ゾイドワイルドヴァーサス‐不良がゾイドで抗争する学園都市で自分達を守るためにゾイドに乗る事を選んだ陰キャ学生の話   作:アイアイホイホイおさるさん

7 / 29
#7

 つい先日タルデ高校を襲ったファングタイガーのミトラであるが、単独での襲撃であり、本来彼は三人で組んで行動するチームプレイヤーである。

 その残り二人の仲間というのが、同期(クラスメート)のフタトラと、兄貴分(センパイ)のイチトラである。

 そして彼等は、同じ仕様と武装を搭載した合計三機のファングタイガーによるチームを組み、三人一緒に戦う戦法を得意としている。

 そして付いたあだ名はずばり「アルバの三匹虎(タイガーズ)」。

 

 グルガァアア!

 ガゥルルルル!

 

 そんな三体のファングタイガーが登場として現れ、タルデ高校付近の商店街は騒然となった!

 

「わああ!ゾイドだぁ!」

「ここで戦うつもりか!?」

「みんな逃げろ!」

 

 ゾイドの出現を前に、逃げ出す人々。

 三高校をはじめとする不良達のゾイドを使った抗争が盛んな学園都市リヒトにおいて、ゾイドが現れる事が何を意味するかを街の人々は知っているのだ。

 そしてそんな中、逃げたくても逃げられない者達がいた。それは。

 

「オラッ!大人しくしろっ!」

「ひいいっ!」

 

 両手足を縛られ、拘束されたタルデ校の生徒達だ。彼らは三機のファングタイガーに囲まれており、牙を突きつけられて逃げる事ができない状態にある。

 

「いいか?テメーらは人質だ、せいぜい泣き喚いてあの青いゾイドを呼べ!」

「あっ、あれと俺達は関係ない………!」

「うるせぇぞ!タルデ校の制服着てる時点で同罪だボケッ!!」

「がふっ!?」

「ぎゃはははははは!」

 

 意見した一人がミトラのファングタイガーの前足で叩くように蹴飛ばされる。その生徒はそのまま地面に倒れ、それを見てイチトラとフタトラは笑っている。

 タルデ校の生徒達はすっかり怯えきってしまい、彼らの目には涙が溜まり始めていた。

 

 ギャオオォーーーーン!!

 

 その時だった。

 そんな三人のバカ笑いを引き裂くように、咆哮が響き渡ったのは。

 

「この声は?」

「おっ、来たな!?」

 

 俺はここにいるぞ!と言うかのように現れたのは、二足歩行の恐竜型の青いゾイド………ソニックレイダー。

 ソニックレイダーの巨体が、商店街の路面に轟音と共に降り立った。その鋭い眼光が、人質を囲む三機のファングタイガーを射抜く。

 まるでヒーローのように、ソニックレイダーは三機のファングタイガーの前に敢然と立ち塞がった。

 

「タルデの腰抜けの分際で、逃げずに来てやったのは褒めてやるよ!」

 

 ファングタイガーは人質を嬲る事をやめ、ようやくやってきた獲物の前にズシンズシンと向かってゆく。商店街を舞台に、三機のファングタイガーとソニックレイダーが睨み合う。

 

「お前らに褒められたってうれしくとも何ともないね!そんな事より人質を解放しろ!僕は来てやったぞ!」

 ギャウッ!!

 

 ミトラ達にとっては因縁の相手との再戦といった感じなのだが、タスクからすれば無関係なタルデ校の生徒を巻き添えにされただけに過ぎない。

 

「おもしれぇ!こいつ、正義の味方気取りか!」

 グァルルルッ!!

 

 イチトラのファングタイガーが爪を研ぎながら唸る。

 

「言っておくが悪いのはお前なんだぜ?タルデ校の分際で俺達に恥かかせてくれたんだからよ!」

「戦争だ!!かかってこいやゴルァ!!」

 

 続きフタトラ、そしてミトラも殺意と怒り、闘争本能を丸出しにして罵倒を浴びせる。

 普通なら、不良にここまで凄まれたら今までのタスクなら震え上がって逃げていただろう。卑屈になり、自分の好きからも目を背けていたタスクなら。

 

「………生徒同士がゾイドで喧嘩して、何が戦争だよ」

「あぁ?」

 

 だが今のタスクは違った。

 

「まだ社会に出てないガキが、街の頂点(テッペン)取るだの、何々校の誰とタイマン張るだの………親に学校通う金払ってもらって、社会の大人に食わせてもらってる分際で、恥ずかしいと思わないのか………?!」

 

 今のタスクなら面と向かって言える。陰口ではなく、直接。怖くてたまらない不良達に抱えていた怒りも、ぶつけたかった正論も。

 自分と、ゾイドが好きな自分と向き合い、受け入れたタスクはもう以前のタスクとは違うのだ。

 

「だから僕はお前達不良が大嫌いなんだ!ゾイドを悪いことに使うお前達が!そんなにゾイドで戦いたいなら軍隊にでも入れッ!!」

 ギャオオオオーーーーーンッ!!

 

 タスクの激昂と共に、それに応えるかのようにソニックレイダーが大地を蹴って突撃する。ターゲットは眼前の不良、三体のファングタイガー。

 

「偉そうに説教しやがってお前らッ!ヤツを"ノシ"ちまえ!!」

「「了解!」」

 グルガァァアーーーーッ!!

 

 対する、イチトラ、フタトラ、ミトラの操る三体のファングタイガーも、ソニックレイダー目指し突撃する。

 三人の不良は、偉そうに説教されて激昂していた。が、一方でこれまでの戦いの経験から、冷静に判断している部分もあった。

 狙いを定め、引き金を引く。先頭を走るイチトラのファングタイガーがビームガンを放った。

 

「うわっ!?」

 ギャウッ!?

 

 対するタスクは、やはり実践経験が不足していた。

 ファングタイガーの放ったビームガンを回避できなかった。ソニックレイダーの足元に着弾し、バランスを崩してしまう。そこに。

 

「今だ!フタトラ!ミトラ!あの青いゾイドに「トライタイガーアタック」を仕掛けるぞ!」

「「了解!」」

 

 突っ込んでくる三機のファングタイガー。

 まずは先頭を駆けるイチトラ機が、前足を振りかざして爪の一撃を入れる!

 続いて、フタトラ機が牙を剥き、噛み付く!

 最後にミトラ機がビームガンを放ち、その全てが一瞬のうちに連撃となり、ソニックレイダーに襲いかかった。

 

 これぞ、彼ら3人が名を挙げている最大の理由。息の合った連係から繰り出される合体攻撃「トライタイガーアタック」である!

 

「がああっ!」

 ギャアアンッ!!

 

 連続攻撃により吹っ飛ばされ、勢いよく地面に叩きつけられるソニックレイダー。

 なんとか立ち上がるも足取りはフラフラとしており、各部の機器にから電気が漏れてスパークするバチバチという音が聞こえる。ダメージは確実に入っている。

 

「はははっ!効いてる効いてる!さあもう一度、トライタイガーアタックだ!」

 

 三体のファングタイガーがUターンして戻って来る。二度目のトライタイガーアタックでトドメを刺すつもりである。

 早くも迎えた危機にタスクは、冷静に、己の置かれた状況を分析する。

 

「ぐっ、悔しいけど、奴らの連携は本物だ………それに戦闘経験も僕より上だ………この状況をどうにかする手段があるとしたら、それは………!」

 

 実を言うとタスクには一つだけ「切り札」があった。しかし、それは自分自身にもリスクのある諸刃の剣である。

 どうするか?やるのか?そう考えている間にも、ファングタイガーは向かってくる。

 

「「「トライタイガーアタック!!」」」

 

 三機のファングタイガーが一列に重なる。もう迷っている場合ではない。タスクは意を決して、コックピットにあるレバーを思い切り引っ張った!

 

「ワイルドブラストだああっ!!」

 ギャオオオッ!!

 

 瞬間、焼けるようなエネルギーの波動がタスクの全身を走った。タスクの神経がソニックレイダーと繋がり、ゾイドの生命力が流れ込んでくるのを感じる。

 そして、駆けるソニックレイダーにも変化が起こる。背部と尻尾のブレードが展開し、手足の爪にエネルギーの光が輝く。

 

 ………ワイルドブラスト!ゾイドの持つ力を解放させる、切り札というべき力!ソニックレイダーの場合は「エヴォブラスト」に分類されるそれが、ついに解き放たれた!

 

「なんだあいつ!ワイルドブラストしやがるのか!?」

「ハッ!あの短いブレードで何ができる!?あれで原型機(ギルラプター)の性能なんざ発揮できねえよ!」

「さあノシちまえ!!トライタイガーアタックだァッ!!」

 

 そこに、再び連携攻撃(トライタイガーアタック)を仕掛けんと迫るファングタイガー。先頭を駆けるイチトラのファングタイガーがソニックレイダーを穿とうとした、その時。

 

「な………!?」

 

 ファングタイガーの爪の一撃は宙を切った。イチトラの反射神経よりも早く、ソニックレイダーは地を蹴って空へと舞っていた。

 そしてエネルギーを纏った脚爪(クロー)で、ファングタイガーの背中を踏みつける!

 

「俺を踏み台にしたァ!?」

 

 そしてイチトラのファングタイガーの背部ユニットを破壊。そのままさらに飛び上がる。その先にはフタトラのファングタイガー。

 そして眼前に迫るソニックレイダーを前にして、フタトラは見た。

 

「これは………(ブレード)じゃない!(スタビライザー)だ!」

 

 そもソニックレイダー、もといギルラプターは背中のジェットブースターにより加速し疾走する。

 そして背中から伸びた短い刃は、加速時に安定して前に進むためのスタビライザーとして機能していた。

 それを知った直後、フタトラのファングタイガーは、左前脚にエネルギーを帯びた爪を食らい、吹き飛ばされた。

 

「バカな………!」

 

 そして最後に残ったミトラのファングタイガーに対し、ソニックレイダーは縦に回転しながら、足と腕の両方の爪による連撃を叩き込み、頭部の装甲をかち割るダメージを与えた。

 

 「ストライクレーザークロォォーーーッ!!」

 

 その、僅か一瞬ほどの時間で、ソニックレイダーは三機のファングタイガーを一気に叩きのめし、撃破する。

 

 ギャオオォォーーーーーーンッ!!

 

 そして大ダメージを負い戦闘不能になったファングタイガー達が倒れる中、ソニックレイダーは降り立ち、天高く吠えた。ソニックレイダーの勝ちだ。

 

 

 ***

 

 

 彼等は、タルデ校の一般生徒である。そして今回不運にもソニックレイダーをおびき出すための人質にされてしまった。が、それを救ったのもソニックレイダーだった。

 

「なあ、あのゾイド………」

「ああ………俺達を助けてくれた」

 

 見れば、遅れて駆けつけた警察によって、不良達が乗り捨てて行ったファングタイガーが回収されてゆく。おそらく、ソニックレイダーのように保護施設に送られるのだろう。

 そして、彼らを助けたソニックレイダー、そしてタスクはというと。

 

「はあ、はあ………予想はしていたが、かなりキツいな………!」

 

 ソニックレイダーは何ともなかったが、タスクは一気に押し寄せてきた疲労感により、コックピットに突っ伏していた。

 そもワイルドブラストとは、パワーアップと引き換えにゾイドは勿論搭乗者(ライダー)に大きな負荷がかかる諸刃の剣であり、軍では専用のスーツを着る等して負担を軽減している。

 しかしタスクは生身の状態で発動した。発動時間こそ短かったが、それでも立ち上がる力をほとんど奪う程の負担をタスクにかけていた。

 

「………身体、鍛えなきゃなぁ………」

 

 初戦に続き、消耗して倒れる最後という形で勝利を締めくくったタスク。このままではいけないと、タスクは歯を食いしばった。

 何故ならタスクとソニックレイダーの戦いは始まったばかりだから。早急に、体力を維持したまま勝つ方法を考えなければならなかった。




・今日のゾイド
ファングタイガー(アルバ校仕様)
種別:サーベルタイガー型
高いパワーとスタミナを活かし、高速戦闘で一気に敵を殲滅する戦法を得意とする虎のような外見のゾイド。
イチトラ、フタトラ、ミトラの操るアルバ校仕様は背中にレーザーガンを装備しており、三機の連携で敵に連続攻撃を仕掛ける「トライタイガーアタック」という合体技を得意としている。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。