なんや気づいたら、偉いことになっていた。
閲覧数や評価やらお気に入り数も増えててびびった。
「うにゃあああ!!!」
「うるせーー!何騒いでんだスカイ!」
突如部室に勢いよく入ってきたスカイが叫びながらグレトレに抱きつく。
あまりにもうるさかったので怒鳴り返すグレトレ。
「うう・・・うわああぁぁ~~~ん!!」
「今度は急に泣き出しやがった・・・ええ、どしたの?」
めんどくせーと思いつつも頭を優しく撫でるトレーナーの鑑なグレトレ。
少し時間が経ち、スカイも落ち着いたのか小さくしゃべり出した。
「うう・・・グス・・フラワーが・・・」
「なんだ?ニシノフラワーと何かあったのか?」
「・・・フラワーがぴょい本を持ってて・・・」
「エロ本をぴょい本言うな」
冷静にツッコむグレトレ。
「だってフラワーだよ!年齢的にはまだ小学生だよ!それなのに!そんな・・・あんな本読んでるなんて~~!!」
また泣き出すスカイ。
どうやら彼女には相当なショックであったようだ。
しかしトレーナーはスカイから離れ窓を開け、煙草を胸ポケットから取り出し、ライターで火を点け、一息煙を吐き出す。
「良いか、俺なんて小三でエロ本読んでたぞ。フラワーだってもう高学年くらいだ。読んでたっておかしくねえだろ?」
「汚れきったトレーナーさんと一緒にしないでよ!」
「そういったってスカイ。お前は逆にそういう知識、いつ頃身に着けた?お前も下ネタ理解してるって事はそれなりに前だろ?」
「ううっ・・・・・・・・・・ちゅ、中学生になってから・・・だけど・・・」
「変わんねえじゃねーか・・・」
「そ、それでも!小学生からそういうのは早いでしょーが!」
シャアァと怒った猫の様に唸るスカイ。
「いいか・・・所詮フラワーも女だってことだ・・・むしろあれだけ責任感持って成熟してんだ。そういうことに貪欲になったっておかしくないだろ?」
「そ、そうかも知れないけど・・・・・」
「それにあの最年少でトレーナーやってるフラワーのトレーナーだって・・・チェリーじゃなくてブドウだしな・・・」
「え、そうなの!?」
突然の事実に驚くスカイ。
「っていうか・・・お前ら、トレセン学園のトレーナーがみんな童貞とか夢見すぎだろ?普通の神経なら年相応の相手選ぶわ」
「そ、そんな!・・・私たちの純情を弄んで・・・酷くない!」
真実を知り、ショックを受けるスカイ。
そんな彼女の前でも平気で話を続けるトレーナー。
「そもそもよ・・・中央のトレーナーはそういう対策を含めて、研修時代にそういった店に通う様に勧められてんだ・・・」
「ウソでしょ!!」
どこぞの先頭民族みたいな声をあげるスカイ。
「まあ話を戻すが・・・結局の所、お前はフラワーにどうして欲しいんだ?まさか俺からエロ本没収しろとで言うのか?」
「え・・・・そ、それは・・・・」
「まあどうしたらいいかわからないから助けを求めに来たんだろうけど・・・内容が内容だしな・・・ニシノトレに伝えた所で余計拗れそうだし・・・」
「むしろフラワーが恥ずかしさでどうにかなりそうだからやめようよ・・・」
「仕方ない・・・ここは俺とスカイが腹をくくるか・・・」
「え、何するの・・・・・・?」
「あの失礼します・・・・」
部屋に入ってきたのは件のニシノフラワーであった。
「おう、すまないな・・・急に呼び出して」
「いえ、いつもトレーナーさん共々お世話になってますから・・・」
「実は・・・スカイのことで相談があってな・・・」
「え、スカイさんのことでですか?」
フラワーは少し驚いた声を出す。
「年の若い君に相談するのは少し気が引けるが・・・」
「いえ!スカイさんのことなら力になります!!」
少し話をもったいぶるグレトレに対し、フラワーは大切な先輩の為と心強く唱える。
「うむ実はな・・・・・・・・・・・最近、あいつが・・・そのだっちな本を持っていてな・・・」
「・・・・・・・・・・・・・ふきゅ・・・・」
突然の言葉に思わずしゃっくりをするフラワー。
がたっ!!がたっ!!!
突如少し離れた所にあるロッカーが震える。
「ふえ!!」
「あ、気にするな霊障だ。あとでカフェトレに任せるから・・・」
「それはそれで大丈夫なんですか!!」
「まあ話を続けよう・・・・・・・・あいつもフラワーよりは大人とはいえ、まだガキだ・・・・しかし年齢不相応な物を隠し持つのはいくらかな・・・」
「・・・・・・・・」グサッ
その言葉を聞いてフラワーの心に目に見えない尖った矢印が刺さる。
「しかもその・・・良くないのがトレーナーを誘惑するタイプのものの本らしくて・・・・ちょっと風紀的にも良くなくてな・・・・」
「グッ・・・・」ズキュンッ
追い打ちとばかりに、彼女の心に見えない銃弾が放たれる。
「まあフラワーにはこんな本は縁遠いか・・・スカイ言ってたな・・・フラワーはとても良い子だって・・・」
「ううっ!・・・」ドキュンッ
「(よし! トドメだ!!)」
「そう言えば・・・フラワーのトレーナーも・・・こういうの、あんまり好きじゃないって言ってたな・・・」
「・・・・・・・・・・カハッ!!!」
その言葉を聞いた瞬間、フラワーはこれまでのダメージの蓄積も相まってか、トドメの爆撃を受けて血反吐を吐く。
そして膝から崩れ落ちた。
「お、おい!!フラワー、大丈夫か?」
「・・・・・だ、大丈夫です・・・」
滅茶苦茶震えた声でゆらゆらと立ち上がるフラワー。
「あ、私・・・少し処分しなきゃいけない物がありますので・・・これで・・・」
彼女はそう言って、フラフラとした足取りをしたまま部室を後にするのであった。
「・・・・・・・・」
フラワーが去って行ったのを確認したグラトレは先程のロッカーの扉を開ける。
「・・・・終わった・・・色んな意味で・・・」
中には体育座りしながら、絶望の眼で涙を流すスカイの姿が・・・
フラワーには今後、エロ本持ってる先輩の一人と認識されたことに気を落とす。
そしてグラトレは窓を開け、煙草を吸い始める。
「まあ、俺も小学生ぐらいのガキにエロ本の相談したトレーナーって思われるだろう・・・それにフラワーのあの様子だと今頃・・・・・・・」
場面は変わり、フラワーは持っていたエロ本を焼却炉にて燃やしていた。
「・・・・・・・・・・・・」
ゆらゆらと燃えていく本を写す彼女の瞳は絶望に染まっていた。
そして場面は部室へと戻り、精神的に少し回復したスカイはトレーナーに膝枕させて貰いながら呟く。
「・・・これでよかったのかな・・・」
「良いんだ・・・・・・傷ついて・・・傷ついて・・・人は大人になっていくんだ・・・・・ふ~~~」
最後の煙を吸い終わったトレーナーは窓の外に向けて煙りを吐いていくのであった。
後日・・・・・
「・・・・・・はあ・・・・」
教室でスカイは先日の出来事をまだ少し引きずっていたのか、小さく溜息を吐く。
すると、横からエルコンドルパサーがやってくる。
「セイちゃん!おはようデース!って元気無いですね!?」
「ん・・・・ちょっとね・・・」
「そんなセイちゃんにプレゼントあげまーす!!」
エルコンドルパサーが取り出したのはライトなぴょい本であった。
「・・・・・・・・エルちゃん、そういうのはあんまりここで出さない方が良いよ・・・」
「ケ!いつもなら興味津々で見るセイちゃんなのに!ホントにどうかしたんですか!?」
「ぐっ!」グサッ
エルの直球な言葉の矢印がスカイに刺さる。
「あ、そういえば・・・この間、フラワーちゃんにもこの本あげましたよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・はあ・・・・・・・・・・・・?」
エルの突然の言葉に重い相づちを返す。
「最初は恥ずかしがっていましたが、気が付いたら熱心に読んでいましたね。やっぱりフラワーちゃんもお年頃って奴ですねー♪」
その言葉を聞いたスカイは・・・・・・・
「お・・・・おっ・・・!」
「ん?セイちゃん?」
「おどれのせいかーーーー!!!!」
「ぎゃふーーーー!!!」
エルの後ろに回り込み、そのまま彼女をジャーマンスープレックスで教室の床にたたきつける。
「「おおーーー」」パチパチ
あまりの綺麗な曲線に近くにいたグラスワンダーとスペシャルウィークは拍手をする。
さらに近くにいたツヨシが床を叩きカウントを取る。
「ワン!ツー!スリー!」
カンカンカーーーン♪
そこからともなくゴングの音が鳴り響く。
ツヨシがスカイの腕を取り、天高く上へ引き上げる。
「(元凶は・・・絶ったよ、フラワー!!)」
スカイは涙を流しながら、ここにいない心に傷を負わせてしまったフラワーに報告をするのであった。
オチ・・・なんやこれ・・・?
そしてニシノトレは何も知らず・・・
ただ誰も救われなかったお話