【人月心話】あのー、剣と魔法の異世界の案件なんですが、元ITコンサルの賢者様なら解決できますか?   作:Kimoto Hiroshi (KH)

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第18話 『人月心話』キックオフの準備はいいですか? ――フェーズⅡ完

いくつかの謎は解けたが、マリトにはまだ得心のいっていないことが多く残っている。

「コリーン、君はいつからこの世界に来たんだ」

「一緒のタイミングですよ」

「どうして診断でひっかからなかったの?」

「それはリフレクションのメソッドに応答しないように書き換えたからです」

 

「存在確認のためのリフレクションは、処理系に応答を埋め込んでおいて、それを拾っているだけですから、そこを素通りさせれば、気付かれません」

――なるほど、来てすぐに状況を把握して、それに対応したというわけか……

マリトは能力差にへこむが、コリーン相手だとよくあることだと思って、気を取り直す。

 

頭の中でコリーンが聞いてくる。

「お父さん、ここまでのお話なんですが……私、何を言ってるか分かりません」

「大丈夫だ」

「エンジニアの言うことなんか二割も分かっていれば十分」

「残り八割は、知らなくてもいいどうでもいい話だ」

「あの、二割どころか、なんにも分からないんですけど……」

 

「大丈夫だ」

「ここだけのコンサル業界の秘密なんだが……」

「理解ゼロでも、はったりだけで、だいたいいける」

自嘲気味にそう言った。

 

 

マリトは質問を続ける。

「じゃあ、最初は誰からも隠れていたというわけだ」

「はい。そのあたりの経緯は私からお話いたします」

リスカールと交代した。

 

「ゾンリーチャの病院を退院して、寮のベッドで白い天井を見上げていると、黒い文字が浮き上がってきたんです」

『リスカール、驚かしてすまない。私は異世界から君の中に召喚された賢者だ』

『均質な光を放つものをじっと見てもらえると、目の中に影の文字を描くことができる』

「そうやって、師匠が異世界からの召喚者であることを説明してくれました」

 

「声をかけたのが、私たちと反対ですね」

ラミーシャの含みのない素直な反応に、マリトは再びへこむ。

 

「まずはこの世界での魔法体系を把握したいということで、三大魔導書の内容を確認しました」

「あの透明人間事件は君たちだったの?」

「はい。シノハから聞かれなかったんですか?」

「彼女なら私の剣筋で気付いたはずです」

「師匠のお陰で、あの時点でもかなり剣速が上がっていたので驚いたと思います」

 

――あのとき、シノハが「別物だ」と言っていたのはそういうことか……

あのときは剣術の種類が違うという意味だと思ったのだが、前回よりはるかにレベルアップしているという意味だったのだ。

書籍がすぐに返却されたのは情報を取得し終えたので用済みになったからだ。

 

「あのトリックを見抜いたのはマリト様だと伺いました」

「ぎりぎり逃げられましたが、危ないところでした」

――マリト様になってるし……

 

「今回の試合でもこちらの打ち手を見抜いて戦略的に反撃されました」

「どうやって見抜かれたんですか?」

マリトのことを褒められて、ラミーシャが得意そうにしている。

 

 

「ラミーシャ、出ます」

――おまえはガンダムか……

主人格に入れ替わり、得意げに話す。

「反撃の作戦はお父さんが、兄さんたちの技がMECEだって気付いたからです」

 

リスカールの様子が微妙に変化した。

「え?MECEやて?あはははは」

「そっかあ……コンサルタントの猿知恵やったんか!」

「30点!」

主人格になったコリーンが会話を続けた。

 

「さ、猿知恵って!?ちょっと失礼じゃないですか!」

ラミーシャが抗議する。

「ん?確かに失礼やな」

「コンサルタントの浅知恵やったんか!」

 

「お父さん、あの人、言い換えてるつもりみたいですが、失礼さが変わらないんですけど!」

念話で訴える。

「考えすぎると、より失礼になってるのがわかって、頭にくるからスルーしよう」

「それより、30点と言ってるのがなぜか、聞いてみて」

 

「どうして30点なんですか?」

「MECEいうんは、モレなくダブリなく分けるという意味や」

「知ってます!」

 

「それは表層上の特徴、つまり結果でしかないねん」

「重要なのは、なぜMECEになるのかというところや」

「えっと、なぜなんですか?」

 

「なんでやと思う?」

聞き返されて詰まる。

しばらくの沈黙の後……

「ラミーシャ、戻ります!」

――ガンダム、戻ってきたか……

 

主人格になったマリトは聞く。

「分からない。教えてよ」

コリーンと知恵比べをやるだけ無駄なことを知っているので最初から白旗を上げる。

ラミーシャが悔しがる。

 

「結合テストですよ。先輩」

――あ、そういうことか……

コリーンは脳内にITの処理基盤を稼働させて、技や魔法の発動制御もそれを使っているのだ。

新しい技もプログラムで実現しているので、テストが必要になったということだ。

 

ラミーシャが聞いてくる。

「あの、お父さん、結合テストって何ですか?」

「中間テストとか期末テストと関係ありますか?」

「それは……ない」

 

説明を試みる。

「プログラムで実現されている機能が正しく動くか確認することをテストって言うんだ」

「ひとつひとつの機能が正しく動いても、組み合わせたときにうまく動くかは、わからないんだ」

「ひとつひとつを確認するのが単体テストで、組み合わせて確認するのが結合テストだ」

「で、剣術や体術の場合だと、機能は技のことだ」

「技の組み合わせがちゃんと出せるかどうか、試合で確認していたっていうことなんだ」

 

「お父さん、少しもわかりません。理解ゼロです」

――だよね。

「モレなくダブリなく技を確認してたって、わかれば十分だよ」

「でも、30点だと赤点です……」

悲しそうにつぶやいた。

 

 

「テストに関しては、シノハさんに申し訳ないことをしました」

コリーンが続けた。

「結合テストが全部クリアした後に、ストレステストに入ってしまったんです」

 

「ストレステスト?」

「はい。最高出力で技を出したときに、こちらの筋肉や靱帯が耐えられるかどうかを見るためのものなんですが、意図しない形で実行されてしまいました」

「事故というか、不具合なんですが、防げなかったのは私の責任です」

 

「事故だというけど、あの暴言は説明つかないだろう」

「あれにはオレも怒ってるんだ」

「ミーシャの親友だし、オレも世話になってるしな」

落ち着いていたラミーシャの怒りに再び火が点いた。

 

「暴言?彼女には何も言ってませんよ」

意外な答えが返ってきた。

「いやそれはない!オレは唇から読み取った」

「裏も取れてる」

「シノハも審判も、口汚く罵られたといっている」

 

「私が何を言ったと?」

「『この目障りなクソ虫が』『自分の力をわきまえろ』『警告を無視したな』『殺すぞ!』」

「あ、それですか……」

「口汚くというのは、関西弁のことですね」

「確かにそれは、全部言いましたけど、これはこのアホ弟子に言うたんです」

 

「クソみたいなバグを残していたのに対応せずに残しよるんですよ。こいつは」

「それも、プログラムで何かあっても対応できるとか過信してあのざまや」

「Warningが大量に出てたのにみんな無視しよってからに」

「私があの時点でプロセスを殺さないと、もっと酷いことになってました」

 

 

ラミーシャが出てきた。

「兄さんのことを、アホとか呼ばないでくれますか」

 

「おい、妹さんがあんなことをいうとるで」

「バカ弟子とアホ弟子、どっちがええんや?」

内輪で話しているらしいやりとりが聞こえている。

――しかし、その二択はひどくないか……

 

「『アホ弟子』のほうがいいと本人がいうとるで」

ラミーシャが激怒している。

「兄さんを出して下さい」

 

「ミーシャごめん」

久々の兄妹対話が実現した。

「シノハのことは師匠の言うとおりで、私が悪いんだ」

 

「師匠のそばにいると、圧倒的な知識量と能力の前に、自分はもう小虫だって気分になるんだ」

「だから『弟子』と呼んで下さるだけで、畏れ多くてありがたいんだ」

「師匠の思い人であるマリト様のことも、私は敬愛しているのです」

――これ以上、話をこじらせないでほしいんだけど……

 

 

ラミーシャにはいろいろと納得できないことが多かったが、話題を変えることにした。

「兄さん、その目だけど、どうなってるの?」

「これ?右目は特定の紫外線の感度を高めていて、反射率が変わって紫になっているんだ」

自分の得意領域でなさそうだと判断してマリトに主人格を交代した。

 

リスカールの説明によるとシノハを超えたいという思いから、コリーンに協力してもらって開発した魔法を二つ導入したとのことだ。

一つが、予備動作なしの高速での攻撃を可能にする水属性魔法。

人間の身体は、筋肉や関節を総合的に動かすので、無意識に安全確保のメカニズムが組み込まれている。

突きを出すときも、姿勢を整え、関節の向きを変え、筋肉への動作の指令を出すというのを順番に行っている。

この順番に送っている指令を、脳内ITで先に計算して出すことで、一気に動かすのだ。

 

「まるで、縮めたバネが一気に動くような感じで、予備動作なしに高速で身体を動かせます」

「でも、計算を一歩間違うと、筋断裂や関節損傷が起きませんか」

マリトは尋ねた。

「はい。だからこそ、結合テストが重要になるのです」

 

リスカールは、半年前の試合で覚醒したシノハの技は未来予測に基づくと気付いたそうだ。

予測に従って動かすので、相手の攻撃より先に防御や反撃ができる。

「師匠に予測できても防御が間に合わない速度で動けないか考えてもらったんです」

「これは狙いどおりに働きました」

 

もう一つが、未来予測。

シノハに勝つために、自分も未来予測をできる力を持ちたいと考えたのだ。

「師匠はこちらも、計算によって予測する方法を考えてくださいました」

光属性魔法で筋電位の変化を通常の目には見えない紫外線で光らせ、目の方もそれを検知できるように感度を向上させたのだった。

 

「さすがはシノハで、こちらは未来予測手法を見抜いて、光魔法で妨害してきました」

「師匠が試合中にフィルター機能を強化してくださり、後半では予測可能になったのです」

剣技の場合、剣をどう動かすかの計算なので推測の精度は高くなるが、格闘技は、攻撃部位が多岐にわたるので、見慣れない技では対応がむずかしかったということだ。

 

「途中でブツブツつぶやいていたのは、カポエイラの技データをデプロイしたんですね」

「はい。試合中に師匠が音声インターフェースで強制的に代替基盤を立ち上げてくれました」

「カポエイラの技データはテストが不十分だったので、デプロイしてなかったんです」

 

「マリト様にこちらのテスト戦略が読まれていて、対策されていることが分かって、テストを終了しようとしていたところ……」

「カポエイラ技を出してきたので、単体テストの良い機会だとなって試合途中でデプロイしたんです」

 

「しかし、筋力強化が前提の『幻の技』二連コンパッソまで出してくるとは驚いたよ」

「てっきり友田先生しか覚えてないと思ってたんだけど……あの頃、コリーンは、ほとんど学校に来ていなかったのにどうして知ってたのかな」

 

「『そんな曰く付きの技だったとは知らなかった』そうです」

「『先輩のパソコンにあった資料の技を片っ端から実装しただけ』だそうです」

「え?ちょっと待って。いまオレのパソコンって言った?」

「いつの間にそんな……」

 

「『もう、先輩と私の関係で、いまさらやないですか』だそうです」

「その妙な意味ありげな発言をやめてくれ。勘違いされたらどうするんだよ!」

ラミーシャが不機嫌になっているのが伝わってくる。

――ほらもう……

 

 

マリトはブーストライダーのレースでの疑問点も問いただした。

「いろいろとブレーキに細工をして、最後はフロンを裂け目に落としたけど、あそこまでする必要はあったの?」

「最後に笑って『次はおまえたちだ』って言ったのはどういう意味?」

あの不気味な笑いは忘れられない。

 

「もう、こっちも誤解されとるし」

コリーンに替わったようだ。

どうやら、どっちの発言かわかりやすいように関西弁の割合を増やしているようだ。

 

「妨害工作をしとったのは、フロンのほうですよ」

「お二人のライダーに細工をしたんもあいつです」

 

「裂け目を見て笑ったのは、彼が動いていて無事だったので安心したんですよ」

「笑い方ですけど、このアホ弟子には『氷の剣士』という、めっちゃ凄い恥ずかしい二つ名があるんですよ」

「ろくに感情表現ができないだけなんですけどね」

ラミーシャが恥ずかしそうに同意する。

 

「表情筋が発達してないので、笑おうとすると不気味になるのは許したって下さい」

と言って、不気味に笑った。

「フロンのヤツは私らを裂け目に落とした後、お二人も落とそうとしてたんで、それを伝えようとしたんです」

 

フロンは隣の国の拉致部隊に協力していたらしい。

昨年度の優勝者である彼ら兄弟が、リスカールに負けたのは、秘密の魔法で不正をしていると吹き込まれたらしい。

ただ、彼が救護室に運ばれてからまだ意識が戻らないので、聞き取りができていないそうである。

 

「まあ、新しい魔法をいろいろ試しているのは否定しませんけどね……」

協力する代わりにブーストライダーのブレーキ制御のための塗料を提供してもらったらしい。

なぜそんな魔法知識があるのかは謎で、ボルディアに協力者がいる可能性が指摘されている。

 

コースに油を撒いたのもフロンだった。

拉致作戦中に他の選手が間に合うと困るので油を撒いて妨害したということだ。

「で、自分だけ避けて通るんだから、誰が犯人かバレバレですよね。アホな奴らです」

 

「後半、君らがスムーズに走行していて、フロンの方が不安定に見えたが、妨害していたのはフロンの方ならなぜ?」

「はい。こちらの前輪にもまだらに塗装されていましたが制御は簡単でした」

タイヤの回転に合わせて周期的に発動魔法を切り替えることで、自分のブレーキングは正常に動作させていたのだった。

近くを走行していたフロンのライダーは逆にこの影響で、まだらにブレーキが利いてしまってまともに走れなかったわけだ。

 

「裂け目のところなんですが、ライダーには後輪に非常用のブレーキがついてますよね」

「自分の後輪の方には塗装をして、魔法による摩擦力が影響しないようにして、こちらの後輪の摩擦係数を高めて止めにかかってきたんです」

 

「あのままだと、こちらが裂け目に落ちるので、やむを得ず、瞬間的な遠隔水魔法を使って電池を破壊しました」

「あのドドンパというやつ?」

「はい。まだ未完成ですが渦の原理を使った指向性の魔法です」

 

通常のMD粒子の情報は波として伝わるところ、渦の原理を使って情報を届けているということだ。

到達したところで、メッセージが展開されて、そこで発動する。

発動できるものは瞬間的に影響を及ぼすタイプの魔法だけという限界はあるが、爆発物への点火や電池の破壊などには効果的だ。

 

 

「なるほど、この対抗戦で何が起きたのかはおおよそわかったよ」

「ところで、ひとつ気になっていることがあるんだけど……」

 

「試合中、身体をコントロールしていたのはリスカールだよね」

さすがにあれだけの動きは、こちらに来たばかりのコリーンでは無理だ。

「そして、コマンドをつぶやいていたのはコリーンだよね」

 

「これは、どういうこと?二人で身体の動作を分担できるということ?」

コリーンは不気味に笑って答えた。

「バレましたか……」

 

「実は身体を部分的に別人格の制御で動かせるんです」

「これ、めっちゃ便利ですよ。先輩たちもすぐできるので、やってみます?」

そう言って、画面上にプログラムを呼び出して魔法陣に変換した。

 

「これを発動してみてください」

魔法陣を見ながら「ファイタキス」と唱えた。

すると左肩から先の感覚がなくなった。

そして、マリトの意志と関係なく手を握ったり開いたりし始めた。

 

「へえー、こんなこともできるんだー」

ラミーシャが言いながら、左手で軽くパンチの動きをしてみせる。

いたずらを思いついたときの感覚が伝わってきた……

――なんとなくイヤな予感……

 

「隙ありっ!」

そう頭の中で言うと同時に、左手をマリトの右脇に差し込んできた。

もぞもぞ動く。

他人に脇をくすぐられる感覚……

 

「な、な、な、何をする」

「こら、やめろ」

「あははは、くすぐったいだろ」

そう言ってマリトは右手で左手を引き剥がそうとする。

 

その様子を見て、腕を組んだコリーンがつぶやく。

「気が合いそうとは思っとったけど、これほどとは……」

 

「おい、私らは何を見せられとるんや?」

「それはちゃうで。パパとかお父さんとかは、別に親子関係を示しとるとは限らんのや」

「現代日本語だとこれは……バカップル」

 

「腹立つけど、他に方法がなかったからしゃーない」

「ちょっとの間だけ貸しといたる……」

 

コリーンがマリトたちに向かって、呆れた顔で言った。

「先輩、仲が良いのは結構なんですが、人前でいちゃつくのは、ちょっと……」

左手が止まる。

マリトは真っ赤になる。

「お恥ずかしい限りです……」

 

 

「そちらの内輪の話も結構聞こえてるんだが」

「これは失礼、ダダ漏れました」

「いや、わざとだ」

 

「まあ、わざとと言われるとそうなんですが、こちらは念話を使ってないんです」

「音声と網膜上の文字で会話してます」

「暴言も同じで、結果として内輪の会話が聞かれて起きたことなんです」

 

「どうして?」

「できないわけじゃないんだろ?」

 

「念話は脳内のリソースをかなり食うんです」

「脳内で並列で動作させている計算プロセスが結構あって……」

「先輩のところみたいに、バカップルトークに割くリソースはないんですよ」

皮肉っぽく付け加えた。

――返す言葉もない……

 

「お父さん、『バカップル』ってなんですか?」

「人目を憚らずいちゃつく、バカなカップル、という意味だ」

「信じられない!!」

「後輩さん、超、失礼な人ですねっ!!」

――この娘は、なぜうれしそうに怒ってるんだ?

 

 

どうやら諸々の会話が落ち着いたとみて、ずっと黙っていた理事長が話をはじめた。

「これで二人、いや四人の間のわだかまりはとれたようじゃの」

――わだかまりはなくなったけど、いろいろややこしくなっている……

 

「サワ先生は、引き続きこの世界を救うために協力してもらえるじゃろうか」

「前の世界に戻りたいという強い動機はなくなったと思うのじゃが……」

 

「先輩は、私がいるこちらの世界のほうが良いんですよね」

ラミーシャがムッとする。

「そうだな、オレはミーシャのこの世界を助ける力になりたい」

コリーンが少し顔をしかめる。

ラミーシャから勝ち誇ったような感情が伝わってくる。

 

――この二人、低次元の争いをしているな……

――前世屈指の天才が、子供相手に何をしてるんだか……

 

「では、秘密を共有するこのチームで世界の修復を目指すプロジェクトを進めてほしい」

「プロジェクトリーダーはサワ先生、技術リーダーをコリーンさんにお願いしたい」

「さしあたって、プロジェクトの名前が欲しいのう」

 

「プロジェクト名ですが、私に案があります」

「先輩は『真理』に『人』でマリト」

「ラミーシャさんは『月の微笑み』という意味やね」

「私は『心』に『鈴』でコリーン」

「リスカールは『森の語り部』という意味や」

 

「これで、プロジェクト『人月心話』」

「もちろん、ITにおける重要な書籍『人月の神話』のオマージュです。」

「異論はありますか、先輩?」

 

「ミーシャ、いいかな?」

「お父さんがよければ、それでいいです」

マリトはうなずいて言った。

「こちらも異議なしです」

 

「では、キックオフを記念して、ハンズイン!」

そう言って、右腕を伸ばした。

「先輩の右手を上に」

「アホ弟子は左手でオンや」

リスカールが左手を乗せた。

最後に、とても嫌そうに、しぶしぶ、ラミーシャが自分の左手を兄の左手に乗せた。

 

「人月心話プロジェクト!この世界に未来を取り戻すで!」

「はい!」

「おーっ!」

「ふんっ!」

 

 

【挿絵表示】

 

◇参考挿絵:人月心話プロジェクトがここから始まる




ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
フェーズⅡの学園編はこれで完了です。
主要登場人物が揃いタイトル回収がなされました。
いくつかの重要な謎が解けましたが、まだ多くの謎が残されています。

フェーズⅢでは隣国の大部隊との本格的な衝突が描かれます。
その中で残る謎も解かれていく予定です。
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