最近は病院に行ったりしていてなかなか時間が取れなかったもので
あと書こうとすると“スン”ってなって書く気がなくなってしまいまして。
そんな私ですがこれからも見ていってください。
暗闇の中を、ひとつの影のようなものが進んでいる。
……いや、進んでいるというか、歩いているというか。
正直、自分でもよく分からないが…
岩でできた通路は相変わらず無骨で、
見渡す限り、同じような景色が延々と続いている。
「……」
胸の奥が、じわりと重い。
理由は、はっきりしている。
「はぁ……」
「……絶対、怖がられてたよな」
思い出すのは、先ほどの冒険者たちの目。
恐怖。
警戒。
そんな目。
助けたはずだった。
少なくとも、俺の中ではそうだった。*1
黒い霧に包まれた自分の腕を見下ろす。
「……まあ、そりゃ怖いよな」
誰に言うでもなく、
というか、ほぼ自分に言い聞かせるように呟く。
黒い霧だし。
影だし。
銃持ってるし。
どう見ても人ではない。
というか、普通に化け物である。
「……うん、まあ、いいや」
気にしないことにした。
助けたこと自体は事実だし俺の心が死ぬことはない。*2
そうして気を取り直し、また進もうとした、
――そのとき
「……ん?」
思わず足を止める。
今のは、声?
誰か呼んだ?
俺か?
いや、名前呼ばれてないし。
てかそもそも名前覚えてないし……
声は、執拗に。
狂ったように叫ぶ。
それはどこか哭いているように思えた。
――直後。
ド ォ ォ ォ ォ ォ ン……ッ!!
「!!」
空間が、震えた。
音ではない。
岩盤そのものが、内側から叩かれたかのような衝撃。
次いで通路の奥から引き裂くような咆哮が響いた。
オオオォォォォォォォオ!!
喉を裂き、
肺を震わせ、
怒りを吐き出す声。
胸の奥で、何かがざわつく。
「……」
黒い霧に包まれた指が、
自然と銃を握り締めていた。
理由は分からない。
場所も分からない。
相手も分からない。
だが影は何かに従うように歩みを早め
その内に秘める想いは何であろうか。
それは願いかもしれない。
後悔かもしれない。
あるいは、ずっと
咆哮が、再び空間を揺らす。
岩盤が呻き、空気が歪む。
その中心へ。
混乱と破壊の只中へ。
黒い霧をまとった存在は、歩んでいく。
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憎きかの
皆を、森を守らんと
【主人公】
心を通わせる能力を持つ人。
彼は、ありとあらゆる存在と心を通わせることができる力を有している。
その対象は人間に限られず、意志を持つ機械、感情を宿す存在、さらには幻想体までも含まれる。
この力の発端は、彼自身の前世での性格にある。
他者を遠ざけず、拒まず、理解しようとし続けた在り方。
守ろうとし、寄り添おうとし、最後には命を賭してしまったその性質が、転生という形を経て、歪みなく形どった結果であった。
ただし彼自身は、その能力の存在に一切気づいていない。
無自覚であり、無意識であり、そして今後も自覚する可能性はない。
それでも、その力は紛れもなく“本物”である。
―――
幻想体ALEPHクラス
“溶ける愛”
本来であれば、接触を通じて周囲を侵食し、施設を、世界を破滅へと導くその感染能力すら、彼に対しては作用しなかった。
否、正確には作用させなかった。
それは彼が、“溶ける愛”と心を通わせ理解した結果である。
愛を向けた。向け続けていた存在が初めて向けれた無条件の愛に触れ、奪うことも、侵すことも選ばなかった。
彼が壊れないように。
彼が傷つかないように。
“溶ける愛”は、自らの性質を抑え込むという選択をしたのである。
それは自分自身の本質の崩壊、報告書とは異なる記載されていない異常。
その結果、“溶ける愛”に限らず幻想体たちは彼を“理解者”として認識するようになる。
そして必要とあらば、彼の意思とは無関係に、自主的に力を貸す。
彼が危機に瀕したとき。
彼が誰かを守ろうとするとき。
彼が歩みを止めないとき。
幻想体は、静かに、あるいは暴力的に、その力を行使する。
ダンまちの世界においてもそれは変わらない。
tips
何故彼が幻想体の力を借りられているか。
それは彼の本が燃える時、幻想体達も自身の一端を彼へと送った(ギフト)からである。
※そのギフトを通して幻想体達は力を貸している。