fate/grand order 神域立証遊戯トータス 作:KAZ1421
本作品は気分で投稿するので更新が早かったり遅かったりします。
ご理解の程よろしくお願いします。
───????───
『それ』を発見した時、我々は興奮を隠せなかった。
未知の存在、明らかに『この世界』の生物とは言えなかった姿をしていたからだ。
調査しなければ、解明しなければ。
その使命感のみで『この存在』を保護する。
解明出来れば我々は次の段階へ進化出来るかもしれない。
─── オルクス大迷宮 ───
水の流れる音が聞こえる。
冷え切った身体が身震いした。
「ハ、ハクション!!」
「大丈夫ですが、マスター!」
「ああ、大丈夫。 ありがとうマシュ……で良いよね?」
「はい。」
俺、藤丸立香と南雲ハジメは石橋から奈落へと落ちて、諦めかけたのだが
藤丸が召喚した彼女、マシュ・キリエライトがそんな中俺たちを助けてくれたのだ。
あんな上空から落ちても俺たち2人を助け、しかもまだ余裕な様子を見るに彼女の身体能力は天之河達以上なのだろう。
正直言って助かる。ここはオルクス大迷宮の奈落、おそらく誰も到達していない階層だろう。
不安しかないが、頼れる人物がいるというのは安心する。
「ハジメ、とりあえず上へ向かう場所を探そう。 みんなの所に戻らないと。」
「ああ。 それにしても藤丸はどうやって召喚したんだ? 確か絆や信頼関係、従うって意思を持った存在じゃないと召喚できないはずじゃ?」
「それが、俺にも良く分からないんだ。 あの子は『夢』で見たんだよ。」
藤丸の言葉にマシュはピクッと反応し、聞く。
「夢ですか? 一体どんな夢を見たんですか?」
「ああ、実は……。」
藤丸は最近自分が見る夢についてマシュとハジメに説明する。 そしてその夢に出てきたマシュを想像して召喚したら出てきたという。
「……そんな夢を見てたのか。 でもその夢に出てきた人が召喚できるってどういう事? マシュさんは何か知っているのか?」
ハジメはマシュに質問するとマシュはしばらく考え、
「……ごめんなさい。 詳しくは言えません。」
そうマシュが言えないという。
「ですが! 私はマスターのサーヴァント! 全力で守ります!!」
「……うん、分かった。 ありがとうマシュ。」
色々と言いたい事はあったが、彼女が話してくれるまで藤丸は黙る事を決める。
その後3人は上へ向かう場所を探して歩いていると、
「! 先輩、敵がいます。」
「敵?」
藤丸とハジメがその先にいる敵を見ると、見たまんまウサギという姿の生物がいた。 ただ、大きさが中型犬くらいあり、後ろ足がやたらと大きく発達している。
「明らかにやばそうだなぁ。」
そう藤丸が言うと同時だった。ウサギが何かに反応する。一瞬見つかったかと思ったが、白い狼のような魔物が2体ウサギに襲い掛かる。
その魔物は大型犬くらいの大きさでウサギを捕食しようと動くが、ウサギはその凶悪な足で狼達を倒してしまう。
「……(嘘って言ってよママン……)」
「すごいパワーだ。でも…… 」
藤丸はウサギの強さに驚くも、マシュを見て安心する。 なぜなら。
「(あの夢で出ていた鎌の女性より遅い。)」
藤丸がそう考えたその時、ウサギが自分たちに襲い掛かる。
ウサギの凶悪な足をマシュはその盾で防ぎ、
「はあ!」
そのまま盾で殴る。 その攻撃を受けたウサギはその場に倒れ、動かなくなる。
「す、凄え。」
「ああ。 マシュは強いな。」
藤丸とハジメが驚いていると、マシュが気付く。
「! 先輩、ハジメさん! 私の後ろに!!」
「「!」」
藤丸とハジメはその指示に従い動く。
その後直ぐに衝撃が襲い掛かる。
「いつの間に!?」
その衝撃は巨大な熊の様な魔物がマシュの盾に攻撃し時に発生した衝撃だった。
藤丸とハジメはその動きが全く見えなかったという事実に戦慄する。
もし、マシュがいなければ今ので2人とも死んでいたという事実に恐怖する。
「──ッ! やあ!!」
そこからその熊とマシュの戦いが始まる。
熊の攻撃を受ける事ができるマシュもまた人外であると認識するしかない。
「……(人外?)」
だがあの夢を見ていた藤丸はそんな考えに違和感を持つ。 だってあの子は……ただの女の子のはずだから。
「(何か、手伝える事は無いか?)」
藤丸は自分達ができる事を考え、ハジメに言う。
「ハジメ、錬成で熊の体勢を崩せないか!?」
「え!? そんな無茶な。 あの戦いに介入なんて……、」
ハジメはそう言うが藤丸の意思は固く。
「……分かった。 出来る限りやるよ。」
そう覚悟を決めるのだった。
「チャンスは一回、マシュが熊の攻撃を防いでいる時に俺が目に向かって石を投げる。」
「その隙に熊の体勢を崩してマシュに止めを刺してもらうって事か。 分かった!」
マシュが熊の攻撃を防ぐもその圧倒的なパワーで押し込もうとする。
マシュが懸命に耐えているその時!
その熊の目に藤丸が投げた石が命中し、断末魔を叫ぶ。
「今だ! “錬成”!!」
そのままハジメがマシュの近くにより、地面に手をつける。
すると熊がいる地面が動き、熊の体勢が崩れるのだった。
「今だ、マシュ!!」
「はあ!!」
その隙をマシュは逃さず、思いっきり熊の首に蹴りを入れる。
その攻撃を受けた熊は飛ばされて壁に激突。 そのまま熊は息を引き取るのだった。
「……戦闘終了。 ありがとうございます先輩、ハジメさん。」
「マシュ、怪我は無い!?」
藤丸がそうマシュを心配しつつ近く。
「身体、精神共に問題ありません。」
「良かった。」
怪我が無いことに安心する2人。 あんな化け物と戦って生き残る事が出来たことに2人は緊張の糸が切れ、その場に座り込む。
「あれ? 身体が。」
「はは、これがアニメやゲームで言う“緊張の糸が外れた”って奴か。 体験することになるなんてな。」
「……少し休みますか?」
マシュの提案に2人は頷く。 熊を倒した影響か、この辺りには魔物の気配はしないからだ。
「…檜山君が。」
「ああ。 ハジメを明らかに狙ってた。」
休憩中、藤丸は奈落に落ちた原因の魔法を放ったのが檜山だとハジメに教える。その経緯を聞いたマシュも怒りを示している。
「多分、ハジメへの嫉妬がそうさせたんだと思う。」
「だからって人を、ましてや同級生を殺そうとするなんて。」
「……白崎さん、大丈夫かな?」
檜山がハジメを襲った理由が白崎への好意である以上、彼女が襲われても不思議じゃ無い。
「しばらくは天之河や八重樫さんがいるから大丈夫とは思うけど、」
「……早く帰らなきゃな。」
「うん。 食料は普通に食べれば3〜4日。 少しずつ食べれば2、3週間は持つかな?」
できる事をと食料と水を出来る限り持っていた2人はそう語る。
図書館で調べた際に魔物には毒がある事が分かっているため先程も熊やウサギを食べる訳にはいかない。
「……そういえば、僕の錬成だけど、派生技能があったんだよ。」
「派生技能? もしかしてさっきの熊との戦いで?」
藤丸の質問にハジメは頷く。
「図書館での調べ物で藤丸のおかげで時間が余った時に訓練してたんだけど、さっきの戦いで目覚めたみたい。」
その技能を藤丸とマシュに見せる。
「“鉱物系鑑定”? これは一体。」
「──ハジメ、これって。」
「ああ。 国王直属の鍛冶師の中でも上位の者しか持ってない技術だよ! 僕驚いちゃった。」
ハジメは錬成に派生技能がある事に驚き、興奮していた。
「よし! 早速使ってみるか。」
その興奮のままハジメは近くにある鉱石を調べていく。
するとある鉱石を調べた瞬間、ピタッとハジメは止まる。
「……タウル鉱石に燃焼石? もしかしてこれって。」
「ハジメ?」
藤丸の疑問に答える様にハジメは興奮しながら振り向き、話す。
「藤丸! もしかしたら錬成で銃とかが作れるかもしれない!!」
「え?」
燃焼石とは可燃性の鉱石で、点火すると構成物質を燃料に燃焼し、次第に小さくなり、燃え尽きる鉱石で、密閉した場所で大量の燃料石を一度に燃やすと爆発する可能性があり、その威力は量と圧縮率次第で上位の火属性魔法に匹敵するという。
タウル鉱石は硬度が高く、衝撃や熱に強いが、冷気には弱い。冷やすことで脆くなる。 熱を加えると再び結合する鉱石だ。
「良く分かんないけど、その2つの鉱石で銃が作れるかもしれないって事?」
「そう! もし錬成で銃が作れるならマシュさんの負担も少なくなると思うんだ!! そこで相談なんだけど、しばらく錬成に集中させて貰っても良いかな?」
藤丸はしばらく考え、
「……確かに銃があるないじゃ違うから待つ意味はあるか。 うん、分かった。 俺もマシュに聞きたい事があったし。」
「聞きたい事ですか?」
藤丸は頷く。
「うん。 俺の夢である男の人が出て来てたんだ。 その人の名前が分かれば召喚で呼べるかもって思って。」
藤丸は鎌を持った女性と戦闘中にマシュを助けてくれた男性の特徴を話し、マシュは頷く。
「おそらくあの人ですね。 ですが複数召喚には先輩の負担が大きくなると思います。」
「負担? もしかして召喚には俺の何か消費されてるって事?」
藤丸は自覚が無かったが自身の何かを代償に召喚している可能性に気付き、マシュに質問する。
「はい。 私は先輩の“魔力”で存在する事ができる存在です。 何も考えずに多くを召喚すると魔力が無くなって死んでしまいます。」
「──マジ?」
マシュの言葉に藤丸とハジメは驚愕する。 つまりマシュは藤丸の魔力を使って攻撃などを行っている存在なのだ。
「こうして1人が存在するだけなら日常生活に影響はありませんが複数をましてや戦闘となると今の先輩なら2人が限界でしょう。」
「……となると召喚出来るのはもう1人だけって事か。」
藤丸は自身の力を把握する。とはいえもう1人召喚出来るというならやはり夢で助けてくれたあの人物だろう。
「分かった。 ならますますあの人が誰か知らないと。 その人の名前は?」
藤丸の質問にマシュは答える。
「その人の名前は『クー・フーリン』さんです。」
その名前に藤丸とハジメは驚愕する。
「クー・フーリンって、ゲームとか神話に書かれてる人と同じ名前なのか?」
「あ、そういえばサーヴァントについて説明していませんでしたね。 説明します。」
マシュの説明に2人は驚きを隠せなかった。
サーヴァントとは、英雄や偉人が死後、人々に祀り上げられ英霊化したものであり、英霊とは英雄・偉人が死後、祀り上げられ精霊化した存在との事。
つまり、
「あの夢で出てきたクー・フーリンは『実在した本物のクー・フーリン』って事!?」
「その人も藤丸は召喚出来るのか?」
「はい。 先輩ならクー・フーリンさんも協力してくれると思います。」
2人はゲームや小説などでしか聞かない人物の力を借りる事が出来るという事実に興奮する。
「アレ? って事はマシュも英霊って事だよね? でも……」
「ああ。 聞いた事がないな。」
「私は特殊な英霊ですから。 名前を知らないのは当然かと。 ただ、過去についてはまだ話せません。 すみません。」
マシュがそう謝罪をする。
「いや、大丈夫だよ。 もう1人召喚出来るってことも分かったし、マシュが頼りになるって事もさっきの戦いで分かったから。」
「はい!」
「……だったらますます銃を作らなきゃな。 藤丸ばかり負担させるなんて友達としてそんな事はさせないよ。」
そう言いハジメは銃の作成の為に錬成を行う。
寝食を忘れて錬成を何度もこなす。
錬成途中、治療能力のある水などを発見したりと収穫もあった。数日が経った時、
「よし、出来た!!」
ハジメはそう言いながら地面に倒れる。
藤丸達がそれを見ると驚く。
「これって、リボルバーか!」
「ああ。 ちょっと撃ってみるよ。」
そう言いハジメは銃を向けた撃つ。 バーンと銃声が鳴り、的においていた石を破壊する。
「よし、銃の完成だ! これで多少は役に立つと思う。」
ハジメは2丁の拳銃を作っており、一丁を藤丸に渡す。
「藤丸も撃って見る?」
「ああ。」
藤丸も撃ってみるが全く当たらない。
「……全然当たらない。ハジメって銃の才能あったのか。」
これでは藤丸が撃っても戦いを混乱させるだけだと判断して泣く泣くハジメに返す。
「なら銃は僕が使うね。 少し休憩したら探そうか。」
ハジメの言葉に2人は頷くのだった。
─── ハイリヒ王国 ───
あの悲劇から5日、部屋で寝ている白崎の様子を見に来ていた八重樫雫の表情は黒く沈んでいた。
「あなたが知ったら……怒るでしょうね?」
皆、あの日の
自分たちが放った魔法でハジメが、そんなハジメを助けようと手を伸ばした藤丸の2人が奈落へと落ち、死んでしまった。
もしその『事故』の詳細を触れれば自分たちが2人を殺した事になる。
そしてクラスメイト達は現実逃避をする様にあれはハジメと藤丸がドジった結果と思う様になった───なってしまった。
唯一メルド団長は経緯を明らかにしようとしたが、教会と国王に止められてしまった。
雫は白崎の手を握る。 医者の判断では、体に異常はなく、おそらく精神的なショックから心を守るための防衛処置として深い眠りについているとのこと。
その時、不意に香織の手がピクッと動いた。
「!? 香織! 聞こえる!? 香織!」
雫が必死に呼びかける。 すると香織の目蓋がゆっくりと動き、目を覚ます
「香織!」
「……雫ちゃん?」
香織は朦朧とする意識の中、雫の名を呼ぶ。
「ええ、そうよ。 私よ。 香織、体はどう? 違和感はない?」
「う、うん平気だよ。 ちょっと怠いけど……寝てたからだろうし……」
「そうね、もう5日も眠っていたんだもの……怠くもなるわ。」
“5日”という言葉を聞いて香織はなぜそんなに寝ていたのか気になったが、徐々にあの日の事を思い出したのか雫に質問する。
「それで……あ………………南雲くんと藤丸くんは?」
「ッ……それは」
言葉にすれば良いか悩む雫。 その反応を見て自分の記憶にある事が現実だと悟る。
香織は現実逃避をする様にハジメ達を探しに行こうとするも、雫に現実だと諭され、擦り付く様に泣きじゃくった。
「……私、信じないよ。 南雲くんも藤丸くんも生きてる。 死んだなんて信じないよ。」
「香織、それは……」
香織は両手で雫の両頬を包むと、微笑みながら言葉を紡ぐ。
「わかってる。あそこに落ちて生きていると思う方がおかしいって。……でもね、確認したわけじゃない。可能性は一パーセントより低いけど、確認していないならゼロじゃない。……私、信じたいの」
「香織……」
「私、もっと強くなるよ。それで、あんな状況でも今度は守れるくらい強くなって、自分の目で確かめる。2人のこと。……雫ちゃん」
「なに?」
「力を貸してください」
「……」
こうなった香織はテコでも動かない事は親友である自分が一番知っている。
だからこそ、
「もちろんいいわよ。納得するまでとことん付き合うわ」
「雫ちゃん!」
香織は雫に抱きつき「ありがとう!」と何度も礼をいう。「礼なんて不要よ、親友でしょ?」と笑い合うのだった。
ある1人の少年がただ佇んでいた。
彼、檜山大介はあの出来事の後の事を思い出す。
『ヒ、ヒヒヒ。 ア、アイツが悪いんだ。 雑魚のくせに……ちょ、調子に乗るから……そんな無能を助けようとした藤丸も同罪だ。 俺は間違ってない……白崎のため───』
ふと、檜山は藤丸の言葉を思い出す。
『ハジメはどんなに弱くても、誰かの為に自分の出来る精一杯の事が出来る奴だ。 俺もそんなハジメを尊敬してる。』
白崎さんが南雲を好きな理由を。
『暴力を使わなくても誰かの為に動く。 そんなハジメだから白崎さんは好きになったんじゃない?』
あの時、俺が良いところを見せようとグランツ鉱石を手に入れる為に近づいた結果、トラップが作動。 転移させられ、あの事件が起こった。
あの事件で自分が仕出かしたとはいえ、本気で恐怖を感じていた檜山は、直ぐにでも逃げたいと考えるだけで何もしなかった。
それに対して自分が見下していたハジメが天之河でも傷一つ与えられなかった相手に藤丸と2人とはいえ足止めを行う事が出来た。
その光景を見て、藤丸の言葉を思い出し、なぜ白崎さんがハジメを好きになったのか少し分かった。
最も、ある程度関係を築けていた藤丸の言葉だからこそ多少受け入れる事が出来た事だろう。
言葉とは誰が言ったかが重要なのだ。
だが、それを心のどこかで思っても完全に認めてしまえば、俺はいつも無能と馬鹿にしているハジメ以下の人間だと認める事になる。
認めたくない。 俺が無能な人間、無価値な人間、白崎さんに好意が向けられる事が一切ない人間だと。
絶対に認めたく無かった。
それを否定したくて、気づけば。
魔法をハジメに向かって放っていた。
『へぇ~、やっぱり君だったんだ。異世界最初の殺人がクラスメイトか……中々やるね?』
『ッ!? だ、誰だ!』
そこに現れたのは中村絵里だった。
その時の彼女は異常だった。 2人のクラスメイトが死んだというのにまるで堪えていない。
いっそのこと二重人格と言われた方がまだ信じられる程の『何か』があった。
彼女はこの事実をばらされたくないなら自分の言う通りに従って欲しいと提案してきた。
実質奴隷になれという宣言だ。
しかし、檜山はこの提案を受け入れた。
『白崎香織、欲しくない?』
自分の言う通りにすればいずれ手に入るという。 絶対に届かない人間の隣に──。
例え奴隷に等しくても、もしそんなことが本当に可能ならば……。
そう考えて檜山は契約した。
ふと、檜山は思い出した時、ある事に気付く。
あの時の中村絵里は南雲や藤丸が死んだのに堪えていなかった。
それどころか───、
「……
檜山のその呟きは誰にも聞かれる事が無く、消えていく。
─── オルクス大迷宮 ───
その頃、3人は悩んでいた。
「……やっぱり上に続く場所は無いか。」
「下に続く場所はあったのに。」
藤丸とハジメはそうガッカリしながら語る。
この階層を探索したが、上に続く場所が見つからなかったのだ。
あったのは下へ続く場所のみ。
道中多くの魔物が襲って来たが、マシュが防御と攻撃、ハジメがリボルバーで援護という形で進んでいた。
とはいえ
だが、遠距離攻撃があるという事で有利に働く事は間違いない。
「……なあ、ハジメ。 覚悟を決める?」
「……あえて下に行くって事? でも確かに行くしかなさそうだな。」
覚悟を決めて3人は下へ続く階段へと向かう。
階段の下は暗闇となっている。
「暗いな。 ハジメ。」
「ああ。」
ハジメはバックから光る鉱石の緑光石を取り出して明かりとして使い、進もうとすると、
「マスター、少し待ってください。」
突然マシュに止められる。
「マシュ?」
「此処から先は見えない暗闇の場所。 少し負担になりますが、クー・フーリンさんを召喚してはいかがでしょうか? 協力があればこの暗闇の中を安全に進む事ができると思います。」
とマシュは藤丸に提案する。
「……確かに安全に進む事が出来るならやってみるか。」
そう藤丸は自らの力、“召喚”を使用し始める。
目の前に魔法陣が現れ、藤丸はマシュから教えてもらった言葉を紡ぐ。
「――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に
聖杯の寄るべに従い、人理の轍より応えよ
汝、星見の言霊を纏う七天
降し、降し、裁きたまえ、天秤の守り手よ―――!」
その言葉が終わると共に魔方陣から光が溢れて、収まったその時、木の杖を持った正に魔法使いの様な姿をした1人の男性が現れる。
「──おっと、今回はキャスターでの現界ときたか。」
彼、クー・フーリンはそのままマシュと藤丸を見ると状況を理解し、驚きつつ語る。
「──ああ、なるほど。 アンタがマスターか。 オレはクー・フーリン、よろしくなマスター。」
そうクー・フーリンは藤丸に対してあいさつするのだった。
「──クー・フーリン……、あのケルトの大英雄!!」
ゲームやアニメオタクのハジメ様々な創作の元ネタとも言える人物と会えた事で興奮が止まらない。
「お? なんだ坊主。 よく知ってんじゃねえか。」
「……でもどうして槍とか持ってないんだ?」
ハジメの疑問も当然である。 クー・フーリンの持つゲイボルグという槍の名は詳細を知らない人でも名前ぐらいは知っている程有名な槍。 その使い手がクー・フーリンなのだ。
そのハジメの疑問を聞いた彼は。
「そうだよな……やっぱキャスターは合わねえオレにゃ……、ランサーとして召喚されてりゃ良かったんだがな。」
とそのまま落ち込みながらブツブツと言う。
「えーと、サーヴァントの召喚にはクラスという物がありまして、剣セイバー、弓や銃のアーチャー、槍のランサー、多くの攻撃手段を持つライダー、有利に戦況を進める事ができるキャスター、暗殺などに長けているアサシン、理性を失う代わりに強靭な力を得るバーサーカーとあるんですが、今回クー・フーリンさんはルーン魔術の使い手の側面が出ているキャスターとして召喚されたんです。 ですから槍は使えないかと。」
「「そ、そうなんだ。」」
物凄く落ち込むキャスターに藤丸とハジメは何も言えなかった。
「ですが、クー・フーリンさんのルーン魔術ならこの先の探索も大分楽になるかと!」
「……まあ、確かに嬢ちゃんの言う通り、こんだけ暗けりゃ、キャスターとしてのオレが適任だろうな。 少し待ってろ。」
そう言いクー・フーリンは空中に何か文字のような物を書き、起動させる。
「……どうやらこの先一体近くにいる様だ。 下に下がったら注意しな。」
その言葉に藤丸とハジメは驚愕する。
「え? 今ので分かったの!?」
「……今の文字みたいのが呪文?」
このトータスで習った魔法とは全く違う物に2人は驚愕を隠せなかった。
「まあな、とりあえず嬢ちゃんが先に行くのが良いだろう。 その盾の力なら例えメデューサの石化の魔眼だろうがなんだろうが無力化出来るしな。」
「はい!」
そう言いマシュはハジメから明かりを受け取り、下に下がって行く。 しばらくすると“ドーン”! と音がして、
「ふう、マスター! 戦闘終了しました。」
「「はや!?」」
その言葉の通りに3人が降りると白いトカゲの様な魔物の死体があった。
「ほう? どうやらこの魔物、“石化の魔眼”が使える様だぜ。 マスター達が先に行けば一瞬で石だったな。」
「「ひぇ〰︎〰︎。」」
クー・フーリンの言葉に藤丸とハジメは恐怖する。
「この周囲には敵はいねえ。 しばらくは問題ないぜ。」
「分かった。 行こう。」
そう藤丸が右手をあげて進もうしたその時。
「? 藤丸、その
ハジメが気付き、質問する。
「……え?」
藤丸がその言葉を聞き、己の右手を見ると
「……何? これ?」
右手に何かタトゥーの様な物が刻まれていた。
知識がある者ならばこう言うだろう。
“一画しかないけど、『令呪』”だと。
辺りを見渡すと、驚きを隠せなかった。
身に覚えの無い場所、見たことが無い迷宮とも云うべき場所。
道中、同じ事情の『彼女』と出会い、意見交換などをしたが、やはり此処は自分達が知っている地域では無い。それどころか───。
2人は道中大きな魔物との戦闘を難なく突破し、ある部屋へ辿り着く。
そして現在の状況を理解するのだった。
以上、いかがでしょうか?
次回は遂に『彼女』との邂逅、そして──。
またの機会に。