プリミティブ・プライメイツ ~暴君転生~   作:翠碧緑

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83話 闘争を愉しめ

 

「ぎぎいいいいっ!!」

 

 それは気の毒な光景だった。

 

「いやぎゃあああああッ!?」

 

 この世界の支配者である魔族が苦しんでいる。

 

「いたい……いたい……」

 

 人外のバケモノであるはずなのに、泣いてしまったのだ。

 まるで弱いものいじめのようで、可哀想だった。

 

 叩かれ、切られ、焼かれ、撃たれ、潰され、削られ、つつかれ、ねじられ、裂かれた。

 

 そんなことをされてもその魔族の肉体は生きていた。それがその魔族の特性だったからだ。

 

 だが、その心は死んでしまった。

 

 陽光に照らされるその山中には、再生を諦めてしまった“挽き肉”だけが残されていた。

 

「…………」

 

 それを確認したのは魔王嶺から遙々(はるばる)やってきた幹部。

 モードスよりケログ抹殺の任を受けたプラツムである。

 

 ただの戦士である彼には何があったのかを理解することはできない。

 ただ見たことを報告するだけである。

 

 崩壊した拠点。惨劇の跡。そして、生きているだけの魔族。

 

 何かがケログをいたぶっていたのだろう。

 

 だとするのならば、それはかなりの強者である。

 少なくとも人間ではない。

 

 しばらく探索するが、何も残っていない。

 いや、()()()()()()()()()()()

 

「──鮮やかだ。だが、“痕跡を残したくない”という意思は感じるぞ。カカカ……できることならば、いずれ相まみえたいものだ」

 

 何も話せなくなった魔族の肉の前で、プラツムが構えをとった。

 

 それは魔族すら滅する一撃。

 

 人間のように説明するならば、魔素を崩壊させる攻撃だ。

 

 プラツムの右腕に【ゼロオーム】が集まっていく。

 その前腕の甲殻が膨張し、殻の隙間が金色の輝きを放つ。

 

「カァ……ッ!!」

 

 とてつもない魔力とともに放たれた正拳突きがケログだったものに触れた。

 

 そこで派手な爆発が起きることはなく、ただケログは吹き飛んだ。

 地味ではあるが、見上げるような巨体であるケログを吹き飛ばしたことから、パワーがあることに間違いはなかった。

 

「…………」

 

 構えを解き、任を終えたプラツムはその脚力で飛び上がり去っていった。

 

 吹き飛んだケログの体は、砂のように崩れていく。

 それは肉体に対する浄化魔法のようなものだった。

 

 大地で生まれたものを大地に還す。それだけだ。

 

 そして、その山岳地帯には何も残ることはなかった。

 

 

◆◆◇

 

 

 眠る前は最悪な気分だったルクスだが、不思議と目覚めは晴れやかだった。

 

「うっし! 闘技大会じゃい!」

 

 気合いをいれて起き上がる彼を見るフィフの表情には不安があった。

 

「本当に私を使わないの?」

 

「あ? 俺の試合なんだから、俺だけでやるの!」

 

 そのフィフの心配をいつものやり取りだと思ったルクスは、軽く返した。

 

「…………」

 

「舐めプじゃねえぞ。そもそも武器の持ち込みは禁止だっつの」

 

 使わないと決めている魔法があるくせによくも言えたものだ。

 そう思い、フィフは詰め寄る。

 

「透明化は? 風声は?」

 

「うっ……、いや、それはそもそも使えねえっていうか……。いいから! 着替え!」

 

 ルクスは最近、フィフに世話されることをなんとも思っていない。

 

 自分でやるから要らないと拒否することも、軽く感謝を述べることも無くなっていた。

 

 小さな変化であり、本来の彼の立場なら当たり前の反応だ。

 

「まずは誰と当たるかだよな。トーナメントの組み合わせもどうせ操作されてるんだろうなー」

 

 着替えを終え、何も言わずフィフが用意した食事を胃の中へ処理していくルクス。

 

 前まではいちいち火加減がどうだとか、盛り付けがどうだとかをネチネチとしつこくフィフに言ってきたが、それも無くなっていた。

 

 ”言う必要が無くなった”。

 

 それはたしかにそうなのかもしれない。

 

 気にするのがおかしいのかもしれない。

 

 だが、それがないことで寂しさを感じるフィフの様子に気付かない男ではなかったはずだ。

 

「うーし、行ってくる! お前もちゃんと見とけよな」

 

「……ルクス」

 

「あん?」

 

 部屋を出ていく彼を思わず呼び止めたフィフは、言葉に迷い、口下手な彼女から出た言葉はありきたりなものでしかなかった。

 

「……頑張って」

 

「! ははっ、おうよ!」

 

 それを純粋に受け取ったルクスは微笑み、出て行った。

 

「…………」

 

 閉じられた扉はきっと今の彼女とルクスの間にある壁そのものだ。

 

 フィフは予感していた。

 具体的な理由があるわけではない。

 

 彼という人物の一番近くにいるからこそ感じたのだ。

 

 “このままではバケモノが生まれる”。

 

 この世界を混乱に陥れたフィフたちと同じような存在が誕生する。

 

 ルクスはかつてのフィフと似ている。

 

「……駄目。それは駄目。ルクス……」

 

 力の無さを自分のせいにして、他者を下すことに安心を覚える。

 そんな『弱者』になってしまう。

 

 思えばフィフを導いた存在もこんな思いを抱いていたのかもしれない。

 

 フィフの師匠は、彼女が地上で頭角を現す前に死んでしまった。

 その去り際にあの人は何を思ったのだろうか。

 

「……師匠。貴方ならどう導くの? あの子は私と違いとても優秀なのに……。このままでは……」

 

 ルクスが置いていった剣を手に取る。

 それはただの保険だった。

 

 女王(コーロン)女神(プロティナ)が裏切ることを想定して用意していたものであり、まさかアルテが乱入してくるとは思っていなかった。

 

 だがそのお陰で今の時間がある。

 

 彼との出会いがあった。

 

 そして、彼とのくだらなく、つまらない茶番が今の彼女を作り出している。

 

 剣を握らない彼女を誰が想像しただろう。

 

 武帝を知る十五傑が今の彼女を知れば、目を疑い、自分が狂気に落ちたとして自決するかもしれない。

 

「…………」

 

 『フィフ』と名付けられた剣は、今や人よりも人らしい。

 

 その剣を抜き放ち構えて、フィフは瞑想する。

 

 もはや選択肢はない。

 あるにしても、彼女はルクスを殺す道を選べない。

 

 そうして逆算した未来を彼女は目指す。

 

 まずはあの小娘に渇を入れる。いい加減自覚させるのだ。

 騎士を目指すのならば、守るべきものがあるはずだと。

 

 今この国のどこかにアルテ・リルージュがいる。

 おそらくフィフを探すために。

 

 あの女が大事なことを他人任せにするわけがない。必ず本人直々にやってくるだろう。

 

 だが、王国にいることはわかっていても、細かいところまではわかっていないのだ。

 

 元々あの女は生物の違いなんておおまかにしかわかっていない。

 こんなガラクタとなったフィフだからこそ、アルテに認識されずにすんでいる。

 

 だからこそ、()()()()()()()()()()()()

 

 剣先を上に向け、剣を胸の前に。直立のまま構える。

 その姿はまさに剣に生きた者。そう呼べるくらいに堂々としたものだった。

 

 彼女こそ人間を呪い、武帝を名乗ったモノ。

 暗闇と無音の世界に生まれながら光を求めた弱き者。

 

 暗静尊(ノクティスセレン)オーレイル・ニリアー。

 

 決断の時は彼女にも迫っていた。

 

 

◆◆◇

 

 

 毎年のことではあるが、闘技場は人で埋まっていた。

 

 王国はこの行事で儲けたいと思っているし、数少ない娯楽の一つでもあるからだ。

 

 諸外国から入学した生徒もいるため、これは代理戦争の面もあった。

 

 参加者たちも自分の力を試すために、または参加したという事実の為に集っていた。

 

「やっほ~、久しぶりね、ヴィアちゃん!」

 

「────え?」

 

 関係者が入ることを許された場所に響く声があった。

 

 優勝候補であるヴィクトリアに対して、女性が話しかけている。

 気さくに話しかける女性に驚愕した表情を浮かべるヴィクトリア。

 

「……“ヴィアちゃん”?」

「随分親しげですけど、お姉様、この方は一体?」

 

 ヴィクトリアの近くにはヴァリアント・ローズの面々がいた。

 

「あ、ああ……私の知り合いです! 少々この方と行動するので、貴方達もお好きになさい」

 

「あら? 御親戚ですか?」

「……行くわよ、貴方たち」

「ええ?」

 

 察しの良い何人かの助けもあって、ヴィクトリアはその女性と二人きりになることができた。

 

「……()()()()()()様。どうしてここに……?」

 

「あははは! どうしてって、ヴィアちゃんの完全勝利を見たいと思ってきたのよ?」

 

 悪びれもせず笑うのはエルヴァリス・ブレイブハート。

 現存する英雄。四選英の一人。

 

 そして、ヴィクトリアが憧れる狂人だ。

 

「……聖国との睨み合いはどうしたのですか?」

 

「いいじゃないそんなの。攻めて来たらすぐに()()()()()()()()ー」

 

 現在エルヴァリスは王国からの命により、聖国への牽制として東部に派遣されていた。

 

「いいのですか?」

 

「ま、緊急連絡用の道具は持たされちゃったけどね!」

 

 そう言ってエルヴァリスは指輪を見せた。

 なにかあればそれが発光し、緊急を知らせることになっているそうだ。

 

「……相変わらずのようですわね」

 

「あー、棘のある言い方! ヴィアちゃんもすっかりご令嬢ねー、やだやだ」

 

 そう言われて少しヴィクトリアは視線を逸らした。今の彼女の悩みに切り込む問題だったからだ。

 

「それで? いつ始まるの?」

 

 きょろきょろと廊下を見回すエルヴァリスにヴィクトリアは呆れた溜め息をこぼした。

 

「これから予選です。私は本戦からなので出番はまだまだ先です」

 

「なにそれ? 一度にやんないんだ?」

 

 実戦慣れしすぎた考えでエルヴァリスは訊いてきた。

 

「……そうです。関係者用の観客席に案内します。ご説明もさせていただきます」

 

「ありがとー!」

 

 案内を受け、マントのフードを被った状態でエルヴァリスは観客席に座った。

 その席は上級貴族用の場所であり、豪華な仕様の椅子が並んでいた。

 

 一般客が来れない場所であるため、エルヴァリスの正体を晒したくないヴィクトリアには助かった。

 

 危うく闘技大会を壊してしまう恐れがあった。

 

 それほどまでにエルヴァリスの名前は凄まじいものなのだ。

 

 わかりやすく説明するならば、彼女は『不敗』である。

 それは生きているから、というものではなく、戦いにおいて負けたことがないのである。

 

 それは神芸品(ゴッデスファクツ)を授かる前から続く彼女の英雄譚の一つだ。

 

「すごい人ねー」

 

 すでに予選は開始していて、彼女たちの見つめる先ではレベルの低い戦いが繰り広げられている。

 それを見る観客は大いに盛り上がっていた。

 

「ええ、まあ。しかし、私の完全勝利とはなんのことですか?」

 

「え? 今年ヴィアちゃんが勝てば、もう誰もヴィアちゃんには勝てなくなるでしょ?」

 

 エルヴァリスが言っているのは、ヴィクトリアの4連覇のこと。

 すなわち、今年でヴィクトリアが卒業することで完成する“究極の勝ち逃げ”のことである。

 

「なるほど……? でも、来年以降の新入生からも誕生するかもしれませんよ?」

 

「なーに言ってるの。それでもヴィアちゃんの勝ちよ。原初の記録だけが覚えられるんだから。二つ目以降なんてすぐに記録されなくなるわ」

 

 実に彼女らしい考えだった。

 そして、ブレイブハートらしい哲学だった。

 

 最初に打ち立てた記録こそが真理。

 新しきものは常に古きものと比較され続けるのである。

 

「ふふふ。期待に応えられるように頑張ります」

 

「頑張れー。あ、そうだ。もう一つ言わなきゃ! 婚約おめでとう!」

 

「────う」

 

 その祝いの言葉を聞いてヴィクトリアは、汚い声を出して固まった。

 

「ヴィアちゃん?」

 

「いえ、その……ありがとうございます」

 

「うん! 聞いたよー? ヴィアちゃんから申し込んだんでしょ?」

 

「あ、あ、う……。そう、ですね……」

 

「……?」

 

 面白い反応をするヴィクトリアを不思議に思うエルヴァリス。

 幼い頃から結婚を良いと思っていなかったヴィクトリアが変わるほどの相手ができたのだと思っていたが、違うようだった。

 

「私挨拶したいなー。どんな人?」

 

「どんな……。どんな人……?」

 

 なにかを悩み始めるヴィクトリアを見て、エルヴァリスは思わず笑う。

 

「なあにー? ひょっとしてテキトーな相手を選んだの? いけない子だー」

 

 それはエルヴァリスにとっては嬉しいことだった。

 

 正直に言えば、ヴィクトリアの婚約の話を聞いた時にがっかりしたのだ。

 

 “また一人あちら側に行ってしまった”と。

 

「あ……」

 

「?」

 

 ヴィクトリアが視線を試合場へと向けた。

 見れば予選の一回戦目の途中だった。

 

 ニ年生の男の子と一年生の男の子が向かい合っていた。

 

「アレ……です」

 

 そう言ってヴィクトリアは気まずそうに試合中の少年を指差した。

 

 銀髪と青目の少年。かなり小柄だ。

 でも、その外見にはどこか違和感があった。

 

 おそらくは隠蔽の魔法だろう。かなりの熟練度だ。

 

「へえ……」

 

「た、ただの成金貴族の男です! その、あくまで仮面夫婦として──」

 

 エルヴァリスの反応をどう受け取ったのかはわからないが、ヴィクトリアは必死に弁明を始めた。

 

「ヴィアちゃんとどっちが強いの?」

 

「……? 私だと思いますけど……。一度訓練は見ましたが、とても戦えるようには……」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 エルヴァリスの笑みが別のなにかで歪んでいく。

 

「……ほら、あの有り様です」

 

 試合が始まり、剣がぶつかり合う。

 

 なんとか打ち合えているが、少年の方は苦しそうだった。

 

 だが、接戦だった。

 

「…………」

 

「ああ、組み合わせを見てみましたが、これを勝っても次の相手はバーザクと呼ばれる十五傑の息子が相手です。一日で大会は終わりますから、私と当たるとしてもさすがに……」

 

 ヴィクトリアが説明をしてくれているが、十五傑の話などエルヴァリスにはどうでもよかった。

 

 彼女は少年の動きに夢中だった。

 

「はあ……あの調子で、よく私に勝つなどと……。動きもぜんぜん違う……。やっぱり気のせいかしら……」

 

 ヤキモキしたように面白い話を続けるヴィクトリアを無視して、エルヴァリスはその試合を無言で見ていた。

 

 やがて、少年はなんとか一勝を得た。

 

 息も絶え絶えの辛勝だった。

 

 素人同士の勝負に等しかったが、その試合は注目度が高かった。

 なぜならその少年は色々な意味で人気だったからである。

 

 成金にしてはまあまあやるじゃないかという声と、口だけじゃないかという声が出ている。

 

「勝った……? 勝ったのよね?」

 

 近くの席からはそんな王女の声が聞こえてくる。

 

「…………」

 

 そして別の近くの席では不安そうな表情の公爵令嬢の姿があった。

 

「まったく……」

 

 そしてさらに呆れた顔の侯爵令嬢の姿がすぐ近くにあった。

 

「今の見てどう思ったの? ヴィアちゃん」

 

 視線を少年から逸らさずにエルヴァリスがヴィクトリアに尋ねた。

 

「え……? どうもこうも、お恥ずかしいとしか……」

 

「あはははははははっ!!」

 

 その答えを聞いて、エルヴァリスは笑った。

 

「エルヴァリス様……?」

 

「なんていうの? 彼のお名前」

 

 エルヴァリスの方から人の名前を訊くのは珍しかった。

 少し戸惑いながらヴィクトリアは答える。

 

「ルクス、ルクス・フォノスです」

 

「へえ~、ルクス君ね。覚えちゃった。あははははっ」

 

 何故か彼を気に入ったような反応をするエルヴァリスに、困惑したヴィクトリアが尋ねる。

 

「どうかされましたか?」

 

「んー……どうしよっかな。私はヴィアちゃんを贔屓しちゃうから言っちゃうけど、()()()()()()?」

 

「…………え?」

 

 エルヴァリスが何故か助言をした。

 その意味を理解できないヴィクトリアは聞き返すだけだ。

 

「まあ、ヴィアちゃんも次の戦いを見ればわかるんじゃないかな? さすがに十五傑の子ぐらいにはちゃんと戦うしかないからね。組み合わせに助けられたかもね? ()()()()()()()

 

 それは挑発にも取れる言動だった。

 

「…………」

 

 少しだけ、そのエルヴァリスの発言はヴィクトリアを苛立たせた。

 

 まるで次が彼とヴィクトリアの戦いであったのならば、ヴィクトリアが負けているかのように聞こえたからだ。

 

「あははっ! いいかも、ルクス君。ねえ、ヴィアちゃんがいらないなら私に頂戴? あの子の子供なら産めそうかも」

 

「……おもしろい冗談ですわね」

 

「ん? 冗談に聞こえたの? くふふふふふ、なーんだ、ちゃんと本気なのね?」

 

 上機嫌なエルヴァリスは挑発的な笑みを崩さない。

 

 それこそヴィクトリアが求めた者の姿であるはずなのに、何故かヴィクトリアは共感できなかった。

 

 ヴィクトリアがエルヴァリスに感じた不快感。

 それは“自分の男を狙ってきた女に対する警戒心”だった。

 

 そんな動物的な感情をヴィクトリアは憧れの英雄に抱いたのだ。

 

「…………次の試合が始まるね?」

 

「…………そうですわね」

 

 独特の緊張感がそこにはあった。

 

 自分に対してそんな態度を取るヴィクトリアをエルヴァリスは好ましく思う。

 

 この世界に敵がいないエルヴァリスにとってそんな存在は貴重なのだ。

 

 そして、今注目中の彼だ。

 

 ルクス。

 彼は隠すことに特化しているのだ。

 

 その姿も。行動も。きっと経歴も。 

 

 なんて子だろう。なんて人間だろう。なんてバケモノだろう。

 

 エルヴァリスの口角は自然と上がってしまう。

 

 “見つけた”。

 昔のアルテ・リルージュと同じ、我々の同類だ。

 

 一目見るだけでエルヴァリスはそう思ったのだ。

 

 きっと彼はすでにこちら側だ。

 どのような戦いを見せてくれるのだろう。

 

 今はまだ非力でもいい。

 エルヴァリスが鍛えるのも悪くない。

 

 そうだ、それがいい。

 共に強さの限界まで至ろう。

 

 そして────最後には殺し合おう。

 

 英雄の笑いは止まることはなかった。

 

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