我が家の玉藻(キャット)さん   作:歌川

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タマモキャットの水着を求めて今年で11年ってマジ?


閑話 夜の砂浜と水着

 昼間に海で遊ぶのはとても無理があるという事で、玉藻さんと2人で夜の海へと向かう。

装いだけでも楽しもうと、お揃いのシャツとショートパンツで町明かりで薄く照らされた砂浜を歩く。

後ろを見るとサンダルの足跡の横に、大きなケモノの足跡が続いているのが何とも愛らしい

「夜の海って独特の怖さがあるよね」

「先も見えず、動きも限られる。根源的な恐怖というヤツだな」

言葉を少なく、当ても無く歩みを進める。

「しかしまぁ……我のせいでこうも寂し気な夏のバケーションにしてしまって申し訳ないな」

「大丈夫。これでも結構楽しんでるよ。それに玉藻さんの変化が安定しないの私のせいでも有るし」

「気を使わせるな」

玉藻さんは一つため息をついた。

実際、私としてはこうして夏の空気感を2人で味わっているだけでも結構テンションが上がっているのだが、静かで寂し気というのは否定しにくい。

「ちょっと座ろっか」

冷たい砂浜の上に、並んで座り海を眺める。暗闇の中で波が海を揺らしている。

波の音と広がる暗闇。他に感じるのは私の手に置かれた玉藻さんの温かさだけ。

こうしていると、世界の中で私達だけが残された様に感じて嬉しくなる。

「しかしだ、せめて水着位は着て来るべきだったか?このシンプルなペアルックも捨てがたいが、やはり夏と言えば水着ではないか?」

「うーん……流石に水着で夜の砂浜を歩くのは、ちょっと人目が怖いかな。注意されるだろうし」

「ダメか」

玉藻さんは砂を掴んで海に向かって投げた。音も無く、海の中に消えて行く。

「そもそも、我は水着など一着も持ってないからせんのない事だが……立香はどういった水着が好きだ?参考として聞いておきたい」

「え?…………玉藻さんにはどんな水着でも似合うと思うよ」

「そういった誤魔化しでは無く、ハッキリ言うがよい!恥を隠す様な間柄でもあるまいに」

ツンツンとわき腹と突かれる。

「そんな事、急に聞かれてもさあ……赤いビキニ……かな?玉藻さんっていうとやっぱり赤色が似合うなって思うし」

「ふむふむ。赤のビキニか。若干の被りを感じるが、そう悪い案ではないな。ご主人が喜ぶのなら着てみたいぞ」

「…………ちょっと気持ち悪いこと言って良い?」

「ご主人の言葉を聞かぬという選択は我に無い。申してみよ」

「スク水ってどう思う?」

「聞かなかった事にしよう」

 

 沈黙が続く中、私は立ち上がって体についた砂を払った。

それに続いて、玉藻さんも立ち上がる。

「来年は水着で来たいね」

「うむ」

少し気まずい空気の中、私達は砂浜を後にした。




勝手に可能性を見出したのは確かにこっちなんだけどさ!
今年は結構ガックリきた!
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