色んな服を着たがる式神   作:青色好き

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前話から字数が増えてる……!?
区切りが中途半端な気が…………


第3話:服を着てみよう

「結局小学生向けですか……」

 

「まぁまぁ…… しゃあねぇよ…… 背丈を考えると…………」

 

 春虎達は服屋に入り、コンの服を探しに行った。その場所は、小学生向けの服が置かれている場所だった。理由は…… 言わずもがな…………

 

「うぅ~! コンは春虎様に仕える立派な式神なのに、子供扱いとは……」

 

「まぁまぁ…………」

 

 残念がるコンはすっかり意気消沈している。それだけ子供扱いされたくなかったのだ・…… 少ししょんぼりしており、その様子を見た春虎達は早めに服を買ってコンの調子を取り戻すか、と思っていると、

 

「あの…… そちらのお客様は、式神なのでしょうか?」

 

「え? はい、そうですけど……?」

 

「そうでしたか! 獣耳のカチューシャと尻尾の飾りを着ているものだと思っていたのですが、式神だったのですね?」

 

「いや、獣耳と尻尾を見れば分かるんじゃあ……」

 

「いやいや、最近は精巧な獣耳や尻尾のアクセサリーが販売されていますからね。意外と式神の獣の部位かアクセサリーなのか、意外と判別が難しいんです。ピコピコ動いていて、浮いているとなると、流石に式神だと分かりました!」

 

「最近のアクセサリーって凄いんだな……」

 

 どうやら店員はコンから生えている獣耳と尻尾をアクセサリーだと思っていたようだ。普通なら見分けられると思うのだが、最近のファッションは進化しているのか、店員でも見分けが付かない程精巧なアクセサリーが販売されているらしい。

 

「式神用の衣服やアクセサリーもある程度販売しています。そちらを見てはいかがでしょうか? お客様と同じ体格の服を売っていますよ?」

 

「本当ですか!?」

 

 どうやらこの服屋には式神専用の衣服も売っているようだ。陰陽が世間に広まった事もあって何気無いお店にも陰陽に関わるサービスがあるのだろう。

 

「あっ、でもコンの体格を考えると……」

 

「……………………」

 

「や、やっぱり小柄な服ですか…………」

 

((((まぁ、そうなるだろうなぁ…………))))

 

 コンの体格からして小学生が着そうな、小さい衣服になるという事は、皆予想出来ていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「へぇ…… 色んなアクセサリーがあるんだな」

 

「おぉ! これは是非とも付けてみたいです!」

 

 春虎達は衣服売り場に来てみた。その場には多くの色とりどりの衣服が売られており、コンだけでなく夏目達の瞳を輝かせた。式神の衣服やアクセサリーなのだが、人が付けても十分似合う・人でも付けられそうなものであるため、春虎達も少し買ってみたいと思っているのだ。

 

「ふぅん…… こういう衣服があるなんてね…………」

 

「これは…… 私も買ってみたいかも…………!」

 

「あっ、北斗に着けてみたい…… かも…………」

 

 鈴鹿は衣服・アクセサリーの品揃えに感心し、京子・夏目も自身の式神に着けてみたいと思う物が多く揃っている事もあり、商品を買うべきか考えている。

 

「おぉ……! コンは先ずこれを着てみたいです!」

 

 コンが指差した方向には、ネコ耳を模したカチューシャが商品棚に置かれている。これであれば人が付けられそうなアクセサリーなのだが、値札には『式神専用。霊力が流れます』と注意書きが書かれている。人が付けられないようだ。普通にコンが被れば、キツネ耳にぶつかって被れないかもしれない(耳の小さければ被れるかもしれないが)が、キツネ耳の前方もしくは後方に付ければ何とか付けられそうだ。

 

「他にもイヌ耳とかネズミ耳とか…… 色んなアクセサリーがあるんだな」

 

「動物の尻尾もある…… つ、付けてみたいかも……(夏目君に付けてみたら、お似合いの姿になりそう……!)」

 

「ふぅん…… これをあんたに付けるって事ね。なら私が選んだアクセサリーも付けてみたらどうかしら?」

 

「えっ? 鈴鹿の選んだアクセサリーとか付けるの?」

 

 鈴鹿はじっくりと品定めをしながら春虎と会話している。鈴鹿の見る目は真剣さを帯びており、何時もの雰囲気から大分離れているようにも見える。その雰囲気に京子や天馬といった、鈴鹿とよく付き合っている面々は少し固唾を飲んでいる。

 

「ふふ……! 決めたわ! これも一緒に着てみなさい!」

 

「これも?」

 

 鈴鹿が持って来たアクセサリーや衣服を見て、春虎達は少し驚く。コンが付けようとしているのは、ネコ系のアクセサリーであるネコ耳のカチューシャであるのだが、鈴鹿が付けようとしているのは、ライオンの鬣、トラ柄の衣服・ジャガーを模した牙のアクセサリー・ヒョウの…… 様々なネコ系のグッズが揃っている。鈴鹿はこれらをコンに試着させようとしているようだ。

 

「ふふ…… どう? 色んなネコちゃんのアクセサリーがたっぷり詰め込まれた組み合わせは? これなら動物好き、特にネコ好きの人をメロメロに出来ちゃうんだから!!」

 

 どうやらネコの要素を混ぜ合わせした組み合わせのようだ。そんな組み合わせを見た春虎達は目を点に変えて驚いている。この短時間でこの売り場の衣服・アクセサリーを見て最適(?)な組み合わせを考えたのだろうか? 色んなネコの衣類を身に付けた姿は似合うのだろうか?

 

 だが、実際に見てみたい。

 

 これらの衣装を着ているコン…… 確かに気になる。見てみたい。キツネの獣人とも言える式神がネコの姿をしている。考えてみると興味がある。好奇心が湧きそうだ。彼女の主である春虎は特に着せてみたいと思い始めた。

 

「コン、この組み合わせで着てくれないか?」

 

「えっ? 春虎様、良いのですか?」

 

「あぁ…… ネコっぽいコンを考えてみたら凄い気になってきてな…… キツネの可愛い耳だけでなくネコの耳とか生やしてる姿を考えたら…… 可愛いように見えて……」

 

「分かりました! 早速試着してみます!」

 

「ふふっ! 私のセンスが分かるなんて流石じゃない! それじゃあ早速着替えよ!」

 

「はい! お着換えします!」

 

 コンも鈴鹿も着替える気になった。そのため、春虎達は近くにある試着室に向かって行った。コンは鈴鹿が選んだ衣服・アクセサリーを持って試着室に入って行った。試着室のカーテンが少しだけユラユラと動いている。中で意気揚々と着替えているのだろう。

 

「春虎、もし中を覗こうとしたら……」

 

「わ、分かってるって! そんな事しねぇって!」

 

「案外したりしてな……?」

 

「おいぃ!? 冬児!? しねぇよ!!」

 

「本当かしら……?」

 

「う~ん…………」

 

「京子と天馬も!?」

 

「まぁ、あんたならねぇ……」

 

「鈴鹿もかよぉ!?」

 

 自身の式神相手に覗きをしようとするのでは、と疑いを向けている皆に春虎は慌てながら否定する。春虎自身はそのような事をする気は一切無いのだが、色々誤解があってロリコンなのでは? と疑われた事があるから、覗きをするかも……? と疑われるのは無理無いかもしれない。

 

「ホテルでコンちゃんを連れ込んだ春虎なら……」

 

「だからそれは誤解だぁ!」

 

 試着室の前で色々言いながら、コンが出て来るのを待つのであった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「春虎様~、終わりました~…………」

 

「おっ、終わったのか。少し見せてくれないか?」

 

 コンが試着を終えたようなので、カーテンを開けてコンが顔を少しだけ覗かせている。カーテンと試着室の柱に隠れてキツネ耳とネコ耳のカチューシャは見えない。春虎はコスプレしたコンの全身像を見てみたいのだが、コンは恥ずかしがっている。いざ見せようとすると恥ずかしく思えてきたのだろう。

 

「は、はい………… では…………」

 

 コンがカーテンを開けた。

 

 それと同時に皆がコンに視線を向けた。

 

 そこには、

 

 ネコ耳・ライオンのような鬣・トラ柄の服・ジャガーのような牙…… 様々なネコ要素がこれでもかと詰み込まれた姿。

 

 その斬新過ぎる姿に、春虎や夏目達は瞳を宇宙空間の星々のように輝かせながら、コンの姿を見ている。元々キツネ風の姿で十分可愛い姿だったのだが、それに加えてネコ科の可愛さが詰め込まれてより可愛い姿となったのだ。

 

「すげぇ……! 似合ってるぜ!」

 

「そ、そうですか……! 春虎様の口からそのような言葉を聞く事が出来るなんて……! 至極の喜びです!」

 

「た、確かに、今のコンは凄い似合ってる……」

 

「二つの獣耳が可愛さを出してるわ……!」

 

「ふふふ、私のチョイスは最高である事を物語っているわ!」

 

 コンの衣装の可愛さに皆が感心する中、鈴鹿は自慢げに語っている。鈴鹿が選んだ衣装とあってそれが褒められた事から、喜んでいるのだ。冬児と天馬が鈴鹿の姿を見ると、少し鈴鹿の鼻が高くなってる…… ように見える。

 

「ネコらしくニャアって言ったら、もっとネコらしく見えるかも?」

 

 天馬はつい口から零してしまった。何気無い一言。

 その一言が、コンの耳に届く(勿論彼女自身から生えているキツネ耳の方である)と、コンに変化が生じた。

 

「に………… ニャア…………」

 

 コンが天馬の言う通り、「ニャア」と鳴いたのだ。

 

「か、可愛いいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

「きょ、京子さん、落ち着いて……?」

 

「これはかなり気に入ったんじゃねぇのか……?」

 

「倉橋さん……」

 

「めっちゃ気に入っているのね……」

 

「普段とは全然違う様子じゃねぇか……」

 

 ネコの鳴き声を言ったコンの可愛さに京子はかなり反応しており、その様子を見た春虎達はあまりの反応の大きさに少し引き気味だ。普段ならコンの可愛さに見とれるのだが、それを忘れる位インパクトが強い。

 

「みみみ…… 見られると、恥ずかしいですぅ…………」

 

 京子の熱烈な視線と表情で見られてしまうと、コンは恥ずかしがってしまう。春虎達から見ても、普段とは異なる様子と言う事もあって、恥ずかしがる他に少しだけ困惑しているようにも見える。

 

「わた…… 僕の考えた衣服はどうかな?」

 

 そんな中、恥ずかしながら別の衣服を用意していたのは夏目だ。頬を少し赤く染めながら取り出したのは、巫女服やお祓い棒・烏帽子や袴などの、巫女や陰陽師を彷彿とさせる服装だ。夏目は陰陽師としての素質が高いため、本職の服装を選んだのだろう。

 

「夏目、それは陰陽師とか巫女の服装じゃん。コンが何時も着ている服装の雰囲気とあまり変わらないような……」

 

「いや、雰囲気が同じでも見た目が違えばインショーってもんが違ってくるもんよ。取り敢えず着てみたらどうかしら?」

 

「そうですね。それではその服を着てみます!」

 

 鈴鹿から発した意見は間違いでは無さそうだ。そういう事もあり、コンは夏目が選んだ服を着てみる事にした。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「こ、今度はどうでしょうか……?」

 

 コンは夏目が選んだ服を着用してみた。

 赤と白の模様の袴。烏帽子。そしてお祓い棒。

 その姿は正に陰陽師と巫女の融合とも言える姿。キツネを祀る神社があれば、そこにいてもおかしくないような、不思議な雰囲気を醸し出す神官のような姿だ。コン自身キツネ耳を生やしているので、その印象を強く与えてくれる。

 

「おぉ! 結構似合ってるかも?」

 

「ほ、本当ですか? 春虎様!」

 

「僕が選んだのだからそれは当然だろ? 春虎!」

 

「随分嬉しそうだな…………」

 

「そ、そりゃあ僕の衣服類が高く評価されてるんだもの! 嬉しくもなるさ!」

 

「確かにそうよね…… 夏目君の言う事も分かるわ!」

 

(十中八九春虎が“似合う”って言った事に喜んでるな)

 

 夏目の表情は凛々しく、真面目さを読み取れる表情なのだが、少しだけ頬を赤く染めている。褒められて嬉しく思っているのだろう。春虎と夏目は昔から幼馴染なので、夏目から見る春虎は“恋人”なのだろう。その“恋人”から褒められたとすれば嬉しくなるのも当然だ。しかし春虎はその事に気付いていないらしい。自身の幼馴染はここまで鈍感だったとはな。

 

「い、今のコンであれば、どのような魑魅魍魎でも退治出来ます!」

 

「確かに、そんな気がしてきた……! 今まで色んな異変を解決して来たし……!」

 

「鵺とか蘆屋道満の時とかも、コンちゃんは活躍していたしね」

 

 天馬の言う通り、コンは今まで春虎や夏目達と共に様々な異変を解決してきた。コンも今や立派な式神だ。そのような実力の高い式神が陰陽師や巫女のような服装は相性が良いのだろう。

 

「そういえば何時も刀を使って戦っていたわよね? だとしたら、今の姿で刀を持っても似合いそうじゃないかしら?」

 

「いや、店の中で刀を持つのは流石に迷惑をかけるよ………… というか犯罪だよ…………」

 

「あー…… それ位分かってるわよ」

 

 コンが何時も使っている刀を持ってみると、サマになりそうな気がするが、流石に服屋でそのような事をするのはNGだ。これに関しては諦めた方が良い。皆の頭の中でその見解が一致した。

 

「そういえば天馬も何か選んでたけど、一体何を選んでいたんだ?」

 

「あっ? 僕? えぇと、僕はね…………」

 

 春虎はふと何かを思い出したようなような表情で天馬の方を振り向いた。実は天馬もコンに似合いそうな服・アクセサリーを選んでいたのだ。よく見ると天馬の持っている物は何かの衣服のように見える。彼はちゃんとコンに似合いそうな服を選んでいたのだ。

 

「僕は…… こういう服を…………」

 

 少し恥ずかしながら天馬は彼が選んだ衣服を取り出した。

 それは、黒い翼・白いお腹・V字状の尾…… そして赤と青の頭部。嘴を模したようなキャップ。こっれらの特徴を示す動物…… それはツバメ。

 つまり天馬はツバメを模した衣装とアクセサリーを選んだのだ。ツバメを選んだ理由は…… 彼の祖父母に起因しているのであろう。祖父母が販売した商品「スワローウィップ」がある。「スワロー」の名前の通りツバメを模した商品だ。天馬はこの商品を意識したのか、ツバメのような衣装を選んだのだ。

 

「おぉ、ツバメっぽいな! これはこれでアリだ! 鳥っぽい服装も見てみたい!」

 

「ならば…… コンはその衣服を着てみます!」

 

 天馬が選んだ服を着ようと、コンは小さな手を天馬の選んだ衣服を掴む。コンも少し目を輝かせている事から、彼女自身も天馬の衣服に少し興味を持っているようだ。ツバメのような衣服を持って、コンは試着室の中に入った。

 

「コンちゃんに似合うかな……? 凄く緊張してきた…………!」

 

「緊張する程のものなのか……?」

 

「そりゃファッションなんだから、緊張の一つや二つはするわよ! 春虎は分かっていないわね~……」

 

「えぇ…………」

 

 鈴鹿が春虎に文句を言っているものの、春虎はファッションをそこまで深く考えた事が無い。そんな事もあって彼ら彼女らの主張を完全に理解してないのだろう。春虎は少し困り顔となった。

 

「おっ、終わったようだな」

 

 試着室のカーテンの動きが収まった事から、コンの着替えが終わったようだ。天馬の選んだ衣服類は少し大きいせいか、試着室のカーテンはやや大きく動いている。薄っすらシルエットが見えるが、少し大きめの羽・尾羽のような尻尾…… ざっくりとした見た目は正しく鳥と言ったところだろう。

 

「おっ、遂に姿が……」

 

 カーテンが開いた。

 

 試着室から現れたコンは、美しいツバメのような姿をしていた。

 

 頭部に被っているのはツバメの頭を模したフードを被り(コンのキツネ耳はピョンと出ている)、腕の部分にツバメの羽を模した羽毛が付いている。腕を動かすとヒラヒラと舞う姿は正に鳥の羽だ。尻尾の部分にはツバメの尾羽を模した飾りが付いている。コンの尻尾の周りにツバメの尾羽で覆うような構造となっており、ヒョロヒョロと尾羽が動くようにも見える。足は鳥の足のようなブーツを着ているため、より鳥らしい姿となっている。

 

「おぉ! これも良いぞ! 今にも飛べそうだ!」

 

「いや、コンは少しだけ浮けるじゃないか。一応飛んでると言えるんじゃあ……」

 

「いえ、翼を使って飛んでいればより鳥らしく見える筈だわ!」

 

「確かにそうね。腕をバタバタ動かしながら飛んでみて!」

 

「で、では、いきます!」

 

 京子と鈴鹿の提案に乗って、コンは腕をバタバタと上下に振りながら浮遊し始めた。元々コンはある程度浮遊出来るのだが、今回は普段よりも浮遊(飛行?)出来る高さは上昇しているのだ。これは、今コンが着用しているツバメの衣装のおかげなのだろうか。

 とはいえ、上昇している高さはおよそ50センチメートル程度なのだが。

 

「飛んでる……! 飛んでるぞ!」

 

「あ、あぁ…… 飛んでるな(元々飛べるというか、浮けるしな)」

 

「元々浮けるとはいえ、腕を動かすと本当に飛んでいるように見えるわね……」

 

「ふ~ん、中々良い感じのファッションセンスねぇ……」

 

「えっ? いや、僕はそういう事を意識せず選んだのだけど……」

 

 天馬のファッションセンス(本人にそのつもりは無いが)を鈴鹿は評価しており、そんな事もあって天馬の表情は朗らかな、と言うよりは頬を赤くして恥ずかしくなっている。いや、もしかすると喜んでいるのかもしれない。

 

「まるで鳥になった気分です! 高い所から春虎様を見守る事が出来ます!」

 

「いや、姿を消して近くにいれば、態々高所で飛ぶ理由は無いんじゃないか……?」

 

「む、確かにそうですね………… しかし、高所から見守れば予め春虎様を害する者を事前に発見しやすくなります! 遠くにいる不届き者を早期に発見出来る筈です!」

 

「言われてみればそうだな……」

 

 春虎の正論にコンは反論を言うと、確かにと納得した。低所であれば建物や構造物の陰に隠れて不審者に気付かない可能性があるが、高所から見る事によって遮蔽物に関係無く不審者を発見出来る可能性はあるだろう。

 

「うぅ、何度も腕を振るので意外と疲れますぅ……」

 

「いや、これは少量の霊力で浮遊出来るって書いてあるから、腕を振らなくても大丈夫だよ」

 

「それは早めに言って欲しかったです…………」

 

「あっ、ごめん…………」

 

「というか、浮くなら外の方が良いと思うんだけど…… 此処は天井が高いから浮いても何とか大丈夫だけど……」

 

 どうやら腕を振るわずとも飛行(もしくは浮遊)は可能だったようだ。早く言うべきだったなぁ、と思っているのか、天馬は後頭部を少し搔いている。

 

「そ、それじゃあ次は私の選んだ服は…… どうかしら……?」

 

 次に衣服を選んだ人物は京子だ。

 何やらフリル淡い色合いの衣服…… と言うよりはファンシーな雰囲気の衣服類を持っている。これは可愛らしい服装なのだろうか。京子は可愛らしい服やアクセサリーを選んだのだろうか。これはこれで有りかもしれない。

 

「おぉ…… この手のフワフワしたような服も着てみたいです!」

 

「それじゃあ、コンちゃんも着てみる?」

 

「はいっ! 勿論です!」

 

 京子の持って来た衣服類をコンは手に取って試着室へと向かっていく。その様子は正に年頃の可愛い女の子だ。彼女の後姿を春虎達は見送った。




コンはどんな衣服でも似合うと思うんだ……

次回は2026年1月22日21時00分に投稿予定です。
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