「
星月夜に流れるのは旋律。柳の杖から緑の輝きが滑り出て、倒れるそれに突き刺さる。強力な死の呪文は、命を刈り取ることなく、背の高いその影をわずかに跳ねさせるのみ。
「……起きあがることなし、と」
ふむ、とロディアは頷く。力なく、四肢を投げ出すようにしてある兄を……兄であった者を見下ろした。死の呪文は効かなかった。なぜならばこの器に、魂が――命がないから。
「そのようにせずとも」
どこか頼りなげな声に振り向いた。白金の髪を輝かせているのはルシウス・マルフォイである。銀の仮面を着けていようが、その立ち居振る舞い、完璧な上流階級の発音は隠しようがない。
「印は薄れております」
どこまでも丁寧な物言い。畏怖と混乱。距離をはかりかね、どうするべきか考えている――といったところであろうか。ルシウス・マルフォイは決めかねている。次の一手がどうあるべきか。杖を握っているものの、その先は地に向いている。
「ハリー・ポッターの双子の兄を」
討つこともできるだろうに。ロディアは両腕を広げ、立ち尽くす彼らに向き直る。ルシウスを筆頭に、エイブリー、マクネア、クラッブ、ゴイル、ノット――印を刻まれながら罪を逃れた不忠者たちが揃っていた。かつての死喰い人裁判で名を挙げられた連中である。
六対一。数の理屈ではロディアが不利である。正確には傍らにナギニがいるので六対二か。兄の長い長い支配から引き剥がし、今やロディアのものとなった。火傷をして、たまらず仮面を脱ぎ捨てた者もいるくらいだ。負傷者複数対ロディアとナギニ。さあどうなるか――とルシウスを見つめる。
「意味がないでしょう」
ルシウスがさらりと言い、仮面を外し、放り投げた。火傷その他怪我なし、纏った衣も綺麗なものである。さすがは狡猾なマルフォイ家。一説には魔法大臣暗殺までやってのけた一族である。見事なものだ、とロディアは呆れの混じった吐息を漏らした。
「意味のない馬鹿騒ぎをして逃げたのはどこの誰だったか?」
約一年前の後夜祭に水を向ければ、ルシウスが眼を逸らした。賢いくせに馬鹿である。
「闇の帝王は死んだ」
純血貴族らしからぬ、か細い声であった。ロディアは肩をすくめた。
「なんだその恥ずかしい呼び方は。僕はヴォルデモートが弟と思いこんでいるらしき男の、その子孫らしいが?」
母の祖父かなにかかな? とすっとぼける。ロディアが殺害されたのは三十の頃。それより前にこっそり子どもをつくっていたとする。……その子どもがこれまた早く結婚して子どもをつくっていれば、祖父に当たるだろう。
それがいかにありえないことか、ロディアが一番分かっている。学生時代はもちろん、マクファスティー家に養子に入り、拉致されるまでの間も下手は打たなかった。ロディアはマクファスティー家の島主、つまり当主になることが約束された身で、将来は一族から妻を娶ることになっていたのだ。
闇の陣営時代とて、有能な魔女を引き入れるため、やむなくたぶらかすことはあっても、子ができないように注意を払っていた。できないようにする薬が魔法界には存在するのである。できようものなら引き入れた魔女ともどもロディアの弱味になるのは確実であった。
つまり、ロディアに子はいない。従って孫もいない。ありえない。
「いくら子孫としても、あれほど鮮やかに闇の帝王を殺せる者はおりますまい」
あなたは十四歳の少年ではありえない。ルシウスが断言する。
「闇の帝王の弟君にほかならぬ」
ロディアは眼を細める。兄とのやりとりは目撃され、聞かれていたのだから当然だ。その上でルシウスは判断したのだ。わかりやすい理屈に飛びつかず、ありえない可能性を信じた。
「転生なんぞ信じるお前は馬鹿だよ」
答えを投げてやる。ルシウスは眼を瞑った。やはり……と呟く。続く言葉はなんであろうか。やはり、殺されていたのか、か。詳細を語る気にはなれなかった。どうせ終わったことである。
「肉体の復活、蘇りがあるのならば」
転生なんておとぎ話もありえましょう。囁くルシウスを見やる。
「だいたいの答え合わせが済んだところで」
祝祭の幕を下ろそうじゃないか。それともまだ訊きたいことが?
「なにを話すおつもりか」
それだけですね。ルシウスは静かに問う。ロディアはうんざりとばかりに天を仰いだ。
「お前たちを黒こげにするつもりはない。それに、これは闇の祝祭」
表に出せぬ、隠されし宴。闇の徒は、密かに姿を消すがいい。
「ポッターは……」
「弟のおしゃべりな口を封じるつもりなら、こちらにも考えがある」
釘を刺す。弟は極めて常識的で、正義感も強い。今頃暴れているかもしれない。死喰い人の名だってきっちり覚えているだろう。だが、あれが 「おしゃべり」したところでどうしようもないのだ。物的証拠がない。闇の祝祭は、ホグワーツから離れたここで、執り行われたのだから。
「……と、いうか」
屈み込む。木偶人形の腕をひっつかみ、引きずり上げる。肩に頭を乗せ、支えるようにした。片腕を回す。もしかして、抱擁しているように見えるか。最低だ。
ああ、亡骸って無駄に重いのだよなと思い出す。衣を通し、兄の体温が伝わる。息絶えたばかりの、なま暖かさ。最悪だ。
「お前たちの罪の有無なぞ、どうでもよくなるだろうよ」
それだけを言う。渾身の力で兄だったものを抱え、顔をしかめた。
「……なあ、首だけ持って帰るのは駄目か?」
死喰い人たちが、かすかな悲鳴を上げる。散々犯罪行為をしてきたくせに、損壊には厳しいときた。根性なしめ。
「お願いですから全身で」
いいですか、少年が首をひっさげて現れれば大混乱ですし、印象が悪すぎます。ルシウスが常識を説く。ロディアは釈然としないながらも頷いた。不忠者に理を説かれるとは。
「お前たちの誰かが持ち帰ってもいいぞ」
ヴォルデモートを討ちし者だ、と笑ってやれば、おぞましいものをみるような眼を向けられた。ああ、怪物の弟は悲しい。トム・リドル・シニアの墓にぶちこもうかな、なんて考えていたことは言わないほうがいいだろう。空だからちょうどよいと思うのだけど。
「称号も、マーリン勲章もお好きになさってください」
ルシウスが外套を翻す。転がる銀の仮面を蹴りつけた。
「闇の帝王は滅んだ。陣営も解体。それでよし」
担ぐべきものもなく、と彼は言を切る。ふん、とロディアは鼻を鳴らした。第二の闇の帝王だって? 冗談じゃない。
「私は」
ハリー・ポッターの双子の兄だよ。
優しく返し、ルシウスにひとつだけ頼みごとをした。
「ああそうだ」
ナギニを預かってくれ。
私には連れ帰る者がもう一人いるから。
死喰い人たちを見送って、ロディア――フェンネルは邪魔くさいそれを引きずるようにして歩く。祝祭の後始末とはかくも面倒なものである。いっそのことばらばらにして埋めてやろうか。衝動を抑えつつ、歩く。身体は重く、息は切れ、目眩が少々……張り切りすぎた、と反省しているうちに、目的地に着いた。
倒れる影が、一つ。その瞼は閉じられている。
セドリック・ディゴリー。真の代表選手である。弟の巻き添えを食った被害者でもあった。
「失神させるだけにすればいいものを」
兄だった者に吐き捨てる。目撃者は消せとばかりに処理したのであろう。死体があればそこには事件あるいは事故があった、という証左になるというのに。少しの間気絶していただいて、生き残った男の子を始末し、目撃者には忘却呪文と服従の呪文の重ねがけ、送還。おしまいである。丸くおさまるではないか? 完璧な、闇の時代の幕開けである。フェンネルが阻止したが。
「しくじりばかりだな」
ヴォルデモート。
くつくつ笑い、空いた片手に杖を握る。向けるのはセドリックの心臓のあたり――ローブに空いた、灼け焦げた穴。きらきらとした破片が飛び散っている。黄金と、黒曜石に似た輝き。
「
竜騎士は、癒しを紡ぐ。蘇生呪文と呼ばれるそれ。されど死者を呼び戻すことはない。ただの気付けである。
死の呪文は命を奪う。そして魔法といえど、死者を蘇らせることはできない。
たとえば、魂を切り裂き、肉体を失えど真の死を先延ばしにする。
たとえば、身代わりを用意し、呪いを肩代わりさせる。
回避はできる。しかし、死んでしまったその後で、蘇生はできない。
逆に言えば。
死ぬ前ならば、取り返せる。
セドリックが、かすかな息を吐く。瞼が震え。覗いた灰色がフェンネルを捉えた。
「……ここ、なに……? どうして……」
ぼう、と呟いた彼に、フェンネルはにこりとした。
「命拾いしたね、君」
洒落た印まであるときた。彼の、心臓のあたりを示す。そこには稲妻の印があった。
「いや、本当になにが……」
セドリックが口を開ける。フェンネルは明後日の方を向いた。
「僕のお守りを持っていてよかっただろう」
「待って」
緑の閃光だったけど! セドリックがよろめきながら立ち上がる。無視し、フェンネルは口笛を吹いた。
ああ、心臓がやたらと痛い。隠し事が多いというのは、疲れるものだ。いっそ話してしまえれば楽なのだ。けれど、それはできない相談だ。
まさかマールヴォロの指輪、蘇りの石を改造したなんて言えないではないか。
割れたとはいえ蘇りの石。死の秘宝の一つ。浮かれゆく魂を門の向こうより呼び戻す。生死の境界、理の眼を騙すもの。
少し手を加えれば、死の呪文を打ち消すこともできよう。
それか、反転させればさまよう魂を送り返す……なんてこともできたかもしれない。
今やたられば、もしもの話。セドリックは生き延びた。墓場で、なにもわからずに殺される運命から逃れた。それもこれも、彼が素直だったから。意地を張らず、試合前の贈りものを受け取ったからだ。お守りだ、とフェンネルが押しつけたのである。
降りてきた影にセドリックが悲鳴を上げ、フェンネルが担いでいる誰か、明らかに亡骸――に硬直する。こんな光景、ありえたかどうかも怪しい。先視を、倒れ伏す誰かの運命を変えられたのだ。上出来である。しみじみと思いつつ、影こと竜をそっと撫でる。
「お行き」
ホグワーツは騒がしい。お前なら、諸島まで飛んでいけるだろう。
両の眼は盲いているといえど、その脚に枷はなく、その翼は健やかだ。
羽ばたいていけるのだ。
竜が、小さく小さく鳴いた。
またな、と囁いて、竜騎士は杖を振った。
「僕らも帰ろうか」
「状況説明を求む!」
「君は生き延びたんだ」
おめでとう、セド。
にやりとして、転移の術を展開した。
降り立ったのは校長室。安堵のあまり、視界が揺れた。
邪魔な荷物を放り出せば、マクゴナガルが呻きを上げる。
「討ちましたよ」
誇らしげに、そう言うつもりであった。だが、ダンブルドアの双眸――ライトブルーの眼が、フェンネルを射抜いた。厳しく、憂いを帯びた眼であった。
「よくやった、と言いたいが」
問題が発生した。
彼の視線を辿る。弟がソファで眠っていた。青ざめ、眼を閉じている。側に控えるのはシリウスだ。膝を突き、眉を寄せている。
一歩、二歩とソファへ近寄る。かすかに漂う穢らわしい香も、呆然と立ち尽くすセドリックも、厳めしい顔をしたダンブルドアも、真っ白い顔をしたミネルバも。シリウスも。銀の魔法具が吐き出す煙も、ちりちりという音も、煩わしく、また遠かった。紗を隔てたように。
フェンネルの意識、そのすべてはふたつ胞の弟に注がれていた。
眠っている。息はしている。かろうじて……。シリウスがそっと場所を空ける。フェンネルは膝を突いた。弟の手をとる。箒を、スニッチを掴む手はざらついて、少し皮が厚かった。仄かなぬくもりが伝わる。しかし、眼を覚ます様子はない。
限りなく死に近い眠りのなかに、弟は滑り落ちている。
「……いつから」
ほんの少し前じゃ、とダンブルドアが答える。気付けしても駄目だった、とだけ言った。それだけで十分だった。振り向き、ダンブルドアをちらと見やる。視線が絡まり、意志を交わす。
――ダンブルドアも
同じ考えだ。弟は――「生き残った男の子」は印されし者。ヴォルデモートの魂の欠片を宿した者。変則的な『分霊箱』。手順に則ったものではなく、故に欠片といっても微少なものであろう、と推測していた。
『分霊箱』のうち、最も強く、最も古いものは「ロディア」。つくられた『分霊箱』は、本体をつなぎ止める糸のようなもの。縒り合わされ、ヴォルデモートの命綱となっていた。
トム・マールヴォロ・リドルの日記が、次に「ロディア」が断ち切られ、命綱はぷつぷつと切れていった。殊に、強靱な糸たるロディアを失い『分霊箱』は脆くなっていたであろう。つくられたすべてが切られ、細い、あまりに細いその一本とて切れるはずであった。ヴォルデモートが討たれた衝撃で、ぷつんと切れると思っていたのだ。
「……お前の執念か?」
唸る。たかが、塵のような欠片のくせに。弟を道連れにしようとするか、生意気な。
視界が明滅する。無理矢理に転移した疲労? それとも戦闘によるもの? いいや、兄に相対したことによって、魂の疵が血を噴き出した?
あるいは、ふたつ胞の弟に引っ張られている? 理由などどうだっていいことだ。
弟が目覚めない。このままでは死へと、暗闇へと落ちていく。誘われる。そんなことは認めない。
「赦すものか」
燃える息を吐き出す。弟の手を離し、身を乗り出す。
稲妻を印された者と、
ざざ、ざざ。
ざざ、ざざ。
寄せては引き、引いては寄せる潮騒に、瞼を上げる。
気がつけば、見知らぬ場所に立っていた。
――いいや
覚えがあるような、ないような。
懐かしいような。
長い……あまりに永い間、いたような。
どこでもないどこか。
フェンネルは首を傾げる。どこだかはわからない。しかし、教えられるまでもなくわかっていた。
ここは
どうでもいい、と歩き始める。薄曇りの空。広がる海は、昏かった。まるでいつか遠足で行った、海岸のようであった……。
来たことがあるのかもな、と呟く。一度死んだ身。その魂は掬い上げられ、送り出された。
両親がいる、約束の場所。弟がいる処へと。
――これが夢でも構うものか
見えざる者がまどろみ、生み出した
なんだっていい。衝動的な行動の果て。どこかでわかっていたのだ。死に、さまよい流転した魂は、知っていた。どこに行けばふたつ胞の弟を救えるか。ポッター家の兄弟は双子。ふたつ胞といえど、
ハリー、と呼ばう。その名が木霊する。あてどなく、歩を進める。靴が、ざりざりと音を立てる。あらゆるものが流れ着く浜。その土は粗く、鈍色の海は、生のぬくもりとは無縁であった。
何度も何度も名を呼び、足が向くままに歩き続ける。少し息が切れてきた頃、ぽつりと佇む影を認めた。
「……捜した」
影が振り向く。緑の眼が、フェンネルを認めた。
「ごめん」
「別にいい」
何度だって捜してやる。僕は失せもの捜しが得意だから。
するりとこぼれた言葉。そう、何度だって、どこにだって弟を捜しに行く。生まれた時から一緒だった。共に育った。ただの偶然。巡り合わせ。
たいしたことのない、けれど大事な理由を胸に秘め、フェンネルは言った。
「帰るぞ」
「うん、でもね」
弟は唇を引き結ぶ。双眸に刷かれたのは嫌悪と哀れみ。彼が指差したのは。
「あれが、ね」
黒い黒い、小さな何かだった。
闇色で、四肢は細くねじれていて、歯はないようで。顔はしわくちゃ。老いているように見えて。赤ん坊のようにも思える。
奇怪な、怪物の子。
ああ、おあ、と鳴いている。泣いている……。
「助けられないかな」
おぞましいそれから離れたい。しかし、見捨てることもできない。弟は逡巡し、答えを求めるように、フェンネルを見つめる。
当然の報いだ、あんなものに構うのはよすんだ。そう言う代わりに、唇が紡いだのは。
「……救えないものというものは、あるんだ」
怪物から眼を逸らす。弟の手を取り、引っ張った。
「でも、」
「いいんだ」
僕たちが手を伸ばすことはない。
救えない。救うべきではない。
――救うつもりはない
最後の言葉は口にせず、黙々と歩く。赤ん坊の声が追いかけてくる。それは絶叫に変わる。耳をつんざくような、獣の声。人ならざるものに成り果てた。いつ終わるともしれぬ、世界の終わりまで……鳴き続けるか否か。
獣の声が、しゃくりあげるような調子を帯びる。そっと振り向けば、ぼんやりとした影が……やせこけた女に思えるそれが、赤ん坊を抱き上げていた。
ふっと、それが顔を上げる。フェンネルを見て、ああ、と声を上げる。ひび割れた、獣の響き。人の声とも思えない。だというのに、わかってしまった。
別れを告げているのだと。
ひらり、と手を振った。
「さようなら」
いつかどこかで、会ったかもしれない誰か。
ああ、ああ、と声が追いかけてくる。女の両の眼が美しい紅に煌めいた。
「お母さんかな」
女に手を振りながら、弟がほっと息を吐く。
「……それなら、よかったね」
あの赤ん坊は、お母さんと一緒にいられるんだ。
「似合いの母子だ」
ずっとずうっと寄り添うことだろうよ。
罪が赦されるまで。あるいは永遠に。
少しくらい情はあったということかな。ぽつんと落とした呟きは、あまりにささやかなものであった。
二人で散歩するように、海岸を歩く。どこに行けばいいんだろうねえ、と弟が言った。
「なるようになるさ」
赤ん坊の声が聞こえなくなった。そっと、繋いでいた手を離す。どうしたものかな、と思案しつつ、歩く。出口らしきものなど、どこにも……とあたりを見回す。
ふっと、視界の端を、白がかすめた。
「弟よ」
お前。守護霊を出したか? 問いかけて、間違いに気づく。
「やだな、フェン。僕のは牡鹿で――」
弟がぱちぱちと瞬く。
「あれは
ねえ、僕らを待っているみたいだよ?
そんなまさか、と鼻で笑い飛ばすこともできなかった。美しい牡鹿と牝鹿は寄り添い、こちらを見ている。双子が近づけば、軽やかに駆けていく。曇り空の下、昏い世界に、燐光が尾を引いて、ほろほろと散っていく。白銀の花片の如く。
導かれたその先に、ぼうやりと光る門があった。数歩離れた場所で、双子は立ち止まる。鹿の番が門の傍らで待っていた。早く行きなさいと言うように。
二人は顔を見合わせる。どちらともなく、歩を踏み出す。
行ってきます、と声を揃えて。
門をくぐった。