉にアラネアを除く全員が、しばらく口を開くこと出来なかった。

 

*1
崩壊シリーズ『崩壊3rd』のマスコットキャラクター。銀狼の並行同位体『ブローニャ・ザイチク』が愛好している。本作品はそうゆうマスコットを出す会社がある設定




一か月ぶりの投稿。今後のペース上1ヶ月に一、二回に投稿する形を基本とします。
会話より文章(地の文)が多くて申し訳ない。続きは近日公開→作者の都合と展開の変更により続きが投稿出来ませんでした。申し訳ございません(2026/03/29)

※プロローグにて銀狼の二つ名を変更しました
『ウラル』→『パンクロード』


評価・感想は作者の励みになりますのでよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。