Re:ウマドリ!!〜ウマ娘プリティーダービー&BanG Dream!ガールズバンドパーティ!外伝〜   作:キプkeep

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投稿が大幅に遅れて申し訳ございません…
今回はムジカ&ゆめみたメイン回!
幽霊船が現れます!
このエピソードはハーメルン版用に書き下ろした新規エピソードです!



第6話「幽霊船で大騒動!?」

某日、漁港。

 

都会から少し離れた場所にある漁港でムジカとチームムジカ、ゆめみたとチームゆめみたの面々がシュヴァルグランの付き合いで釣りにやって来ていた。

 

「ん〜…!日差しがポカポカする〜…!最近暖かくなってきたねさきちゃん♪」

「そうですわね♪」

 

少しづつ暖かくなってきた日差しを浴びながら初華と祥子は微笑みながら談笑していた。

 

「…釣れるの…?」

「あっ、えっと…まだわかりませんけど、群れはまだ来てませんのでこれからだと思います…」

 

ムジカのギター担当、若葉睦が釣りをしているシュヴァルグランに声をかけると、シュヴァルグランは海の方を見ながら答える。

 

「お魚が釣れたらたくさん食べましょう。私はお刺身で食べたいです」

「私も刺身の気分だな。醤油とわさびは持ってるよ」

 

ゆめみたのギター担当、峰月律とオグリキャップはいつの間にか用意した紙皿とわさびと醤油を持って食べる準備をしていた。

 

「え?もう食べる気?」

「いや、気が早すぎるだろ」

「ご心配はいりません。こんなこともあろうかと調理器具は用意しています」

 

にゃむとゆめみたのDJ&マニピュレーター担当、千石ユノが呆れ気味に言うと、理知的で情が深いクールな雰囲気のウマ娘、シーザリオがまな板とペティナイフを取り出しながら言う。

 

「ねぇねぇ、みんな〜。この辺の海辺に幽霊船の噂があるの知ってる?」

「幽霊船?」

 

ヴィブロスの問いかけに全員が不思議に思うと、ヴィブロスは続ける。

 

「昔の海賊のお船が幽霊船になって彷徨ってるらしいよ。昼間にも霧と一緒に出るんだって」

「えぇ〜!?釣りに来てるのにそんな怖いこと言わないでよ〜!」

「心配ないわ。たとえ幽霊船が出てもシュヴァルとヴィブロスは私が必ず守るわ。もちろんユノさんや皆さんもよ」

 

ヴィブロスの説明を聞いたあられが怖がっていると、ゆめみたのギター担当、宮永ののかが辺りを見渡す。

 

「あれ?ユニちゃんは?」

「ユニヴァース先輩ならあっちよ」

 

ネオユニヴァースを探すののかに対して自己プロデュースが得意なメガネっ娘ウマ娘、ロイスアンドロイスが灯台の方を指さすと、ネオユニヴァースは灯台の上で両手を広げて空を見ていた。

 

「何やってんのあの人?」

「んー?別宇宙との交信。ユニさんのルーティンだよん」

 

彼女の行動を見て不思議に思うユノに対してサブカル好きなウマ娘、トランセンドが答えると、ネオユニヴァースは空を見ながら考え込んでいた。

 

(…飛び散った"石"の反応がほとんど『感じない』…それに…不思議なことが起きる…『予感がする』よ…)

 

彼女がそう呟いたその時である。

突然霧が辺りに現れ、彼女たちの周りを霧が立ち込める。

 

「ん?急に霧が…?」

「ねぇみんな。アレ何かな?」

 

海鈴が霧に気づくと、アイルランドからやって来た留学生のお嬢様ウマ娘、ファインモーションが海の方を指さす。

すると、沖の方から一隻の船がこちらに近づいていた。

 

「何あれ?船?」

「なんかこっちに近づいてない?」

 

全員が不思議に思うと、船は徐々に近づいていき、その全貌が明らかになる。

その船は木製の大きな古い帆船であり、まさに海賊の船そのものだった。

 

「か、海賊船!?」

「も、もしかしてあれが幽霊船!?」

 

海賊船を見て驚いた初華とあられが声を上げると、海賊船から縄梯子が降りてくる。

 

「縄梯子?乗れってことかな?」

「とりあえず乗ってみようよー」

「ちょ、ちょっとヴィブロス!」

 

それを見て不思議に思うにゃむの隣にいたヴィブロスが好奇心からか先に縄梯子を登り、ヴィルシーナが追いかけようとして縄梯子を登ると、他の者たちも縄梯子を登り、ネオユニヴァースは灯台から飛び降りて海賊船に乗り込む。

船はかなりボロボロであり、人の気配は感じなかった。

 

「な、なんか不気味…」

「ホントに幽霊船なのかしら…?」

「あそこの扉から船の中に入れそうだよ」

 

あられとヴィルシーナが警戒していると、ファインモーションが扉を指さし、扉を空けて船の中に入る。

廊下はかなり暗く、スマートフォンのライトを照らして前を進んでいた。

 

「ひぃ〜…!怖い〜…!早く帰ろうよ〜…!」

「あられちゃん怖がりすぎ〜」

 

ののかの後ろに隠れながら泣き言を言うあられに対してののかが微笑みながら言うと、オグリキャップの鼻がヒクヒクと動く。

 

「クンクン…この匂いは…」

 

何処からか匂いが漂うことに気づいたオグリキャップが辺りを見渡すと、奥の扉から光が漏れていることに気づいて扉に向かう。

 

「ちょっ、オグコどこ行くの〜!?」

 

それを見たにゃむが慌てて追いかけると、オグリキャップは扉を開ける。

扉を空けた先にはテーブルの上に乗った豪華な料理が並んでいた。

 

「おぉ…!!」

「わぁっ!?何このご飯!?」

「美味しそ〜!」

 

それを見たオグリキャップは目を輝かせ、にゃむもそれを見て驚くと、後から入ってきたヴィブロスが目を輝かせる。

 

「な、なんでこんな海賊船みたいな古い船にこんな出来立てみたいな料理が…?」

「考えるよりまず食べましょう。お腹ペコペコなので」

「いただきます」

 

都子が不思議に思うと、律とオグリキャップは真っ先に椅子に座ってテーブルの上の料理を食べ始める。

 

「ちょっ!?二人とも!?少しは警戒しよ!?」

「まずはハンバーグから…パクリ…っ!?お、美味しい!口に入れた瞬間、ジュワッと肉汁が滝のように溢れ出てきます!」

「このどて煮も美味い…!スジ肉は柔らかくとろとろになるまで煮込まれていて濃い味付けがご飯と合う…!」

 

ハンバーグを口に運んだ律はその美味しさに目を見開き、オグリキャップはいつの間にかご飯を三杯もおかわりしながら大量のどて煮を食べていた。

 

「そ、そんなに美味しいの…?い、いやいや!こんな怪しいところで食べるのは良くない!早くここから…!」

「んん〜!このラーメン、濃厚スープにモチモチ食感の麺がよく絡んで美味しい〜!チャーシューも分厚くてジューシ〜♪」

「ハフハフ…!肉まん美味しい…!」

 

初華が逃げるように促そうとするが、ファインモーションとシュヴァルグランはいつの間にかラーメンと肉まんを食べていた。

 

「シュヴァルちゃん!?ファインちゃん!?」

「うぅ〜…!美味しそうに食べるなぁ…!ぼ、ぼくもう我慢できない!いただきます!」

「私も〜!」

 

我慢ができなくなったあられは料理を食べ始め、他の者たちも食べ始める。

 

「み、みんな!?うぅ…わ、私も!」

 

初華も限界になって席に座り、ドーナツを手に取るとそれを食べ始める。

 

「!美味しいこのドーナツ!外はサクサクで中はしっとり!」

「このラーメンの味は確かに素晴らしいですわ!」

 

初華はドーナツの味に目を見開き、祥子もラーメンに舌鼓を打つ。

 

「今更だけどホントに食べていいのコレ…?」

「まぁ、いいじゃん♪毒とかは無さそうだし」

 

サンドイッチを食べながら不審に思うユノに対してトランセンドは笑みを浮かべながら楽観的に言ったその時である。

 

「料理は口に合うようで良かったよ」

「うん!すっごく美味しくて…ん?」

 

何処からか声が聞こえ、その声にあられが返事をすると同時に全員が声のした方を向く。

そこには海賊の帽子をかぶり、コートを身に纏った骸骨の幽霊がいた。

 

「……ぎゃあぁぁぁぁぁっ!!!!本物のおばけぇぇぇぇぇっ!!!!!!」

 

それを見た瞬間、部屋中に響き渡るほどの大きな悲鳴が上がると同時に全員は慌てて部屋から出る。

 

「ま、待ってくれー!」

 

両手に食べ物を抱えて骨付き肉とニンジンを咥えるオグリキャップも遅れて部屋から出て後を追いかける。

 

「ひぃぃっ!!本当におばけが出たぁぁ〜〜!!」

「は、早く逃げましょう!」

「う、うん!」

 

大慌てで逃げる初華に対してカレンブーケドールがそう言い、ふとあられが後ろを向くと、オグリキャップの背後から先ほどの幽霊が追いかけていた。

 

「イャアァァアアアアァアアアアァッ!!!!!!」

 

その姿を見たあられは絶叫を上げると同時に滝のような涙を流しながら誰よりも全速力で出入り口に向かって走り出す。

 

「ちょっ!?あられっち速っ!?」

「火事場のクソ力ってやつ〜!?」

 

その姿を見たヴィブロスとにゃむが驚きつつも、全員はなんとか出入り口から出る。

 

「みんな急いで船から飛び降りよ〜!!」

「幽霊に捕まるよりも船から落ちて怪我するほうがまだマシ〜〜!!」

 

あられと初華がそう叫ぶと同時に全員は一斉に船から飛び降りようとする。

すると次の瞬間、何故か見えない壁のようなもので行く手を阻まれ、脱出できなかった。

 

「へぶっ!?」

「な、何よこれ!?」

 

ロイスアンドロイスが困惑していると、幽霊が彼女たちの前に現れる。

 

「すまんが船から出ることは出来んよ」

「ひぃ〜!!助けて〜!!もう嫌いな食べ物残したりしないから命だけは〜!!」

 

現れた幽霊を見てあられが泣きながら命乞いをしていると、幽霊は慌てて言い放つ。

 

「あぁ、別に君たちに危害を加えるわけではない!ワシの話を聞いてほしいのだ!」

「は、話…ですか?」

「うむ。その前に…」

 

すると幽霊は両手を顔の前で交差すると、口元にヒゲを生やした初老の男性の顔になる。

 

「ワシはこの海賊船の船長の幽霊だ。江戸時代に日本へとやって来た者だ」

「え、江戸時代に!?」

「そんなことどうでもいいから早く私らをこんな不気味な船から降ろしてよ〜!」

 

自己紹介をする船長に対してにゃむがそう言い放つと、船長は首を横に振る。

 

「そうしたいがそれは出来ない。君たち先ほど食べただろう?」

「食べたって…あっ!!」

 

船長の言葉にヴィルシーナが疑問に思うと、あることに気づく。

それは先ほどまで全員で食べていたあの料理のことだった。

 

「幽霊のご飯食べちゃったぁぁぁっ!!」

「ここでゴルシちゃんのワンポイントアドバ〜イス!幽霊の食い物を飲み食いすると幽霊の仲間にされるからみんなは絶対に食うんじゃねぇぞ〜!」

 

幽霊の料理を食べたことを全員が後悔していると、唐突に現れたゴールドシップが幽霊の食べ物の危険性について説明した。

 

「へ?ご、ゴルシさん!?なんでここに!?」

「私たちもいますよ〜…」

「とほほ…」

 

シュヴァルグランが驚くと、スペシャルウィークと香澄、愛音も現れる。

 

「みんなもなんでここに!?」

「あはは〜…ゴルシちゃんと一緒に伝説のムー帝国の大ダコを探しに行ったらこの船に乗っちゃって…お腹空いてたからご飯も…」

「な、なんでムー帝国…?」

 

初華の問いかけに対して香澄が事情を説明し、ユノが困惑しながらそう呟くと、船長が声をかける。

 

「そろそろ本題に入ってもいいかの?君たちの呪いは必ず解くが、その前にたった一つだけワシの頼みを聞いてくれんか?」

「た、頼み…?」

 

船長の言葉にあられが疑問に思うと、船長は理由を説明し始める。

 

「ワシらは当時としては珍しい動物が好きな者たちの集まりでな。仲間たちと共に楽しく暮らしておった。そんなある日、ポルトガルの行商人が日本にドードーを持ち込んだことを知り、ワシらは16羽のドードーをその行商人から買ったのじゃ」

「えっ!?ど、ドードーって、あの絶滅した鳥の!?」

 

船長とその仲間の海賊たちが船に絶滅した鳥類であるドードーを持ち込んでいたことを聞いて流石のトランセンドも驚いていると、船長は続ける。

 

「ドードーは数を減らしていると聞いたワシはこのままではドードーたちが滅び去ってしまうと思ったワシはこの国の近くにある安全な無人島の何処かにドードーを隠すことにしたんじゃ。じゃが、他の海賊船に襲われ、ワシは仲間たちとドードーたちを逃がして立ち向かった…そして気づけば幽霊となっていたのだ」

 

事情を説明し終えた船長は全員に向かって頭を下げる。

 

「ワシは仲間たちやドードーが無事に生き延びて無人島に辿り着いたのか知りたい…だから君たちに頼みがある。ワシと共に無人島を探してくれ!」

「そ、そう言われても…」

「そもそも船長が自分で行けばいいんじゃないの?」

 

懇願する船長に対してシュヴァルグランが迷っていると、にゃむがそう言い放つが、船長は首を横に振る。

 

「ワシ一人ではできん…幽霊は単独だと行動範囲が限られているんじゃ…」

 

船長がそう言うと、香澄は全員に向かって声をかける。

 

「…みんな。船長さんの頼みを聞いてあげようよ!私たちみんなの力を合わせれば無人島の一つや二つすぐに見つけられるよ!」

「香澄さん…まぁ、この船に乗り込んじゃったし、仕方ないね」

「アファーマティブ…ネオユニヴァースも…手伝うよ…」

「私もお手伝いします」

 

香澄の言葉に初華が仕方なく賛同し、ネオユニヴァースも賛同すると他の者達も賛同する。

 

「君たち…ありがとう…!」

「よっしゃー!ゴルシちゃんたちで無人島を探し出してやるぜー!ゴルシ海賊団出航だー!」

 

船長が感謝すると、ゴールドシップは一瞬で海賊風の衣装を身に纏い、他の者たちもゴールドシップによって一瞬で海賊衣装に着替えさせられていた。

 

「おー!」

「いや、なんですのこの格好!?」

 

香澄とスペシャルウィークと愛音は声を上げ、急に着替えさせられたことで祥子はツッコミを入れた。

 

………………………

 

数時間後、出航した幽霊船は航海を始め、目的の無人島を目指していた。

 

「ん〜♪景色が綺麗〜♡」

「うぷっ…船酔いしちゃいました…オエッ…」

 

海の景色を楽しんでいたヴィブロスの隣で都子は船酔いで顔を青ざめていた。

 

「船飽きたー!もう帰りたーい!」

 

すると睦はもう一つの人格であるモーティスに変化しており、普段無口な睦と違い明るいモーティスは代わり映えしない海の景色や船旅に飽きたのか、駄々をこねていた。

 

「あ、あれが睦さんの中にいるもう一人の睦さんのモーティスさん…?」

「えぇ、たまに出てくる時があるんですのよ。モーティス。見つかるまでの間辛抱してくださいまし…」

 

カレンブーケドールがモーティスを見て驚いていると、見かねた祥子が彼女をなだめようとすると、シーザリオが彼女に近づく。

 

「モーティスさん。今はみんな船長さんのためにお手伝いしていますからわがまま言っちゃメッ、ですよ。この船旅が終わったらケーキをごちそうしてあげますから頑張りましょうね」

「む〜…」

 

彼女をなだめるシーザリオのその姿は先ほどまでの凛としたクールな雰囲気とは違い、優しく母性的でほんわかとした雰囲気となっていた。

 

「あ、あれ…?シーザリオちゃんだよね…?なんだか雰囲気が違うような…?」

「シーザリオさんはオンオフの切り替えが激しいんですよ〜。かっこいいシーザリオさんも優しいシーザリオさんも同じシーザリオさんです!」

 

不思議に思う初華の言葉に対してスペシャルウィークがそう答える。

 

「む、睦とモーティスとは少し違う感じでしょうか…?なんだかまた嫌な予感がしますわ…」

 

スペシャルウィークの言葉を聞いた祥子は以前の自分たちの世界での睦とモーティスの出来事の影響からか、少々不安げな表情を浮かべながら小声でそう呟くと、シーザリオが彼女に近づく。

 

「祥子さん。どうかしましたか?もしかして祥子さんも船酔いですか?」

「へ?い、いえ、そういうわけでは…」

 

彼女の様子を見て心配そうにするシーザリオに対して祥子がそう言いかけると、シーザリオは彼女の頭を撫でる。

 

「え?」

「大丈夫ですよ。祥子さんがいつも頑張ってるのはよく知ってますよ。バンド練習や私たちのご指導のあとにアルバイトをしてることも…ですから、今だけは甘えたっていいんですよ」

 

優しく微笑みながら頭を撫でると同時に背中もさすり、労いの言葉をかけるシーザリオのその姿に祥子は亡くなった母親の姿と重ね合わせていた。

 

「…っ!お…お母様…!私…!お母様が死んでから…ずっとずっと辛くて…!!」

「よしよし…もう大丈夫ですよ…私は味方ですよ…」

 

その姿を見た祥子は幼い子供のように泣きじゃくりながらシーザリオに抱きつき、彼女の様子に一瞬驚きつつも、シーザリオは祥子を抱きしめながら彼女の頭を撫でていた。

 

「さ、さきちゃーん…気持ちはわかるけど戻ってきてー…」

「彼女も苦労していたんだな」

 

初華は人目を気にせずにシーザリオに泣きつく祥子を呼びかけ、オグリキャップはおにぎりを食べながらそう呟く。

 

「それにしても無人島って、どの辺りだろう?」

「日本には無人島が割とそこそこあるからねー。ん?」

 

香澄とトランセンドがそんな会話を交わしながらふと上を向くと、船のマストの上にネオユニヴァースが立っており、空に向かって両腕を広げていた。

 

「あれ?また交信やってる」

「交信?」

「ユニヴァース先輩は時々あぁやって交信するのよ。さっきも交信していたわね…?」

 

あられの言葉に疑問に思う愛音に対してロイスアンドロイスがそう答えながら彼女も先ほどの灯台の上での出来事を思い出していると、ゴールドシップがネオユニヴァースに呼びかける。

 

「おーい!ユニヴァース〜!また宇宙との交信かー?それとも…石についてか?」

 

ゴールドシップの言葉が聞こえたネオユニヴァースは耳をピクリと動かしてから彼女の方を向く。

 

「石?どういうこと?」

「ちょっと前にタキオンに聞いたんだよ。香澄たちをこの世界に呼び寄せた時に使ったエネルギー源が花みたいな形の虹色の石だってよ。変なエネルギーを出してたからアイツも探ってたんじゃないかと思ってよ。でも、タキオンはアタシ以外に話してねぇけどな?」

 

香澄が不思議に思って問いかけると、ゴールドシップは以前アグネスタキオンが使っていたガールズバンドたちを呼び寄せた発明品に使っていた石の存在について聞かされており、それについて香澄に説明すると、ネオユニヴァースがマストから降りる。

 

「…アファーマティブ…ネオユニヴァースは…『探っていた』…よ」

「ね、ねぇ、なんでユニヴァースはその石のこと知ってたの?」

 

あられが問いかけると、ネオユニヴァースは少しの間黙り込むと、ゆっくりと口を開く。

 

「…その"石"はネオユニヴァースがアグネスタキオンに使わせるように置いた…三女神から渡された石を…」

「へっ!?ゆ、ユニヴァースさんが!?でもなんで…?」

 

驚いたスペシャルウィークが問いかけると、ネオユニヴァースは続ける。

 

「…ネオユニヴァースは『観測した』…"パラレルワールド"を…そして…消えていった世界を何度も見た…」

「観測…?もしかして、別の世界が見れるの…?」

 

初華がそう言いかけると、頷いたネオユニヴァースはゆっくりと目を瞑ると、全てを語り始める。

 

「『わたし』が見た世界はこの世界とほぼ同じ世界…その世界の『わたし』も別の世界からガールズバンドたちを呼び寄せ…あるウマ娘たちの『残酷な運命』を食い止めた…はずだった…」

 

すると、そこまで言いかけたネオユニヴァースは表情を曇らせる。

 

「その世界のガールズバンドたちを送り返したその瞬間…恐ろしい"黒い厄災"が二つの世界に起きて…世界は消えた…これまで何度も『ぼく』は別のこの世界を観測したけど…"厄災"を観測したのは初めてだった…『残酷な運命』の正体はおそらくそれ…食い止めるだけじゃダメだった…」

「ざ、残酷な運命と厄災って…そんなこと本当に…?でも、なんでぼくたちが…?」

 

ネオユニヴァースの言うことが信じられなかったあられが問いかけると、ネオユニヴァースは答える。

 

「ネオユニヴァースは…別の世界を6回も観測した…これまでの世界全てにガールズバンドたちが『呼び寄せられてい』たから…6回目の別の世界…『Pの世界』で"厄災"を初めて観測した…おそらくこれまで見た世界も"厄災"で消えた…香澄たちという"特異点"があってもダメかと思った…でも…」

 

ふとネオユニヴァースは初華たちムジカとシュヴァルグランたちチームムジカを見る。

 

「…『Pの世界』では三角初華たちの姿は無かった…この7回目は…『ぼく」も知らない特異点だった…これまでも微妙に"違い"があったけど、ここまで大きな"違い"はなかった…三女神の力を借りて新しい石を手にし、香澄たちを『呼び寄せた』よ…今回こそ"特異点"の香澄たちなら『残酷な運命』と"厄災"を『回避』できる…そう思った…だから…!」

 

全ての説明を終えたネオユニヴァースは全員に向かって頭を下げる。

 

「みんなの『力を貸してほしい』…よ…大好きなみんなを…この世界と香澄たちの世界を守りたい…!」

「ユニヴァースちゃん…ごめ〜ん。もう少し分かりやすく手短に説明し直してくれないかな〜?話が難しすぎて〜…」

「わ、私も〜…」

「ズコーーッ!!」

 

あまりにも長く、壮大すぎたためか、香澄とスペシャルウィークはついていけずに苦笑いを浮かべながら再度わかりやすい説明を要求し、それによって全員はずっこける。

 

「し、シリアスな空気が台無しですよ〜!」

「つまり簡潔にまとめると、何度も別の世界を見たユニヴァースさんが6回目で残酷な運命の原因を観測。新しい特異点である初華さんたちと戸山先輩たちを呼び寄せた。ということですね」

 

都子がツッコミを入れると、律が香澄にネオユニヴァースの言っていたことを簡潔に纏めながら説明する。

 

「じょ、冗談だったけど今ので大体わかったよ!ユニヴァースちゃん、私たちが力を貸すよ!私たちもこの世界大好きだから!」

「私もですよ!」

「そうでしたの…私たちがこの世界に呼び出されたのは理由があったのですね」

 

苦笑いを浮かべつつ香澄がそう言い、スペシャルウィークも彼女に続くと、シーザリオに泣きついていた祥子が気持ちを切り替えていた。

 

「さきちゃん。もう大丈夫なの?」

「えぇ、泣いたらスッキリしましたわ。私たちがユニヴァースさんの力になれるのなら喜んで力を貸しますわ。それと…」

 

初華の問いかけに祥子がそう答えると、シュヴァルグランたちの方を向く。

 

「…シュヴァル。シーザリオ。それにファインとブーケ、オグリ。私は今後のためにももっと貴女たちの事と向き合う必要がありますわ。私は仲間として…友として貴方たちの人生を預かりますわ。どんなことがあっても必ず守り抜きますわ」

 

シーザリオに抱きしめられたことで彼女たちへの信頼が強まったのか、これまで彼女たちを敬称で呼んでいた祥子が彼女たちを呼び捨てで呼びながら決意の籠もった表情でそう言い放つ。

 

「さ、祥子さん…うん。僕たちもみんなともっと仲良くなるためにも向き合っていくよ…!」

「私たちも同感です」

 

祥子の決意を感じ取ったシュヴァルグランは今まで以上に彼女たちに向き合うことを決め、シーザリオたちも改めて決意する。

 

「よっしゃー!ゴルシちゃんたちで運命なんてぶっ飛ばすぞー!」

「おー!」

「厄災なんか蹴っ飛ばせー!」

「おぉーーっ!!」

 

ゴールドシップが声を上げると、全員が声を上げ、その様子を船長が微笑ましく思いながら見守っていた。

彼女たちが乗る幽霊船の真下を大きな影が横切ったことに気づかないまま船は進んで行った。

 

………………………

 

数時間後、幽霊船は小笠原諸島の周辺の海を進んでいた。

 

「今どの辺かなー?」

「ん〜、スマホの位置情報アプリによると小笠原の近くだね〜」

「うむ。おそらくこの周辺の無人島のどれかだろう」

 

ののかの言葉に対してトランセンドがスマホの画面を見ながら言うと、船長は単眼鏡を取り出しながら辺りを確認する。

するとその時、突然船に大きな衝撃が襲う。

 

「うわっ!?」

「な、何!?」

 

突然のことに全員が驚いていると、海の中から巨大な触手のようなものが現れ、船を掴んでいた。

それと同時に海の中から巨大なタコが目を赤く輝かせながら姿を現した。

 

「うわぁっ!?お、おばけタコだー!!」

「マジで出やがったか!伝説のムー大陸の大ダコ!」

 

愛音が巨大ダコを見て驚き、ゴールドシップが声を上げると、巨大ダコは船を触手で破壊しようとしていた。

 

「ま、まずいぞ!いくら幽霊船でも壊されたらおしまいじゃ!」

「は、早く何とかしましょう!」

 

船長の言葉を聞いて都子がうろたえていると、触手がにゃむを掴む。

 

「わーっ!?助けてー!」

「にゃむ!」

「くっ、にゃむを離せ!」

 

にゃむが悲鳴を上げると、オグリキャップがにゃむを掴んでいる触手に飛びつく。

 

「オグコ〜!助けて〜!」

「任せろ!バクッ!むしゃむしゃ…うん、新鮮で美味い!」

 

にゃむが助けを求めると、オグリキャップは触手を食べてにゃむを助け出そうとする。

 

「いや、食ってる場合じゃなかと〜!」

 

にゃむがツッコミを入れると、巨大ダコがオグリキャップをはたき落とす。

 

「ぐっ!」

「オグリ!」

 

オグリキャップがはたき落とされると、触手がシュヴァルグランに向かっていく。

 

「!」

「シュヴァち危ない!」

 

咄嗟にヴィブロスがシュヴァルグランを突き飛ばすと、そのまま触手に捕まってしまう。

 

「きゃあっ!」

「ヴィブロス!」

「よくもヴィブロスを…!妹を離しなさい!」

 

ヴィルシーナも飛びかかると、そのまま触手に捕まってしまう。

 

「ひゃあっ!」

「姉さん!」

 

ヴィルシーナが触手に捕まると、他の者たちも触手に捕まっていた。

 

「助けて〜!」

「食べられる前にこんな大きなタコさんを食べちゃいたいです〜!」

「くそ〜!ゴルシ様を捕まえるなんていい度胸じゃねぇか〜!」

 

初華とシュヴァルグラン、あられとネオユニヴァース、祥子以外の者たちは捕まっており、巨大ダコは勝ち誇ったかのように墨を吐いていた。

 

「みんな!船長さん、何か武器はないの!?」

「一応大砲があるが、もう壊れて使いもんにならん!」

「そんな〜!」

 

初華の問いかけに船長がそう答え、あられが悲痛な声を上げると、祥子は落ちていた銛を手に取ると、巨大ダコに立ちはばかる。

 

「さきちゃん危ない!逃げて!」

「逃げませんわ!私は必ず守ると誓ったばかりですわ!もう逃げませんわ!」

 

逃げるように言う初華に対して祥子はそう言い放つと、巨大ダコに向かって叫ぶ。

 

「大ダコ!私は神ですわ!神である私はアナタのような怪物に負けたりしませんわよ!かかってらっしゃい!」

 

祥子は銛を槍のように構えながら叫ぶと、巨大ダコは触手を伸ばして攻撃を仕掛ける。

 

「さきちゃん!」

「祥子さん!」

 

初華とシーザリオが声を上げたその時である。

何処からか砲撃が放たれ、巨大ダコは直撃を受ける。

 

「っ!?」

 

突然のことに全員が驚いていると、何者かの砲撃を受けた巨大ダコが怯んだことで捕まえていた香澄たちとスペシャルウィークたちを落とす。

 

「わっ!」

「あだっ!」

「みんな大丈夫!?」

「な、なんとか…」

 

船の上に全員が落ち、あられが慌てて駆け寄ると、巨大ダコは海中に潜って逃走する。

 

「逃げてくよ!」

「ですが今の攻撃は…?」

「あれ見て!」

 

海鈴が不思議に思うと、ヴィブロスが砲撃が飛んできた方角を指さす。

そこには彼女たちが乗る幽霊船と同じく古びた海賊船らしき船があった。

 

「わっ!?また海賊船!?」

「あれはまさか…!おーい!ワシだ!船長だー!」

 

船を見た船長が呼びかけていると、船に乗っている人影が反応する。

 

「!船長だ!やっぱり船長の船だったんだ!」

「船長ー!こちらへどうぞー!」

 

船の船員たちが船長に向かってそう言うと、船は背後にあったとある島に向かい、幽霊船もその後を追う。

船が島に到着すると、香澄たちとスペシャルウィークたちは島に上陸する。

 

「あっ!船から降りれた!」

「やった!呪いが解けたんだー!」

「うむ。キミたちはもうこの船に縛られることはない。安心しなさい」

 

呪いが解けたことで喜ぶ彼女たちを見て船長が微笑んでいると、船員たちに歩み寄る。

 

「お前たち。無事に生還できたのだな」

「船長のおかげですよ!あれからこの島に辿り着いてドードーたちをこの島に放ったんですよ。そして今では…」

 

船員の一人がそう言うと、茂みの中から1羽の大きな鳥が現れる。

それは既に絶滅した飛べない鳥類のドードーだった。

 

「み、みんな見て!あれってもしかしてドードー!?」

「す、凄い!本物の生きてるドードーなんて初めて見た!」

 

香澄がドードーを指さしながら驚き、愛音も驚いていると、ドードーは鳩のような鳴き声を発しながら船長に近づく。

 

「そうか…あのドードーたちは子孫を残すことができたのか…ワシが命をかけた甲斐があった…!」

「俺たちも船長が来るのを待っていたらすっかり幽霊になっちゃいましたよ。これでもう思い残すことはありせん」

 

船員の一人がそう言うと、彼らの身体が浮かび上がると同時に光り輝く。

 

「あっ、船長さんたちが!」

「ありがとう。キミたちには本当に世話になった…最後に一つだけ頼みがある。この島のことは決して他のものには秘密にしてくれ…ここはドードーたちの最後の楽園なのだから…」

「は、はい!絶対に誰にも言いません!」

「この島のことは私たちだけの秘密にします!」

 

船長の最後の頼みを聞いたシュヴァルグランと初華が島の秘密を守り抜くことを誓うと、船長と船員たちは成仏し、海賊船も後を追うように消えていった。

 

「行っちゃったね…」

「はい…優しい海賊さんの幽霊さん達で良かったです…」

 

ファインモーションとカレンブーケドールが船長たちが消えていった空を見つめていると、海鈴があることに気づく。

 

「…ん?ちょっと待ってください。船まで消えたということは…私達はこの島に取り残されたということに…?」

「……あっ!!」

 

海鈴の発言に全員がその事実に気づくと先ほどまでのしんみりとした空気が一変して表情が一気に青ざめる。

 

「せめて元の場所に送り届けてから成仏してぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」

 

全員の絶叫が島中に響き渡った。

その後、イカダを作って自力で東京まで生還したという。

 

続く

 




「次回予告フリートークコーナー!」

「燈ちゃんはどうしていつも石を集めてるんですか?」
「え?す、好きだから…かな…?綺麗な石を見つけるとすごく嬉しいし…あと、ペンギンの絆創膏も集めるの好き…」
「ふふっ♪燈ちゃんはとにかく集めるのが好きなんですね♪次回、第七話「クリーク、襲来」次回もお楽しみにです!」
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