王女とフォノス家の子息の婚約の噂は王都中に広がった。
正式に両家が顔合わせを行ったこともあるが、大きな理由としてはフォノス商会がある商品を販売したからだ。
『王女印』と名付けられた干し野菜だ。
それは小さく刻まれた軽食や、保存食として売り出された。
今まであまり注目されていなかった貧困層が食す野菜をフォノス商会が売り、王女も食べていたとブランド力を付与することで、人々が興味を持つようになったのだ。
『馬鹿にしていましたが、結構いけますな』
『酒と合わせるとぴったりです。毎晩食べていますよ』
ルクスが言っていた通り、美味に調節されたそれは貴族の口にも合った。
『そんな植物の根など食べてどうする? 動物ではないか』
『お前、王女様を馬鹿にしたのか?』
『い、いや、待て、違う!!』
『王女様が好きだってさ』
『王族でもこういうの好きなんだね』
王女が口にしていたという事実を売りに出したことにより、ある種の派閥を作った。
ほとんどの人が気にしていないが、『ミゼリア王女』という名前を意識するきっかけになっていた。
『最近グットプの売れ行きがいいけどなにがあったんだがや?』
『さあ? 偉い人の考えることはわからんべ』
今まで売れない余る野菜に需要が発生し、農民たちは戸惑いながらも、なんとなく王女に感謝した。
そして、一番の効果が──
「すごいですわね、ミゼリア様。ご自分の商品を売ってしまうなんて」
「さっそくフォノス家の力を使ってらっしゃいますね!」
ミゼリアとフォノス家の関係を宣伝する役割だ。
王女の名前を冠した商品をミゼリアが売らせた構図が発生しているのである。
「そうかしら? アレが勝手にやったことよ」
「まあ、“アレ”だなんて!」
「仲がよろしいのですね!」
盛り上がる令嬢達に、困ったような笑顔をミゼリアは浮かべた。
「自分の好みの物を受け入れて、広めるだなんて羨ましいです」
「わたくしの相手なんて、好みを聞いてすら来ませんもの!」
お茶会はミゼリアを褒めるだけの会話から、ただの姦しい恋愛話に変わっていた。
その机に並ぶ『王女印』に辟易するミゼリア。太らないお菓子というイメージを持たれ、いつの間にか貴族のお茶会にも出現するようになった。
フォノス商会は上手く『王女印』をグレード分けして販売していた。
このお茶会にも最高級“グットプ”が提供されている。
“全部同じだろ”と思うのはミゼリアぐらいだ。
どこのお茶会に顔を出してもこの野菜を目にするので、ミゼリアはノイローゼになりそうだった。
だが今日はそんなことよりも嬉しいことがある。
「今日はよく来たわね、
ミゼリアの隣にはサフィレーヌ・カルクルールが出席していた。
彼女は目の前の『王女印』には一切手を付けずに、静かにお茶を飲んでいた。
「うん! ごめんね、いろいろあって……」
「そうよね? わかってるわ!」
ミゼリアはサフィレーヌに見限られたと思っていたが、そうではなかった。
サフィレーヌはカルクルール家が進める婚約の話を聞いて、ミゼリアに対して気まずくなっていただけなのだ。
ミゼリアはそのように解釈している。
「婚約の件、まさか被るなんてね?」
「……うん」
「気にしなくていいわよ! アイツの手綱は私が握っておくから、アンタは楽にしてなさい!
ドジなんだから。フィンナおばさまに叱られるの嫌でしょ?」
「────」
固まるサフィレーヌ。
友情を振りかざす馬鹿王女に正しく絶句している。
そんな雰囲気を一切感じないミゼリアは続ける。続けてしまう。
「男なんてちょろいわ! 私のテレンテクダにかかればイチコロだったんだから!!」
「さすがですわ、ミゼリア様!」
「ルクス・フォノスは確か我慢できなくなって迫ってきたのでしょう? 大丈夫でしたか?」
「は、はん! 大人の対応してやったわ!!」
ミゼリアは余裕そうに振る舞うが、心臓の鼓動がうるさく響いているのを自分で感じ取っていた。
耳元で囁かされたルクスの声を彼女の能力は覚えているからだ。
脳内でそれが再生され、それを誤魔化すために自分の婚約の証である『王女印』に噛みついた。
それを見るサフィレーヌは笑顔だった。
「わたしはそんなに会ってないけど、相手と仲良くなれるように頑張る」
「え? 別に良いんじゃないの?」
「でも、お母さまに仲良くしろって言われているから」
フィンナ公爵の指示は絶対だ。それならばしょうがない。
サフィレーヌには大変だろうが、やり遂げなければならない。
そうミゼリアは思った。
「面倒なことはお母さまがやるから、ミゼリアちゃんは好きにしてていいよ!」
「え……ああ、そうなの?」
公爵の声がサフィレーヌから発せられる。
「ルクスの相手はわたしがするから」
無邪気な笑顔でそう言うサフィレーヌが心配になったミゼリアは言葉を間違えて答える。
「アンタじゃ無理よ! 難しいのは私に任せなさない!」
「大丈夫!!」
「もう!! アンタ馬鹿なんだからやめときなさい!」
だんだんと苛立ってきたミゼリアはさらに語気を強くしてしまう。
それでも、サフィレーヌの表情は変わらなかった。
むしろ、さらに強固になっていった。
「ミゼリアちゃん、ルクスが好きなの?」
それはミゼリアにとって急所になる質問だった。
幼稚でありながら、芯を捉えるカルクルール公爵令嬢から放たれる一手だった。
「なに言ってるのよ! アンタ、政略結婚って分かってないの?! この脳無し!!」
「ほんとポンコツですわね」
「サフィレーヌ様、飲み物を取ってきてくださる?」
「ちょっと……くすくす」
侮蔑と嘲笑が木霊する。
そこまでの侮辱を許した覚えがないミゼリアは周りに声を荒げようとするが、それを止めたのは平坦なサフィレーヌの一言だった。
「わたし、ルクス愛してる」
「……は?」
いつもの表情でサフィレーヌは語った。
完全に飲み込まれた周囲の雑兵たちは言葉を発することができない。
「だから、別に何をされてもいい。全部わたしが相手する」
「サフィレーヌ……?」
「『ミゼリア様』は自分の事に集中してください」
それは宣言だった。
ミゼリアにはまだ理解できない領域から告げられた宣戦布告だ。
彼女達が
これはその中の見るに耐えない醜悪な争いの火蓋だ。
それが斬って下ろされた。
「お母さまに呼ばれているので、これで失礼します」
去っていくサフィレーヌ・カルクルール。
彼女がその場で転ぶことは無かった。
◆
うっほーい!!
もう俺の生活はぐちゃぐちゃだべ!
婚活してたと思ったら三社に入社してブラックワークだああああああッ!!
「げへへへへ……」
『気持ち悪』
相棒の冷徹な視線が癒やしだぜ。
現在『ルクス』はもう買い取って良いんじゃないかってくらい滞在している宿泊施設の応接間にいる。
今日はロルカニア学園が休みの日。
実際には大学みたいなシステムなので、生徒個人で休みの日が違うようだ。
つまりは『ヤツ』の休みの日である。
厨房で俺が準備しているのは、ユルハクテとササブルドのブレンド茶。
そして、俺の服装は久しぶりのメイドスタイル。
もうかなり時間が経っているのに、体が覚えているようにアイツに合わせた準備をしている。
染み付いた習慣って消えないよね……。
「ルクス様、『ヴィクトリア・ブレイブハート様』がお越しになられました」
応接間のゴーレムルクスに従者ちゃんが伝えた。
来ちゃったなー。うえーん。
意識をルクスへ飛ばす。
視界が変わり、音を感じる中心も変化する。
便利になったぜゴーレム。
あ、そういや一度に操れる数も増えた。
多分距離が近ければ、フィフと俺ゴーレム入れて10体はいける。
『通せ』
「かしこまりました」
俺にとっては慣れ親しんだ足音が聞こえてくる。
自信満々のリズム。ずれのない完璧主義。
「どうも。お会いするのが遅れてしまって申し訳ありません、
やってきたお嬢様は開幕ぶっ込んできやがる。
なんか嬉しいなぁ……。
っていうかさ、なんかヴィクトリア様の後ろに幻影が見えるんだけど。
つい本体横のフィフに話しかける。
『フィフ俺おかしくなったかも』
『? 正常になったの?』
どういうこと? この剣狂ってるよ。会話が成立しない。
ていうかこれ、まだお前には見えてないけど他人事ちゃうで?
『いえいえ、こちらこそ中々時間が取れずに申し訳ありません。まさか学園にお邪魔するわけにもいかず』
「あら? 来てくださっても結構ですのよ? “従者だけでも”」
もーう! さっさと席付けや!
必殺の曖昧な微笑みでヴィクトリアを座らせる。
そして、その後ろにはすごく見覚えのある鬼が待機している。
「紹介しておきましょうか。彼女は
「────」
『え? ──え? ────え?』
無言でお辞儀するバb──ぴっ!? 睨まれたよぉ……。
僕ルクスぅ……。今僕ルクスだから違うの!
厨房の方でフィフが俺本体の横で挙動不審になっててウケる。一緒に死のうな。
裏切りババアがよ。さてはアンタだな? コイツに余計なこと言ったの。
「アンリーネはリエーニの上司だったのよ」
今この場の全員知っとるわ。マウントやめろ。
『それは知りませんでした。よろしく、アンリーネ』
「はい、
含みある言い方しやがって。顔が笑ってんだよ。
「……まだかしら?」
こっちはこっちでうるせえな。はいはい、愛しいリエーニちゃんは間もなく行きますよ。
『ルクス……助けてほしい。あの家政婦長から私を守ってほしい』
ひっつくな駄剣。カオス!
無理矢理フィフを引き摺るように俺は扉を開け、ティーセットを運ぶ。
「失礼します、ルクス様。お茶の用意ができました」
「リエーニ!」
満面の笑顔のヴィクトリア。
お前マジでルクスを視界にいれてねえんだな。お前の一応婚約者やぞ?
「…………」
『やだやだやだやだやだやだやだ』
ババアと必死に視線を合わせないようにする駄剣。
いい加減離れろや。
『フィフはどうしたのかな? リエーニ』
「姉はアンリーネが苦手なのです。お見苦しいところをお見せします、ルクス様」
そんな人形劇を俺は披露する。
『!?』
このあとの流れを察したのか、フィフが絶望の表情になる。
『おや、仲が良いのかな? どうぞ僕達を気にせず二人で話してくるといい』
「は?」
主人にキレるフィフ。おい、お前はルクスの従者な?
ゴーレム壊すんじゃねえぞ?
「……フィフも手懐けているのね」
それを見てなんかめんどくせえ勘違いをするヴィクトリア。
処理しきれねえ! この感じ懐かしいな!! くそが!
「確かにお邪魔になりそうです。失礼してもよろしいでしょうか、ヴィクトリア様」
ババアがヴィクトリアに耳打ちする。
「え、はい」
「このメスッ! ……あっ!?」
空気を読んでくれたババアがフィフの襟を掴む。まじで懐かしいな。
「積もる話を
「えぇぇぇ~……」
二人は奥の部屋に引っ込んでいった。
徐々に小さくなっていく相棒の悲鳴を聞きながら、俺はお茶の準備に取り掛かった。
「……この状況でよく平常で行けるわね。貴方らしいと言えばらしいけど」
ヴィクトリアからツッコミが入る。うるせえな。
「ユルハクテとササブルドの紅茶です、ヴィクトリア様」
「────!」
嬉しそうにするヴィクトリア。体はかなり色っぽくなってきたのに、表情がガキすぎる。
なんかこっちの気が抜けるわ。単純なやつだな。
『改めて婚約するということに間違いはないということでよろしいですか? ヴィクトリア様』
表情を切り替えてヴィクトリアが返事をする。
「ええ、もちろん。貴方たちもブレイブハートと繋がりを持てるのは良いことじゃなくて?」
ブレイブハートは軍事部門のトップだ。防衛と治安維持を担う彼女達の力を借りることができればかなり助かる。
今は機能不全に近いが、必ず将来必要になる。
『その通りです。軍事費を我が家が調達し、軍備を強化する。これほど国の為になることもないでしょう』
「…………」
わざとらしく語る俺をヴィクトリアは真剣な目で見つめた。
もっと突っかかってくるかと思っていたが、一応それなりに大人になっているようだ。
『どうかされましたか?』
「ルクス・フォノス。貴方の目的をお聞かせ願いましょうか」
試すような視線。
どうしたもんかな。
『“国を良くする”。それに偽りはありません』
結局俺は当たり障りのないことを言った。
「いいでしょう。その言葉に偽りありと判断したならば、私は共に立つ者として貴方を斬り捨てます」
『それは怖い。気を付けましょう』
ひえぇ……。目がマジだよコイツ。
理由があれば俺を抹殺するってことでしょ?
鬼嫁爆誕やん。
その場合リエーニも死ぬんだけど、大丈夫かな……。
「そして、先に宣言しておきますわ」
キリッとした顔でヴィクトリアは言い放った。
「私は男性を好いておりません」
「…………」
コイツ馬鹿かよぉ……。
堂々と何カミングアウトしてんだよ……。
『そうなのですか……? それならば何故僕に婚約の申込みを?』
「リエーニの近くにいる為です。当然でしょう」
いや、お前の基準で語んなや。
どうするよ、この暴走百合令嬢。
そのリエーニバリバリの男なんだけどな……。
バレたらもしかして引きちぎられる? フォノス家終わっちゃうよぉ…。
ダルンへの当てつけと変な意地でやってた女装がこんな形で影響を及ぼすとは……。
まともにダチやってたと思ってたんだけどね?
さすがに三年前のあのチューで、おかしくね? とは思ってたけどね?
コイツやっぱりめんどくさいことになってるよぉ……。
吸血百合令嬢ヴィクトリアちゃんに覚醒してるわ。キャラ濃すぎだろ。
『リ、リエーニからはそんな話は聞いていませんでした』
「貴方が知る必要はありませんもの。ね? リエーニ?」
俺とルクスが他人だとしても話すわけねえだろ、馬鹿が。
変態になったコイツをもう戻すのは無理だ。諦めよう。
『取り敢えずは、貴方にはリエーニの近くにいたいという意図しかないと?』
「そうですわね。あとは相手がいなかったので、ちょうどいいと思いまして」
『ええ……?』
都合のいい男扱いやばすぎだろ。
ATMやん。あり得ない想定だけど、日本銀行のトップの息子やぞ。
「別に構わないでしょう? どうやら既に
私はおまけとでも考えていただければ。こんな年上の女は放っておいてくださっても結構です」
『そうですか……』
おまけが強すぎるんだが。
「ああ、子作りも考えなくて平気ですわ。ブレイブハートの跡継ぎは決まってますから」
「…………」
「あくまでこれは契約だけの婚約ですから、お互い気楽にやっていきましょう」
ムカつくもの言いになってきたな。
小さい頃はあんなになよなよしてたのに、どんな相手にも容赦しない苛烈さが現れている。
貴族として、誇り高い一族として、それなりに考えて暮らしていたのだろう。
耳を傾けていて、ヴィクトリアの噂はかなり聞こえてきた。
学園では派閥の一つとして機能するくらい大きな集団を作り上げている。
成績もトップクラスで、その中でも剣技に関することは群を抜いている。
毎年学園では闘技大会みたいなのがあるらしいんだが、そこで三連覇してるらしい。
つまりはコイツしか優勝者がいない。
生徒議会と呼ばれる組織を結成し、学園内の揉め事も抑えている。まあ、生徒会役員だな。
「そういうことですから、別に結婚という事実だけを残していただければいいので。
家族との挨拶だけ付き合ってくだされば結構です。お互い不干渉でいきましょう」
そんなできる女がなんでこうなった……。
コイツは冷たい目でルクスを見る。
対抗心がバレバレすぎて、頭が痛くなる。
すごくかなり勝手な物言いなんだけどさ……。
俺のこと、
だあっ!! 駄目だ。
バレたらいけねえんだよ。しっかりしろ、俺。
情で機密性を失ってはいけない。
本当の意味でコイツと一緒になることはできない。
でも、それでいいじゃないか。
この世界をマシにできるのなら、家の名前だけの関係でいいじゃないか。
「…………ふぅ」
少し気合を入れ直す。
「美味しいわよ、リエーニ。相変わらずの腕ですわね」
呑気に茶を飲むコイツは実にリラックスしてやがる。
『よく理解できました、ヴィクトリア様』
「そう、それはよかったわ」
あしらうようにルクスを視線から外すヴィクトリア。
『僕もその契約には賛同しましょう。ですが、リエーニはあくまで当家のメイドですので』
「……チッ!」
でけえ舌打ちだな。
もうキレたかんな。覚悟しろよ?
『公共の場では二人きりにはできません。リエーニの意志を尊重することもお忘れなく』
「いいでしょう。当たり前の話ですけど」
『ですが、『
「────は?」
見事に硬直するヴィクトリア。
ざまあ。てめえが俺をやり込もうなんて20年以上ははええよ。
『リエーニはヤンバトールに会えなくて寂しいと言っていましたから。そうだね?』
「はい。なにせ、
したり顔で俺はそう語る。
「な……ななな……」
俺とルクスを交互に見て、絶句するヴィクトリア。
「リ、リエーニ、気付いていたの!? ていうかこの男に話したの!?」
沸騰したように飛び上がるアホ。
気付いてたわボケ。
俺は初日以外ヤンバトールのこと言ってねえんだから、そっちがむしろ気付いとけよ。
「なにがですか? 私はヴィクトリア様と出会ったきっかけをルクス様に話しただけです」
「それが、気付いてたってことじゃないのっ!?」
『どうされました? 落ち着きがないですね?』
「こんのっ……! この……!」
悪口のレパートリーは無いままなんかい!
俺からしてみれば一対一の会話だが、コイツにしてみれば昔の知り合いが自分の黒歴史を別の友人に喋っていた状況だ。
しかもそれをいじられている。
ふはははは、顔が真っ赤ですぞ、ヴィクトリア殿。
「というわけで、以後私とプライベートで会うときはヤンバトール様を呼んでください。
それ以外では一切貴方とは話しません」
「そんな?! リエーニ!?」
けっ! いい気味じゃ。
イライラを少し抑えながら、俺は会話を打ち切った。
多分変身道具かなんかが必要なはずだから、難しいだろう。
「では、私はこれで失礼します、ルクス様」
『ああ』
自分でもガキ臭え八つ当たりだと思いながら、俺は去ろうとする。
「…………わかりましたわ」
「?」
そうすると聞こえてくるのは問題児の凛々しい声。嫌な予感が……。
「呼びましょう。ヤンバトールを……」
汗を掻きながら、必死の形相でヴィクトリアは言った。
「え?」
『え?』
つい二つの体で同じリアクションを取ってしまった。
「リエーニ、次の休みはいつですか!? デートです!!
文句はありませんよね!? ルクス様ッ?!」
コイツ、アホすぎる。
恥も外聞も気にしてねえ。
でも、なんだかこのアホらしいやり取りが懐かしくて、当たり前で──。
つい、俺は笑ってしまうのだった。