ゾイドワイルドヴァーサス‐不良がゾイドで抗争する学園都市で自分達を守るためにゾイドに乗る事を選んだ陰キャ学生の話   作:アイアイホイホイおさるさん

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第3章「ガノンタス捕獲大作戦〜ヴィーダ校の襲撃〜」
#8


 ◆◇◆これまでのあらすじ◆◇◆

 不良達がゾイドを使った抗争に明け暮れる学園都市リヒトにて、優等生学校であるタルデ高校は、それらから自衛するためにゾイドを運用する部活・ゾイド部を立ち上げた。

 ゾイド部所属となった少年タスク・ダイワは、再戦を挑んできたミトラ、フタトラ、イチトラの操る三体のファングタイガーを前に苦戦を強いられる。

 タスクは奥の手として、相棒ゾイドのソニックレイダーの本能を解放させるワイルドブラストを発動。

 必殺のストライクレーザークローにより、見事三体のファングタイガーを撃破したのだった!

 

 

 ***

 

 

 ヴィーダ工業高校。

 学園都市リヒトの西側を支配下に置くその学園は、持ち前の工業力や技術力を活かして、外付けや改造で様々な武装を追加した「兵器ゾイド」を多数保有しているのが特徴だ。

 そして何故か、関西弁で話す学生、そして筋骨隆々とした体格のいい生徒がほとんどを占めている男子校だ。

 してその外観は、工業力という概念をそのまま形にしたような、巨大な工場の集合体のような姿をしている。

 

「タルデとか言うガリ勉校が、ゾイドでアルバの三下とドンパチやったってのはホンマか?」

「間違いありません、商店街で派手に戦闘()り合ったようで、目撃した奴は何人もおります」

 

 そんな彼らが話しているのは、数日前に起きたとある商店街でのゾイドによる戦闘の話。

 地域のローカルニュースにも載ったそれは、イチトラ、フタトラ、ミトラのファングタイガーと、タルデ校の青いゾイド………タスクの操るソニックレイダーの戦いである。

 

「言うてガリ勉校やろ、そんな警戒するような事でも………」

「いや、そうとも言えへんぞ」

 

 教室………という名の、学級崩壊により不良達の溜まり場になったその場所の戸をガラリと空けて、より大柄な生徒が入ってきた。

 

「あっ、キタジマの兄貴!」

「よぉ、その話ワシも聞いたで」

 

 彼こそ、このヴィーダ校を支配するヘッドである、この時代に珍しい古風で硬派な不良を体現するかのような、厳つい外見の男。

 某ポストアポカリプス拳法漫画に登場する世紀末覇王を若返らせて、そのまま学ランと白シャツを着たような彼は「シロウ・キタジマ」。ゴツすぎておっさんのような外見だが、立派な学生である。

 

「いや言うても兄貴、タルデ校ってそこら辺にあるような腑抜けのオタク学校やんけ?そんな警戒するような事なんてあるんか?」

「フフ………そう思うじゃろう?」

 

 すっかりタルデ校を舐めきった態度の不良生徒。

 タルデ校は当然今まで三高校による街の覇権をかけた抗争にも参加せず、更にはオタク気質の大人しい生徒の多い学校。軽く見られるのも仕方がない。

 だがそんな彼に対し、キタジマは意味深げにニヤリと笑う。

 

「なんや………兄貴は何か知っとりますのん?」

「そのタルデ校の腑抜けが、耐Bスーツ無しでワイルドブラストやったって聞いたら、お前ら信じるか?」

「な、なんやって!?」

 

 そう言ってキタジマが渡してきたのはタブレット端末。そこには誰かが撮影して動画サイトにアップロードされた、商店街での一戦が流れていた。

 確かに、動画内のソニックレイダーはワイルドブラストを発動し、ファングタイガー三機を一瞬の内に撃破してみせていた。

 

「エヴォブラストにしろマシンブラストにしろ、耐Bスーツ無しでやろうもんならその負荷はかなりのもんやで!」

「それにこの手際の速さ………これをホンマに生身でやったんか!?」

 

 不良達が息を呑む様を見て、キタジマもニヤリと笑う。

 

「………確か、グスタフ公園に野生化したガノンタスがおったよな?」

「ええ、公園の一部を封鎖しとるっちゅーやつですか」

「計画を早めるで、アレを捕まえる。今は一体でも多くのゾイドがいるんや」

 

 不敵に笑うキタジマの目は、このリヒト市をめぐる抗争が新たな局面を迎えようとしている事を察知していた。

 

 

 ***

 

 

 ある操縦者(ライダー)曰く、ゾイドの醍醐味とはカスタマイズにあるとの事。

 細かいパーツから塗装、武装に至るまでを自分に合わせ、なおかつ好きなように改造・改修する事こそ、相棒ゾイドと過ごす日々の中で一番楽しい事………らしい。

 

「やっぱ武装がつくと違うな、うん」

 

 ゾイド部部室の格納庫にて、タスクはそんな何処かの誰かが言っていた事があながち間違っていないという事を噛み締めていた。

 視線の先のソニックレイダーは、両脚部の武装取り付け位置(ハードポイント)にレーザーガンを新たに装備していた。

 見れば、タブレットを手にしたレベッカが細かな機体の調整を行っている。

 

「ファングタイガー戦のデータを解析した結果、この子に足りないのは遠隔武器という結果が出たからね。これなら、武器を装備したゾイドとも互角に戦えるハズよ」

 

 前回撃破したミトラ、フタトラ、イチトラのタイガートリオであるが、どうやら深夜の暴走行為で有名だったらしい。

 本人達こそ逃がしたが、乗っているゾイドの接収は完了したとの事で、市から多額の謝礼金が出る事になり、それでお金に余裕が出来て今回の武装化に繋がったという事である。

 

「大丈夫かソニックレイダー、重たくないか?」

 ギャウギャウ!

「そうかそうか、大丈夫そうで何よりだ!」

 

 そう、ソニックレイダーを気遣い、喜ぶ様を見て自身も笑うタスクの姿を見ていると、すっかり操縦者(ライダー)と相棒ゾイドとしての信頼関係を築いているように見える。

 とても、ゾイドは不良が乗るものだから嫌いだと言っていたひねくれ少年と同一人物とは思えない。

 そしてソニックレイダーも、これまではワイルドブラスト時を含めても爪と牙による格闘戦しか無かったが、今回の武装化でようやく飛び道具を手に入れた。

 これで戦術の幅は大きく広がる事だろう。

 

「それで、相棒ゾイドが武装化(おめかし)した感想はどう?タスク君」

「こう言っちゃ何ですけど、ワクワクしちゃいますね。早く試し撃ちしてみたいですね」

「なら、早速試し撃ちに行くといい」

 

 和やかなムードのゾイド部に割って入る声の主、それは。

 

「ハイト会長!」

「やあ、よくやっているようだねゾイド部の諸君」

 

 生徒会長ダイスケ・ハイトがそこにいた。部室に訪れるのは立ち上げ初日以来である。

 

「試し撃ちといいますと、まさかまた三高校の不良が暴れているんですか?」

「いや、そういう話ではない………だがこれは、君達ゾイド部でしか解決できない仕事だと私は見ている」

 

 どういう事だ?と思うタスクに対し、ダイスケは一部の新聞を差し出した。リヒト市が出している、市内の情報を記したローカル新聞である。

 

「えーと何々………グスタフ公園の池にガノンタスが住み着いた?」

 

 新聞の内容はこうである。

 タルデ校から少し離れた場所に、市民の散歩スポットとして知られる、そこそこの広さと豊かな自然がある「グスタフ公園」がある。

 そこの池に巨大な亀のような姿をしたゾイド・ガノンタスが、いつの頃からか住み着くようになり、多数の目撃情報が寄せられているという。

 

「危険なゾイドを扱う部活だ、街の皆様にもいい所を見せる必要がある。野良ゾイド退治はまさに、そんな我々にうってつけだと思わないかね?」

 

 なるほど、これは確かにゾイド部にしかできない仕事である。と、タスクはハイトに頷いた。

 

 

 ***

 

 

 さて、ここはグスタフ公園。

 いわゆる遊具があるタイプの公園ではなく、木々が生い茂る庭園の中に長い散歩道がある、大人にとっては憩いの場だが子供が来ると少々退屈なタイプの公園である。

 

「すいませんレベッカ先生、折角の休みなのに出てきてもらっちゃって………」

「いいのよ、これもゾイド部顧問の仕事よ」

 

 そして今日は日曜日。タスクはゾイド部の活動の一環として、引率で来たレベッカ、そしてソニックレイダーと共にそのグスタフ公園にやってきていた。

 公園内は広く、ソニックレイダーが入っても十分走りまわれるような広さがあった。

 タスクは、もしガノンタスと戦闘になっても大丈夫だなと思った。もっとも、そんな事は無いに越した事は無いが。

 

「みんな久しぶり!」

「レベッカ!久しぶり!」

 

 その問題の池に向かってみれば、既に数人の人が待ち構えていた。

 それはレベッカの本来の所属であるヘリック大学の人達だ。大学の公式イベントやフィールドワークで着ているというヘリック大学公式のジャケットを着ていたのですぐに解った。

 

「という事はこの子がゾイド部の?」

「タスク・ダイワと言います、本日はよろしくお願いします」

 ギャウッ!

 

 彼らは民間のゾイド研究チーム。ゾイド部だけでは流石に無理だとして、レベッカに呼ばれてゾイドの捕獲の手伝いに来てくれたのだ。

 ソニックレイダーの保護も彼ら行ったという事もあり、ソニックレイダーも再会を喜ぶように唸っていた。

 

「それで、問題のガノンタスは?」

「ああ、丁度あそこに顔出してるよ」

 

 研究チームの一人が、池の方向を指指した。

 このグスタフ公園内の池であるが、広大なグスタフ公園が内包しているだけはあり、向こう岸がミニチュアのように小さく見える程大きい。

 岸にはスワンボートがレンタルできる無人の船着き場があり、休日になると子連れの家族で賑わう、町のちょっとしたスポットである。

 ………いつもの休日なら、の話であるが。

 

「あ、いた!あそこ!」

 

 そんな市民憩いの場が安全のために封鎖されている原因は、レベッカの指さす先に居た。

 一瞬浮島に見えたが、その正体は巨大な金属の甲羅。陸ガメを思わせるシルエットの緑色のそれは、古代亀プロガノケリス種のゾイド・ガノンタスである。

 水面に静かに佇むその姿は、まさに湖の怪物である。

 

「すっかり池の主気取りね………」

「ガノンタス自体は大人しい方だけど、ゾイドである以上は危険だから、早くどうにかしないと」

 

 性格は温和であり、甲羅内にある大砲もワイルドブラストしなければ使えないガノンタスであるが、巨大な生物が公共の場にいる事自体が危険なのだ。

 早急に捕まえて保護しなくてはならなかった。

 

「それで、どうやって捕まえるのかしら?」

「ゾイド用の罠を岸辺に設置して、そこに(レッゲル)を置いてある。そこまでガノンタスを誘導して欲しい」

「僕とソニックレイダーの出番ってわけだ」

 ギャウ!

 

 ふと視線をやれば、池のすぐ近くに巨大な機械の箱が設置されているのが見える。ゾイド捕獲に使われる箱罠だ。中にゾイドが入ると、特殊な電流が流れてゾイドを眠らせる仕組みだ。

 そしてタスクとソニックレイダーに与えられた使命は、そこまでガノンタスを誘導する事だ。

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