色んな服を着たがる式神   作:青色好き

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前話よりみじかーい!
文字数の感覚が分からなくなってきたぞ!


第4話:もっと服を着る。

「京子ってあんな感じの服が好きなのか?」

 

「そりゃ勿論! 年頃の乙女なんだからそういう服装はちゃんと考えてるわよ!」

 

「そうなのか……? 年頃の女ってよく分かんねぇ……」

 

「あんたねぇ、男なら乙女心を勉強しなさいよ」

 

 春虎と京子が雑談をしている間に、コンは試着室の中で着替えている。もぞもぞと、試着室のカーテンが揺らいでいる。

 

「言っとくけど、中を見ようと」

 

「思わねぇよ!?」

 

「あのぉ…………、着替えが終わりました」

 

 雑談している間に、コンは京子が持って来た衣服の着替えを終えた。コンの顔がひょっこりとカーテンの隙間から出している。可愛い。

 

「それじゃあ…… お見せします…………」

 

 試着室のカーテンが開かれた。

 そこには、ファンシーで可愛らしい衣服を着ているコンが立っていた。

 

 薄桃色のスカート・西洋の芸術を彷彿とさせるお洒落な服。鳥の模様が描かれている帽子。尻尾には花のレリーフが付いた、可憐さを醸し出すような、美しい姿。西洋美術の絵画の女性が絵から飛び出したような美しさだ。

 

「ど、どうでしょうか……?」

 

「おぉ! 可愛い……!」

 

「ま、まるで童話に出てくるお姫様みたい!」

 

「へぇ、中々やるじゃない……」

 

「ひ、姫ですか……! ハワワ…………」

 

 姫と言われた事から、コンは顔を真っ赤にして恥ずかしがってしまった。何だか青春漫画の一コマのような出来事だ。頬を真っ赤にするだけではなく、耳もピコピコと動いているのは尚更だ。

 

「ファンタジーな感じが好きなら、今度はこっちの方はどうだ?」

 

 すると、冬児の持っている服とアクセサリーを見せてきた。それは黒い学生服・サングラス・リーゼントのような髪の塊…… まるで一昔前の不良のような衣装だ。

 

「うぉ…… もしかしてお前も……!?」

 

「当り前だろ? 遠目で見て楽しむのもアリだと思ったんだが、面白いものを見つけてな……」

 

「それが…… これ?」

 

「おぉ……! 何やらこれを着ると大きく変われる気がします! これも着てみます!」

 

 コンは冬児の持って来た衣服類に興味を持っているようだ。コンからすれば今まで見た事も無いだけではなく、衣服から放つ雰囲気もコンは感じた事が無いのだろう。それ故に冬児の持って来た衣服類を着てみたいと考えたのだ。

 

 コンは冬児が選んだ衣服類を持って試着室のロッカーに入った。カーテンが閉まわれると、カーテンがもぞもぞと動き始める。コンのシルエットを見ると、何やら横に細長い髪の毛のような物を付けている事が分かる。

 あれはもしかすると……

 

「不良の定番の髪型の…… 」

 

「そう、正解♪」

 

 冬児が不敵な笑みを浮かべると同時に、試着室のカーテンが開いた。

 

 そこに、リーゼントを生やすコンが現れた。

 

 50センチメートル程の長さのリーゼント・少し長めの木刀・『夜露死苦』と書かれた黒い学生服。まごう事無く、多くの人が脳内で思い浮かべる不良の姿。

 

「す、すげぇ…… 完全に不良だ……!」

 

「どうだ? こういうイメチェンも良いだろ?」

 

「こ、コンちゃんが不良になったみたい……! 一体どんな出来事があったらこんなにひねくれて……!」

 

「いやいや、服装を変えただけだからな!?」

 

「何だか昭和のヤンキーみたい……」

 

 大きく変わったコンの姿を見て、皆が様々な反応を見せる。普段の大人しい性格のコンだが、それとは打って変わって見違えた姿となったギャップに驚いている。そのような視線に気付いているのか、コンの耳はピョコピョコとせわしなく動いている。少し恥ずかしがっているのか?

 

「な、何だか生まれ変わったような気がします!」

 

「そりゃ不良となるとなぁ……」

 

「こういうのがイメチェンってやつだね」

 

「ふぅん…… 悪くは無いわね。雰囲気・アクセサリー…… 中々ね」

 

 冬児が渡した衣服は概ね好評だ。冬児のファッションセンスは意外にも高いのかもしれない。思えば都会の店とかにちょくちょく行ってるので、最近の流行とかには詳しいのだろう。

 

「そういえば春虎はどうだ? 何か持って来たか?」

 

「あ、俺?」

 

 そして、皆の視線はコンの主である春虎に向けられた。今現在衣服をまだ披露していないのは春虎だけである。皆の衣装が素晴らしかっただけに、夏目達は春虎の選んだ衣装が気になっているようだ。

 

「あぁ、持って来たんだけどよ……」

 

 春虎は少しぎこちないような動作で手に持っている衣服を夏目達に見せた。

 

「ん? それって……?」

 

 春虎が見せた衣服類。それは、少し涼しそうな衣服だ。袖が少し短く、夏の時期に着そうなスカート…… 少し夏服のように見える。

 

(あれっ? もしかして…………)

 

 夏目はその衣服に見覚えがある。

 かつて春虎に会うために遣わした式神の……

 

「昔の友達が着ていそうな服を選んだんだ。式神専用の衣服って訳では無いけど…… 懐かしい気がしてこれを選んだんだ」

 

 春虎の表情には、“懐かしさ”を読み取れる。何時もの皆なら何かしら突っ込みとかいれるかもしれないが、それをしようとは思わなかった。

 

 夏目もその内の一人だ。彼女も春虎の発言に耳を傾けている。その理由は、他の友達とは異なる。

 

 春虎の言っている、“昔の友達”と言うのは……

 

「よし、コン。最後は俺が選んだ衣服を試しに着てくれないか?」

 

「はいっ! 勿論です! 春虎様の選んだ衣服です! 直ぐに着ます!」

 

 コンは春虎が持っている衣服を受け取り、試着室の中に入って行った。カーテンがゆらゆらと揺れ動いている。コンが着替えている最中であるという事。一体どのような姿となるのか…… 皆気になっている。

 

「春虎、あの服を見ると思い出すのか?」

 

「ん? あぁ、そうだな…… 大事な友達だからな…………」

 

「そういえば少しだけ言っていたわよね? その友達って……」

 

「確か“北斗”って言う名前だっけ……?」

 

「あぁ、俺が此処に来る前によく付き合っていた友達だ。式神だったのは驚いたなぁ……」

 

 春虎が語る友達、北斗。

 彼が陰陽塾に入学する前に、よく遊びに付き合っていた友達だ。少し男気のある女性で、冬児ともよく遊びに付き合っていた。

 

 しかし夏休みのある日、大蓮寺鈴鹿が起こした騒動に巻き込まれた事により、大怪我を負った。しかし、その大怪我によって北斗は式神である事が判明した。北斗の操り主が誰なのか、今でも分かっていない。

 

「北斗の主って…… 誰なんだろうな…………」

 

 春虎の呟きに皆が不思議な感じに見ている中、どういう訳か夏目は少し申し訳なさそうな表情を呈する。皆春虎の方を見ている事もあって夏目の様子に気付いていないようだ。

 

 そうこうしている内に試着室のカーテンが少し開き、そこからコンが頭を覗かせた。

 

「春虎様! 着替え終わりました!」

 

「おっ! そうか! それじゃあ見せてくれるか?」

 

「はい!」

 

 コンが自信満々でカーテンを少しずつ開けていき、その全貌が明らかとなった。

 袖が短い事で涼しく・肌が少し多めに見える事から運動性の高いTシャツ。少し短めのスカート。

 

 その姿は、夏に見られる美少女。

 

 まるで、絵画に描かれる少女がそのまま出てきたような、素敵な少女だ。

 

「結構似合ってるわ! その恰好なら陰陽塾の皆も素敵って言うわよ!」

 

「確かに、それはピッタリだよ!」

 

「ふ~ん…… まぁ、良い方じゃないかしら?」

 

「まぁ、悪くないと思うぜ」

 

「……………………」

 

 京子達が今のコンの服装を見た感想を言う中、夏目は何かを考える様に黙っている。その表情は哀愁を思わせるだろう。

 

 何せ北斗は夏目の…………

 

「夏目? どうした?」

 

「い、いや…… 何でも無いよ。その服、似合ってるね」

 

「? そうだな。コン、良い感じだよな!」

 

 夏目のぎこちない感じに違和感を感じるものの、春虎はそこまで気にせず会話を続ける。その様子を見ている冬児は(鈍いな……)と、鈴鹿は(マジで鈍いわね……)と少し呆れ気味であった。

 

「これで全員分の服は紹介を終えたか。誰の衣服を買いたいんだ?」

 

「そうですね…………」

 

 春虎達が選んだ衣服類はどちらもコンから好評だった。それ故に、コンはどれを買うべきなのか迷ってしまう。コンからすれば非常に悩ましい所だ。

 

「う~む……………………」

 

 コンはどれを選ぶべきか頭の中で迷っている。中々結論を出す事は難しいかもしれない。春虎達は少し緊張しながらコンを見守った。

 

「決めました! コンは……!」

 

 コンの口が開いた。

 コンが決めた衣服は…………




字数は各話である程度均一の方が良いのかな? どうだろう。

次回(最終回)は2026年1月29日21時00分に投稿予定です。
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