ゾイドワイルドヴァーサス‐不良がゾイドで抗争する学園都市で自分達を守るためにゾイドに乗る事を選んだ陰キャ学生の話   作:アイアイホイホイおさるさん

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#2

 その日もタスクは真面目に授業を受け、学校外にある学生寮の自室に帰る。そんないつもの日常を過ごすものだと勝手に思っていた。

 しかし、その日は違った。帰ろうとした直前、タスクは呼び止められた。

 

「あの、自分生徒会の者なんですが、タスク・ダイワさんですよね?」

「えっ?ああ、はい、僕がそうですが………」

「生徒会長があなたに話があると仰ってまして、申し訳ないんですが生徒会室まで出向いてくれますか?」

「僕にですか??」

 

 自分はアニメの主人公のような人間ではないときちんと自覚していたタスクにとって、それはまさに晴天の霹靂であった。生徒会など、これからの学生生活で関わることなどまずないと思っていたから。なんせタスクは、その生徒会長の名前も顔も知らないのだ。

 しかし、呼び出しを食らったなら会わなくてはならない。

 向かう道中、自分が知らない間に何か生徒会から睨まれるような事をやらかしたのか?と自問自答しながら、タスクは生徒会室の前にやってきた。

 

「………失礼します」

「うん、入ってくれ」

 

 中から、低い男子生徒の声が聞こえた。タスクは意を決して、生徒会室の扉を開いた。

 しかしやはり、現実とアニメは違うとタスクは思った。某ウマの娘のような荘厳な感じではなく、学生机と椅子と資料が置いてあるだけの事務的な部屋だった。

 

「一応入学式の時に顔は見てるだろうけど………はじめまして、生徒会長のダイスケ・ハイトだよ」

「………タスク・ダイワと言います、はじめまして」

 

 そして生徒会長の「ダイスケ・ハイト」も、カリスマ性のような物は微塵も感じられない。茸のような髪型に分厚い眼鏡という、ガリ勉そのものといった外見の男子生徒。

 おそらく、彼女も居ないだろう。

 

「まあかけてくれよ。ああお茶もあるよ、麦茶だけど」

「………どうも」

 

 しかしタスクに椅子に腰掛けて楽にするように促す様は物腰柔らかであり、生徒会長は伊達ではないとタスクは思った。

 そしてタスクに紙コップに入った麦茶を渡すと、一息ついた後に口を開いた。

 

「さて………君は、ウチの生徒がアルバ高校のゾイドに襲われ、金品を奪われた後に骨折までした。という事件は聞いているね?」

「………ええ」

 

 ハイトが切り出したのは、記憶に新しいカツアゲ事件だ。

 ラプトールに踏み潰されたらしく、足の骨にヒビが入ってしまい、その生徒は入院してしばらく学校には来ていない。

 タスクも、その事件の事は知っていた。そしてこれまで起きた同様の事件のように、その生徒はおそらく二度と学校には来ないだろうという事も。

 

「学校側はこの件に対して対応をするそうだよ、何だと思う?」

「そこまでは………僕も知りません」

「………通学路の見回りをするそうだ」

 

 べこり、と小さな音が鳴った。

 見れば、ハイトが握っていた麦茶のペットボトルが握り潰されていた。

 

「相手はゾイドを使っているのだよ?それを大人の見回り程度でどうにか出来るわけがない。おまけに相手校に抗議すらしない………学校が社会の縮図とはよく言ったものだね、弱い立場の人間に我慢させれば全て収まると思っている」

 

 言葉の圧が強くなるのをタスクは感じた。口調こそ紳士的であったが、ハイトに怒りが籠もっているのは見るに明らかであった。

 ハイトもその辺りは自覚していたようで、落ち着くために自分の紙コップに麦茶を注ぎ、それを飲んで一息つく。

 

「………会長が危機感を持っているのは十分わかりました」

「ありがとう」

「しかし、話が見えてきません。それと僕に、一体何の関係が?」

「ああ、すまない。つい話がそれてしまったね、では本題に入ろう」

 

 もう一口、ハイトは麦茶を飲んだ。想像以上に彼は憤っているようであった。

 

「察しの通り、私は学校の対応については不十分だと思っている。そこで、我々生徒も動く事にした」

「生徒がですか?」

「安心してくれ、先生や保護者や街の人達、それに市や警察にもちゃんと話を通している。公式の、きちんとした活動だ。三高校のような生徒の独断や暴走ではないから安心してくれ」

「だから、会長は何をしたいんです?」

 

 ハイトは、発言までに間を置いた。重要かつ、抵抗のある決断を下したようであった。

 して、その決断とは。

 

「………我がタルデ高校もゾイドを導入する」

「何ですって!?」

「ゾイドを買い、武装し、三高校のゾイドに対抗する。ゾイドに勝てるのはゾイドしか居ない」

「バカな!!奴等と同じになれと!?」

「違う、我々はあくまで自衛手段としてゾイドを使うだけだ。連中のように街の支配者を目指す訳ではない」

「しかし………!」

 

 タスクは、相手が目上の人間である事を忘れて声を荒らげていた。だがタスクのような優等生からすれば当然の反応でもあった。

 言うなればそれは、近隣の不良校に対抗する為に進学校で木刀を導入するようなものであり、結果的に不良達と同じようにゾイドに乗って戦う=同じ穴のムジナになれと言っているようなものである。

 

「………それで、何のゾイド買うつもりですか」

 

 しかし、ハイトの言った「ゾイドに勝てるのはゾイドしかいない」というのもまた現実。

 個人の美学的な問題は確かにあるが、タスクは一旦それを飲み込む事にした。

 

「そうだな、早急に戦力差を埋めるなら、ワイルドライガーとかどうだ?」

「馬鹿ですか貴方は!!」

 

 しかし一度黙ったタスクは、更に声を荒げた。

 

「確かにライガー(ライオン種)は強力なゾイドです!でも一方でプライドの高い扱い難いゾイドでもあります!言う事を聞くよう調教するにしても、プロでも最低一年はかかるんですよ!?持て余すだけです!」

「………偉く詳しいじゃないか。ゾイドは嫌いなんじゃなかったのかい?」

「えっ………」

 

 そしてタスクはここで、ようやく自分がカマをかけられた事に気付いた。

 

「すまないが、君の事を色々と調べさせてもらったよ」

「………どこまで知ってるんです」

「県内中学対抗セミゾイドバトル大会優勝、ラプトールロデオ大会準優勝、中2の自由研究ではゾイド生態学の論文を発表し、県内中学の部で優秀賞を獲得………」

「………子供の趣味の延長線上ですよ」

「いいや、今このタルデ校で君以上にゾイドに精通した人間はいない」

 

 ハイトの言っている事は全て当たっていた。

 タスクは、優秀な生徒会長というのはアニメの中にしかいないと思っていた。しかし、目の前の切れ者のように何事にも例外があるというのを今知った。

 そして、そんな切れ者ハイトが自分に何をさせようとしているのかも。

 

「タルデ校が導入する最初のゾイド、君にはそれに乗ってもらいたい」

 

 タスクは愕然とした。眼前の切れ者生徒会長は、自分に大嫌いな不良のゾイド乗り達と同じ土俵に立ち、学校を代表して戦えと言ってきたのだ。

 

 

 ***

 

 

 タルデ高校、ゾイドを導入す。

 その衝撃的なニュースは瞬く間にタルデ校全土へと広がった。

 この街において不良の象徴的存在であったゾイドが進学校であるタルデ校にやってくるという事への拒絶。

 普段からゾイドに乗り慣れた不良に着け焼き刃のゾイドで勝てるのかという不安。

 そんなほとんどマイナス方面な意見しかない中であるが、ついにこの日タルデ高校にゾイドがやってきた………。

 

「………ライオン種じゃなかったのはいいけど、こいつかぁ………」

 

 搬入用のトレーラーを苦い顔で見つめるタスク。荷台に乗せられて学校の運動場(グラウンド)に運び込まれたのは、獣脚類………肉食恐竜のような外見をした青いゾイドだった。

 

「ソニックバード………いや、ギルラプターか?」

 

 一見するとそれは、飛行能力を持った始祖鳥型の「ソニックバード」にも見えた。しかしその特徴的な翼はなく、代わりに短いブレードが背中から伸びている。そして連装砲があるべき場所には腕が生えていた。

 装甲こそ腕以外はソニックバードと同一のものを使ってはいたのだが、骨格は近縁種であるディノニクス種ゾイド「ギルラプター」のそれだった。というか、ギルラプターの骨格にソニックバードの装甲をつけたらこうなる、といった外見である。

 

「ギルラプターで合ってるわよ、坊や」

「えっ?」

 

 眺めていると、横から解説が飛んできた。男子校では聞き慣れない女の声だった。

 

「保護された時点で何処かで争ったのか、装甲のほとんどを失っていてね、そこでソニックバードの装甲を移植したのよ」

 

 一見の印象は「ハリウッド映画に出てくるアメリカ人女性化学者」である。金髪ブロンドの髪に青い目、潤う口紅(ルージュ)が輝き、白衣をコートのように着たお姉さんがそこにいた。

 言うまでもないがそのバストは豊満であり、タスク以外にもチラチラと視線をやっている。某サンダース学園の隊長を成長させたようと言うか、彼女に姉か母親がいたらこうなるだろう、な外見を想像してもらえばいいだろう。

 

 そんな美女を観る分には悪い事はないのだが、問題が一つある。そのブランド美女が何者で何故ここにいるのかをタスクは知らないのだ。

 

「………お姉さん誰です?」

「ああ、彼女はスチュワート博士。ヘリック大学から来てくれたゾイド技術者だよ。私が呼んだんだ」

「会長!」

 

 答えを出してくれたのは、同じくゾイドの納品に立ち会いに来たハイト会長だった。

 

「レベッカ・スチュワートよ。よろしく」

「は、はじめまして………」

 

 その「レベッカ・スチュワート」博士に握手を求められ、恥ずかしげに応じるタスク。思春期男子にとってブロンド美女の柔らかな手の感覚は刺激が強いのだ。

 

「それで、この子は「ソニックレイダー」よ」

「ソニックレイダー………ギルラプターじゃなくて?」

名前(ニックネーム)よ、名無しじゃ味気ないでしょ?」

 

 ネーミングセンスが競走馬みたいだとか、仮にも自衛戦力に襲撃者(レイダー)は無いだろうとか言いたいことは色々あったが、タスクは飲み込んだ。

 そしてそのギルラプターこと「ソニックレイダー」を見上げ、タスクは息を呑んだ。

 本物のゾイドといざ対面すると伝わるその生命力、息遣いはやはり圧倒されるものがあった。

 

「(僕が………ゾイドに乗るのか………)」

 

 だがそれでも、その胸中に踊るものは無かった。

 まるでテストを控えた1週間初日のようなどんよりとした感情がタスクの中を渦巻いていた。

 戦いが怖い以前に、ゾイドに乗るという行為そのものに、タスクは忌避感を抱いていた。




サルでもわかる!ソニックレイダーの作り方講座

★用意するもの
ギルラプターLC※
ソニックバード

★作り方の工程
ギルラプターの骨格を組み上げる。

ソニックバードの頭、背中、尻尾のパーツ、並びにキャップを付ける

翼の代わりにAZウイングソードを付ける

それ以外の部分のギルラプターの装甲を付ける

完成

※入手が難しいなら普通のギルラプターを塗装で色変えしてもよい
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