Re:ウマドリ!!〜ウマ娘プリティーダービー&BanG Dream!ガールズバンドパーティ!外伝〜   作:キプkeep

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遅れましたが、今回はトプロメイン回!
トプロが大嫌いなカラスによる大騒動が起きます!
このエピソードはかつてpixiv版ウマドリ連載以前に私がpixivにて投稿していた別シリーズ作品の一部エピソードを再構成・リメイクした内容となります(現在は完結済み)。


第8話「カラスパニック!」

某日、アグネスタキオンの研究室。

 

普段部屋を散らかりがちなアグネスタキオンは研究室のあまりの汚さにマンハッタンカフェに怒られたため、研究で開発した薬品や発明品を整理していた。

 

「えーと…これは保存…これは捨てる…これはまだ開発中…」

 

アグネスタキオンは残す発明品と捨てる発明品、開発中の発明品に分けていた。

 

「随分と溜め込んだものだねぇ〜…こんなにあると少し面倒だね…ん?これは…?」

 

彼女は何らかの錠剤が入った小さな瓶を取り出す。

蛍光グリーンに輝くいかにも怪しそうな薬品だった。

 

「これは…うーん…似たような薬がたくさんあるから忘れてしまったよ。これは後で処分しよう。それにしてもホコリっぽいねぇ…換気でもしようか」

 

アグネスタキオンはそう言いながら窓を開けたその時、突然カラスが研究室に飛び込む。

 

「わっ!?」

 

突然のことにアグネスタキオンが驚いていると、カラスは蛍光グリーンに輝く廃棄予定の薬の入った瓶に興味を持ったのか、瓶を奪って外に出る。

 

「あぁ、発明品が!…まぁ、アレは捨てるつもりのものだったし、別にいいだろう。さぁ、続きを…ん?」

 

一瞬奪われた瓶を取り返そうとしたが、廃棄予定のものだったためか、気にしないことにしようとすると、セロテープがついた紙が落ちていることに気づく。

 

「これは?あぁ、あの瓶に貼っていたラベル代わりの紙か。ふむふむ…っ!?」

 

紙に書かれていた文字を見たアグネスタキオンの顔色が変わる。

 

「ま、まずい!あの薬は…!早く取り返さなければ!」

 

そう言ってアグネスタキオンは慌てて外に出た。

その頃、薬の入った瓶を奪ったカラスはトレセン学園から少し離れたところにある廃墟にやって来ると、仲間たちが出迎える。

すると、足を滑らせて掴んでいた瓶を落としてしまい、瓶は少し割れて中身がこぼれてしまう。

瓶を落としたカラスが割れた瓶に近づくと、左目に傷跡があるボスと思われる大きなカラスが瓶に近づくと、お腹が空いていたのか、瓶から溢れている錠剤を食べ始めていた。

 

…………………………

 

数日後、トレセン学園のトレーニング用コースにて、スペシャルウィークとナリタトップロードがトレーニングとして並走を行っていた。

 

「やぁぁ〜〜っ!」

「はあぁぁっ!」

 

二人はほぼ同じタイミングで加速し、そこから更にスピードを上げていった。

 

「スペちゃーん!頑張れー!」

「トプロさーん!」

 

その様子を香澄たち各バンドのボーカル組とその担当のウマ娘たちが見守っており、香澄と燈はスペシャルウィークとナリタトップロードにエールを送っていた。

 

「相変わらず2人とも速いね」

「えぇ。それにしてもこの長い距離を走り続けるなんて凄いスタミナね」

 

二人の走りを見ていたレイヤが感心し、友希那が思わずそう呟くと、グラスワンダーが口を開く。

 

「スペちゃんもトップロードさんも長距離向けのウマ娘ですからね。この距離を走れるのは当然ですよ」

「長距離向け?ウマ娘にも得意不得意があるの?」

 

グラスワンダーの言葉を聞いた蘭が質問をすると、フジキセキは何処からかスケッチブックとペンを取り出す。

 

「もちろんあるよ。ウマ娘にはそれぞれバ場適性、距離適性、脚質適性があってね。バ場は芝とダート。距離は長距離と中距離、マイルに短距離。脚質は逃げ、先行、差し、追込があるよ」

 

フジキセキはスケッチブックにウマ娘の適性について分かりやすく説明すると、サトノダイヤモンドも続けて説明する。

 

「芝は多くのウマ娘が得意としていますが、得意な距離と脚質はウマ娘一人一人が違ってますね。例えば私なら中距離、長距離向けの差しで、フジキセキさんならマイルと先行が向いていますね」

「長距離と中距離、短距離はだいたい分かるけど、マイルって?」

「マイルは1600メートルの距離を得意としているウマ娘のことだよ。まぁ、簡単に言えば短距離と中距離の間かな?」

 

サトノダイヤモンドが自分とフジキセキの適性を一例として例え、香澄がマイルについて問いかけると、フジキセキは軽く説明する。

 

「質問!ダートって、何かな?」

「ダートは芝よりも砂や土のコースが得意なウマ娘が走るコースのことだよ。ちなみにファル子は逃げのダートウマ娘だよ♪」

 

彩がダートについて質問をすると、スマートファルコンがダートについて説明しつつ自分の適性がダートであることを彩に明かす。

すると、スペシャルウィークとナリタトップロードが並走を終える。

 

「ふ〜、疲れました〜」

「お疲れ様です。スペちゃん」

「二人ともお疲れ〜。じゃあ、次は…」

 

並走を終えた二人を労いながら香澄が他に誰が走り始めるか聞こうとしたその時である。

 

「なんじゃこりゃーーーっ!?」

 

何処からか誰かの絶叫が響き渡る。

 

「わっ!?今のは?」

「畑の方からです!」

「トレセン学園に畑ってあるの?」

「とにかく行きましょう」

 

香澄がその声に驚き、スペシャルウィークがそう言うと全員は急いで畑へと向かう。

畑にやって来ると、一人のウマ娘が頭を抱えていた。

片田舎から飛び出してきた豪放磊落なウマ娘、カツラギエースである。

 

「エースさん!」

「あの人は?」

「カツラギエース先輩。シービー先輩の同期のウマ娘だよ。エース先輩、何かあったんですか?」

「フジ…てことはあんたらが噂の…実はこんなことになってて…」

 

フジキセキがカツラギエースについて説明し、そのまま彼女に問いかけると、カツラギエースは地面を指さす。

そこには何者かによってめちゃくちゃに荒らされた野菜の残骸が地面に散らばっていた。

 

「ふえぇっ!何これ!?」

「酷い…めちゃくちゃですね…」

「今朝はなんともなかったのに、ちょっと様子を見に行ったらこうなってたんだ!誰がこんなことしやがったんだ〜!?イノシシ用の罠も仕掛けてたのによ〜!」

 

それを見たライスシャワーとグラスワンダーが驚き、カツラギエースは丹精込めて育てた野菜が荒らされたことで腹を立てていた。

 

「もしかしてスペちゃん…!」

「ち、違いますよ〜!」

 

香澄の冗談交じりの問いかけに対してスペシャルウィークが慌てて否定したその時である。

 

「カァー!」

 

何処からか鳴き声が聞こえ、鳴き声のする方を向くと、上空に一羽のカラスがいた。

 

「あっ!カラスだ!」

「そうか!アイツが犯人か!」

 

全員がカラスが犯人だと確信すると、もう一羽のカラスがサンマを咥えて現れる。

 

「あっ!サンマを盗んでる!」

「何処から取ってきたんだろ…?」

 

それを見たレイヤが思わずツッコミを入れると、今度はもう一羽のカラスがバナナを咥えて現れる。

 

「今度はバナナを持っていってるわ!」

 

するとまたカラスの鳴き声が聞こえ、もう一羽のカラスが現れる。

 

「あっ!またカラス!……ん?」

 

全員がそのカラスに注目すると、カラスはテスト用紙を咥えていた。

 

「て、テスト用紙?」

「あれって、この前の小テストの答案?」

「しかも赤点だね〜」

 

テスト用紙を見て不思議に思うと、それを見たスペシャルウィークが顔を青ざめる。

 

「あっ!あれ私のです…!」

「えぇっ!?」

「スペちゃん…小テストの点数、悪かったのですか?」

 

グラスワンダーが苦笑いを浮かべながら問いかけると、スペシャルウィークは恥ずかしそうに顔を背ける。

 

「スペ…」

 

それを聞いたカツラギエースは呆れながら頭を抱えた。

 

…………………………

 

数分後、とある空き教室にてカラス撃退対策本部が結成されていた。

スペシャルウィークたちと香澄たちはカツラギエースを加えての対策会議を行っていた。

 

「うーん…どうしよう…?」

「どうしたら〜…?」

「なんでたかがカラスでここまで大事になるのかしら…?」

 

友希那がツッコミを入れると、フジキセキが報告する。

 

「最近、商店街の方でもカラスの被害が多いみたいだよ」

「そういえばゴミ捨て場もよく荒らされてましたね」

「結構色んな所で被害にあってるんだね〜」

「アファーマティブ…イタズラカラスが『増えた』…だね…」

「食べ物を盗むカラスさんたちは絶対に許しません!」

 

互いに被害状況を報告する中、赤点の答案を晒されたスペシャルウィークは怒りに燃えていた。

 

「す、スペちゃんはちゃんと勉強しようね〜…」

「それにしてもカラスですか…はぁ…」

 

セイウンスカイが苦笑いを浮かべながらツッコミを入れる中、ナリタトップロードだけは乗り気ではなかった。

 

「ん?どうしたのトップロードちゃん?」

 

彩がそれに気づくと、ナリタトップロードは答える。

 

「実は…小さい頃からカラスが苦手で…」

「あら?カラスが苦手なのね?」

「そういやそうだったなー」

 

ナリタトップロードの発言にこころが反応し、カツラギエースもナリタトップロードがカラスが苦手だったことを思い出したその時、外からカラスの鳴き声が聞こえる。

 

「あっ!カラスだよ!」

「とうとう出やがったな!野菜の敵討ちだ!」

 

それを聞いた全員は急いで外に出る。

 

「おわっ!なんだコイツ、離れろ〜!」

「焼きそばは渡さないぞ!」

 

外に出ると、焼きそばを売り歩いていたゴールドシップがカラスを追い払おうとしており、焼きそばを食べていたオグリキャップも一緒になってカラスを追い払おうとしていた。

 

「あっ!ゴルシさん!」

「おっ、オメェら!ちょうど良かった。手を貸してくれよ〜!」

「任せて!ゴルシちゃんとオグリちゃんは安全な場所に!」

「分かった!」

 

香澄にそう言われてオグリキャップとゴールドシップは急いでその場から離れる。

カラスは香澄たちとスペシャルウィークたちを見て嘲笑うかのように上空を旋回していた。

 

「ぐぬぬ〜!バカにしてるな〜!」

「もう許さない!シュヴァルちゃん、お願い!」

「は、はい!」

 

あられがそれを見て腹を立て、初華がシュヴァルグランにそう言うと、シュヴァルグランは柔らかめのバッティング練習用ボールを取り出す。

 

「カラスさん、ごめんなさい!えい!」

 

罪悪感からか、カラスに謝ってからシュヴァルグランはボール投げる。

しかし、カラスは華麗に躱し、ボールが香澄たちとスペシャルウィークたちに向けて落下する。

 

「え〜っ!?」

「あぁ〜っ!?ぶっ!!」

 

全員が慌てていると、ボールが彩の顔面に直撃する。

 

「彩さーん!」

「ごご、ごめんなさい!今度こそ…!えい!」

 

シュヴァルグランは再びボールを投げるが、カラスはまた躱し、ボールは勢いよくカーブして全員の方に向かって落下する。

 

「ま、また〜!?」

「ぎゃふん!?」

 

すると、ボールは今度はスマートファルコンの顔面に直撃する。

 

「ファル子さーん!」

「も、もう一回…!とりゃ!」

 

シュヴァルグランは再びボールを投げ、カラスがそれを躱してボールが近くの茂みに落ちると、反撃に出たカラスはフンを落とす。

カラスが落としたフンは蘭に向かって落下する。

 

「うわっ!?危なっ!?」

「は、早く逃げよう!」

「ひぃ〜!!」

 

蘭は咄嗟に躱し、それを見たレイヤたちは慌てて逃げ、カラスは次々とフンを落とす。

 

「ひぇ〜!!フンが雨みたいに落ちてくる〜!!」

「ぎゃーっ!こっちに落とさないで〜!!」

「嫌〜〜!!」

 

降り注ぐフンの雨にパニックになる中、カラスのフンが燈に目掛けて落ちてくる。

 

「危ない燈ちゃん!」

「わっ!?」

 

すると、それを見たナリタトップロードが真っ先に燈に飛びつき、彼女を抱きかかえる形で地面に転がることでカラスのフンから守る。

 

「あ、ありがとうトプロさん!」

「お、お前ら早く学園の中に!」

「フン嫌〜!」

「ひぇ〜!!」

 

カツラギエースに誘導されて香澄たちとスペシャルウィークたちは慌てて学園に入る。

 

「アホー!アホー!」

 

それを見たカラスはバカにするように鳴き声をあげていた。

 

…………………………

 

学園の空き教室に戻ると、全員は作戦を練り直していた。

 

「悔しいな〜…どうしたらいいんだろう…?」

「いてて…シュヴァルちゃんの豪速球凄かったよ…」

 

悔しがる香澄の隣で彩がボールをぶつけたところをさすっていると、ライスシャワーが口を開く。

 

「あのカラスさん…なんだか普通のカラスさんと違うような…?」

「確かに…いくらなんでも賢すぎる気が…」

 

疑問に思うライスシャワーの言葉にグラスワンダーも同意すると、再びカラスの鳴き声が聞こえる。

 

「またカラスだよ!」

 

それを聞いた全員が外に出ると、カラスが地面に降りて鳴き声をあげていた。

 

「しつこいな〜!」

「こうなったらアタシに任せろ!コイツで追い返してやる!」

 

カツラギエースはホースを持ってくると、そのまま彼女は放水し、それに驚いたカラスは慌てて逃げ出す。

 

「逃げたわ!」

「やったー!」

 

カラスが逃げ出したのを見て喜んだ次の瞬間。

 

「カァーーッ!!!」

 

カラスが5羽に増えて再び現れる。

 

「どひゃあっ!?増えたぁっ!?」

「くそ〜!もう一発!」

 

カツラギエースは再び放水し、カラスたちは逃げ出す。

 

「やりました!」

「イェーイ♪」

 

それを見て全員が再び喜んだ次の瞬間。

 

「カァーーッ!!カァーーッ!!」

 

再びカラスが現れるが、今度は数が2倍に増えて10羽になる。

 

「えぇーーっ!?」

「ま、また増えたぁ!?」

 

それを見た全員が驚くと、カラスたちは一斉に襲いかかる。

 

「に、逃げろぉーっ!!」

「キャーーーッ!!」

 

カラスが襲いかかると同時にカツラギエースが叫び、ナリタトップロードは真っ先に学園に逃げ込むと他の者たちも学園に逃げ込むが、カラスたちも学園に侵入する。

 

「ひぇ〜!」

「来ないでくださ〜い!」

 

香澄とスペシャルウィークはカラスに追いかけ回されており、必死で逃げていた。

そのまま二人は曲道の段ボール箱の後ろに隠れ、様子を見るが、カラスはどこかに行っていた。

 

「あれ?いませんよ?」

「どこ行ったんだろ?」

 

二人が警戒しながら見ていると、後ろから誰かに突かれる。

 

「うるさいな〜。ん?」

 

思わず手で払い除けた香澄だったが、違和感に気づいて後ろを向く。

 

「カァーッ!」

 

後ろを見ると、カラスが嘴を大きく開けながら鳴き声をあげていた。

 

「わーっ!?」

「逃げろ〜!!」

 

それを見た二人は慌てて逃げ出すとカラスは後を追った。

 

「しつこいな〜!来ないでよ!」

「蘭ちゃん、私の後ろに!」

 

蘭もカラスに追いかけられており、カラスの攻撃を避けながら逃げていると、グラスワンダーは薙刀を取り出してカラスに向けて振り上げるとそれを見たカラスは慌てて逃げ出す。

 

「ふ〜、ありがとうグラス」

「油断してはいけませんよ…!」

「カァーッ!!」

 

礼を言う蘭に対してグラスワンダーは警戒しながら答えると、カラスの大群が弾丸のようなスピードで一直線にこちらに向かって突撃していた。

 

「えぇーーっ!?」

「くっ!」

 

それを見た蘭は驚き、グラスワンダーは彼女を守るためにカラスに立ち向かう。

 

「嫌ァーッ!助けてくださーい!!」

「嫌〜!」

 

ナリタトップロードは彩と共にカラスの襲撃から全力で逃げており、その異様な光景に廊下にいた他の生徒達の注目を集めていた。

 

「トプロさん!丸山先輩!こっち!」

「早く!」

「燈ちゃん!ファル子さん!は、はい!」

 

すると、空き教室の中に避難していた燈とスマートファルコンが二人を誘導し、二人が入ると同時に扉を閉める。

 

「ここならひとまずは安心ですね…」

「怖かった〜…!」

 

ほっと一息ついた次の瞬間、壁を破って大量のカラスたちが壁から顔を出す。

 

「ギャーーーーッ!!??」

 

それを見た四人はあまりの恐怖に悲鳴をあげた。

 

…………………………

 

数分後、カラスにより学園内がパニックに陥りながらも香澄とスペシャルウィークは作戦を立てていた。

 

「このままじゃカラスたちにやられちゃうよ〜…!」

「香澄さん、人間とウマ娘には知恵があることをカラスに思い知らせてやりましょう!」

 

そう言ってスペシャルウィークは籠を棒で立てただけの鳥用の罠を仕掛けると、バナナを置く。

 

「後はカラスたちの大好物、バナナでおびき寄せて捕まえてやります!」

「これでもう安心だね!」

「ですね!…ん?」

 

すると、スペシャルウィークは背後にニンジンと白いご飯が置かれていることに気づく。

 

「わぁ〜!ニンジンです〜!」

「ご飯だ〜!」

 

二人は大喜びでそれに飛びつくが、ふと周りを見ると、大きな籠が上にあることに気づく。

 

「あれ?何これ?」

「籠ですね?」

 

二人が不思議に思った次の瞬間。

 

「カァーーッ!!」

 

彼女たちのすぐ近くにカラスが2、3羽ほど現れ、カラスたちが紐を翼で引っ張ると二人はそのまま籠の中に閉じ込められる。

 

「えぇっ!?」

「何これ!?私たち捕まった!?」

「助けて〜!!」

 

困惑していると周りから悲鳴が聞こえ、周りを見てみると、他の全員も同じような罠にかかって捕まっていた。

 

「みんなも捕まっちゃったの!?」

「ど、どうなってるんですか〜!?」

 

カラスたちに捕まったことでわけが解らずに混乱していた。

 

…………………………

 

数分後、香澄たちとスペシャルウィークたちは熊捕獲用の檻の中に閉じ込められていた。

 

「ここから出して〜!」

「なんでこんなことに〜!?」

 

あられと香澄が鉄格子を掴みながら泣いていると、カラスたちはそれを見て嘲笑うかのように鳴き声をあげていた。

 

「バカにして〜…!」

「落ち着きなさい美竹さん」

「そうですよ〜。怒ってもしょうがないですし、ここはのんびりと脱出のチャンスを待ちましょうよ〜」

「あなたは落ち着きすぎなのよ」

 

腹を立てる蘭を友希那がなだめると、セイウンスカイは呑気に寝転びながら言い、友希那がツッコミを入れると彩が外を指さす。

 

「ねぇ見て!」

 

すると、上空から他のカラスたちよりも一回り大きな左目に傷跡があるボスらしきカラスが降り立つ。

 

「第1段階は完了だな。同胞たちよ」

 

すると、そのボスのカラスは何故か人間の言葉を話した。

 

「えぇっ!?」

「か、カラスが喋った!?」

「な、なんで喋れるの!?」

 

全員がボスのカラスが喋ったことに驚くと、ボスのカラスは笑みを浮かべる。

 

「俺様が喋れるとよくわかったな」

「いや、誰でもカラスが喋ったら驚くよ!」

「お前は一体…!?」

 

ボスのカラスの発言にあられがツッコむと、カツラギエースがボスのカラスに問いかける。

 

「俺様はこの群れのボスのカラスだ。最近は人間どものせいで俺様たちの食べるものが少なくなり、俺様は部下に食べ物を探させた。その時これに出会ったのだよ」

 

ボスのカラスは羽毛の中に隠し持っていたアグネスタキオンの研究室から盗んだ錠剤の入っていた割れた瓶を取り出す。

 

「それは…?」

「この瓶の中に入ってた粒を食べたら俺様たちの知能は飛躍的に高まり、特に一番食べていた俺様は喋れるほどにまで進化したのだ」

「ね、ねぇ、アレってもしかして…」

「間違いなくタキオンちゃんの発明品だね…またタキオンちゃんが…」

 

瓶を見たライスシャワーが察すると、彩は苦笑いを浮かべながら言う。

 

「ほぉ、コイツはタキオンというのか」

 

すると、それを聞いたボスのカラスが仲間たちに呼びかけると、カラスたちはロープでぐるぐる巻きにされたアグネスタキオンを連れてくる。

 

「タキオンさん!?」

「ん…?あっ!き、君たち!助けてくれぇ!」

「タキオンちゃんも捕まってたの!?」

 

既に捕まっていたアグネスタキオンの姿を見て驚くスペシャルウィークの声で目を覚ましたアグネスタキオンが呼びかけ、彩もその姿を見て驚いていた。

 

「いや〜、実は発明品の整理をしていた時にカラスに生物を進化させる薬を盗まれてしまってねぇ。すぐに解毒剤を持って取り返しに行ったのだが、ご覧のありさまだねぇ」

「ちゃんと管理くらいしとけ!」

 

薄ら笑いを浮かべながらアグネスタキオンが事情を説明し、カツラギエースがそれを聞いて怒鳴る。

 

「もういいか?これを仲間たちにも食べさせたことで仲間たちも少しだけ知能が高まった。そして、我々は住処や食べ物を奪った人間どもに復讐し、この星をカラスの星に変えることを計画したのだ!」

 

「な、なんだってー!?」

「人間に復讐!?」

 

ボスのカラスの計画を知った香澄たちとスペシャルウィークたちは驚愕し、カラスたちはボスのカラスに同調して鳴き声を上げる。

 

「俺様たちは今から国会議事堂に向かい、人間どもに復讐をする準備を進める。お前たちは生贄にしてやる」

「い、生贄!?」

「生贄なんてやだよ〜!」

 

生贄になることを恐れたスマートファルコンが抵抗して鉄格子を引っ張っていると、彼女の怪力によって鉄格子が折れる。

 

「な、何ぃ!?」

「しゃい?」

 

それを見たボスのカラスとカラスたちが驚き、突然のことでスマートファルコンも一瞬だけ思考が停止する。

 

「まぁ!鉄格子が折れたわ!」

「ナイス!ファル子ちゃん!」

「…はっ!た、助かった〜…!みんな!早くタキオンちゃんを助けよう!」

「そうはさせるか!行け!同胞たちよ!」

 

こころと彩の言葉で我に返ったスマートファルコンが鉄格子を壊しながら香澄たちとスペシャルウィークたちを助けると、ボスのカラスが命じて部下のカラスたちが襲いかかる。

 

「わわっ!来た〜!」

「もう少し…!よし、取れた!君たち!これを使いたまえ!」

 

それを見た香澄が驚くと、アグネスタキオンは尻尾を器用に使って白衣のポケットからスプレー缶を取り出すと、それをスペシャルウィークに投げ渡す。

 

「おっと。これは?」

「それは薬の効果を打ち消す解毒スプレーさ!それをカラスたちに!」

「わ、わかりました!おりゃ〜!」

 

スペシャルウィークは言われた通りにカラス達に向けてスプレーを噴射すると、それを浴びた部下のカラス達は薬の効果が切れて全て元のカラスに戻ると、何処かへ飛び去って行く。

 

「お、おい!お前たち何処へ行く!?」

「あとはアナタだけです!」

「く…!人間たちに復讐する為にここで終わるわけにはいかん!」

 

するとボスのカラスは瓶にわずかに残っていた錠剤を全て飲み干す。

 

「あぁっ!?そんなに飲んだらとんでもないことに!」

 

レイヤとフジキセキに助け出されてロープを解かれているアグネスタキオンがそれを見て驚くと、ボスのカラスは光りに包まれ、みるみるうちに巨大化する。

巨大化したボスのカラスは翼の先端から鉤爪を生やした怪獣のような姿となり、咆哮を上げる。

 

「えぇーーーっ!?」

「怪獣になったー!?」

 

それを見た全員が驚くと、カラス怪獣となったボスのカラスは突風を起こす。

 

「うわぁっ!吹き飛ばされる〜!」

「うぐぐぐ…!こうなったらこれで…!」

 

突風に耐えながらスペシャルウィークが薬を噴射しようとすると、アグネスタキオンがそれを止める。

 

「待ちたまえ!あの大きさじゃその薬は効かない!」

「じゃあ、どうすれば…!?」

「その薬をこっちに渡してくれ!その薬をベースに新しい解毒剤を作る!その間にカラス怪獣を止めてくれ!」

「止めるってアレを!?」

 

アグネスタキオンの言葉を聞いたセイウンスカイが驚くと、アグネスタキオンは別の薬を取り出す。

 

「これは大きくなる薬だ!誰かがこれを飲んでヤツを食い止めてくれ!」

「その役目私に任せてください!学園の皆さんは私が守ります!」

「す、スペちゃん…!」

 

アグネスタキオンが薬を取り出してそう言い放つと、スペシャルウィークが薬を飲むことを決め、香澄がそれを聞いて驚く。

 

「わかった。これを飲みたまえ!」

 

アグネスタキオンは薬を投げ渡し、スペシャルウィークはその薬を受け取ってからスプレー缶をアグネスタキオンに投げ渡すと、スペシャルウィークは薬を一気飲みする。

 

「ンゴッンゴッ…!すっぱーい!…んんっ!?」

 

薬を飲み干したスペシャルウィークはその味に顔をしかめると同時に身体が光り輝く。

 

「うおっ!眩しっ!」

「スペちゃん!」

 

全員があまりの眩しさに手で目を覆うと、スペシャルウィークは巨大化する。

 

「ガオーッ!」

 

巨大化したスペシャルウィークは何故か首から下が亀の怪獣のような姿になっていた。

 

「ガ〇ラみたいになったぁーー!?」

 

その姿を見た全員が驚くと、スペシャルウィークはボスのカラスに突撃し、取っ組み合いを開始した。

 

………………………

 

その頃、生徒会室では、シンボリルドルフがエアグルーヴから渡された資料をチェックしていた。

 

「えっとこの資料は…ゴールドシップと千早愛音の二人による暴走行為の苦情か…」

「全く…いつも何考えてるんだあのたわけ共は…」

「まあまあ」

 

腹を立てるエアグルーヴをシンボリルドルフがなだめていると、生徒会室に体操服姿のアーモンドアイとデアリングタクトが慌てて入ってくる。

 

「会長ォーッ!」

「大変です!」

「なんだ騒々しい!」

「二人とも何かあったのか?」

 

エアグルーヴが慌てて入ってきた二人を怒鳴り、シンボリルドルフが問いかけると、アーモンドアイは息を整えてから報告する。

 

「ぜぇー…!ぜぇー…!きょ、巨大化してガ〇ラみたいになったスペシャルウィークさんがでっかいカラスの怪獣と戦ってるんです!」

「何?ガ〇ラみたいになったスペシャルウィークとカラスの怪獣だと?そんなバカな話があるか!トレーニングに戻れ!」

 

アーモンドアイの報告を聞いたエアグルーヴが信じられずに二人を怒鳴ると、ちょうど彼女の背後の窓ガラスの外ではスペシャルウィークとボスのカラスが戦っており、その様子をシンボリルドルフとアーモンドアイとデアリングタクトが見ていた。

二人の視線が窓の外を見ていることに気づいたエアグルーヴが後ろを振り向いて窓の外を見ると既にスペシャルウィークとボスのカラスは生徒会室の窓から離れていた。

 

「…どうやらお前たちは疲れているようだな…」

 

そう言いながらエアグルーヴが二人の方を向くと、窓の外に再びスペシャルウィークとボスのカラスが現れる。

 

「…アーモンドアイ、デアリングタクト。すぐに外に出るぞ。エアグルーヴもついてくるんだ」

「は、はい!」

 

シンボリルドルフが席を立ちながらそう言って生徒会室から出ると、アーモンドアイとデアリングタクトも外に出る。

 

「あっ、会長!ん?えぇっ!?」

 

ふと後ろを向いたエアグルーヴはスペシャルウィークとボスのカラスの存在に気づくと、慌ててシンボリルドルフたちの後を追った。

同じ頃、スペシャルウィークとボスのカラスは未だに取っ組み合いをしており、他のウマ娘たちは慌てて逃げていた。

 

「が、頑張れスペちゃーん!」

「負けるなー!」

 

香澄たちが応援をしていると、シンボリルドルフたちが駆けつける。

 

「あっ、貴女たち!」

「アイちゃん!タクトちゃん!それに会長さんとエアグルーヴちゃんも!」

「一体これはどういうことなんだ!?」

「実は…カクカクシカジカで…」

 

エアグルーヴの問いかけに対してグラスワンダーが事情を説明する。

 

「またあのたわけの仕業か〜…!タキオン!タキオンは何処だ!?」

 

事情を聞いたエアグルーヴがアグネスタキオンを探すと、アグネスタキオンがやってくる。

 

「キミたち〜!やっと解毒剤が完成したよ!これを早くヤツに…!」

「ギャアーーッ!!」

 

アグネスタキオンが薬品が入った巨大な注射器を持ってくると同時にスペシャルウィークは香澄たちの方に投げ飛ばされる。

 

「に、逃げろぉ!」

「ひぇー!」

 

それを見た全員が慌てて逃げ、スペシャルウィークは地面に叩きつけられて気絶する。

 

「み、みんな大丈夫!?」

「な、なんとか…」

 

するとその時、ボスのカラスが自分の近くにいた燈を捕まえる。

 

「うわぁっ!?」

「燈ちゃん!」

「その薬を捨てろ!さもないとこの人間を握り潰すぞ!」

 

ボスのカラスは燈を人質にし、解毒剤を捨てるよう要求する。

 

「そんな…!燈さん!」

「待ってタクトちゃん!いくら貴女でもアレは無理よ!」

「スペちゃん早く起きて〜!」

「ハラホロヒレハレ〜…」

 

燈を助けようとしたデアリングタクトをアーモンドアイが慌てて止め、香澄は気絶しているスペシャルウィークを起こそうとしていた。

 

「どうしよう…!このままじゃ燈ちゃんが…!でもカラスは…!」

 

ナリタトップロードは燈を助け出したかったが、苦手なカラスが相手である為葛藤していた。

そんな中、ボスのカラスはイタズラ感覚で燈を握り締める。

 

「ぐぅ…!た、助けてー!トプロさぁぁん!!」

「…っ!燈ちゃん…!私が助けないと…!!」

 

燈の助けを呼ぶ声を聞いたナリタトップロードは迷いを断ち切るかのように自分の頬を両手で叩くと、アグネスタキオンから注射器を奪い取る。

 

「へっ!?と、トップロードくん!?」

「うおぉーーっ!!燈ちゃぁぁぁん!!」

 

突然のことにアグネスタキオンが驚くと同時にナリタトップロードは注射器を構えながらボスのカラスに突撃する。

 

「トップロードちゃん!?」

「危ないよ!逃げて!」

 

その姿を見た彩が驚き、初華が彼女を止めようとするが、ナリタトップロードはそのまま向かっていき、ボスのカラスが翼で叩き潰そうとすると、ナリタトップロードは攻撃を躱して翼に飛び乗って燈を掴んでいる翼の方に移動する。

 

「燈ちゃん!」

「トプロさん!」

「待っててください!すぐに助けますから!」

 

ナリタトップロードがボスのカラスの翼に注射器を刺そうとすると、ボスのカラスはナリタトップロードをはらい落とそうとして翼を振り回す。

 

「うわぁっ!」

「と、燈ちゃん!くぅ…!カラスは怖いですけど…!絶対に負けません!おりゃあっ!!」

 

振り落とされそうになりながらも、ナリタトップロードは注射器を突き刺して解毒剤を注入する。

 

「か、カアァァァァッ……!!」

「うわぁぁぁっ!!」

 

解毒剤を注入されたボスのカラスは徐々に小さくなり、それと同時に燈とナリタトップロードが落下する。

 

「あっ!二人とも!」

「みんな!コイツを使え!」

 

カツラギエースは『葛城栄主』という文字が入った黒い旗を取り出すとそれを香澄たちに渡す。

 

「う、うん!」

 

香澄たちはカツラギエースから受け取った旗を広げてナリタトップロードと燈が落下している場所に急ぐと、二人は旗に落ちる。

 

「うおっ!?ふ、二人とも大丈夫!?」

「な、なんとか…!」

「見て!」

 

旗がクッションになったおかげで二人は無傷で済んでいると、アーモンドアイがボスのカラスを指さす。

ボスのカラスは小さくなり、完全に元のカラスに戻った。

 

「カー?カー」

 

元に戻ったボスのカラスは訳が分からずに辺りを見渡すと、そのまま何事もなかったかのように飛び去っていった。

 

「よ、よかった〜…!元のカラスに戻った〜…!」

「もうカラスはこりごりですよ〜…」

「ホントだね〜」

 

それを見た香澄はホッとし、ナリタトップロードと彩が笑いながらそんな会話を交わす。

 

「やっとカラス怪獣騒動は収まったか…だが、またこのようなことが起きないよう私たちもこれを教訓に…」

「何綺麗に収めようとしているんだタキオ〜〜ン…!!」

 

アグネスタキオンが空になった瓶を回収してからそう言い放つと、鬼の形相のエアグルーヴが彼女の背後に立つ。

 

「あ〜…逃げるが勝ちだよぉ!」

「待てタキオン!このたわけがぁぁぁぁっ!!」

 

アグネスタキオンはすぐに逃げ出し、エアグルーヴは全速力で彼女を追いかけた。

 

「あはは…タキオンちゃんったら…」

「あの…トプロさん…」

 

ナリタトップロードがそれを見て苦笑いを浮かべていると、燈が彼女に声をかける。

 

「ん?どうかしましたか?」

「あの…私のためにありがとう…カラス怖いはずなのに…」

「燈ちゃん…ふふっ、当然のことです!燈ちゃんのためならなんだってしますよ!」

「トプロさん…!えへへ…」

 

礼を言う燈に対してナリタトップロードは笑顔でそう言い放ち、燈も笑みを浮かべる。

 

「エース。彼女たちは面白い子たちだろう?」

「あぁ、ホントにシービーから聞いた通りの面白い奴らだな。アタシは結構好きだぜ」

 

シンボリルドルフとカツラギエースはそんな会話を交わし、アーモンドアイとデアリングタクトは微笑みながらその様子を見ていた。

 

「ちょっと待ってーーっ!それよりも早くスペちゃんを元に戻してーーっ!!」

 

巨大化したまま気絶するスペシャルウィークを指さしながら香澄の絶叫が響き渡った。

その後、エアグルーヴにより確保されたアグネスタキオンによってスペシャルウィークは無事に元に戻ったのは言うまでもない。

 

続く。

 

 




「次回予告フリートークコーナー!」

「ねぇねぇ、ひーちゃん先輩。なんだかつぐちゃん先輩の様子がおかしいんですけど何かあったんですかね〜?」
「うーん…私も気になってたからマチタンに聞こうと思ってたけど…あっ、そういえばカフェちゃんのこといつもチラチラ見てた気がしてたな〜」
「あびゃびゃっ!もしやこれは恋の予感かもしれませんぞ〜!」
「こ、恋の予感!?次回、第9話「つぐみとカフェ」。次回もお楽しみにね〜♪」
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