やさしい夜の灯火   作:処女作侍

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反応良ければ続きます


感染

2030年。世界は混沌に包まれた。

突如として世界中に現れ始めた生き物により、一ヶ月もしないうちに大半の都市が壊滅状態に陥ったのだ。

「ウイルス」と名付けられたそれは、今現在もいたるところを闊歩しており、被害が後を絶たない。

―ここで勘の良い皆さんは、今現在も世界が存続していることを疑問に思うかもしれない。

一ヶ月もしないうちにそれだけの被害を出したのに、2035年になる今、ボロボロの状態とは言え世界が存続しているというのは道理に合わないからだ。

そこで出てくるのが、今から皆さんにも検査を受けてもらう「イミュニティ」という能力だ。

この能力を持った人たち、皆さんでもわかるように言うなら「バスター」が、これまで世界を守ってきたのだ…

 

「ってことだから、みんなにはこれからイミュニティ検査を受けてもらうんだけど、準備は良いかな?」

挑発的な笑みを浮かべてこちらを見つめてくる教師の視線に、教室のボルテージは最高潮に上がる。

「ついに俺たちもバスターになれるのか!!」

「僕、フレイムみたいなかっこいいイミュニティがいい!」

浮かれ上がる生徒たちをなだめるために、教師は話す。

「残酷なことを言うけど、みんなが知ってるバスター達みたいな派手でかっこいい能力を想像してると後々後悔すると思うよ。実際はほとんどの人が低級の身体能力強化なんだから。」

水を差すような教師の発言に、教室から不満の声が上がる。

「だからって夢くらい見てもいいじゃん!」

「大人げないよ先生!」

 

「それでおちこんだ生徒に気を使うのは毎回ぼくの役目なんだけど…まぁそれは今はいいか。

じゃあ、今からいよいよイミュニティ検査するから、みんな指示に従ってね。」

 

テキパキと指示を出す教師とは裏腹に、生徒たちは困惑している。

このクラスの図書委員である水島風吹もその中の一人だ。

(イミュニティ検査ってもっと幻想的なやつ想像してたけど、思ったより地味なんだな…)

クラスでは浅く広くの関係を徹底し、あまり意思を積極的に出さない風吹だが、その実バスターに対する憧れは人一倍強い。だからこそ、漫画のようなかっこいいイミュニティ検査を期待していたのだが、現実はそう上手くはいかないようだ。

支給されたスマートウォッチに表示されるだけという簡素なものに、早くも風吹の憧れは消えかかっている。

「それじゃあ、準備ができたら各々のタイミングでステータスを開いてね。スマートウォッチに向かって心のなかでインフェクションって叫んだら、画面にステータスが表示されるから。」

教師の言葉に、自然と風吹の背筋が伸びる。いくら形式が地味であるとは言え、長年(といっても、まだ齢10にもなっていないが)夢見たイミュニティが、ついに今日判明するのだ。緊張するなという方が無理がある。

 

(フレイムやブリザードみたいな派手なものでなくていい、だから最低限バスターとして戦える力をください…)

 

切実な願いを胸に、風吹はついにその詞を唱える。

 

(インフェクション!!)

 

途端、真っ黒だったスマートウォッチの画面に、幾何学的な模様が刻まれ始めた。

 

「うぁ、ぁ」

忙しなく現れる文字の数々に、スマートウォッチから目を離せなくなる。

いくつかの規則的な動きを繰り返した後、画面は一定の状態に収まった。

 

先に進む覚悟はありますか?そう表示された画面を見て、いくつかの熟慮を挟んだ後、僕は…

 

 

 

 

 

 




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