fate/grand order 神域立証遊戯トータス   作:KAZ1421

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オルクス大迷宮編続きです。


ここからこの大迷宮の展開は大きく変わっていきます。




先にお伝えしますが、fateとありふれた職業の魔法知識はにわかです。

一応アニメ等を参考に描いていますが、矛盾等あるかも知れません。

その場合は申し訳ありません。 そして教えて頂ければ幸いです。

では、どうぞ。


オルクス大迷宮②

 

 

─── オルクス大迷宮 ───

 

『令呪』

 

 

それは自らのサーヴァントに対する3つの絶対命令権。

 その一画一画が膨大な魔力を秘めた魔術の結晶であり、マスターの魔術回路と接続される事で命令権として機能する。

 令呪はサーヴァントの行動を強化したり、純粋魔力に変換して所持している本人の強化として使う事が出来る。更に通常ならば行使不可能な奇跡を実現出来る戦闘における切り札にもなる物だ。

 

 

 

 

「それが、この右手に現れた模様の正体?」

 

「はい。」

 

 

藤丸は右手に突然現れた模様の正体をマシュから聞く。

 

 

「本来令呪は契約したその瞬間に現れるもんだ。 だが、この階層に行くまでは無かったし、本来は3画なのに1画。 つまり時間経過で現れたって事だろうな。」

 

 

クー・フーリンの推測を聞き、ハジメは自身の考えを言う。

 

 

 

「時間が経った事で藤丸の令呪が現れた? って事は残り2画もしばらくしたら現れるって事?」

 

「可能性だがな。 そしてこの事実からマスターの令呪がある一定の時間経過で一画回復する事と考えると仮に今使っても……」

 

「回復するって事か。」

 

 

藤丸の言葉にマシュとクー・フーリンは頷く。

 

 

「ですが先輩。 令呪を使う時は覚悟してください。」

 

「……え?」

 

 

マシュの次の言葉に藤丸とハジメは戦慄する。

 

 

「令呪の使用には『魔術回路』を通すのですが、先輩はこの世界でも魔法の使用をしなかったと聞きます。 そんな先輩がいきなり令呪という膨大な魔力を魔術回路に通せば、魔術回路が損傷して最悪の場合──()()()()()()()()()()()。」

 

「「─────」」

 

 

その言葉に藤丸とハジメは愕然とする。

 

今の藤丸がこの令呪を使用すれば最悪の場合、命を落とす。

 

 つまりこの令呪はマシュ達サーヴァントを強化出来る魔力であると同時に使用者の命を落とす物になるかもしれないというのだ。

 

 

「ですが、それは今の先輩ならという話しです。」

 

「──今の?」

 

 

マシュの言葉にクー・フーリンは頷く。

 

 

「そうだな。 今は食料などの問題で脱出を最優先で暇は無いが、少しずつ魔術回路に魔力を通して慣れさせた後なら使っても大丈夫だろう。」

 

「つまり、この大迷宮にいる間は使うなって事か。 分かった。 ありがとう、マシュ、クー・フーリン。」

 

 

藤丸はそうマシュとクー・フーリンに礼を言う。

 

 

「いいかなぁ? 魔術回路って何?」

 

 

ハジメは聞いた事が無い用語に質問する。

 

 

「魔術回路は魔術師が体内に持つ擬似神経の事です。生命力を魔力に変換する為ので物で、これを使って魔力を生み出すんです。」

 

「魔力を──生み出す?」

 

 

そんな神経が自分たちにあるとは思いもしなかった。

 

元々魔力が自身にある事は座学で学んでいたし、魔力を生み出す神経があっても不思議ではないだろう。

 

だが、彼らの知る魔術とこの世界の魔法には違いがあった。

 

 

 

それは魔力を魔術に変える手順だ。

 

 

 この世界では体内の魔力を詠唱により魔法陣に注ぎ込み、魔法陣に組み込まれた式通りの魔法が発動するというプロセスを経る。魔力を直接操作することはできず、どのような効果の魔法を使うかによって正しく魔法陣を構築しなければならない。

 

 

 対してクー・フーリンが使っている魔術はその魔法陣の代わりに“ルーン文字”を用いて攻撃する。簡単な魔術なら詠唱を言うだけ(心の中で思っても)発動可能らしい。 

 

 (大規模な魔術には魔法陣や必要な道具などを揃えて手順に従って行う必要があるが)

 

 

そして最大のポイントは魔力を操作する事が可能という点だ。

 

例えば魔力で強化する部分を意識し、その部分に魔力を集中させる事で強化する事が出来る。

 

それらの話を聞き、ハジメは頷く

 

 

「とりあえず理解したよ。」

 

 

「いいって事よ。 とりあえず此処から先は嬢ちゃんを先頭にマスター、坊主、そしてオレの順で進むか。」

 

「はい。」

 

 

 クー・フーリンの言葉に頷き、3人は進む。

 

 

 

 道中様々な魔物が現れる。迷宮全体が毒霧で覆われた階層で毒を吐くカエルやまひの鱗粉を出す蛾。

 

 

 密林のような階層では巨大なムカデと木の魔物と戦闘をしてきた。

 

 

 

 

 

 毒の階層ではハジメは一時期苦しんだが来る前に見つけた治療能力のある水で回復後、クー・フーリンのルーン魔術で無力化してくれた。

 

 この時、藤丸には毒が効かなかったので疑問に思ったのだが、マシュと契約したことで得た力──らしい。

 

 サーヴァントであるマシュとクー・フーリンにはあまり効かない毒だった様で行動には問題ない様だ。

 

 

 

 

 

密林の階層では主にクー・フーリンのルーン魔術が有効だった。

 

 なにせ巨大なムカデや木の魔物に対してクー・フーリンの火のルーン魔術は有効で殆どが一撃で倒れて行く。

 その際、木の魔物が落とした赤い果実には毒が無く、食べられるもので普通に美味かった。

 その事実に藤丸とハジメは喜び、ある程度その木の魔物を狩って果実を回収し、この階層を後にした。

 

 

気づけば五十層。

 

終わりはまだ見えないが、木の魔物から得た食料のおかげでまだ余裕はある状態だ。

 

 

「……なあ、藤丸。」

 

「言いたいことは分かるよハジメ。」

 

 

それは、なんとも不気味な空間だった。

 

 脇道の突き当りにある空けた場所には高さ三メートルの装飾された荘厳な両開きの扉が有り、その扉の脇には二体の一つ目巨人の彫刻が半分壁に埋め込まれるように鎮座していたのだ。

 

この部屋に入った瞬間、藤丸達に悪寒が襲い何かがあると確信させる。

 

 

「……でも、この迷宮から脱出する為には少しの変化でも調べないと」

 

「そうだよな。 もしもの時は2人任せになるけど大丈夫?」

 

 

2人はそうマシュとクー・フーリンに聞く。

 

 

「問題ない。 マスターの指示に従うぜ。」

 

「私も問題ありません。」

 

 

そう回答したので藤丸とハジメは頷き、この部屋を調査する事に決める。

 

 

扉前にいくと中央に二つの窪みのある魔方陣が描かれているのがわかった。

 

 

「? この魔方陣全く見た事が無いな。 結構図書館でそこら辺は調べてたのに。」

 

「相当古い魔法ってこと? マシュとクー・フーリンはどう?」

 

 

藤丸は2人にも聞くが、“この世界の魔法は分からない”との事。

 

 

「だが、相当なものが封印しているのは分かるぜ。 時間を掛ければ解析できなくねえだろうが、今は時間が惜しいだろう? マスターは常に魔力を消費し続けてる状態だし解除するのに魔力を結構使う可能性もある。此処を無視するのも手だぜ、」

 

「……でもようやく見つけた『変化』だ。 調べないと」

 

「なら僕がやるよ。」

 

 

そうハジメが言う。

 

 

「マシュさん達の力で解析とか無理矢理破壊するより、僕の錬成で形を変える方が藤丸も楽になるし、適任かなって。」

 

「でも何が起こるか分からないんだよ?」

 

 

藤丸の言葉にハジメは頷く。

 

 

「そうだね、でも僕にも出来ることなら僕がやる方が良いと思うんだ。 というかやらせて欲しい。 此処まで藤丸達の荷物同然だったし。」

 

「そんな事は無いよ。 ハジメの銃の援護のおかげで色々助かってるのに。」

 

「それでもさ、一緒に戦いたいんだよ。 それに無理矢理な力でも開かない可能性があるから形状を変化させる僕が適任なんだ。」

 

「フッ 良い覚悟だ坊主。 そこまで意思が固いってんならこの扉は任せるぜ。」

 

「……分かった。 任せるよ。」

 

 

藤丸達はハジメに提案を受け、ハジメは早速扉に手を触れて錬成で道を作ろうとする。

 

 

その瞬間!

 

バチィィ!

 

 

「うわぁあ!」

 

「ハジメ!」

 

 

 ハジメが触れていた手が扉から飛び出した赤い電気に弾かれる。弾かれた手からは煙が吹き上がり、手が火傷していることを示していた。藤丸は咄嗟に傷を回復させる水をハジメに飲ませて傷を回復させる。

 

 

 

 

その直後、

 

 

 

 ───オオオオオォォオオオ!!

 

 

突然、野太い雄叫びが部屋全体に響き渡ったのだ。

 

 

 4人は咄嗟にその場から距離をとり、臨戦態勢をし、状況を把握する。

 

 

「──うわぁ。」

 

「ベタな状況。」

 

 

藤丸とハジメはその声の主が誰かと理解してそう感想を言う。

 

 扉の両側に彫られていた二体の一つ目巨人が周囲の壁をバラバラと砕きつつ現れた。いつの間にか壁と同化していた灰色の肌は暗緑色に変色している。

 

 

「名前をつけるならサイクロプスって感じか?」

 

「間違い無く襲ってくるよね。 ごめん2人共、任せて良い?」

 

 

藤丸達の頼みにマシュとクー・フーリンは頷き、戦闘を開始する。

 

 

 まず動いたのはサイクロプス達。 2体はこちらに向かってその屈強な腕を振り下ろす。

 

 

「はあ!!」

 

 

その2体の攻撃をマシュは正面から受け止め、攻撃を止める。

 

 

「アンサズ!」

 

 

 

 クー・フーリンが2体のサイクロプスに対して攻撃。 左は後ろへ下がり、右の巨人は燃えて倒れる。

 

 

「こいつで!」

 

 

 クー・フーリンはそのまま杖を地面に突き刺す。 すると倒れている右のサイクロプスの顔の下に木が生えてきて、その木はサイクロプスの顔を貫通。 そのまま右のサイクロプスは動かなくなった。

 

 それを見た左のサイクロプスは驚く。 その驚きで()()()()()()()()()()()

 

 

「これで終わりです!」

 

 

 当然、その隙を逃すマシュではない。 盾ごと顔へ突進し、その攻撃を受けたサイクロプスも倒れ、動かなくなったのだ。

 

 

「どうだい? オレの魔術は。 って聞こえちゃいねーか。」

 

 

サイクロプス2体との戦闘は勝利に終わったのだ。

 

 

 

「……やっぱりな。こいつらはこの扉を守る門番でもあり、鍵だったって訳か。」

 

 

 クー・フーリンがこの巨人の死体を調べてみると、死体の中に扉と合う魔力反応があり、それを取り出してみると丁度扉の窪みに嵌る大きさの魔石が2つ見つかった。

 

 

「……これを嵌めれば開けられるって事か。 みんな、行くよ。」

 

 

 藤丸の言葉に皆頷き、封印されていたその扉を開く。その部屋に入り、警戒しながら周囲を把握する。

 中は石造りで出来ており、幾本もの太い柱が規則正しく奥に向かって2列で並んでいた。

 部屋の中央付近には巨大な立方体の石が置いてあった。 その石をハジメと藤丸が見ていた時ある事に気付く。 何かが生えているのが見えたのだ。

 

 

「……だれ?」

 

 

 掠れた、弱々しい女の子の声。その“生えている何か”がユラユラと動く。僅かに差し込んだ光がその正体を暴く。

 

 

「え、もしかして……」

 

「人……なのか?」

 

 

4人はその事実に驚愕しつつその子の姿を見る。

 

 下から両手を立方体の中に埋め、顔だけの状態。 特徴は長い金髪と紅眼の瞳。 年は12〜13歳くらいのだろう。 随分とやつれているし垂れ下がった髪で分かりにくいが、それでも美しい容姿をしている事がよく分かる。

 

 

 

だが、それよりもハジメと藤丸はその女の子にしなければいけない事がある。

 

 

 

 

 

それは!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「勝手に入って見てすみませんでした。」」

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 封印されていた女の子に謝罪した後、どうして封印されていたのかを聞いた。

 どうやらこの子は吸血鬼。 しかも先祖返りの吸血鬼らしく、その力で国の為に尽くしてきた。 しかし、国の家臣たちから“もういらない”と言われ、この子がおじ様と呼んでいる人物が王になると同時にその力を恐れ、殺すこともできないので此処に封印されたのだと言う。

 

 

「私は……何も悪くない。 ただ……裏切られただけ。」

 

「……そんな。」

 

「ひどい。」

 

 

その事実にハジメと藤丸、マシュの3人が戦慄している中、クー・フーリンは納得する。

 

 

 

「なるほどな。 まあ、英雄にはよくある話だ。 とはいえ胸糞悪い事は変わんねがな。」

 

 

 クー・フーリンはそう()()()()()()言う。

 

 

「おねがい……助けて……。」

 

 

この子の悲痛な願いにハジメ、藤丸、マシュの3人は頷く。

 

 

「フ、やっぱり助けるよなぁマスター。 だがその前に()()()()()()()()()()()()()()。」

 

「え?」

 

 

 

 藤丸達のその行動に一瞬機嫌が良くなるが、()()()イライラしているクー・フーリンの言葉に3人は疑問に思う。

 

 

その理由はすぐに分かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、テメェ。 さっきからコソコソしやがって。マスターに殺気が無えから無視してたが、今この子を助けるってマスター達が意思を示した。 だから()()()()()()()()()()。 さっさと出て来い!!」

 

 

 

 クー・フーリンのその言葉に観念したのか、1人の男性が空いていた扉から姿を見せる。

 

 

「あ、あなたは!?」

 

 

 

その姿を見たマシュ、そして指摘した筈のクー・フーリンは驚愕した。 

 

 

 その人物は赤い服装に白い髪、全身が日焼けしたような肌色をしていおり、右手、左手それぞれに白い剣と黒い剣を持った人物だったからだ。

 

 

「やれやれ、相変わらずやり難いなキサマは。 まさかこんな所でも会うとは。」

 

()()()()()!?」

 

 

 

 

その男性はサーヴァントのエミヤだったのだ。

 

 

「テメェか、アーチャー。 こんなところでも会うとはなあ。 で? なんでテメェは此処にきた?」

 

 

クー・フーリンはそう警戒しつつエミヤに語る。

 

 

「フ、何。 いつもの掃除だ。 この世界の事を()()()()()()()で理解したのでね。 守護者としての仕事をやろうとしているだけだ。」

 

 

その言葉と同時だった。 いつの間にか弓と矢に変えていたアーチャーが矢を構えて放つ。

 

 

 

封印されている女の子に。

 

 

 

「エイワズ!」

 

 

しかし、その矢が女の子へ届く事はなかった。 その前にクー・フーリンがルーン魔術で矢を燃やし尽くしたからだ。

 

 

「やっぱりあの子を狙ってきたか。 だがマスター達が助けるって言った以上、殺そうとしてるテメェは敵だ!」

 

 

そう言葉と同時だった。 強化のルーンで自身を強化させ、クー・フーリンは燃える杖をまるで槍の様に振るいながらエミヤに迫る。

 

対するエミヤも愛用の双剣、干将・莫耶でその攻撃を防ぎ、素早い接近戦が始まる。

 

 

「なんだ? ………この戦い。」

 

 

 その戦いにハジメはこれが現実に起こっている事だと認識するのに時間が掛かった。

この世界に召喚されてから様々な魔物やトラップ、迷宮と今まで戦いを見てきたが。 これはこれまでの戦いがまるで遊びだと言っても納得する程の戦闘だった。

 

 

 動きが全く見えない。 どうにか時々武器をぶつけ合った時に多少見えるが、何をやっているのか? どんな動きをしているのか? 戦況はどうか? それが一切理解できないのだ。

 

 

今まではクー・フーリンやマシュも強いが、クラスメイトも負けないと思っていた。 だが、それは幻想だった。 目の前に映る戦いには遠く及ばない物だ。

 

 

「……マシュ。 援護に行ける?」

 

「はい。 援護ですね。」

 

 

 

一方で藤丸はマシュも参加させれば有利になると思い、戦闘に参加させようとする。 だが、

 

 

「手を出すな、マスター!!」

 

 

それはクー・フーリンに止められる。

 

 

「コイツがサーヴァントが2騎いる状態で仕掛けて来た事を考えれば、まだ伏兵がいるか、何か策があるだろうよ。 コイツはオレ1人で充分だ。嬢ちゃんは3人を頼む!」

 

「はい!!」

 

 

クー・フーリンの言葉に藤丸とマシュは頷く。

 

そしてすぐ戦闘を繰り広げ、互いに鍔迫り合いの状態となった。

 

 

「テメェ、どうしてあの子を狙ってんだ? それに地下にある部屋だと? 知ってる事を話してもらおうか。」

 

「……いや、キミに話す必要はない。 正確には()()()()()()()()()()()()()()。」

 

「マスター達の事か。」

 

 

エミヤが言わんとする事を理解する。

どうやらこの世界の事を知ったが故にエミヤはあの女の子を殺そうとしている様だ。

 

 鍔迫り合いはエミヤが押され、エミヤが距離をとると同時に弓と矢を、対してクー・フーリンはすぐにルーン文字を空中に展開。 いつでも打てる様にする。

 

 

「……エミヤさん! どうしてこの子の事を狙っているんですか!? この子は家族や国の人達に恐れられて不当に封印されたんですよ!!」

 

 

マシュがそうエミヤに問う。 

その言葉を聞いたエミヤは状況を理解し、ハア、とため息を吐く。

 

 

「なるほど、本来なら封印ではなく殺すのが手っ取り早いのに何故生きているのかと思っていたが、()()()()()()()()()()()()通りで封印を選んだ訳だ。」

 

「……え?」

 

 

エミヤの言葉に封印されていた女の子を含めた4人は驚く。

その言い方だと、まるで()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

そう言ったエミヤは両手をあげて戦闘意思がない様にする。

 

 

「……どういう真似だ、テメェ。」

 

「何、このまま戦ってお前に勝ってもあの子に負けてしまう。 そこでだ、取引をしよう。」

 

「……取引ですか?」

 

 

エミヤが藤丸の方を見てそう提案する。

 

 

「オレが此処から逃げるのを許してほしい。 当然見返りを提案しよう。」

 

「……見逃せと? あの子を殺すのをやめたのか?」

 

「いや、まだ諦めてはいないさ。 だから地下にいる『彼女』と合流してお前達を迎え撃つ。」

 

「……話になんねえな。」

 

 

そう言い、クー・フーリンは再び戦闘の構えをする。

 

 

「見返りはこの迷宮からの脱出方法と、その子の封印を解く事が出来る“宝具”を貸そう。」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

その言葉に5人が驚く。

 

 

「その封印、相当強力なもので如何にキャスターのおまえでも破れるには時間が掛かるだろう。 だがオレの()()ならばその封印も解ける筈だ。」

 

 

そう言い、エミヤはある短剣を取り出す。

 

 

「『 破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)』!!」

 

 

 その短剣を見たマシュは納得する。その短剣はメディアの宝具  破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)をエミヤが投影したもの。 されどその効果は充分。 これならばあの女の子の封印を破るのも容易だろう。

 

 

「それに、もしオレと『彼女』と戦いこちらが負ければ今度こそ狙う事をやめよう。 それだけの実力ならば真実を知る事とその子を連れて行く()()がある。」

 

「さっきから資格資格って、お前は何を言っているんだ!!」

 

 

エミヤの言葉にハジメはそう怒る。 まるでこの子を助ける事が不本意だと態度に出ている事に怒りを示しているのだ。

 

 

「それは、地下に行けば分かるさ。 さあ、どうする? キャスターのマスター。 この提案は受けるか?」

 

 

藤丸はしばらく考える。

 

 

「ひとつ聞きたい。 その短剣で本当にこの子の封印を解く事が出来るのか?」

 

「それは私ではなく、隣にいるサーヴァントから聞いた方が良いだろう。」

 

 

エミヤの言葉に藤丸はマシュに視線を向けると、肯定する様に頷く。

 

 

 

「……分かった。 見逃すよ。ただし、追加で条件がある。」

 

 

そう藤丸がその条件を話す。

 

 

「その合流しようとしている『彼女』について教えてほしい。それが条件だ。」

 

「なるほど、確かにそうだな。 ああ、もちろん教えよう。」

 

 

そうエミヤが頷く。

 

 

「……ごめん。 そういう事だから。」

 

「チッ、 しゃーねえ。」

 

 

クー・フーリンは臨戦状態を解く。

 

 

「まずはこの宝具だ。 これを渡そう。」

 

 

エミヤは 破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)をクー・フーリンに渡す。

 

 

「次に脱出方法だが、この最下層にある部屋がある。 そこから地上に出れる筈だ。 最もその目前に私と彼女がいるがね。」

 

「ほんとテメェはいい性格してるぜ。」

 

 

つまりこの迷宮から封印された彼女と共に脱出するにはエミヤとその彼女を相手にしなければならないという事だ。

 

 

「……なら教えてほしい。 『彼女』って誰だ。」

 

 

藤丸の質問にエミヤは答える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キャスター、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

その言葉を聞き、クー・フーリンは戦慄する。

 

 

「……本当かよ。 こいつは予想外だな。」

 

「一応言っておく。 その子を助けるのを諦めるなら戦うこと無く迷宮から出る場所まで案内しよう。 戦い前によく考えるといい。」

 

 

そのままエミヤは部屋から出て行くのだった。

 

 

 

 

 

 

「ほらよ。」

 

 

クー・フーリンは 破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)をハジメに渡す。

 

 

「……僕?」

 

「あの野郎がこの状況で嘘をつくとは思えねえ。 この 破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)って宝具なら解放出来るだろうよ。 そしてそれは坊主の仕事だ。」

 

 

クー・フーリンにそう言われたハジメは疑問に思うが、次の言葉に気付く。

 

 

「あの野郎に怒ったろ。 ()()()()()()()。」

 

「───あ。」

 

 

クー・フーリンはハジメに褒めながら言う。

 

 

「いい啖呵だったぜ。 あの戦いを見てそれでもその子の為に怒る事が出来るって事はあれ程の相手でも坊主は決して挫けねえって事だ。 その心意気、決して忘れんなよ。 それは今後のおめえの力になる。」

 

「──はい。」

 

 

そのままハジメは 破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)を持って女の子の前に立つ。

 

 

「今助けるからな。」

 

「……うん。」

 

 

 その言葉に女の子が頷いた事を確認するとハジメはその剣先を立方体へ突き刺す。 すると彼女を封印していたそれが“ドロッと”融解したように流れ落ちていき、少女の枷が解かれて行く。

 

 解放された彼女はやせ、衰えており、女の子はそのまま地面にペタリと女の子座りで座り込んだ。どうやら立ち上がる元気が無いようだ。

 

そんな女の子を見て藤丸はハジメにあの回復する水をといい。 ハジメも頷きながら取り出していると、そんなハジメの手を弱々しい力で“ギュッと”握った。

 

 

「……ありがとう。」

 

 

そして震える声で小さく、しかしはっきりと女の子は告げる。

 

 

「う、うん。 あ! これを飲んでよ。少しは元気になるよ。」

 

 

ハジメはそう水を渡し、女の子に飲ませる。 すると衰え切った体に活力が戻ってくる感覚に驚いたように目を見開いた。

 

 

「これで少しはましかなぁ。」

 

「……みんなの名前、なに?」

 

 

女の子は自分たちに名前を聞く。

 

 

「俺は立香、藤丸立香。」

 

「私はマシュ・キリエライトです。」

 

「オレは『キャスター』だ。」

 

 

だがクー・フーリンが自身の名前をそう言う。

 

 

「キャスター?」

 

「ああ、すまねえがこれで頼む。」

 

「……分かった。」

 

 

何か理由があると察して3人は今後キャスターとして呼ぶ事にした。

 

 

「僕はハジメ。 南雲ハジメだよ。 君は?」

 

 

それぞれ自己紹介が終わり、女の子の名前をハジメは聞くが、

 

 

「……名前、付けて。」

 

「え? 付けるってどういうこと?」

 

 

ハジメは質問すると女の子は答える。

 

 

「もう、前の名前いらない。 ……ハジメが、みんなが付けた名前がいい。」

 

「……そっか、 なあ、どうする?」

 

 

 ハジメは藤丸たちにそう聞き、それぞれ候補を出したがどれもしっくりこない。 そんな中その案が出た。

 

 

「“ユエ”ってのはどうかな? “月”を表すんだけど、最初に見た時月みたいに見えたんだ。」  

 

「それもいいな。 ならこの数個の候補の中からあの子に選んでもらおうか。」

 

 

そういい4人は女の子にそれぞれ名前の候補を伝え、

 

 

「……ユエがいい。」

 

 

長年封印されていたせいか、感情を出せず無表情だが、どこか嬉しそうに言う。

 

そんなユエにハジメは服を渡す。

 

 

「とりあえずコレ着てよ。 いつまでもその格好じゃさ。」

 

「……」

 

 

ユエは自分の姿を理解したのか一瞬で真っ赤になると

 

 

「ハジメのエッチ。」

 

 

何故か自分にだけに文句を言う。 どうして藤丸には言わないのかと思いみると理解する。

 

さっきからユエを見ていたのは自分だけだった事を。

 

ユエが解放されてから藤丸は見ないように後ろを向いていたし、名前を決める時も見ないように別の方向を見ていた。つまりユエの体を自分は常に見ていたという事になる。

 

 

「……なんでさ。」

 

 

ハジメは藤丸にちょっとした怒りを抱えながらそう呟くのだった。

 

 

 

 

「そういえばキャスター。 あのエミヤって人が言った地下にいる彼女って──」

 

 

その瞬間、藤丸、ハジメ、ユエの3人の視界が急に移動する。

 

そう認識した時、上から巨大なさそりの魔物が現れたのだ。

その足下にはさっきユエに飲ませた水の容器があり、そこでようやく今あの巨大な魔物が立っている場所がさっきまでいた場所と理解する。

 

 

その魔物の足下に巨大な魔法陣が現れ、そこから燃えながら巨大な木の手が出てくる。 そしてそのさそりを掴み、握りつぶすのだった。

 

 

「ふう、最後の門番って感じか? まあ、敵じゃねえがな。」

 

 

そう杖を魔物に向けていたキャスターが言う。 おそらく今のもキャスターの魔術だろう。 相変わらず規格外と認識する。

 

 

「マスター、大丈夫ですか?」

 

「ああ、ありがとうマシュ。 キャスターもありがとう。」

 

「この程度なら問題ねえ。 だが覚悟しろ。 地下で待ち伏せてるセイバーはこんな奴とは比べ物にならねえぜ。」

 

 

キャスターの言葉に藤丸とハジメが戦慄する。

 

 

「一体、誰なんだ?」

 

 

ハジメの質問にキャスターは答える。

 

 

 

「この先にいるセイバーは聖剣()()()()()()()を使う英霊だ。」

 

 

その言葉に藤丸とハジメは驚愕する。

 

 

「エクスカリバーって、」

 

「なら、これから僕たちが戦う敵って。」

 

 

2人の驚愕に頷き、答える。

 

 

「ああ。 あのアーチャーと一緒に襲ってくるのはブリテンの王にして騎士王、アーサー王だ。」

 

 

この迷宮を脱出するのに強大な敵が立ちはだかるのだった。

 




以上、いかがでしたでしょうか?


次回本格的に戦闘が行われます。
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