起きたらTSしてたし、なんかデスゲームに巻き込まれたので、儚げミステリアス少女ロールプレイで敵を魅了していこうと思う。うん、いけたらいいな。   作:挑戦マン

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【第0ゲーム】ゲート





TSと扉と知らない女

 

 さて……まずは扉に向かわないといけないけど……

 

 どういう技術なのか、グンッと壁が広がった。さらに広くなった空間は、例の扉にたどり着かせる気がないんじゃないかとさえ思える。

 

 この距離は、さすがに走らないといけなさそうだ。ゲーム前なのに苦労するなあ!ちょっとだけ頑張りますか!と、女の体になって初の運動だ。前の運動神経の良さを受け継いでいて欲しい、と切実に願います。

 

 隣にいた胡散臭い男は、どうやら先に向かっているようでもう居なかった。俺だったら、こんな美少女が居たら一緒に連れてくんだけどな〜!?

 

 ……なんて、呑気にしている場合ではない。

 

「おい、退けガキ!」

 

 今から走り出そうと足に力を込めたところ、後ろから走ってきた見知らぬ人にぶつかってしまい、暴言を吐かれた。この野郎が、心の中では中指を立ててやる。

 

「あ……っ?! なんだとこのやろ……うわ!」

 

 一度ぶつかってしまえば、ドミノ倒しみたいなもんで、人に激突してまた人へ……走れるタイミングが作れない。いくら広くても一万人はいるんだ。と実感させられた。

 

 とにかく、立て直さないと。

 

 一度地面に伏せて、 身を屈めてみる。クラウチングスタートやらを見よう見まねでやってみようと思ったからだ。

 

「よーし……位置について…よーい……」

「ドンッ!」

 

 走り出しはよし!速度も前の体ほどではないが、いい感じである。目に入りそうになるほどの前髪がうざったいが、脚を止めることはできない。

 扉に集中をすれば、徐々に閉まっているように見える。……にしても、一万人全員が入れるのだろうか。

 

 川のように扉の中へ吸い込まれる人々を前に、段々と脚が重くなっていく。

 

「……ゼェ…ゼェ……ま、まじか…体力なさすぎる……」

 

 でも、あと少し、あと少しでたどり着ける。ここで落ちればこの先生き残れるわけがないんだ、根性だけでも見せてやる!

 

 

「……でも、これ…たぶ、ん」

 

 まにあわない。

 

「……あとすこし!」

 

 それでも、もう一歩踏み出した。

 全力で手を伸ばせば、扉に届くほどの距離に縮まった。

 

 あ、だめかも。

 

 

「……!」

 

 刹那、扉の隙間から伸ばされた腕が、強く俺の腕を捕らえる。先ほど助けてくれた胡散臭い男の、あの優しい掴み方とはまるで違う。

俺をグッと引き込めば、ゴタンッ!と頭がどこかにぶつかり、衝撃が走る。体が細くなっていたおかげで、どうにか隙間をすり抜けることができた。だが、バランスは取れず、そのまま地面に膝から崩れ落ちる。

 

 扉は完全に閉じきったようで、周囲は真っ暗だった。光は、向こうに取り残されたらしい。

 

「い、っ……つ! ッ…なんだよ…胡散、じゃない。貴方か……」

「乱暴にしてごめんね。けど、命よりは安いだろう?」

「それもそうですね……っ、ふう……」

 

 あの腕の正体は胡散臭い男だった。

 また、助けられてしまった。

 

 もう関わらないって決めたのに。だけど、あのままだと取り残されてしまうところだった。感謝すべきなのはわかってる。――息を深く吐いて、吸う。

 暴れた心臓を落ち着かせて、ゆっくりと立ち上がる。しっかりと地面を踏みしめて、ワンピースの裾を払い、前を向いた。

 頭の痛みはわずかに残っているが、まずはゲームに進むことが最優先だ。次のゲームがどんなもんか知らないが、デスゲームと言うのだから何があるか分からない。

 俺達が話している間に、他の人は先に行ったらしい。

 

「……?」

 

 前に進もうと足を踏み出す瞬間、背後から何かが軋む音が鳴った気がした。――いや、気のせいではなく、むしろ音が大きくなっている。

 分厚い扉の向こうから聞こえるものはくぐもっていて、鮮明に聴こえるわけではない。けれど、向こうでは何かが起こっていると確信を持っている。

 

「……どうしたんだい、お嬢ちゃん」

「なにか、音が……」

「音……?」

 

 よく聴くために、片耳を扉に当てた。

 

 ギギギ、ドドド。

 ……何かが迫っている?

 

 悲鳴のような、呻き声のような声が聴こえる。

 そういえば――あっちに取り残されたら、どうなるんだっけ?

 

 ガタン!と金属が激しくぶつかる轟音。思わず扉から離れる。

 一体、何が起きたんだ? 取り残された人達は?

 後ろに下がれば、足を地につけた瞬間、ぬちゃ、と濡れた音が耳に残る。

 足元が冷たく濡れ、靴が張り付いた。

 視線を落とすと、扉の下の隙間から液体が流れ出てきていた。色だけは暗くて見えなかった。それと同時に、鉄の匂いが鼻を突く。

 

 ――え? これって、血?

 じゃあ、向こう側の人達は……

 

「お嬢ちゃん、行こう。ゲームはまだ始まってないけど、そろそろ行かないと何が起こるか…」

「あ……確かに、そうですね」

 

 そうだ、まだ、ゲームは始まってないんだ。

 あれはただの妄想だ!

 

 そう、ただの妄想にちがいない。

 

「……ありがとうございます、さっきは助けてくれて。まだ、お礼が言えてなかったから」

「気にしないで、……お互い、生き残れるといいね」

「そうですね……生き残れる気、しないけど」

 

 なんて、冗談めかして言ってみる。

 

「あはは、そういうのは冗談でもいうもんじゃないよ。君にはまだ未来があるんだから」

 

 扉から離れて、前へと進む。……胡散臭い男は、意外と良い奴なのかもしれない。

 

 

 進めば進むほど深くなる浮遊感。一方で、目の前が明るくなったり暗くなったり明滅している。あまりの新感覚に耐えきれなくなり、瞼を閉じた。

 

 

 

 

 ――浮遊感がなくなったことを合図に瞼を開けると、草原だった。

 チュンチュンと鳴き声を放つ小鳥と、揺れる草木が、まぎれもない平和を映し出していた。

 しかも、胡散臭い男と、知らない女の二人がいた。

 

「え、誰……?」

 

 

 

 





 少しテンポが悪いかな……と思いつつ、それでも書きたかった。次はやっとゲームが始まります。

 初めまして、挑戦マンです。名前の通り、自分の文章を世に出すことに挑戦しています。
性癖は美少女の笑顔と世界平和と美少女の絶望と行き場のない暗い感情です。

 ハーメルンでは今まで読む専だったのですが、読んでいるうちに己も書きたくなってしまったのです。

 今は拙い文章ですので、この作品を通して、読者様を作品に惹き込めるように成長していけたらと思っています。
 目標は完結させることです、いくら時間がかかるかも分かりませんが、見守ってくださると幸いです。

 今のところ、タイトルにある儚げミステリアス少女ムーブはもうちょっと先になると思います。よろしくお願いします。決してタイトル詐欺ではないです。

 長々とあとがきを書いてしまいましたが、読んでくださった皆様、お気に入りをしてくださった皆様、本当にありがとうございます。
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