ゾイドワイルドヴァーサス‐不良がゾイドで抗争する学園都市で自分達を守るためにゾイドに乗る事を選んだ陰キャ学生の話   作:アイアイホイホイおさるさん

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#14

 四方を校舎で囲まれたリングにて、タルデ校の青き龍とアルバ校の黒き獅子が相対していた。

 ソニックレイダーとノワールライガー。両者は互いに闘争本能を剥き出しにして睨み合い、唸り声を上げている。ゾイドは既に互いを敵と認識しているようだった。

 

「ソニックレイダー………どうやらアイツを倒さないと先へは進めないようだ、やるよ!!」

 ギャオオオッ!!

 

 そして操縦者(ライダー)は、タスクが戦う覚悟を決めた。

 タスクが操縦桿を倒すと、それに応えるようにソニックレイダーも牙を剥いて突撃した。

 

「よく応えたァ!!」

 ガオオオッ!!

 

 そんなタスクに歓喜するように、ファングも操縦桿を倒した。ノワールライガーは吠え、四つの脚で大地を踏みしめて突撃する。

 

 ギャオオオッ!!

 ガオオオッ!!

 

 互いに吠え合う二体のゾイド。

 そして先に手を出したのはソニックレイダー。まずは牽制として、両サイドのレーザーガンをノワールライガー向けて放つ。

 

 ガオッ!!

 

 しかし着弾寸前の所でノワールライガーが飛んだ。

 空中に飛び上がり、同じようにブースターの両サイドに付けたショックカノンを放った。

 

「ソニックレイダー!避けろ!」

 ギャオッ!!

 

 ソニックレイダーもそれを寸前で回避した。しかし、回避したその先にノワールライガーの爪が襲いかかってきた。

 

「うわあっ!!」

 ギャオオッ!!

 

 強力な獅子の爪の一撃は、衝撃と共にソニックレイダーの身体をいとも簡単に吹き飛ばしてしまう。

 ガシャン、ズウンと地面に転がるソニックレイダー。そこにノワールライガーは、更にショックカノンによる追撃を続ける。

 

「どうしたァッ!!そんな物じゃないだろ!!(オレ)に本気を見せてみろォ!!」

 ガオオオォッ!!

「こいつ!戦いを楽しんでぇッ!!」

 ギャオオォッ!!

 

 獅子の牙と竜の爪。二体の高速戦闘ゾイドの爪と牙が交差する度にぶつかり合い、火花を散らす。

 それはさながら剣の達人同士による斬り合いであり、互いが互いの急所を狙い、それを互いの武器で防ぐという攻防の応酬が繰り広げられる。

 

「はははっ!やはり強いなお前は!タルデの腑抜け共の盾にしておくのが余計に勿体ない!!」

「お前の基準で物事を語るなぁッ!!」

 ガアッ!!

 ギャオッ!!

 

 口では強気であったが、タスクは内心焦っていた。いくら攻撃しようと、これまでのように決定的な一撃を与える事ができないからだ。

 それ所か、ファングとノワールライガーはまるで自分とソニックレイダーの思考を読んでいるかのように、自分の出した攻撃に合わせて迎撃してくるのだ。

 どれだけ攻撃しようと迎撃され、防がれ、攻守は平行線のまま時間だけが過ぎてゆく。

 何より恐ろしいのは、タスクは焦り息が上がっているのに対し、ファングには戦いを楽しむ余裕があるという事。

 

「このままじゃ埒が開かない!ソニックレイダー!!」

 ギャオッ!!

 

 必要だったのは状況をひっくり返すプラスアルファ。タスクは最後の望みをかけてレバーを引いた。

 耐Bスーツ越しに生命エネルギーが全身に走る感覚がし、ソニックレイダーのウィングスタビライザーが展開する。ワイルドブラストが発動したのだ。

 

「ストライクッ!!レーザークロォォーーーーッ!!」

 ギャオオオオーーッ!!

 

 ソニックレイダーのエネルギーを纏った爪が、ワイルドブラストにより増加した身体能力により、流星がごとき一撃の光となり繰り出される。

 その一撃がノワールライガーの装甲を穿つと信じ、タスクは無我夢中で操縦桿を倒した。

 

「ほう?」

 

 次の瞬間、ガキンという金属がぶつかる音が鳴った。一撃が届いた。そう期待したタスクの希望は無残にも打ち砕かれた。

 今まで、数多のゾイドを斬り裂いてきたソニックレイダーの爪は、ノワールライガーの牙に阻まれていた。

 渾身のストライクレーザークローを、ノワールライガーは文字通り「食い」止めていた。

 

 ギャオオ!?

「嘘………ッ!?」

 

 タスクは頭が真っ白になりそうだった。

 今まで数々の戦いに勝利をもたらして来た必殺・ストライクレーザークローを、ノワールライガーはワイルドブラストすらせずに受け止めていたのだから。

 

 ………ガオオオッ!!

 

 爪をくわえたまま、ノワールライガーは顎と首の筋肉のみでソニックレイダーを投げ飛ばした。

 まるで犬が犬用の玩具を振り回して投げるがごとく、ソニックレイダーを近くの瓦礫向けて放り投げたのだ。

 

「わああっ!!」

 ギャオオッ!?

 

 叩きつけられるソニックレイダー、砕ける瓦礫、立ち登る粉塵。

 突っ伏すように倒れたソニックレイダーに対し、ノワールライガーは未だその威風堂々とした姿で、王者のごとく佇んでいる。

 ダメージはおろか、疲れすら見えない。ワイルドブラストを受け止めた上に、打ち返してみせた。無論、無傷で。

 

 ………ガオオオオッ!!

 

 倒れたソニックレイダーを見下ろし、吠えるノワールライガー。その何もかもが、ソニックレイダーを上回っていた。

 タスクにはもうどうすればいいか、解らなかった。

 

「何をやっても防がれる………ワイルドブラストも無理………一体どうしたらいいんだ!?」

 ギャオッ………!

 

 思考に思考を重ねても、タスクにはファングを、ノワールライガーをどう倒すかのイメージが湧かないのだ。これまでの戦いで初めての経験だった。

 そしてそれが「敗北感」である事にタスクが気付くより早く、ファングは次の手を打とうとしていた。

 

「ここまで(オレ)を楽しませた褒美だ………"とっておき"を見せてやろう」

 ………ガオッ

 

 瞬間、ノワールライガーが身構えた。コックピットに座るファングは、改造制服の裏から何かを取り出す。

 ファングの手に握られたそれは、大きめの黒いナイフか短剣のようにも見えた。刃の部分は先端に二本の棘があり、赤い宝玉が埋め込まれているように見える。

 剣というよりは、何かの器具………電源コンセントのようにも見えた。実際、それは剣ではない。

 

「………さあやれ、ライガー!」

 ………ガッ!?

 

 ファングはその"器具"を、コックピットに後付けで取り付けられた接続口に、乱雑に差し込んだ。

 

 ガァアアアッ!!

 

 瞬間、ノワールライガーに強烈なエネルギーが走る。それは、外部から見てもわかるほどだ。赤黒いオーラのような余剰エネルギーが、ノワールライガーの全身から発せられていた。

 そしてノワールライガーは苦しむように悶え、唸り、叫びを上げる。

 

「あれはワイルドブラスト………いや、違う!あれはワイルドブラストなんかじゃない!!」

 

 一瞬、それはワイルドブラストにも見えた。だがタスクは直ぐに、それが違うと判断する。

 確かにワイルドブラストはゾイド側にも負担がかかる。だが、苦しんで叫ぶ程ではないからだ。

 

 「強制開放………デスブラスト!!」

 ガァアアアアーーーーッ!!

 

 ノワールライガーの全身から発せられた余剰エネルギーが、赤黒い炎となって左目に宿った。瞬間、ノワールライガーに異変が起きる。

 背中に乗せたブースターが大きく展開する。通常、ジェットを噴射するハズのそれは、大気中から何かエネルギーを逆に「吸引」しているようにも見えた。

 

「あれは………まさか!?」

 

 ………そこでタスクは、理科の授業で習った事を思い出した。ゾイドが地球に満ちた事により地球環境が激変し、大気中に微細な「ある物質」が混ざるようになった事。

 次に、ゾイド好きとしての知識を思い出した。その「ある物質」を応用した兵器が、古代のゾイドに搭載されていた事。

 

「まずい!!避けろソニックレイダー!!」

 

 ソニックレイダーを逃がそうとしたタスクだが、遅かった。

 瞬間、ノワールライガーの口腔の奥より展開した砲身からまばゆい光が広がった。

 白く、白く。それは周囲を包み、砕き、溶かしてゆく………

 

 ………名を「荷電粒子砲」と言った。

 大気中の荷電粒子を吸収・収束・加速させて撃ち出す所謂ビーム砲。

 射線上にある全てを分解し、消し去るこのコントロール不能の大量殺戮兵器は「悪魔の雷」と呼ばれ、国際法により復元・製造・使用の一切が禁止されている。

 そのハズだった。

 

「………相も変わらず凄まじい威力、世界が燃えてしまうワケだ」

 ガウ………ガォ………

 

 その一撃により校舎の一部を吹き飛ばしたファングは、久々に発動させたその威力を前に思わず笑みを浮かべていた。

 "器具"を引き抜かれたノワールライガーは、その全身を駆け巡るような痛みと負担から解放され、苦しそうに喘いでいた。

 そしてタスクとソニックレイダーは、荷電粒子の光に飲まれて跡形もなく消失………

 

「………おや?」

 

 は、していなかった。ファングの視線の先に、煙の向こうから現れるソニックレイダーが見えたからだ。

 助かったのは幸運だった。咄嗟にダメ元でソニックレイダーを飛び上がらせた事で、荷電粒子砲の直撃からはなんとか免れた。

 

 ギャオ………オッ………

 

 しかし万全とは言えない。現れたソニックレイダーは全身の装甲にダメージが入り、骨格の各部がショートし火花が散っていたからだ。

 タスクもコックピットに突っ伏し、モニターには機体の深刻なダメージを知らせる表示が出ている。こうして立っているのもやっとだろう。

 

「………フフフ、荷電粒子砲を受けてまだ立っていられるか。ますます気に入ったぞ」

「ぐっ………!」

 

 ノワールライガーが歩を進める。目標はソニックレイダー。今戦えばどちらが勝つかは一目瞭然。後は噛み砕くだけの簡単な仕事だと、ファングがトドメを刺そうとしたその時だった。

 両者の間を遮るように、突如爆発が起きた。否、飛来した弾頭が地面に着弾したのだ。

 

「誰だ!?」

 

 折角の勝負に水を差すのは誰だと怒るファング。そんな問いに答えるように現れたのは、空を切り裂く蒼き鋼鉄の翼。

 ゾイドコアの固有パルスを辿っての探索により場所を見つけ、急いで駆けつけた女教師とそのゾイド。

 

「私よ!!」

 キュオオンッ!!

 

 ゾイド部顧問、レベッカ・スチュワートの駆るスナイプテラ。それが翼の下にミサイルポッドを装備した重武装仕様で、アルバ校へ空から飛び込んできた。

 

「私は、その子の部活の顧問の先生よ!」

「タルデ校は喧嘩に先公が出張ってくるのか?!」

「誘拐されて連れてこられたなら大人が動くでしょ!普通は!!」

 

 スナイプテラはミサイルを撒き散らしてノワールライガーを牽制すると、隙をついて瀕死のソニックレイダーを両足で掴んだ。

 

「先生!」

「帰るよ、タスク君!」

 

 そして翼を広げ、ミサイルポッドを分離するとそのまま空高く飛び上がる。一瞬の内に、スナイプテラはソニックレイダーを連れてアルバ校の外へと飛び去った。

 逃げた。誰の目にも見ても明らかな状況であった。

 

「逃がすものかよ!」

総長(カシラ)!!大変です!」

 

 折角の魂震える相手を逃してなるものかと、配下のゾイドに狙撃させようと考えたファングであったが、その企みはすぐに潰された。

 

「ヴィーダ校です!ヴィーダ校のゾイドがカチコミを!」

「何だと………?」

 

 見れば、スナイプテラが飛び去った方向のちょうど真逆から、アルバ校を目指して進むゾイドの一団。アルバ校の宿敵、三高校が一つたるヴィーダ校の兵器ゾイド軍団。

 主力機のグソックの群れに加え、砲撃戦を得意とするキャノンブルが3機。

 そしてその中心に立つ、真っ赤なカラーリングのより巨大な移動要塞のようなゾイドが一体。

 

「ガハハハハッ!!ワシがヴィーダ高校総番シロー・キタジマであぁーる!!」

 

 ヴィーダ校の頭領(ヘッド)たるシロー・キタジマ。その専用機たるカスタムゾイド。

 スティラコサウルス型「スティレイザー」をベースに、ドリルユニットとミサイルを増設し赤く塗った通称「クリムゾンホーン」が、配下の軍団を引き連れて参上した。

 

「………どいつもこいつも、(オレ)をイラつかせやがる」

 

 ………心躍る戦いは、決着がつく直前で大人(レベッカ)の邪魔が入った。追いかけようとしたら、キタジマ率いる兵器ゾイド軍団の襲撃。

 初めて自分の思い通りに物事が進まない状況に、こんなにもイラつくのかと、ファングは自分でも驚いた。

 

「………今すぐ(オレ)達も部隊を編成しろ、ヴィーダの連中を迎え撃つ」

「はっ、はい!!」

 

 なら、この戦いで憂さ晴らしをしてやろう。強制解放(デスブラスト)でライガーが疲弊している今、戦力差も丁度いい。

 そう思いながらファングは、操縦桿を新たな敵目掛けて倒した。




・今日のゾイド
ノワールライガー
分類:ライオン型
私立アルバ高校総長ファングの操る、「ビーストライガー」を素体に徹底的なカスタムを加えたゾイド。
ただでさえ強力なライオン型をベースに更なる強化が加えられており、ファングの技量も相まってアルバ最強のゾイドとして君臨している。
強制解放(デスブラスト)する事で背部のイグニッションブースターに内蔵した荷電粒子ファンからエネルギーを吸収し、必殺の「荷電粒子砲」を放つ。
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