来年もよろしくお願いします。
黒船来航の翌年、嘉永7年2月6日(1854年3月2日)武蔵国久良岐郡横浜村字駒形(現横浜開港資料館所在)に応接所を設置し、日本側の代表「林復斎」、アメリカ側の代表「マシュー・ペリー」により、話し合いが行われた。
1ヶ月及んだ話し合いにより、全12箇条が締結し、調印された。
これにより、日本は下田と箱館(現函館)開港し、鎖国体制が終焉した。
この条約を「日米和親条約」という。
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神社を出てから、圭吾と姉の香子は駅に向かっていた。
香子は、駅に着くまで終始笑顔で圭吾に話していた。だが、圭吾相槌を打つ程度会話の盛り上がりは欠けていた。盛り上がらない理由は、圭吾が行く場所に対して興味がなく帰りたいと思っているからだ。
香子は、話が盛り上がらないことに少し残念な思いはあったが、圭吾が付いてきてくれたことで嬉しく思っており、あまり気にすることはなかった。
駅に着いてから電車に乗り、目的地に向かう。
目的地は、北区滝野川にある寿徳寺。
ここには、新撰組隊士の墓がある。
何故姉ちゃんが、ここに来たいのかというと。
理由は一つ、好きだからである。
姉ちゃんは「歴女」で、大学でも歴史系の学部にいる。特に、幕末の頃が好きで、幕末のことを聞けばなんでも細かく丁寧に説明してくれる。4時間ぐらい掛けて…
ガキの頃から幕末のことを話されるので、耳にタコができるほどだったが、内容は興味がないためあまり覚えていない。
姉ちゃんは、ここには、月1回は行っている。そして、1〜2時間はここで過ごす。俺も何度か連れて行かれることがあった、その度俺は、暇な時間を過ごしている。
新年早々ここに行き何するのか聞くと、
「挨拶ですよ♪」
姉ちゃんは、笑顔で言う。
「俺必要?」
「暇だからいいじゃないですか♪嫌ですか?」
笑顔で言うが、何故だろう?
姉ちゃんから殺気を感じる…
拒否したら死ぬんだな…
俺はこの考えが出てから、何も言えなくなってしまった。
会話をしているうちに寿徳寺に到着した。
到着後直ぐに姉ちゃんは、新撰組隊士の墓に行き手を合わせる。
俺も手を合わせる。
手を合わせた後、姉ちゃんは
「寺のなかを少し歩いてきます。圭吾は、どうしますか?」
俺は少し考え、
「ちょっと疲れたからそこらへんで休むよ。」
姉ちゃんに答えると、
「そうですか…分かりました。また、後で合流して帰りましょう♪」
笑顔で返答し、姉ちゃんは歩き始める。
だが、すぐに振り返り、
「勝手に一人で帰らないでくださいね♪」
笑顔で言うが、姉ちゃんの後ろに般若が見えており、殺気も感じた。
「分かりました。」
俺は青ざめながら、すぐに答える。
返事を聞いた後、姉ちゃんは手を振り歩き始める。
「は〜〜〜」
姉ちゃんを見送って視界に入らなくなった後、長いため息をこぼした。
やっと解放された。
その思いが前に出たため、ため息をした後少し安堵な表情になる。
「コーヒー買ってこよ…」
ポケットに手を入れタバコを取り出し中身を確認する。
まだ、数本入っているのを見た後、自販機があった場所まで移動しようとするが、再び墓の方を見て止まった。
『この人たちは何で命をかけて戦っていたんだろう…この人たちがそうしたかったのか?それとも…時代のせいなのか?
俺には出来ないな…今をなぁなぁに生きてる俺じゃあすぐに死ぬか、それとも今みたい生きているかしかないよな…』
圭吾は、墓の方をみてそんなことを考えていた。
考えている中で、
『だけど…羨ましいな…何かに熱くなれることがあったのわ。』
『羨ましい』普通なら人殺しが多くある時代、そして、人を殺した人達を羨ましいと思うことはないだろう。
圭吾が、羨ましいと思ったのは、命を懸けて熱くなれるこの一つだけだ。
自分にも昔は熱くなれるものはあったが、その熱も冷めてしまい、今は何に対しても熱くなることはなかった。
そのため、圭吾は怠惰な毎日を送っていた。
『俺もまた何かに熱くなることがあるのかな…』
そんなことを思っていた時、
「ガッ⁉︎」
急に後頭部をハンマーで殴られたような激痛が走る。
「ハァッハァッ!!ガッア〜‼︎」
声にもならない声を出し、呼吸もまともにできなくなっていく。
更に、激痛は続き頭を抑えその場にしゃがみ始める。
「…な、なんなんだよこれ?…やべぇ…」
ポケットに手を突っ込み、携帯を取り出し助けを呼ぼうとするが、手は言うことを聞かず、携帯を落としてしまう。
「…クッ!…ちきしょう…」
落とした携帯を拾うため、這いつくばって携帯に手を伸ばす。
その時、少しづつ周りが暗くなっていくのが見えた。
「…今度は…何なんたよ…」
目までおかしくなったかと思ったが、空を見ると
「…太陽が欠けてる?」
太陽が少し欠けているのが見えて、あることを思い出す。
『今日は300年振りに元日に皆既日食が起こる日です♪』
『最悪な日だな…』
そう思っていると、更に激痛が増しくる。
『やべぇ…』
激痛が増して意識が飛びそうになる中で、頭の中に中が流れ込む。
「何なんだよ⁉︎これ⁉︎」
声を出し自分の頭に流れ込むものを考える。
圭吾の頭には、知らない同い年ぐらいの男がいた。
そして、また違うものが見える。
髪は紫で着物を着た顔立ちが綺麗な女。
女が見えた後、違う女が見える。
それが何回も。まるで、テレビのチャンネルを押しっぱなしで変えているように何度も変わっていく。
時間にして1分経っていないが、圭吾にはまるで数時間に感じるものだった。
『誰なんだよ…』
圭吾は頭の中に移る人達を誰だか思い出すが、覚えはない。
頭痛により分からないのかもしれないが、それでもあったことのない奴ばかりだ。
圭吾は頭痛に耐え、頭を抑えながらゆっくり立ち上がり、
「いったいなんなんだよ‼︎」
大声で叫び、最後にまた女が見えた。
髪は紫で顔立ちは可愛いく、ほんわかしている感じだった。
そして、その女が言う。
「やっと…会えるね…」
『誰なんだよ…オメェ…』
その女も知らない奴だったが、相手はまるで懐かしむように俺を見ていた。
そして……泣いていた。
『なんなんだよ…全く分かんねぇ…』
圭吾は最後に見えた女が言ったこと、泣いていた理由を考えるが答えが出ることは無かった。
続く頭の激痛、頭に流れる知らない奴らの姿、それに耐え考えていたことにより、体力と精神は限界に近づいていたった。
『…………何なんだよ………………………………………まったく……………………………………………最悪な年初めだよ……………………………………………………』
圭吾は限界を超え意識を失った。